羽生晴樹(リーガル・ハイ)

登録日:2014/09/06 Sat 18:46:36
更新日:2025/04/17 Thu 19:59:05
所要時間:約 8 分で読めます




『羽生晴樹』とは、フジテレビ系列の水曜10時枠に放送されたドラマ『リーガル・ハイ セカンドシーズン』の登場人物である。
演じた俳優は、岡田将生氏。

慶應義塾大学法科大学院を修了しているエリート弁護士で、趣味はフットサル。
温和な物腰で、かつ、天然の人たらしで、その能力で古美門法律事務所の密偵である加賀蘭丸を一度たらし込め、
さらに三木法律事務所の三木長一郎と井出孝雄をたらし込むことに成功した。
…何気にすごくないか、コイツ?

初登場は第一話で、検事時代に職務経験制度で古美門法律事務所で弁護士実習を経験後、
徳永光一郎毒殺事件をきっかけに、自身の理想とする法律家を目指すために検事を辞め、NEXUS法律事務所を設立。
その際に東京高等検察庁所属の検事・本田ジェーンと、三木法律事務所を退所した弁護士・磯貝邦光を引き入れた。

裁判は勝ち負けではなく、双方が幸せになること、Win-Winを目指す をモットーとしており、
みんなが幸せになる社会を築くことを目的としている。
そのため、死刑制度を廃止するべきという立場にいる。
父は商社マン、母は児童文学者で、幼少期からイギリス・サウジアラビア・アメリカ合衆国などで暮らした帰国子女であり、
時折サウジアラビアのことわざという、実在するのか疑わしいがもっともらしいことわざを使って説得などに利用する。
……が、羽生自身意味を分かって無く使っている節があり、意味を問われると「僕にもわかりません」とはぐらかしている。

セカンドシーズンにおける古美門研介のライバルポジションの人物であり、3話以降、古美門と事あるごとに対立する。







【以下ネタばれ注意】



























サウジアラビアにこういうことわざがある。

『乗っている人間がラクダを操っているように見えても
実はラクダが人間を導いているのだ



徳永光一郎毒殺事件の裁判を裏で操っていた 黒幕
羽生は古美門が裁判で争っている途中、「 吉永慶子 」という偽名を使って、
裁判の被告人である安藤貴和に、ある取引を持ちかける。

「今の裁判で罪を認めたら、自分が古美門と黛をサポートして、最高裁判で彼らを勝利させて、一審に差し戻し、
今度は自分が差し戻し審を担当して、無期懲役に持ち込む。
あなたが隠している秘密については公表しないし、差し戻し審では弁護人を代えさせるから、それで納得してくれ」と。

羽生は過去に何件もの事件での殺人容疑がある貴和にその罪を償わせるために、
徳永光一郎毒殺事件の罪を認めさせ、その後自分が隠れ蓑として設立したNEXUS法律事務所を去り、
差し戻し審となったらのうのうと検事役職に戻って、貴和の弁護士担当となった三木と協力し、
彼女を自分のシナリオ通りに無期懲役刑にしようとしていた。
つまり、古美門と黛は、 死刑廃止論者である羽生の理想の実現のために利用されていたのである

散々人の心の美しさを語っておきながら、彼が理想とする美しい世界とは、
愚かな民衆を優秀な自分が導く統制社会 」でしかなく、
彼はこの裁判で大衆の心をつかみ、貴和を無期懲役にすることによって、自分が 法律の神 として君臨しようとしていた。

自身の利益のために他人を利用し操った彼の犯罪行為について、
黛は「自分のしたことがどういうことか分かっているのか」と問い詰めるも、
羽生は「ルールを守ってばかりでは実現できない理想もある」と、悪戯がばれて開き直った子供のように笑う始末であった。
そんな彼について古美門は「あいつに裏の顔はない。あったとしたらとっくに見抜いている」と怒りを通り越した呆れ顔で語り、
服部は「彼はただひたすら純粋に美しい世界を実現しようとなさっているにすぎない。つまりは表だけですと分析した。

自分が悪であることに気づいていない、もっともドス黒い悪
それが、羽生晴樹の正体だったのである。

やがて世論は「貴和を無期懲役とするべきだ」という論調になっていき、すべては羽生のシナリオ通りに行くかと思われた…。
が、古美門達の茶番ともいえるエセ民事裁判により、貴和が隠していた秘密が暴かれてしまう。

殺害された徳永光一郎の娘と思われていたさつきは実は里子で、本当は貴和とヤクザの親分・金崎正宗の娘であったこと。

貴和が娘を守るために金崎と手を切り、さつきを里子に出したこと。

どういう経緯でかは不明だが、貴和が次のターゲットとして目を付けた徳永の子が、
かつて里子に出したはずのさつきとなっていたこと。

そして、そのさつきが、徳永と再婚して母親になりたいと本気で願った貴和を激しく憎悪し、
年齢を詐称してネット通販で買った毒薬をカレーに混ぜ、育ての父を殺して結婚を妨害し、さらにその罪を貴和になすりつけようとしたこと…。

この一件で形勢は一気に逆転し、古美門は再び安藤貴和裁判に舞い戻った。
そして、黛が新たに作り出した事件の「真実」により、貴和は殺人ではなく劇物取締法違反での厳罰処分で裁かれ、事件は 事故死 として片付けられることとなった。

この結果に納得のいかない羽生は古美門に詰め寄るが、逆に古美門に自分の醜さを看破されてしまう。

自分の理想の実現のために裁判を利用し、人をたらし込み騙し操る。
自分の賢さにうぬぼれ、人のために尽くす自分が大好きで、冒す危険に酔いしれる。
皆を幸せにしたい、Win-Winにしたい。だが、それらは全てしょせん君個人の欲望だ!
皆から感謝され崇め奉られ、ファンレターをいっぱいもらい、ベストジーニスト賞まで私より先に獲得してさぞ満足だろう。
だが、君がやってることはWin-Winじゃない!
小さな敗者(ルーザー)をたくさん作って、君一人が勝者(ウィナー)になることだ!!

