ヤン坊マー坊天気予報

登録日:2017/09/29(金) 13:59:47
更新日:2025/06/30 Mon 11:07:06
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ヤンマーディーゼル提供

ヤン坊!
マー坊!
天気予報

ヤン坊マー坊天気予報」とは、かつて日本全国の民放各局で放送されていた天気予報番組。
この項目では、ヤンマーのマスコットキャラクターであるヤン坊マー坊についても解説する。

【概要】

農家の機械、漁船のエンジン、ディーゼル発電やポンプ、建設工事など、1世紀以上に渡り小さなものから大きなものまで動かす力を手掛け続ける「ヤンマー(旧:ヤンマーディーゼル)」が長年一社提供で放送してきた天気予報番組である。

昔から農業や漁業など「天気」に関わる機械を製造してきた事もあり、天気予報という形で更に全国の人たちの役に立ちたいという目的、そしてどうしても堅いイメージが拭えなかったヤンマーのイメージ刷新も兼ねて、日本で民放テレビの放送が始まって間もない1959年の気象記念日・6月1日に放送がスタート。

あの『鉄腕アトム(1作目)』より4年も早くテレビで放送されていたアニメーション作品でもあり、日本のアニメの歴史においても重要な番組である。

放送時間は全国で一定ではなく、それぞれの局の夕方のニュース内、もしくは終了後に随時放送されるという形を取っていた。
双子の兄弟・ヤン坊とマー坊のタイトルコールやオープニングアニメ、ヤンマーのイメージソング「ヤン坊・マー坊の歌」が思い出深い人も多いかもしれないが、
局によってはアニメーションが無く、単にヤンマーが提供する天気予報という形で放送していた局も幾つか存在していた。
また、1週間通しの放送ではなく平日、もしくは休日のみヤン坊とマー坊が登場する放送形態だった地域もあったという。
静岡、島根、鳥取、そして2013年に打ち切った岩手では、同じ時間帯に曜日替わりで他の系列局で放送するという変則的な提供も見られた。

オープニングアニメは季節ごとに新しいものに変わるためそのバリエーションは非常に多く、ヤンマー公式ページや公式ファンブックのDVDでも完全には網羅しきれていない。

時々実写とのコラボレーションも行われており、特に1999年は放送開始40周年を記念してジャニーズJr.(現:ジュニア)とのコラボが実現。出演者には安田章大、錦戸亮、歌を渋谷すばるが担当と後の関ジャニ∞(現:SUPER EIGHT)メンバーのJr.時代の姿が堪能できる貴重な映像になっている。
これが理由で安田&錦戸のコンビをヤンマーと呼ぶファンも多いらしい。

オープニング「ヤン坊・マー坊の歌」も何度かアレンジされており、時代を経るごとにリズミカルかつアップテンポなものになっていった。また1960年代後半に放送されていたCMでは若干メロディが異なっている。

なお、オープニングアニメは実写とのコラボ、CG作品も含め、放送開始から終了まで全てアニメーターの中邨靖夫が一貫して手掛け続けていた。
後述するヤン坊やマー坊のキャラデザインの変化を含め、時代に応じた様々な試行錯誤は大変だったが楽しく元気が出る仕事だった、とインタビューで語っている。

基本的にテレビ番組として放送されていた「ヤン坊マー坊天気予報」だが、ラジオ局の和歌山放送や大分放送で朝の時間帯に放送されていた事がある。


【ヤン坊・マー坊について】

この天気予報のイメージキャラクターであり、ヤンマーのマスコットキャラでもあるのが、
タイトルにも登場している「ヤン坊」「マー坊」の双子の兄弟である。

外見はほぼ同じで見分けがつきにくいが
  • もみ上げが少しギザギザになっているのが兄のヤン坊
  • もみ上げがすらりと伸びているのが弟のマー坊
実は前髪も含め、英語の「Y」「M」をそれぞれあしらったデザインになっている。
またヤン坊はTシャツに「Y」、マー坊は「M」と描かれており、そちらの方がわかりやすいかもしれない。
時に喧嘩もするが、それも含めていつも仲良しのよき兄弟である。

年齢は揃って小学生の低学年であり、運動会で大活躍したり友達と一緒に冒険を繰り広げるアニメが放送された時代もある。

ヤン坊はどちらかといえば慎重派かつ頭脳派で読書や発明が趣味な一方、サッカーやサーフィンなど運動神経も抜群な文武両道な性格。ただしお化けや怖い顔は苦手とちょっとだけビビリな一面もある。
マー坊はやんちゃで好奇心旺盛な性格で、サッカーやTVゲーム、ラジコンが大好きな傍ら勉強に対しても好奇心旺盛な一面を見せている。
ヤン坊曰く「甘え上手」な可愛らしい弟だが、実は密かに「マー坊!ヤン坊!天気予報!」とタイトルコールをする野望を抱いているらしい。

