登録日:2019/4/7 Sun 18:01:30
更新日:2024/06/16 Sun 10:58:09
所要時間:約 4分で読めます
三陸鉄道リアス線とは、
岩手県大船渡市・盛駅から久慈市・久慈駅までの163kmを縦断する、三陸鉄道の鉄道路線である。
国鉄再建法により特定地方交通線を転換した、日本初の第三セクター方式の鉄道である。
かつては、宮古~久慈間の北リアス線と盛~釜石間の南リアス線の2路線で運行されていた。
しかし、宮古~釜石間の
JR山田線区間が2011年の東日本大震災で被災、大きな被害を受け長期運休を余儀なくされ、また経営状況とリアス線の統合を望んでいたJR東日本や岩手県などとの思惑も一致した結果、2019年の山田線区間の復旧と同時に同区間をJRから三陸鉄道に移管することとなり、実に三陸鉄道開業から35年を経てようやく南北路線貫通となった。
歴史
1984年、国鉄再建法の元で特定地方交通線(=不採算による廃止路線)にリストアップされた国鉄久慈線(久慈~普代間)、盛線(盛~吉浜間)、宮古線(宮古~田老間)を経営移管、また、未完成であった吉浜~釜石間、田老~普代間の工事を完了させ、北リアス線(宮古~久慈間)と南リアス線(盛~釜石間)として開業。
国内初の第三セクター方式鉄道となる。
開業から10年間は地域の通勤通学や買い物などの足として完全黒字という健全経営を成し遂げるも、1992年ころより経営に陰りが見え始め、1994年には、南リアス線での強風による転覆事故が発生。ついでに経営も赤字に転落してしまう。
その後も経営改善策、資金の投入、観光客誘致など路線継続に向けた努力を続けた。
ところが…
2011年3月11日 14時46分 東日本大震災発生。
全線不通となり、島越駅は駅舎が流失。線路も大部分で流失や土台の破損などの致命的なダメージを受ける。
しかしながら、北リアス線は地震発生よりわずか5日後の3月16日には、被害が極めて軽微であった陸中野田駅~久慈駅間で運転を再開。
その後も次々と復旧し3月のうちに小本~陸中野田間を除く部分で定期運航を可能なまでに復旧。その後、2014年に全線復旧となる。
一方、南リアス線は北リアス線よりダメージが大きく、盛~吉浜間の部分復旧は2013年まで、完全復旧まではさらに翌2014年まで待たされることとなる。
なお、旧山田線区間については
JR東日本がBRT化を地元自治体と協議を行っていた。
しかし、地元自治体が鉄道以外の復旧を断固として拒否し続けたため、被災した他路線と比べて復旧が全く進まなかった。
最終的には2014年に三陸鉄道への移管という条件で、同区間を鉄道として復旧させることを決定した。
そして2019年3月23日、山田線の宮古~釜石間の路線が復旧。同時に同区間を三陸鉄道に移管し、盛から久慈までの全線が開通。さらに名称も「三陸鉄道リアス線」に改称されることになる。
しかし、同年10月台風19号が日本列島を蹂躙。三陸鉄道も大ダメージを受けてしまう。
全線復旧からわずか半年程度でまたしても全線不通の苦難が襲い掛かった。
その後は、被害の無かった・軽微だったところから順次復旧を行い、2020年3月20に全線復旧になった。
が、試練の神はまだまだ三鉄から離れるつもりはなかった。
新型コロナウイルスの流行である。
三鉄の主要な利用客は「通学・通院・観光」の三本柱、当地にて
自動車を持たない人々の足といっても過言ではないのだが…。
このうち、通学客は2月末からの一斉休校により皆無、観光客も当然ながら自粛ムードで皆無と、利用客の激減が発生している。
駅
三陸鉄道の各駅には愛称が付けられている。ここでは各駅の乗り換え先と、愛称、特記事項を紹介したい。
駅名 |
愛称 |
乗換駅・備考 |
自治体 |
盛 |
椿の里 |
JR大船渡線(BRT)乗り換え |
大船渡市 |
陸前赤崎 |
貝塚めぐり |
|
綾里 |
織姫の里 |
|
恋し浜 |
愛の磯部 |
旧駅名:小石浜 |
甫嶺 |
金のしずく |
|
三陸 |
科学の光 |
|
吉浜 |
キッピンあわびの海 |
