THREADS(TV映画)

登録日:2018/05/25 (金) 19:26:09
更新日:2024/02/14 Wed 23:10:33
所要時間:約 4 分で読めます





THREADSとはイギリス国営放送(BBC)が1984年に制作したテレビ映画。
ジャンルはシミュレーション映画。もし英国戦争に巻き込まれた場合にどのような被害が起きるかなどを徹底的にシミュレートした作品で、予算の少ないテレビ映画故派手な映像などはないものの、ひたすら重苦しい展開が続く。
製作にあたり、軍事専門家やアナリストの助言を受けており、リアリティのある描写が余計に悲壮感を漂わせる。
監督はミック・ジャクソン。
日本でもテレビ放送されたことがあり、VHSでビデオソフトもリリースされた。邦題はSF核戦争後の未来・スレッズ
DVDは日本未発売のため、イギリスから個人で輸入するしかない。*1

主な舞台はイングランド中部の工業都市シェフィールド。核戦争の悲惨さより、生き延びた人々を襲う地獄のような生活の描写に重点が置かれている。その点では風が吹くときと共通するものがある。


【ストーリー】
イングランド中部の工業都市シェフィールド。
この町の郊外に住む主人公のルースはこの身に新たな生命を宿らせており、婚約者のジミーと共に結婚した後の新居を探していた。

シェフィールドにはNATO軍の空軍基地があり、NATOと敵対する東側の大国ソ連のミサイルはこの街に狙いを定めていた。
そんな中、アメリカとイランの関係が悪化し、アメリカの動きを牽制するためにソ連が不穏な軍事行動を展開し始めた。その第一歩としてソ連はイランに自国の兵を送り、イランをソ連の衛星国にしてしまおうと企む。
これに国連加盟の西側諸国は非難の声明を出すも、事態の好転にはつながらなかった。

日に日に悪化する東西の関係。シェフィールドにはNATO軍の基地があり、東西関係の悪化と連動して街の上空をせわしなく戦闘機が飛び回るようになる。

海上ではソ連船籍の船舶とアメリカの駆逐艦が接触する事故が発生。この事故を受けてアメリカ政府はソ連にイランからの撤退を求めるもソ連はこれを無視。アメリカはモサドのソ連軍の基地を空爆し、ソ連は報復として核ミサイルをアメリカ空軍基地へ撃ち込む。アメリカもソ連に報復する。
イギリス政府は東西が開戦し、中央政府が機能不全となった場合に備えて地方へ独自に動けるようマニュアルを配布した。このマニュアルには主要な道路は政府機関の車両以外通行禁止、一般車へのガソリンの供給制限などが盛り込まれている。

5月26日午前8時。ソ連はアメリカ国防総省ペンタゴン、ハワイのパールハーバー、バージニア州のアメリカ軍基地などをターゲットに核兵器を使用した先制攻撃を開始。NATOを構成するイギリスも攻撃対象に含まれており、国内のNATO関係の基地、司令部、通信施設も攻撃される。勿論シェフィールドも対象だ。
NASAがソ連軍のミサイル発射を探知し、各国へ通達するも迎撃は間に合わず、シェフィールドの街は核の炎に蹂躙された。

通勤途中のジミーや彼の兄弟は核攻撃により死亡。ルースと彼女の家族は地下室に避難して無事だったが、平和な工業都市だったシェフィールドの街の様相は一転。世紀末のような荒れ果てた世界に成り果てていた。
地下室から外に出たルースの母は火事場泥棒に殴り殺され、父親は飢えと放射能汚染により絶命してしまう。1人生き残ったルースは女の子を出産した。
地方政府の首脳陣は地下に避難して無事であり、食料も地下に保管していた。しかし保管量が十分と言えず、成人男性の摂取カロリーを大幅に制限せざるを得なくなっていた。

ルースの娘は政治機能が崩壊した中、情緒不安定・不完全な精神発達を伴って成長していく。政治機能が崩壊してしまっているため、子供たちは十分な教育を受ける機会を失っていた。
そしてルースは娘を出産して13年後にガンでこの世を去ってしまう。

それでも強く生き抜いたルースの娘ジェーンはある時強姦されてしまう。しかし十分な教育を受けずに育ったため、彼女は自身が人間としての尊厳を踏みにじる強姦の被害に遭っているとはにも思わない。やがて新たな生命をその身に宿す。
戦後からかなりの時間が経ち、ある程度復旧も進んだ中で彼女は出産する。苦しみに耐え、出産した彼女の子供は産声を上げずにそのままこの世を去る。死産であった。


【主な登場人物】
  • ルース・ベケット
演:カレン・ミーガー
この物語の主人公。ジミーという名前の婚約者がおり、子供を身ごもっている。両親と共に生活している。
  • ジミー・ケンプ
演:リース・ディンズデール
ルースの婚約者。ルースとの結婚はほぼ確実で、結婚後の新居を共に探していた。職場へ向かう途中に核攻撃の直撃を受け、兄弟ともども絶命する。


【その他の情報】
  • 当時のシミュレーションによるとイギリス国内だけで2900万人の死者が発生し、攻撃から数ヶ月で死者の数は更に700万人増加するとされた。
  • 映画内では核攻撃の危機が迫っている事を示すため、テレビで「Protect and Survive」が放映されている様子が描かれている。このProtect and Surviveとは東西冷戦の最中、実際にイギリス政府が用意していたパンフレット・コマーシャル映像のことで、核戦争が発生すると判断された場合にはCMをテレビで放送したり、パンフレットを全国民へ配布したりする計画だった。
    当時を知るイギリス国民曰く「最後に映るロゴとジングルが非常に怖かった」とのこと。
+ Protect and Surviveの内容
  • 核攻撃を受けた時に起きる被害
  • 避難場所の選び方
  • 避難に際して必要なもの
  • トイレの準備
  • 警報音の種類。警報音を聞いた時にすること

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最終更新:2024年02月14日 23:10

*1 ただしイギリスと日本のDVDのリージョンコードは同じなため、日本仕様のDVDプレイヤーでそのまま再生できる。