告白(湊かなえ)

登録日:2011/10/23(日) 00:34:06
更新日:2024/04/06 Sat 01:48:08
所要時間:約 9 分で読めます





愛美は事故で死んだのではありません。
このクラスの生徒に、殺されたのです。



双葉社から刊行された湊かなえの小説、およびその映画。
ある中学校を舞台に、女教師の娘の死を発端に連鎖的に発生する事件をそれぞれの当事者5人の一人称視点で描く。

湊かなえが提唱した「嫌な気分になるミステリー」、略して嫌(イヤ)ミスの起源にしてその代表作。


刊行されるや否や本屋大賞を受賞し、口コミで話題となって2010年に「嫌われ松子の一生」の中島哲也監督が映画化。
悪趣味に悪趣味が重なって最凶に見える布陣で製作された映画は圧倒的な「負」のインパクトあるビジュアルにより高評価を得て、
TV局が製作していない&R15+指定にもかかわらずその年の邦画の中でも大ヒットを記録。
日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した。
挿入歌にAKB48の楽曲「river」と、レディオヘッドの楽曲「ラスト・フラワーズ」が使われている。
ちなみに、映画版を原作にした漫画版が製作されている。

2022年には、『呪術廻戦』作者の芥見下々描き下ろしの表紙が付属した新装版文庫が刊行された。
文庫帯には芥見氏のコメントも添えられている。


○あらすじ
S中学校の3学期の終業式―――
1年B組の担任、森口悠子は最後のHRを始めた。
最初はたわいのない話であったがやがて話題は巷で話題の熱血先生のこと、去年起こった殺人事件のこと、
そして自分が今学期で教師を辞めることといった話題に移る。
やがて先月、自分の娘が学校で死んだという話題になり、そしてこう付け加える。
娘はこのクラスの二人の生徒に殺された、と―――。

森口はその二人の生徒「A」と「B」について語り始め、そして彼らに下した恐るべき復讐を「告白」する。


以下、犯人のことについての記述アリ。未見の方は注意。



○登場人物

1年B組の担任。担当は理科。
聖職者そして伝道者
決して「熱血教師」ではない冷めた教師(映画版および漫画版では事なかれ主義者かつエゴイスト)。
夫がHIV感染者だったため娘を想い籍を入れず、シングルマザーとなる。
だが、理不尽な理由で娘を教え子に殺され、恐ろしい「復讐」を決意。
犯人たちの牛乳にある「仕掛け」を施し学校を去る。
その後は事件の表舞台から姿を消したが…


  • 少年A
本名は「渡辺修哉」。愛称は「修ちゃん」。
犯人の一人で、B組の生徒。
信奉者
クラス一の秀才で、発明好きの少年だが、性格は高慢で最悪なサイコパス
ぶっちゃけすべての元凶
この醜悪な人格は、劣悪な家庭環境で育ったことに起因している。
自分を虐待した挙句に捨てた母親に認められたいがために妄信的な思考に取り憑かれている。
事件の主犯格で、自分の発明で殺人をして有名になることが目的だった。
森口の復讐後はクラス中のいじめの標的となるもはねのける。
その後委員長の美月と付き合い始めるも…
映画版では後に「悪の教典」で高木翔役を担当する西井幸人が演じている。

  • 少年B
本名は「下村直樹」。
犯人の一人で、B組の生徒。
求道者
一見人懐っこいが劣等感と母親からのプレッシャーに押しつぶされる卑屈な性格。
ある意味一番リアルな厨房。
クラスの秀才渡辺と親しくなりいい気になっていたが、自分を事件の共犯者として利用し見下していたことを知り逆上、
まだ生きていた愛美を虚栄心のために水死させ完全に命を奪った。
だが、復讐宣告後は全てに怯え部屋に引きこもり、不潔症でもあり潔癖症という矛盾した精神状態となってしまい、
徐々に精神的に追い詰められていき…
映画版では『20世紀少年』のサダキヨの少年時代役を務めた藤原薫が演じている。
この作品以降、A役の西井幸人とは『鈴木先生』、『悪の教典』等で同級生として共演するようになった。

