ノット トレジャーハンター(ゲーム)

登録日:2018/05/13 Sun 21:23:07
更新日:2024/11/27 Wed 20:59:09
所要時間:約 7 分で読めます




私も仲間に入れてくださ~い!……おやぁ?




NOT TREASURE
H U N T E R





【概要】

『NOT TREASURE HUNTER(ノット トレジャーハンター)』は1996年12月20日にアクティアートが開発、発売したPS用ゲーム。
ジャンルは池田秀一3Dアクションアドベンチャーゲーム。
文法がおかしいとかツッコまれる以前にタイトルが糞ダサい。生意気にも年末商戦を狙った発売時期だったりとKOTYがあった時代ならもっと早くに伝説になっていたことだろう。

まだ初代『バイオハザード』が登場して間もない時期に発売された3Dアドベンチャーということで、当時の『ファミ通』にも見開き広告が何度か載っていたのを見たという声や、何かの雑誌(専門誌?)にインタビューが載っていたという声も聞かれる。
パッケージの裏面にも堂々と“フルポリゴンで描かれた世界”と謳われており、ボイス使用&ポリゴンだけで大作扱いされていた当時が偲ばれる。

以前は、とてつもないクソゲーとして一部のマニアにのみ知られるゲームであり、全く売れていないにもかかわらず、長らく値崩れを起こしてゴミの様な値段がついていた。
……が、値段については10年程前に某動画にて某実況者が上げた動画が話題となってしまい、本作の余りにもカオスなネタ性がネット民に知れ渡り、怖いもの見たさで本作を求める人間が続出。
……以降は、最低でも3000円台と、初代PSの中古市場としては高値と言えるゲーム内容からすると分不相応な値段が付いてしまっている。
ちなみに後に似たような経緯で超高騰したゲームが出てしまった。

その内容が知れ渡って以降は愛すべきクソゲーとして知られており、パッケージイラストにファンタジーイラストの大家である末弥純を起用していたりといった事実を含めてTVゲームが最先端の娯楽であった時代の、専門外の分野からも多数のクリエイターが参加してゲーム作りに挑戦していたゲーム開拓時代、ゲームバブルとも呼ぶべき時代を想像させるノスタルジックな感傷を受けないでもないかもしれない。

【物語】

私の名はジェームズ・アークライト。
イギリス人だ。
学生時代にマヤ、インカなどのいわゆる「古代文明」の魅力に取り付かれた私は、29歳になった今でも、その謎を解き明かすために様々な遺跡を探索している。
ただ、世の中にはそんな魅力あふれる遺跡を金儲けの道具としてしか見ていない輩がいる。
一般的に「トレジャーハンター」と呼ばれる連中だ。
奴らは遺跡に眠る財宝を持ち出しては金に換えているのだ…。
おっと、私をそんなトレジャーハンターと一緒にしないでほしい。
私の目的は純粋に古代神秘の追求にあるのだから。

……ということを建前にしている英国紳士が自分の家に間違えて送られてきた手紙を勝手に解読して未知の財宝の眠る洞窟に着の身着のままで突入する面白アドベンチャーです。


【登場人物】

■ジェームズ・アークライト

どう見てもネオジオン総帥なシブメンの英国紳士。
タイトルは上記の通り、彼が「自分はトレジャーハンターでは無い」という信条を掲げたものとなっている。
自分の所に間違えて届けられた手紙を元に紳士の証したるスーツ一丁で大した装備も無しに突入する豪傑。
設定の元ネタと思われる某教授でも流石に探検時にはそれなりの装備をしていくのとはエラい違いである。
……尤も、ゲームを開始してわかるフィジカルの異常な強さから、スーツ一丁で未知の洞窟に挑むのも自信の現れなのだろう。
同時代の英国紳士とは文武に優れているものなので、当然と言えば当然と言える。
必殺技はスピードが無いように見えて、見極めが困難なタイミングで放たれる英国紳士パンチ&英国紳士キックで、特にキックは異常な長リーチと破壊力を誇り、この世の外の法則で生きてそうな人外の存在をも数発で屠れる。
この、素手による攻撃が強すぎてゲーム中ではナイフや拳銃を使う意味が無いほどである。
……英国紳士と言えば拳闘が嗜みとして知られるが、キックが得意なあたりバリツにでも通じてるのかもしれない。
中の人の関係からシャアキックとも。

