登録日:2015/12/28 (月) 16:30:00
更新日:2024/07/07 Sun 00:12:46
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釜石線(かまいしせん)は、花巻駅と釜石駅を結ぶ
JR東日本の鉄道路線である。
「銀河ドリームライン釜石線」という愛称が付いている。
路線図
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概要
愛称の銀河ドリームラインは、かの宮沢賢治が名作「
銀河鉄道の夜」で、当時のこの路線をモデルにした事から付けられた。
そして彼が作品中にやたらエスペラント語を多用していた影響で、全駅にエスペラントによる
厨二病じみた愛称が付けられている。
また、他の東北の路線のご多分に漏れず東日本大震災の被害を被ったが
- 他の路線と異なり、沿岸に近い駅が終点の釜石駅のみだった事
- その釜石駅も駅の前を流れる甲士川を境に高低差があり、津波から駅舎は倒壊や流失を免れた
という事もあってか、震災の半月後には内陸部の花巻~遠野間が復旧し、翌月上旬には全線が復旧している。
震災で被害を受けたJR線はその大半が路線の内陸部移設や運営事業者の移管など大規模な変更が実施されており、全線が震災前と何ら変わらない状態で復旧した路線は釜石線と
八戸線のみである。
○歴史
元々は難所として知られていた仙人峠(現在の上有住駅の近く)を境に、路線が東と西で別々に開業した。
だが、西側の岩手軽便鉄道は仙人峠の鉄道建設費の負担に耐えられず、仕方なくロープウェイを作った。
しかもロープウェイはあくまで「貨物・郵便」に限定され、
旅客は5.5kmの山道を徒歩で歩く羽目になった…。
そして国鉄に買収された結果、
国鉄唯一のロープウェイ路線が誕生するという珍事も起こった。
当然ながら山道を5kmも歩かされての移動を余儀なくされている現状を変える為、仙人峠を越える鉄道の建設が始められた。
具体的には上記の地図の真ん中付近が「Ω」になっている事からも分かる様に、仙人峠を迂回するルートになった。
しかし、第二次世界大戦の戦局の悪化に伴い工事は中断され、下手すれば今でも山道を徒歩連絡する可能性もあった。
ところが、終戦後の1948年にアイオン台風によって
山田線が大きな被害を受け不通となった。
すると、GHQは三陸海岸方面への鉄道連絡を復活させる為、釜石線全通を最優先命令とした。
こうして紆余曲折を経て、1950年に無事全線が開通した。
◎運行車両
キハ110系が初めて投入されたのはこの路線で、しかも
普通列車用ではなく急行「陸中」用としてだった。
「陸中」が快速「はまゆり」格下げ後にも引き続き使用されている。
最初は前面が黒く塗られていたが、後に他と同様の塗装に改められている。
見た目はキハ110系そっくりだが、あちらは20m級の車両に対しこちらは16m級と車両が短い。
「SL銀河」の牽引機として使用。
盛岡市内の公園で展示保存されていた239号機を動態復元し、再び線路上を走ることになった。
「SL銀河」は2023年春で運行終了し今後の扱いについては未定だが、2025年2月までは動態状態を保持することが明らかにされている。
「SL銀河」の客車で、電化前の
学園都市線で使用されていたが、同線引退後に
JR北海道から買い取って改造した。
蒸気機関車単機での勾配区間の牽引が困難なため、気動車である本形式が客車兼補助動力車として適任ということで白羽の矢が立った。
外装は「
銀河鉄道の夜」をイメージしたグラデーション、内装は宮沢賢治が生きた世界観をイメージしている。
なお、キハ141系自体は元々50系客車に
ディーゼルエンジンを搭載したもので、まさか再び客車として使用されるなんて誰が思っただろうか…。
「SL銀河」の運行終了は本形式の老朽化が理由で、運行終了後直後に廃車されている。
◎運行形態
全線普通、ワンマン運転である。
基本的に全線通しで2時間に1本の運転となっているが、釜石側には遠野行きの区間運行がある。
快速「はまゆり」と一部の
普通列車は、
東北本線盛岡駅まで直通運転を行っている。