|
唐丹 |
鮭のふるさと |
|
釜石市 |
平田 |
漁火大観音 |
|
釜石 |
鉄と魚の町 |
JR釜石線乗り換え |
両石 |
恋の峠 愛の浜 |
|
鵜住居 |
トライステーション |
|
大槌 |
鮭とひょうたん島の町 |
|
上閉伊郡大槌町 |
吉里吉里 |
鳴き砂の町 |
|
浪板海岸 |
片寄波のサーフサイド |
|
岩手船越 |
本州最東端の駅 |
文字通り本州最東端に位置する駅 |
下閉伊郡山田町 |
織笠 |
鮭まつる川 |
|
陸中山田 |
海のオランダ島 |
|
豊間根 |
まつたけの里 |
|
払川 |
新たな希望 |
JR山田線が三陸鉄道移管時に新設された駅 |
宮古市 |
津軽石 |
鮭の町 |
|
八木沢・宮古短大 |
八木沢川のせせらぎ |
JR山田線が三陸鉄道移管時に新設された駅 |
磯鶏 |
松原の思い出 |
|
宮古 |
リアスの港 |
JR山田線乗り換え |
山口団地 |
黒森の鼓動 |
|
一の渡 |
うぐいすの小径 |
牛山氏の全国秘境駅ランキング64位 |
佐羽根 |
神楽の里 |
牛山氏の全国秘境駅ランキング126位 |
田老 |
銀色のしぶき |
|
新田老 |
真崎の紺青 |
2020年5月開業 |
摂待 |
旅の八郎 |
|
岩泉小本 |
泉湧く岩 |
旧駅名:小本 JR岩泉線廃止により岩泉町より依頼され改称 |
下閉伊郡岩泉町 |
島越 |
カルボナード |
|
下閉伊郡田野畑村 |
田野畑 |
カンパネルラ |
NHK朝ドラ「あまちゃん」で「畑野駅」として撮影された駅 |
普代 |
はまゆり咲く |
|
下閉伊郡普代村 |
白井海岸 |
ウニの香り |
牛山氏の全国秘境駅ランキング9位 |
堀内 |
義経の祈り |
NHK朝ドラ「あまちゃん」で「袖ヶ浜駅」として撮影された駅 |
野田玉川 |
西行の庵 |
|
九戸郡野田村 |
十府ヶ浦海岸 |
はまなす香る砂浜 |
かつてはこの位置に夏季限定営業の臨時駅:十府ヶ浦駅があった |
陸中野田 |
ソルトロード |
非常に珍しい、道の駅が併設された鉄道駅 |
陸中宇部 |
縄文の花 |
|
久慈市 |
久慈 |
琥珀いろ |
JR八戸線乗り換え NHK朝ドラ「あまちゃん」で「北三陸駅」として撮影された駅 |
リアス・シーライナー
かつては仙台~八戸間を
という総延長距離401kmのルートを、所要時間約10時間かけて走る夏季限定の列車「リアス・シーライナー」が運転されていた。
なお、このリアス・シーライナーの競合相手は
東北新幹線と
東北本線であり、当初から苦戦を強いられてきた。また、仙台近郊のダイヤ調整も難しい為、あくまで期間限定の臨時列車でしかなかった。
しかし、沿線観光に寄与する割合も大きく、赤字続きでも第三セクター方式の強みとして他の部門から資金を充てられる部分があったため、存続を強く望まれていた。
しかし、新幹線の八戸延伸と東日本大震災での大部分の路線の不通化、さらには一部区間のBRT化による鉄道事業の(名実とも)
廃止という悪条件が重なり、今後の運行は完全に不可能となってしまった…。
※ちなみに、現在仙台~八戸間を新幹線で移動した場合、総延長距離280.1km、所要時間は約75分。また、東北本線及び旧東北本線区間を利用した場合でも、総延長距離291.4km、所要時間は6時間弱である。
追記・修正は1時間くらいの待ち時間の間にお願いします。
- タグで気になって画像検索したら確かにガンダムカラーとRGとかのシールに良くあるデザインとよく似てた -- 名無しさん (2019-04-08 10:32:34)
- BRTで分断されてしまった現状を鑑みると、気仙沼線~大船渡線も併せた「大リアス線」というやり方を取るのもありなのかなという気がする。仙台~気仙沼の需要をバスに取られちゃってるわけだし。ついでに仙石東北ラインからの直通ルートになるよう線路を組み直すとか。 -- 名無しさん (2019-04-08 19:10:54)
最終更新:2024年06月16日 10:58