しかし冒険家のくせに物凄いカナヅチという弱点を持っており、水の中に入ると浮力をガン無視するかの如く超スピードで沈む。なのに川に飛び込まないと生存できない選択肢がある。

どう見てもシャアな渋い見た目と渋い声の紳士が、「で、でたー!」「私も仲間に入れてくださーい!」など主にCの選択肢で間抜けな台詞を言ったり、うすた漫画の如くダバダバ走る姿は必見である。

マルチエンディング方式で大まかなシナリオが3つしかないにもかかわらず、57ものエンディングがあるが、基本的にはジェームズの選択肢や細かな行動の違いによる水増しである。
尚、最速のエンディングは洞窟から直ぐに出ること

また、ゲーム内で紳士らしくない行動や選択肢をとるとバッドエンドを迎える傾向が高く、この(紳士らしくない)行為をジェントルポイントが足りないとかノットジェントルとか呼び現されている。


■カルミス・ウィッシュバーン

どう考えても池田秀一なんかキャスティングできちゃったのに合わせて呼ばれたとしか思えない大御所演じるライバルキャラクター。サンジじゃないよ。
自他共に認めるジェームズのライバルであり、ジェームズに獲得させたお宝を奪うというテンプレ的な悪党であるらしい。
もしかすると、ジェームズの所に間違えて送られてきた手紙は彼の仕業であったのかもしれない。

しかし、選択肢によっては紳士らしくない行動をとったジェームズに失望して射殺したり、ジェームズに諭されただけでアマゾネスの村の宝を諦めたり、目的を果たした後は口封じもせずにジェームズやリサを解放する等、甘い所もある。

『マヤの財宝』編ではどう見てもジョジョなアイテムジョジョな展開が本編に起用されてもおかしくない大御所二人により演じられるのを見ることが出来る……グラはお察しだが。


■キャプテン・ゴールド

  • 声:倉森慶二
多分伝説の海賊。
かつて、自らと部下達の命を奪った秘宝『エレノア』の番人。


■リサ

  • 声:藤井めぐみ
『キャプテン・ゴールド』編のヒロイン。
パッケージに描かれているのは彼女。
洞窟の中に薬草狩りに来たが道を踏み外し鬱トカゲに襲われる等、散々な目に遭っている。
項目冒頭の台詞と共にジェームズに蹴り殺されるのも彼女。
バッドエンドに繋がる選択肢の多さから最終的にはカルミスの手下としての正体を現すパターンが多く、ジェームズを騙したり脅す場面では彼女の色々な顔が見られる。
ジェームズを脅す為にカルミスの部下に胸元をギリギリまではだけられてしまうという演出があるが、ローポリなのでそこまで喜べない。
悪人パターンの場合は胸元をはだけたままでジェームズに銃を突きつけてくるビッチぶりである。


■ジェミー

  • 声:友江磨未子
女トレジャーハンター。
『マヤの財宝』編のヒロイン。
某『Virtua Fighter』のサラ(当時)の様な見た目をしている。
声が野太く、大御所二人以外は素人と思われる人物を揃えている中でも、演技が特にヒドイ。
極めて適当な情報を教えてきたり(従った場合はジェームズは死亡する)、ジェームズが入手した財宝を騙し討ちで奪おうとする等、誉められた行動が無い。
特にヒドイのがジェームズが手に入れてきた財宝を渡すと言っているにもかかわらず後ろから刺すという行動で、最早サイコパスである。
ヒロイン枠の中で唯一ジェームズと結ばれる展開が無いのがせめてもの救いか。
同情出来るのは格ゲーキャラみたいな格好が格好だからか、自分と同様に鬱トカゲを素手で倒しているのを見て戦闘意欲を掻き立てられたジェームズに襲いかかられる所ぐらいである。*1


■べネット

  • 声:藤本はるか
『アマゾネスの村』編のヒロインで、村に住む女の子。
野郎ぶっ殺してやるるぁあああああ!!!!では勿論ない。
格好がセクシー!エロい!……が、ローポリなので解像度は脳内で上げよう。
洞窟の奥地に入り込んで捕らえられたジェームズの見張り役に付いていたが、初めて見る殿方に興味津々イケボで口説かれてメロメロになって鍵を開けてしまう。
その後は、ベッドでジェームズの横にチョコンと座ってお話を楽しんでいた…カワイイ。*2
……その後は、カルミス達とのやり取りを経て、唐突に生け贄にされそうになったのをジェームズに助けられる。
リサやジェミーとは違い、ジェームズと敵対する展開が無いヒロインの中のヒロインである(声もかわいい)。
ただ、別れの際にキザな台詞を選択すると引き気味の返事を返されるので注意。*3