いいか? 君の本性を教えてやるからよく聞け!
君は、独善的で人を見下し、いい男ぶった薄ら笑いが気持ち悪くてスーツのセンスがおかしくて、
漢字もろくに書けなくて、英語もサッカーもそれほど上手くない、でたらめなことわざを作る、
甘くてぬるくてちょろい、裏工作をしてみたらたまたま上手くいっただけの
ゆとりの国のポンコツヘタレ天パー短足クソ王子だ! バ~カ~!!

自分の醜さを大暴露された羽生は逆上し、古美門に掴みかかるも、その場で泣き崩れる。

「そんなひどいこと言わなくたっていいじゃないか…。僕だって、一生懸命やってるのに…」

そんな羽生に対し、古美門はやさしく語りかける。

もし君が、皆が幸せになる世界を築きたいと本気で思うのなら方法は1つだ。



醜さを愛せ



その後、改心した羽生は自分を鍛えなおすために、古美門の「醜さを愛せ」という言葉を座右の銘とし、
服部や蘭丸、黛にエールを送られながら天に向かってガッツポーズを決め、武者修行へ旅立った。
その様はさながら ドラマの主人公 のようであり、さすがの古美門も「勝ったのは私だよな?」と疑問に思うほどだった。

古美門「アイツは完膚無きまでに負けましたよね?」
服部「木っ端微塵です」

古美門「勝ったのは私ですよね?」
服部「完全勝利です」

古美門「なのに何で最後まで態度がウィナーなんだ? 何で去り方まで主役っぽいんだ?」


古美門「 馬鹿なだけなんじゃないか?









【以下さらなるネタバレ
























サウジアラビアにこういうことわざがある。

『どんなに旅をしても手に入らない 財宝 もある。』

















実は羽生は古美門のことを 一人の男として愛していた
もしかしたら一連の安藤貴和裁判での策謀は、 大好きな古美門に自分のことを認めてほしくて やったことだったのかもしれない…。
たびたび黛に気があるような素振りを見せ、NEXUSに引き抜こうとしていたのも 古美門を手に入れるための口実 に過ぎなかったのだろう*1
また羽生が育ったサウジアラビアでは 同性愛者と判明するとソドミー罪を犯したとして逮捕され死刑に処される事になる
羽生が死刑制度を廃止したい理由及び羽生が理想として掲げるみんなが幸せになる社会とはつまりそういう事である。




【余談】

  • ウェルテルとゆとりの国の天パー王子
羽生晴樹役を担当した岡田将生氏は、2010年に公開された映画「告白」において、
ウェルテルこと寺田良輝を演じており、
この寺田も羽生と同じく、「他人に尽くす自分に酔いしれる独善的な人間」であったりする。
裁判を黒幕として裏で操っていた者と、黒幕に操られていた者の差はあるとはいえ、
羽生を演じる岡田氏を見て、ウェルテルを思い出した視聴者もいるのではないだろうか?

  • 偽名「吉永慶子」
このなまえの由来について蘭丸は、
「羽生の母親がファンだった女優の 吉永 小百合と松坂 慶子 からとった名前なのではないか?」と推察している。

  • 古美門のライバルというには…
セカンドシーズンにおける古美門のライバルポジションである彼であるが、
第二話において鮎川光の起こした裁判の本質を良く分かっていなかったり、
後半から古美門の策略に見事はめられたりと、どこか詰めが甘く、
さらに最終話では彼が密かに救いの手を差し伸べた者達が、逆に不幸となってしまっていることを古美門に告げられてしまっている。(羽生はこれを古美門が自分を動揺させるための嘘と看破しているが、その後古美門が「しかしそうなるかもしれない」と発言していることから、あながち嘘ではない可能性もある。)

こういったことから、法律を遵守するカタブツ裁判長・別府敏子、良くも悪くも民意の体現者である検事・醍醐実、強請りの弁護士・九條和馬、そして何より古美門の宿敵である三木の方が、
羽生よりも古美門のライバルポジションの人物としてふさわしいのではないかと一部の視聴者からいわれている。


  • 俳優・堺雅人の本気
蛇足だが、古美門を演じる堺雅人氏は前述の羽生の本質を看破した一連の台詞の収録を一発で成功させた。




確かに僕は負け犬です。
でも夢は捨ててません。
今でも追記・修正をして、良項目を作りたいと思ってます。
この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • リーガル・ハイ
  • 岡田将生
  • Win-Win(笑)
  • 弁護士
  • 策士
  • 公式が最大手
  • LOVE&PEACE(笑)
  • フジテレビ
  • セカンドシーズン
  • フットサル
  • 吉永慶子
  • 帰国子女
  • サウジアラビアのことわざ
  • 羽生晴樹
  • 独善
  • 指パッチン
  • ゆとりの国の王子様
  • 独裁者
  • 秀逸な項目
  • 秀逸な伏線回収
最終更新:2025年04月17日 19:59

*1 実際、これ以前に黛が父に言われるままアプローチを仕掛けた際も紳士的にスルーし、旅立ちの直前の「気持ちは嬉しいけど応えられない」という黛の言葉に対しても「何の話?」と言いたげな表情をしている。