ミラグロマン(ジョジョリオン)

登録日:2018/01/15 (月) 09:05:21
更新日:2025/03/09 Sun 14:41:57
所要時間:約 3 分で読めます





意外と早くに心が壊れる時が来るぞ

ミラグロマンの「呪い」は絶対に消せない



ミラグロマンとは、『ジョジョの奇妙な冒険 Part8 ジョジョリオン』に登場するスタンド
……便宜上はそういうことになっているが、本編では一貫して「呪い」と称され、単行本余白の解説ページでスタンド能力と定義された。
単行本14巻収録の「ミラグロマン その1~その2」に登場する。

【概要】


その商人の名前も国も時代も知らないが

ものすごく優秀な武器を作って売り 世界中の戦争で大富豪になったそうだ

だがある時代──

商人はとても長い期間の訴訟の裁判に負け 500億ドルを賠償金で支払う事になった

その商人はすでに精神が壊れていた

そして家族を殺し 自らの身体に火を放って自殺した

「呪い」だけが残り…焼死体のそばにあった一枚の焼けこげた紙幣が…

「ミラグロマン」の最初の紙幣って訳さ


アイドルの握手会に行った東方常秀が、物販の列に割り込んできた青年・苦竹(にがたけ)財平(ざいへい)の財布をくすね、中に入っていたキャッシュカードでお金を引き出したところから話は始まる。

その金で買い物をしたり、食事をしたりと豪遊する……が、何故か店側に不手際が起こり、支払った金額以上の現金が返却される
最初は違和感を感じていたが、ラッキーと考え特に気にせずにいた常秀。
しかし、立ち寄ったガールズバーの店長から「オレはミラグロマンの噂を知ってるんだッ!地獄を見るのはテメーだけにしてろッ!」と意味不明な説教をされ、おまけに利子と称して「5000万円分の札束」を押しつけられる。
何をしても増えていく金と共に違和感は加速していき……。

【呪い】

顔面と両手に丸い穴が開いた人型のスタンドヴィジョンを持つ。
しかしこの像は作中に登場せず、「ミラグロマン」の都市伝説を語るシーンで急に出てきただけ。
スタンドとした場合、いわゆるひとり歩きしているスタンド に分類されるのだろう。

「ミラグロマンの呪い」を受けると、どんどん所持金が増え続ける。
所持→移行→破壊の三段階で「呪い」は進行していく。

1.「所持」

「ミラグロマンの紙幣」を盗んだり、誰かから押しつけられたり……とにかく「所有者が変わる」と、そいつに呪いが移る。
この時点ではまだロックオンされただけだが、問題は次から。

2.「移行」

「ミラグロマンの紙幣」を所有している状態で、どんな方法でもとにかくお金を使おうとすると「呪い」が発動する。
そうして使おうとしたお金は上記の通り、支出を上回る入金によって無限に増え続ける。
返金ミス・慰謝料・賭けの配当、さらには機械がぶっ壊れたり捨てた以上の額の金が拾われたりと、物理法則をも無視して金が増えていく。
しかも「呪い」で得た金は一銭も使えず、絶対に減らせない。
さらに、この時受け取った金はどういうルートで受け取っても「ミラグロマン」に侵食されている。

いくら使おうとしても増えていく始末に困り、紙幣を処分しようとすると……。

3.「破壊」

少し紙幣を破いたりしただけでも「呪い」が完全に移動してしまい*1、今までと様子が一変。
破壊した紙幣から細胞が増殖するように新たな紙幣が無尽蔵に生み出されていく。
そうして爆発的に増殖した「ミラグロマン」は所有者の家*2に移動・出現し、一室全てを無数の紙幣で埋め尽くしてしまう。

こうなるともう金を使うどころではなくなり、安住の地は奪われて、外に出て何かするにも「支払い」が必要でまた金が増え……と負の入金スパイラルに陥ってしまう。
水道・光熱費や携帯代など公共料金の支払いでも金は増え、生きるために食べ物が欲しくても莫大な金が入ってくるので、食欲が減退して餓死するか、その前に精神が壊れてしまう。

「呪い」から逃れる方法は「呪い」が完全に移る前に元の持ち主に返却するか、誰かに押し付けて「破壊」させるしかない。
いっそ国外へ……と考えても、財平の話から「ミラグロマン」は円だけでなくユーロ、ドルにも適用される*3ので、どこに逃げても形を変えて必ず追ってくる。

対処法

人間社会の構造と欲望に絡みついたこの「呪い」だが、掴まされない、増やさない対処法も存在する。

「ミラグロマンの紙幣」は見た目も質感も匂いも全て変わりない、ただただ普通の紙幣だが、全てのナンバーの末尾が「13」*4になっている。
1人の客が大金で支払いを行っても、一枚違わず末尾を揃えるなんて不可能すぎるので、「上乗せ」して返却してしまおう。