  • 北原美月
クラス委員長で、下村の幼なじみ。
比較的物事を客観的に見ることができる数少ない常識人。
ウェルテルから気に入られているが、当の本人はウザがっている。
渡辺へのいじめに参加しなかったことから自分も標的にされてしまったことがきっかけで彼と親密な仲になる。
が、彼女自身もある秘密を抱えており、それを話したことがきっかけで…
映画版では「貞子3D」の貞子役や、実写映画版「Another アナザー」の見崎鳴役を担当する橋本愛が演じている。

  • 寺田良輝
2年B組の担任の新人数学教師。学生時代のあだ名であるウェルテルで呼ばれたがる(良→良い→well)
殉教者
桜宮正義に影響された時代錯誤な熱血教師で、かなりのKY。
クラスの重苦しい雰囲気も読めず、余計なことばかり行い、そのせいで壊れかかった生徒たちの心の発狂に拍車をかける。
生徒のことを親身になって考えているようでいて、実は相手を考えながらも自分の行動を抑えられず、
「生徒達を思いやるかっこいい自分」に自己陶酔したがる、典型的なナルシスト。
後にBが起こしたある事件で警察から取り調べを受けた際、同席していた美月から「Bを追い詰めた元凶は寺田先生です」と糾弾された。
原作では美月に糾弾された後も図々しく教師を続けているが、
映画版では美月に糾弾されたことや、Bが引き起こした事件に心を痛め、長期間休職することを決めている。
ただのダメ教師と思いきや、その行動には秘密があった。
ちなみに、映画版でウェルテルを演じた岡田将生は、後にフジテレビのドラマ「リーガル・ハイ セカンドシーズン」において、
古美門研介の敵として立ちはだかる羽生晴樹役を担当しており、
この羽生もウェルテルと同じく「他人に尽くす自分に酔いしれた独善的な人間」であったりする。

  • 少年Bの母
理想的すぎる環境で育ち直樹の他に、2人の娘を育てた。
息子を溺愛して、自分の教育を過信し教師を糾弾する典型的なモンペ。
慈愛者
その代わり予期せぬことには極めて脆弱で、息子の異変に日に日に余裕をなくしていく。
そして、息子の告白を聞き、ついに壊れてしまい…
映画版では 下村優子 という名前が付けられており、木村佳乃が演じている。
中島哲也曰く、「木村さんの絶叫する演技が見たかったから抜擢した」とのことであり、
その絶叫する演技は中島が見込んだ通り、かなり怖い。

  • 桜宮正義
巷で話題の元不良の熱血先生。
「世直しやんちゃ先生」というあだ名で呼ばれているが、
その教育方針は「金八先生」や「GTO」や「スクールウォーズ」といった一昔前のドラマに登場する熱血教師のような、
今の時代となっては手垢にまみれきった時代錯誤なものであり、
Bからは「それはあんたが生きていた時代の話だ」と、自身の教育を全否定されている。
実は森口の夫であり、愛美の本当の父親。
過去の自堕落な生活のツケでHIVに感染し、余命少ない中最期の日々を妻と過ごしていたが…
モチーフとなったのは「夜回り先生」で一時期話題になった水谷修氏と、
「ヤンキー母校に帰る」で名を馳せた義家弘介氏だと思われる。

  • 森口愛美
森口の娘でまだ小学校入学前の可愛い幼女。
クラスメイトにも人気の存在。
人気マスコット「わたうさちゃん」の大ファンで、グッズは大抵持ってる。
二人の中二病患者の犠牲になった一番の被害者。
ちなみに映画版で彼女を演じたのは、「マルモのおきて」で大ブレイクする前の芦田愛菜ちゃんである。

