産女/姑穫鳥/憂婦女鳥

登録日:2011/04/23(土) 14:57:50
更新日:2024/11/26 Tue 16:00:27
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妖怪の一種。
うぶめ、うぶめどりと読む。
本来は別の妖怪であるが、共通項が多いこと、習合により同一視される事、
同時に語った方が都合がいい事もあり、同じ項目内で語らせてもらう。

どちらも共通しているのは、赤子・妊婦に関係した妖怪だということである。


▽目次

概要

●産女

うぶめ。
日本でうぶめと言えば大抵はこっち。
地方によっては、うごめ、おごめとも呼ばれる。
姑穫鳥に比べ、こちらは出自がはっきりしており、元々は死した妊婦の霊。
姿形は、腰から下が血で赤く染まった女だというのが一般的だが、水子の姿をしているというものもある。
妊婦をそのまま埋葬すると産女になると言われていて、
これを回避するため、死した妊婦は腹から赤子を取り出すか赤子を模った人形を作り、
それとともに埋葬するように、とある。
多くの逸話があるが有名なのは赤子を預ける話。
夜、橋のたもとに現れ、行き会った男に赤子を預けるという。
その赤子はだんだんと重く大きくなり、仕舞いには男を潰すというが、ここでもし、赤子を支えきる事が出来たなら力を得る事が出来る。
力といっても厨二的なそれではなく、純粋な怪力。妹尾兼忠の話が有名なので、調べてみるといい。
また、上記の話を原形に、細部の違う多くのパターンを持ち、産女が赤子を預け、経文を唱えるパターンや、
逆に男が経文を唱え、赤子が重くなるのを防ぐパターン、重くはならないが待ちぼうけをくらい、夜が明けると石を抱いていたパターンもある。
行き会う場所も、神社の石段、道の橋、砂浜などがあるがここでは割愛。
逸話を見れば解ると思うが、明らかに雪女、濡れ女の影響がある。
どれが原形なのかは解らないが、ジャンプ読み切り漫画・4Uでも主人公が語っていたように、
試練を超える事で幸せを得る逸話は、このほかにも数多く存在している。

以上が利をなすパターンであるが、当然害となるパターンも存在する。
福島県の逸話では完全に怨霊であり、その話は以下の通り。
人に会うと赤子を預け、自分は成仏する。
赤子は預けられた人を噛み殺す。
多くの怪異譚においてそうであるが、この話にも抜け道が存在する。
男は鉈についた紐、女は身につけた布を投げればそれに気を取られ、回避できるらしい。
また、赤子を預けられた場合にも、顔を背ければ噛まれることは無いという。

今昔物語ではこれらに該当しない話も載っており、
頼光四天王の一人、平季武が友人との賭け肝試しに行った際に出現。
産女は赤子を抱けと迫るが、季武が赤子を抱くや否や「この子は貰ってゆく」と告げると、産女は態度を一転させて「子供を返して」と訴える。
季武はそれを一蹴し、意気揚々と仲間の所に帰るが何時の間にか赤子は木の葉に変じていた。
これは所謂「妖怪退治」に類するパターンだと言える。



●姑穫鳥/憂婦女鳥

うぶめどり。
原産は中国の妖怪で、本来は(こかくちょう)と読む。うぶめどりは当て字。
夜行遊女、天帝少女などの別名を持つ。
鳥として飛び、羽毛を脱いだら女性になると言われている。
鳥の妖怪には、瑞兆・凶鳥の区分を持ち、前者は吉事、後者は凶事を運ぶと言われているが、姑穫鳥は後者に属する。
ケイ州(荊州)に多く棲み、子供に害を与える逸話をもつ。
夜に子供服を干すと、それに印しを付け、その印しを付けられた服の子供は病にかかるという逸話であるが、
実はこの話、茨城にも(ウバメドリ)という名で似たモノが残っている。
恐らく中国の話が伝わったものであろうが、正確な事は解っていない。
話の中に存在する印しは、中国では自身の血、茨城では自身の母乳と言われる。
……母乳といっても有毒のものであるため、興奮しないように。
また他のパターンに、他人の子供を奪い自分のものとする逸話があるが、どちらにしろ子供に害をなす事に変わりは無い。
姑穫鳥の被害を避ける為に留意すべきは二つ。
一つ、夜中に子供服を干さないこと。
二つ、子供を全裸のまま寝かせないこと。
どちらも服に関する事からみるに子供は大切にしろという、教訓的意味を持つ妖怪なのかもしれない。
また、姑穫鳥は産女と同じく妊婦の霊であるという話もあるが、恐らく間違い。
中国においてそのような話は無く、産女と混同されたものと思われる。



創作における産女/姑穫鳥/憂婦女鳥達


中国で人の死や国の滅亡を予言するといわれる不吉の象徴とされる妖怪。見た目は人間の姿をした鳥だが、鳥のような形をした頭部の中に人間の女性のような顔を持っている奇怪な姿をしている。その正体は電離層に住む悪意を持ったプラズマ生物。電気エネルギーを自らのエネルギーに変えるプラズマの塊であるため、ビーム攻撃を吸収して無効化することができる。
第19話『夢幻の鳥』に登場。ガゾートやクリッターと生態や生息地がよく似ているが、類縁関係は不明*1

雑魚妖怪の一種として登場する。
姿は大きな蛇の目傘を携え着物を着た鶴のようであり、翼でなく背中の扇子を羽ばたかせて空を飛ぶ。
飛んでいる時はこちらをゆっくり追尾する扇子を投げ付けてくるだけだが、筆しらべの一閃で扇子を叩き落としたり疾風で風を起こしたりして飛ぶのを難しくすると地上に降りてくる。
地上では真正面から攻撃を仕掛けると蛇の目傘で防御してしまうが、この瞬間に疾風を使うと傘が風で煽られてしまい無防備な姿を晒すという弱点を持つ。

雑魚妖怪の一種として登場する。子守歌のようなすすり泣きのような声が聞こえたらこいつ。
赤子くらいの大きさの光る石を大事そうに抱え、積極的には攻撃してこないが叫び声はガードの上からでもこちらの気力を大幅に削ってくる。しかもこの間の姑獲鳥は異様に硬い。
しかし石は非常に脆く、弓なんかで狙撃するとあっさり破壊できて一定時間ダウンする。
このダウンの復帰後か体力を一定以上削ると頭に黒い翼を生やした姿を現し攻撃パターンが変化。
翼による攻撃は火力こそ普通だが異様にリーチが長く出も早い。かと言って下手に懐に飛び込むと頻度の上がった叫び声で気力切れ→追撃で大ダメージは必至。
ガード不能の掴み攻撃も解禁され、頭を撫でられて戦意を失った主人公の胸を鋭い爪で貫くと言うもの。主人公は幼少期に母親を亡くしている設定があるので、姑獲鳥の母性に当てられたのだろうか。



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最終更新:2024年11月26日 16:00

*1 本エピソードはガゾートⅡ登場話である『幻の疾走』の続編として作られていたが、初期構想における「ガゾートⅢ」が不採用(既に地球を離れているため)になった名残