スコリッピ(ジョジョの奇妙な冒険)

登録日:2018/09/08 (土) 10:30:21
更新日:2024/01/20 Sat 16:02:23
所要時間:約 5 分で読めます





われわれはみんな「運命の奴隷」なんだよ


ジョジョの奇妙な冒険 Part5 黄金の風』の登場人物。
CV:木内秀信(ゲーム版)/野島健児(アニメ版)

第5部の「エピローグ」であり、「前日譚」である『眠れる奴隷』に登場する。

名前の由来はイタリア語で「彫刻する」「刻む」という意味の「scolpire(スコリッピ)」。
間違われやすいが、「サソリ」ではない。(あちらはイタリア語で「Scorpione(スオルピオーネ)」。)

だが、ブチャラティという「勇者(オリオン)」に『死』の運命を提示したと考えると、さそりに似た名前に意味があるようにも思える*1


【人物】

駆け出しの彫刻家の青年。
茨の冠のようなティアラを身に付けており、その風貌はどこかイエス・キリストを彷彿とさせる。
彫刻家として有名ではないが生活は出来ていると話しており、彫刻の腕は優れている様子。

後述するスタンドの影響か、若い割に達観したような言動が見られ、妙に落ち着いている。
突然銃撃してきた男(ミスタ)と密室(エレベーターの個室内)に閉じ込められた上、
どう見ても友好的ではないソイツに銃口を向けられているのに、いきなり「ミケランジェロ」の話を始めるなど、難しい感性の持ち主。

モンテサント広場の「足の悪い花屋の娘のボーイフレンドだったが、その娘が突然スコリッピの彫刻を抱きかかえての飛び降り自殺を図った上、
その動機が親である花屋にも見当が付かなかったため、現場状況を見た警察は早々に自殺(=事件性なし)と結論付けたものの、
納得がいかない花屋からは、生前親しかったことと彫刻の件から、娘を自殺に見せかけて殺した犯人だと思い込まれている。

スタンド使いであるが、第5部では珍しい、「矢」によって後天的に身に付けたのではなく生まれつきのスタンド使いであり、
物心がついてからいつの間にか身に付いた「不思議な能力」であること、彼自身のスタンドの能力や性質については理解しているものの、
似たような能力を持つ人物やそれが引き起こす現象を見たことはなかったらしく、ミスタと出会うまで「スタンド」という名称自体知らなかったという。


【活躍】

前述の花屋の娘の自殺について調査に向かったミスタの前に、スタンド『ローリング・ストーンズ』と共に登場。

スコリッピ本人と会う前から、変化する前の『ローリング・ストーンズ』の『石』が度々移動中のミスタの視界に入って気味悪がられていたこと、
ミスタが破壊した『石』がブチャラティそっくりの形に変化したことから、
即座にスコリッピがスタンド使いだと判断したミスタから出会い頭に銃撃され、暴行を受けた上で銃口を突きつける彼から拷問紛いの尋問を受ける。

しかしスコリッピは(痛みに呻いたりはしつつも)向けられた銃口に動じる様子はなく、
ミスタの言う『石』こと『ローリング・ストーンズ』はミスタではなくブチャラティを尾けて来たことと、
ブチャラティの形に変化したことへの解答として、著名な彫刻家「ミケランジェロ」のエピソードを話す。

かのミケランジェロは自分の着想に従って大理石を切り出して彫刻を作るのではなく、それぞれの大理石が持っている『形』を見出し、切り出しているだけだと語った。
彼が作り出した傑作群…『究極の形』は、彼が考えて彫ったのではなく、切り出す前から大理石に『運命』として内在されていた形であり、
スコリッピはミケランジェロを、大理石を掘り進めながらその『運命』を見ることができた芸術家であると語った。

『ローリング・ストーンズ』の『石』が変化する『形』も同様で、ミスタの目の前で『ブチャラティの形』に変化したのはスコリッピが意図したものではなく、
ブチャラティの『運命の形』を『石』が現しているものであり、近いうちにブチャラティはその『形』の通りに死亡する

像は胸に穴をあけられ血を流していましたね?

数日後か…あるいは数ヶ月後か分からないが ブチャラティは近いうちそうやって死ぬ…


ミケランジェロが大理石の中に見出した『運命』のように、我々人間も生まれた時からその死…『運命』を内包しており、どう生きようと決められた『運命』に従って死ぬ。
『ローリング・ストーンズ』の存在は、人間が『運命の奴隷』であることを意味しているのだ…と、スコリッピは語った。

「花屋の娘の事件」の真相は、花屋はまだ自覚していないが、彼は重い内臓の病気に侵されており、
自分も数か月後に同じ病気となって死亡することを『石』に現れた自分の『形』を通じて知った花屋の娘が、
まだ健康なうちに死亡することで自分の臓器を父親の治療に役立ててもらうべく、『石』を受け入れて自殺した…というもので、
『石』はその娘の遺志を尊重し、臓器の細胞が壊れないように彼女を死に至らしめたという。

しかし、『ローリング・ストーンズ』の実態を知らない上、「花屋の娘に自殺を唆した」のは事実であったことから、ミスタは話を信じられず、
敢えて自身のリボルバーの弾倉から銃弾を三発抜き取り、高速で回してもう一度セットして所謂『ロシアンルーレット』の形にしてスコリッピに見せつけ、
引き金を三回引く(=弾が発射されない可能性がある)までにブチャラティの『形』を変更するよう要求してから、彼の口内に突き入れたリボルバーの引き金を引いていく。
が、三回引いたその全てが空弾倉であった上に、まったく動じないスコリッピに苛立ったミスタは四回目の引き金を引き、彼を銃殺しようとするが、まさかの不発。
スコリッピは動揺するミスタに対し、『石』が自分の『形』を彫っていない以上、自分はここでは死なないと静かに告げるのであった。