■アマゾネスの長老

  • 声:清良砂霧
どう見ても人間止めてるアマゾネスの村の長。
肌の色が異様で腕も長い
建前上は『噂』として流している不老不死の力を一人だけで独占しているらしい。
その鍵はアリハルケンなる彼女達にとっては神とも呼べる物質が握っているらしいが……?
真面目な話に見えて、実際にプレイしたり動画を見たら総ツッコミしたくなるだろう。


■無限地獄の番人

  • 声:薗田唯文
洞窟の中に張り巡らされた呪いの主。
割とあっさりと滅ぼされる。


■リザードマン

通称:鬱トカゲ
ある意味で、このゲームを有名にした人気キャラクター。
洞窟内でジェームズに襲いかかってくる怪物なのだが、対して強くない上に、戦わずにスルーすると投身自殺を図る謎の仕様。
他、リサを襲っている場面でも一発蹴られただけでスゴスゴと逃げ帰ったり、妙に明るい声で乱入してきたジェームズに襲おうとしていた獲物(リサ)を蹴り殺されたりと、哀愁漂う場面が多い。


■大蜘蛛

鬱トカゲと同じく、洞窟内でジェームズに襲いかかってくる。
キックに弱いのも同じで、矢張りスルー可能だが自殺した様子はない。


【余談】


●開発、販売したメーカーであるアクティアートはその後の情報、消息は不明である。
噂によれば次の企画もあったらしいのだが……お察しください

●今作に存在するマルチエンディングを全て網羅すると、スタッフが恥ずかしげもなく顔出ししている開発風景がスタッフロールとして流れる。誰得だよ *4
さらに発売当時、そのエンディングの最後に表示される『OTTO SOREJYA ANTA( おっと それじゃ あんた )』という親父ギャグ全開のキーワードを開発に送ると特製レリーフが貰えたらしい。だから誰得だよ

●PS2だと動作不良を、PS3だと動作遅延を起こしてまともに遊べないので注意。
ゲーム自体のロード時間も長めである。
初代PSでも比較的に初期のゲームだし仕方ないとも思うが。

●「仕事えらべw」と言われる、池田氏の起用だが、このゲームの開発者と懇意だったのが出演のきっかけとなったらしいとの話もある。
……一方、池田氏はファンの抱いているイメージとは違い、意外に仕事を選り好みしない人らしいので、依頼さえすれば出演してくれた可能性もある。
事務所かマネージャーが止めろ。

●上記の情報が信憑性を高めているが、ジェームズの見た目といい池田氏の起用があったからこそデザインが決められた、と思われる部分が少なからず見受けられるとの意見が有力視されている。
そして、初代PSには本作と非常に似たような経緯を経て開発されたと思われる、同じような見所しかないゲームが存在する……SIMPLE1500シリーズ『THE スナイパーである。*5

●関連は明言されていないが1990年のOVA『機動戦士SDガンダム MARK-III』収録の『宇宙の神秘・大作戦』では、
泥棒と言われると「私は宇宙の神秘を探求してやまないコレクター」だと訂正するシャアが見られる。



おっと、私を追記修正せずに閲覧するだけの連中とは一緒にしないでほしい。

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最終更新:2024年11月27日 20:59

*1 ちなみに、この選択肢をすると余りにもジェントルに欠けた行為からかジェームズは偶然にも返り討ちに遭って死亡する。

*2 尚、捕まったジェームズはアマゾネス達の種馬になることを告げられる……ハーレムじゃねーか!

*3 単に演技力の問題だろうけども。

*4 洋ゲーのエンドロールでスタッフが顔出しするようなケースは意外と多かったりするが、日本の作品では珍しい。

*5 本作とこのゲームには“どうしようもないクソゲーなのに池田秀一の声だけで名作と思えてしまう”共通点があるため、通称:池田ゲーとも呼ばれている。