万が一「呪い」の対象者になってしまった場合は、(何をするにも金がまとわりつく現代ではどうしようもなく思えるが)財平のように物を恵んでもらうことによって、「金を使わない」生活も可能になる。
しかし、バザーをやっているわけでもないのに、ただの一般人がすぐに人から何かをタダでもらえるとは考えづらく、呪いの影響下ではいずれにせよ真っ当な社会生活は困難になる。

【関係者】

作中で語られた、「呪い」の感染者順に記載する。

  • 武器商人
上記の伝承通り「名前も国も時代もわからない」どこかにいた、優秀な武器を作り大富豪となった男とその子孫。
ある時代、賠償金500億ドルの支払いを命じられたことを苦にした商人は家族もろとも自殺。遺体の側にあった1ドル紙幣*5が最初の「ミラグロマンの紙幣」になったという。
……と、人々の間には伝わっているが、単行本の解説ページには「それよりも以前から存在していたようだ」と追記されていた。もしかすると、この武器商人も……。

  • ホームレス
ドイツ・ハンブルクのライブ会場出口に佇んでいたホームレス。白い髪と髭をボーボーに伸ばし、ヨレヨレの帽子とコートを着用、傍にはお恵みを貰う用の缶を携えた、いかにもな風体の男性。
しかしこれは「ミラグロマン」を盗ませるための罠。
財平は「ホームレスのフリをして『呪い』を持っていってくれるヤツを待っていた」と推測している。

作中では財平の回想にしか登場しないが、頬が随分痩せこけており、彼もまた餓死寸前まで追い詰められていたのかもしれない。

  • 苦竹財平
「ミラグロマン」に取り憑かれていた男。スタンド使いではない。

2年前、ドイツのハンブルクへライブを観に出かけた時、出来心でホームレスから「ミラグロマンの紙幣」を盗んでしまい、取り憑かれた。
餓死寸前まで追い込まれながらも、「物を恵んでもらえば金は増えない」という対処法を見つけ出し、2年間も「呪い」に耐え続けたタフな精神の持ち主。

呪いを誰かに移すために、
  • 暗証番号を推測しやすい口座を作り(番号はアイドルの名前の語呂合わせ)、呪いで増えた金を預けておく。
  • その口座のクレジットカードが入った財布を、先述のアイドルのライブ会場のグッズ売り場にわざと置き忘れる。
  • 財布を盗んだ人間が口座から金を引き出し、どこかで破壊してもらうのを待つ。
……という罠を張り続け、一度は常秀に「呪い」を移すことに成功。
しかし、再び「呪い」を移し替えられて金に苦しめられる生活に逆戻りしてしまった。

立ち去る常秀に最後まで「金を持ってってくれ」と叫び続けており、「呪い」から解放されたと思った矢先の事なので、彼も精神が壊れてしまったのかもしれない……。

単行本の解説では、「それを良しとする人がいれば、それは良いのかもしれない」 とある。
もしかしたら、過去には「呪い」に耐えきった強者も存在したのかもしれない。

【余談】

  • 「呪い」の移行期間だったからかも知れないが、実は常秀の映画館での支払いはキチンと実行されている。
    映画館での入金は半券くじで当たったジョニー・デップのフィギュアを3万円で売ったことによるもので、「ミラグロマン」が関与しているのは恐らく半券くじのみ。
    なのでやろうと思えばそのまま持って帰ることもできたと思われる。ただその場合は「パーツ不備」や「塗装ミス」とかになってそう

  • 「ミラグロマン」の元ネタはハッキリせず、エルヴィス・コステロかオジー・オズボーンの楽曲『Miracle Man』…スペイン語表記の「ミラグロ」になったのはサンタナのアルバム『Milagro』かも?


その後

このエピソードを経て、チョッピリ成長したかに見えた常秀だったが、この次の話での行動は…

おやおやおやああっ! ケッコーあんた巨乳じゃんかよォオオーーーーッ!

おまえ本当にオレの母ちゃんなのかッ! てめー吸わしてみろよッ! 今からでもいいからそれ吸わしてみろッ!

………15年ぶりに帰ってきた実の母親に対するセクハラであった。まるで成長していない…




冥殿はすでに精神が壊れていた そしてアニヲタの集いを殺し自らのWikiに火を放って失踪した

「跡地」だけが残り… 集いのそばにあった一枚の焼けこげた項目が…

「アニヲタWiki」の最初の項目って訳さ


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最終更新:2025年03月09日 14:41

*1 この「破壊」は故意でなくとも発動する。常秀の場合は偶発的な事故だったが、「呪い」は完全に移行してしまった。

*2 常秀の場合は東方邸全域ではなく自室にだけ出現したので、所有者の主な居住空間を判別しているようだ。

*3 入国の時か両替時なのか、どのタイミングで変わるのかは不明。

*4 日本紙幣の場合は英字も固定の「13R」。また作中では貨幣も出てきたが、製造番号の代わりに「平成13年」固定になってたりはしない。

*5 作中に描かれた紙幣から、米ドルで「サンフランシスコ連邦準備銀行」から発行された紙幣とわかる。