ミスタはスコリッピを殴り倒してからフーゴに電話をかけ、スコリッピがスタンド使いであることと、
彼から聞き出した事件の真相については自分の理解が及ばないため、ブチャラティの指示を仰ぎたいことを伝えるが、
フーゴは別行動のはずのブチャラティがこちらに向かっていることを告げられ、さらに彼への連絡手段が現状ない*2ことを知る。

ここに至って『ローリング・ストーンズ』の意味を少し理解したミスタから「どうすれば『ローリング・ストーンズ』を止められるのか」と聞かれたスコリッピは、
「逆らわずに受け入れた方が楽に死ねる」と言いつつ、『石』を破壊するか、その『形』を変えられれば止められるかもしれないと答える。
そして、ミスタはブチャラティを追う『石』を抱きかかえ、「自分の『形』が彫られていなければ死なない」という言葉に従ってマンションの7Fから飛び降り、
彼ごと下の道路に叩きつけられた『石』は粉々に破壊された上、ミスタはフーゴが乗ってきた車の上に落ちた*3ことで生還。

『ローリング・ストーンズ』と、その『石』に関わる一連の騒動は、ここに決着を見た…


かに思えたが……


【スタンド】


スタンド名:『ローリング・ストーンズ』
破壊力 - なし
スピード - B
射程距離 - A
持続力 - A
精密動作性 - E
成長性 - なし

名前は『ローリングストーン(ズ)』とも。
丸く、表面に「凶」の文字が彫られた形のスタンド。*4
本物の「石」と一体化しているようで、スタンド使いではない一般人でも見たり触ったりできる。

◆能力

近いうちに「死ぬ運命」にある者が近づくと発動し、その者の「死んだ時の姿」を彫刻として表し、追跡して接触することで「安楽死」させる。
ここで言う安楽死とは、苦しまずに死ぬという意味合いよりも「当人が最も望む結果で命を落とす」という意味合いが強い。

一見すると『ローリング・ストーンズ』は勝手に動き回って人間を殺すスタンドのように見えるがそうではなく、人の死限定で未来予知をする(+幸せな死を提供してくれるサービス付き)スタンドである。

外部からの攻撃で追跡を止めさせることはできるが、それはとりあえずの「安楽死」から逃れただけで、場合によっては「運命」がより苦しい「苦難の道」へつながることもある、つまり、『形』が浮かび上がったが最後どうあっても近い死から逃れる事はできない。
実際、ブチャラティが辿った末路はご存じの通りである。

逆に、石に近付いても『形』が浮かび上がらない、つまり近く死ぬ運命にない者が触れても何の効力もない模様。
本編の描写から推測するに、『形』が浮かび上がっていない者は何をしようが『ローリング・ストーンズ』が関わる形で死ぬことは絶対にない*5と思われる。

分類としては遠隔自動操縦タイプで、「運命」の力をエネルギーにして発動する。
本体スコリッピの意志とは全く無関係であり、出現さえも自由にできず、ほぼ「ひとり歩き」しているスタンドである。




名前の由来はイギリスのロックバンド「The Rolling Stones」。
洋楽ファンによるとバンド名の由来になったアメリカのミュージシャンMuddy Watersの楽曲「Rollin' Stone」もらしい。

















「終わり」……?

全ては「終わり」だって?

逆らわずに……
『石』を受けいれれば「安楽」に終われたのに…

ミスタによって粉々に破壊された『ローリング・ストーンズ』の粒子は、新たな「ブチャラティ」の『形』のみならず、「アバッキオ」と「ナランチャ」の『形』に変化していた。


彼らはこれで『苦難への道』を歩み そこで何人かは命を落とすことになる!


「形」として現れた「運命」は変えることができず、ブチャラティの死がほんの少し先延ばしにされた事で二人も死んでしまう運命が現れてしまった…

しかし、ミスタの自らの身を投げ合ってでも運命を切り開こうとする姿を目の当たりにしたスコリッピは、
「彼らは全員こー(いう風に仲間のために命を擲つのが普通)なのか?」と驚きつつ、

彼らがこれから歩む『苦難の道』には何か意味があるのかもしれない………

彼らの苦難が………
どこかの誰かに希望として伝わって行くような
何か大いなる意味となる始まりなのかもしれない…

無事を祈ってはやれないが
彼らが『眠れる奴隷』であることを祈ろう……

目覚めることで…
何か意味のあることを切り開いて行く『眠れる奴隷』であることを……


彼らが運命に抗い、立ち向かうことで「向かうべき正しい道」を切り開く「眠れる奴隷」であることを祈り、その姿を見送った。

彼らの「苦難」の、しかし、「正しい道」に続く戦いが始まろうとしている……



追記・修正は「運命」を受け入れつつ、立ち向かう勇気を持ってお願いします。

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最終更新:2024年01月20日 16:02

*1 ギリシャ神話に登場する英雄のオリオンは、さそりに刺されて死んだとする伝承がある。

*2 ブチャラティの携帯電話をミスタが借りてきていた

*3 『石』がブチャラティに近付こうとマンションの外壁に接触し続けたことで、その摩擦で落下の速度が遅くなったのも要因と思われる。

*4 アニメスタッフが荒木先生に確認をしたところ、「箱の中にバツが入っている」という回答だったらしい

*5 『ローリング・ストーンズ』を受け入れた花屋の娘の自殺が原因でミスタに襲撃されたスコリッピは彼の銃撃や暴行で死ぬことはなかったし、『ローリング・ストーンズ』を止めるために高所から飛び降りたミスタも「たまたま」フーゴが落下地点に車で現れたことで助かっている。