  • B組のクラスメイト達
森口の娘である愛美の死の真実を知った後、愛美が死んだ原因を作ったAをいじめの標的にする。
最初は反省や罪悪感の欠片も見せないAに対する憤りや正義感ゆえの制裁であったが、
その報復は次第にエスカレートしていき、最終的には魔女裁判さながらのものとなっていった。
家に引きこもり状態となったBに対しては、ウェルテルの提案で色紙を送ることとなった際、
その色紙に「 人はみな、孤独じゃない、ロクでもない世の中だけど、幸せになろうよ、信じよう、ネバーギブアップ!
という励ましの言葉に見せかけて、文章の頭文字を繋げると「 人殺し死ね 」と読める巧妙なあいうえお作文を書いて提出した。
(映画版ではそのシーンがクラスメイト役を演じた子役たちの熱演により、原作以上に悪意が倍増された演出となっている)
後にAの機転を利かせた反撃に遭い、制裁はあっけなく終焉する。
映画版では、後に朝ドラの「あまちゃん」で大ブレイクし、「この世界の片隅に」で声優も務めた能年玲奈(現・のん)や、「スイートプールサイド」の刈谷友衣子、「手裏剣戦隊ニンニンジャー」でモモニンジャー/百地霞を演じた山谷花純、「エンジェル・ハート」「いぬやしき」「ダンスウィズミー」の三吉彩花、実写版「Another」「ザ・ファブル」「帝一の國」の井之脇海などがクラスメイトとして出演。
この作品をきっかけにブレイクした俳優、モデルたちが少なからず参加している。

  • 八坂
K大学の准教授で、かつ、少年Aの産みの母親。
大学院在学中にAの妊娠がきっかけで結婚し、課題を残したまま博士課程を修了。
自分の無念を晴らすために、息子のAに電子工学を学ばせるが、その過程で研究に関係するものを発見し、夫や息子に内緒でアメリカの学会に論文を提出。
それが高評価を得て、大学へ戻るよう勧められたが、Aがいたために申し出を断る羽目になる。
このことが引き金で「あんたさえいなければ」とAに八つ当たり同然の暴力を振るうようになり、遂には家を出ていき離婚。
その後はK大学の教授と結婚し、新しい子供を授かる。
後に勤務先に来たAがその事実を知って、それが現在の夫である教授の耳に伝わったのに、
彼女はAのことを「 自分の輝かしい栄光を閉ざした糞虫 」として見捨てており、連絡一つよこそうともしなかった。
これがAを絶望させる決定的な事態となってしまった。
自分の栄達に執着し、前の夫やAを切り捨てた最低の母親であり、森口も娘が殺された元凶として、Aとこの女を挙げている。
森口の愛娘が死んだきっかけを作ったAもAであるが、一番のクズはこの女だった。
映画版では彼女に会った森口は「Aのことを忘れていなかった」と話しており、
彼を密かに想い、同情の余地のある人物としての側面を思わせる描写があるが、あくまでも森口の談なので信憑性は薄く、
Aを傷つけるための嘘とも考えられる。
(「忘れていなかった」と言っても、Aを出来の悪い子供だと誹謗する発言をしたという可能性がないわけではない)
なお、Aの写真を見て涙を流す彼女はあくまでAの妄想なので現実ではないため、彼女の本心については謎のままである。





以下本当にネタバレ













本作でHIV患者の血液を飲み物に混ぜ飲ませたところで、その人はHIVを患うというわけではない。

映画ではそのことについては「生命について悩むだけ悩んでくれればそれで良かった」「もし感染したとしても、早期治療を行えば防ぐことは可能だ」と森口自身に語らせフォローしている。




爆弾が爆発したかは実は作者自身も決めていない。
どちらでも取れるかのようにあいまいな結末にしたとのこと。

一人称視点の告白のために嘘も交じっている可能性があるという効果を全面的に出した結末である。


馬鹿ですか?
あなたが糞項目と言いながら見下す項目たちに、あなたが一体何を追記し、何を編集したというんですか?

ねえ、Wiki籠りくん。これが本当の追記・修正であり、あなたのアニヲタ脱却の第一歩になると思いませんか?






















なーんてね。


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最終更新:2024年04月06日 01:48