臨時列車は土休日に「SL銀河」がほぼ毎週運転されているが、花巻~釜石間を2日で1往復していた。
基本的には
土曜日が釜石行き、
日曜日が花巻行きとなっていた。
◎駅一覧
駅名にはエスペラント愛称を合わせて記述する。
東北本線乗り換え。起点駅。花巻市の中心駅。
宮沢賢治の作品『シグナルとシグナレス』は「この駅の
信号機を男女に見立てた恋物語」という高度な
擬人化プレイをしている。
因みに
東京駅からこの駅までの営業キロが丁度500kmだったりする。
- 似内「La Marbordo(ラ・マールボルド:海岸)」
交換可能で徒歩30分かかるものの花巻空港の最寄駅。距離的にも東北本線の花巻空港駅より近いらしい。
ただし、バスや
タクシーは一切ない…。
東北新幹線乗り換え。
1985年の
東北新幹線の上野開業時に開業した請願駅。
建設に際して当駅に近接していた矢沢駅を廃止し、その代替で設置している。
花巻市は宮沢賢治生誕の地とされていて、20分以上歩くが宮沢賢治記念館や童話館の最寄駅でもある。距離が短いもののここまでSuica盛岡エリア。
- 小山田「Luna Nokto(ルーナ・ノクト:月夜)」
- 土沢「Brila Rivero(ブリーラ・リヴェーロ:光る川)」
快速停車駅で交換可能。「
銀河鉄道の夜」の始発駅はこの駅がモデルとされている。
- 晴山「Ĉeriz-arboj(チェリーズ・アルボイ:桜並木)」
- 岩根橋「Fervojponto(フェルヴォイポント:鉄道橋)」
ここから遠野市内。
- 宮守「Galaksia Kajo(ガラクシーア・カーヨ:銀河のプラットホーム)」
快速停車駅で交換可能。
大正時代からのアーチ橋が残る宮守川橋梁の最寄駅。
近くには宿泊施設もある柏木平レイクリゾートの他、何気に本格的な広東料理の店があったりする。
- 鱒沢「Lakta Vojo(ラクタ・ヴォーヨ:天の川)」
快速が一部停車する交換可能駅。
- 荒谷前「Akvorado(アクヴォラード:水車)」
駅に隣接して地元の集会場がある。
- 岩手二日町「Farmista Domo(ファルミスタ・ドーモ:農家)」
江戸時代に「南部御三家」として栄えた遠野市の中心駅&鍋倉城の最寄駅。
みどりの窓口もある、2面3線構造の沿線の1番の拠点となっており、「TRAIN SUITE 四季島」も停車する。
ここから釜石行きの区間列車が設定されている。
実はアニメ映画「河童のクゥと夏休み」にも登場している。
エスペラントのフォルクローロは、
JR東日本の東北地区向け小規模ホテルブランド名としても採用されており、最初に開業したのは同駅の2階である(2015年に閉館)。
ホームと待合室の間に公道が通っている。
- 岩手上郷「Cervodanco(ツェルヴォダンツォ:鹿踊り)」
- 平倉「Monta Dio(モンタ・ディーオ:山の神)」
- 足ケ瀬「Montopasejo(モントパセーヨ:峠)」
交換可能で沿線で一番標高が高い(473m)駅。
牛山氏の全国
秘境駅ランキング36位。快速は通過するがSL銀河は停車する。
立派な秘境駅だが近くにある滝観洞は渥美清主演の「
八つ墓村」で鍾乳洞の撮影のロケ地として使用された。
住田町唯一の駅だが当然中心市街地からは離れている。
エスペラントは。
この先Ωループの区間に入る。
これより釜石市の駅。Ωループの頂点の手前。交換可能。
鉄鉱石の積み出しで賑わった駅で、その時代のホッパーが残る。
- 松倉「La Suda Kruco(ラ・スーダ・クルーツォ:南十字星)」
県立釜石高校や釜石市球技場への最寄駅。
- 小佐野「Verda Vento(ヴェルダ・ヴェント:緑の風)」
途中駅最後の交換可能駅。釜石製鉄所の守護神社である山神社の最寄駅。
- 釜石「La Oceano(ラ・オツェアーノ:大洋)」
三陸鉄道リアス線乗り換え。終点駅。
釜石市の中心駅。上述の様に奇跡的に駅舎は倒壊を免れたが2012年に改装された。
追記・修正お願いします。
- 国鉄所有の貨物ケーブルカーが途中にあったり国鉄最後の762mmゲージ路線だったり妙な歴史を辿った路線 -- 名無しさん (2015-12-28 19:28:07)
最終更新:2024年07月07日 00:12