セレッソ大阪の前身がヤンマーディーゼルサッカー部であった経緯、そして現在もヤンマーがサッカーに対して非常に熱い企業であることから、2人は揃ってセレッソ大阪や所属選手の大ファンである。
なお公式設定によればお尻はみたいにふっくらした美尻らしい。

放送開始初期はキャラデザインがかなり異なり、長身かつスマートな外見であったが、1960年代以降お馴染みのデフォルメチックな姿に改められている。
それ以降も1980年代にはそれまで黒目だけだった目に白目が加えられ、より可愛らしい外見になった他、1999年の放送40周年に合わせ若干頭身が高くなっている。

実は服装も時代によって少し違っており、21世紀以降それまで半パンだったヤン坊のズボンがマー坊同様の長ズボンに変更されている他、2010年代以降はTシャツの色もそれぞれ違ったものになっている。

2024年には9代目となる新デザインが発表。髪の毛の色がイメージカラーの赤・青となり、従来のイメージを一新する近未来的なものとなった。


【放送終了までの経緯とその後】

半世紀に渡り長年多くの人に親しまれてきた長寿番組「ヤン坊マー坊天気予報」であったが、時代の変化とともに少しずつそのその需要は低下してきた。
ニュース番組がそれぞれ独自で天気予報を放送するようになったり、そもそも天気予報をテレビで見る人が減ってしまったというのが大きな理由である。

加えて、天気予報の伝え方自体も開始当時からの実写映像をバックに「ヤン坊マー坊」のアニメが下に流れている中にテロップで明日の天気・気温・降水確率を伝える形では不十分となってきたという側面もある。
1980年代に気象衛星ひまわりによる衛星写真による雲の動きなどが伝えられる様になったのを皮切りに、番組最末期の頃には予報を伝える範囲も放送エリア内各地の広域地域ごとから主要市町村単位まで細分化されるなどしており、実際に番組後半〜末期の1990年代頃からは、予報画面でのアニメ放送を廃止して「ヤン坊マー坊」要素をテーマ曲をBGMに流す程度に留めて、伝え方は一般的な気象情報と同様とした局も多かった。

また、ヤンマー自体も「ヤン坊マー坊」のイメージがあまりにも定着しすぎた事に対する違和感、現在の企業イメージに合わないのではないかという声が多く挙げられていたらしく、「ヤンマー」というブランドは勿論、農業や漁業などの第一次産業の知名度を高める役割を果たし終えたと判断。
天気予報を終了する、という選択肢を取ったのである。

その皮切りとなったのが関東地方で、1996年9月をもって長年放送されていた日本テレビの放送枠が終了。その後テレビ朝日に移転して放送されていたがこちらも2000年を最後に廃止された。
以降も各地の系列局では放送が継続されていたが、2013年3月に大半の地域での放送が終了。
そして残った場所でも2014年3月をもって全ての放送が終わり、ヤンマーの公式ページでも天気予報に関するページが閉鎖された。

ただしヤン坊・マー坊の両名が完全にヤンマーから抹消されたわけではなく、マスコットキャラクターとして今後も活動することが放送終了決定に合わせて公表されており、現在もヤンマーのカレンダーなどでその元気な姿を見ることができる他、滋賀県にあるヤンマーミュージアムではヤン坊・マー坊グッズが多数発売されている。

【余談】

  • かつてTBS系で放送されていたヤンマーの一社提供枠「ヤンマーファミリーアワー」でも「ヤン坊マー坊の歌」の1番のフルがオープニングに流されていたことがある。
  • 半世紀にも渡る長寿番組だったこともあってか現在に至るまで度々各地でパロディ作品が生まれており、
    近年でもNHK・Eテレのねほりんぱほりんで、明言はされていないもののどう見ても「ヤン坊マー坊天気予報」にしか思えないオープニング、
    「ねほりんぱほりん人間予報」が放送されている。
  • 2024年にヤンマーがギタリストのMIYAVIとのコラボレーションで発表した応援ソング「Find A Way」には、冒頭のギターソロに「ヤン坊・マー坊の歌」が使用されている。




僕たちの天気予報はこれからだ!
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最終更新:2025年06月30日 11:07