この年代から実在の人物の半生を描いた作品が急増することとなり、その影響か現代劇の数が減っている。同時にヒロインのオファーも急増しており、この年代の後半のオファー率が非常に高いものとなっている。
この時期になるとSNSの普及に伴い、本編とは違った意味でも話題になる作品が多くなったのも特徴。
82作目 ゲゲゲの女房
【放送期間】2010年3月29日~2010年9月25日
【原案】武良布枝
【脚本】山本むつみ
【モデル】武良布枝(漫画家・水木しげるの妻)
【主役】飯田布美枝(演:松下奈緒)
【舞台】島根県、鳥取県、東京都
【時代】1939年~1986年
【ナレーション】野際陽子
【主題歌】いきものがかり「ありがとう」
ゲゲゲの鬼太郎などの作品を生み出した漫画家の
水木しげるとその妻、武良布枝の半生を描いていく作品。
武良布枝のエッセイ本を基にしており、この年の10月には全く違うスタッフと出演者達による映画が公開され、2011年9月23日には水木しげるの故郷の鳥取県境港市にて舞台が上演されるなどメディア化に沸いた。
主人公を演じた松下奈緒は77作目「ちりとてちん」のOPテーマ曲のピアノ演奏として参加しており、それから数年の時を経てこの作品にオファーで抜擢されることとなった。
また布美枝の夫であり水木しげるをモデルにした「村井茂」役の向井理の出世作でもあり、向井は水木の「
戦争での怪我で左腕を喪った」史実を再現するため、常に左腕を使わず見えないようにする難易度の高い長期撮影をこなしている。
OP映像やラストシーンなどの作品内のそこかしこに水木しげるが描いた妖怪キャラがアニメ調で散りばめられており、実写とアニメを合成させるという試みは朝ドラ初である。そのため水木プロと、様々な水木しげる作品をアニメ化してきた東映アニメーションの著作クレジットが記載された。
水木しげるのアシスタント経験のある
池上遼一やつげ義春をモデルにしたキャラが登場するのも特徴で、そちらも好評を博した。
中には実写版
ねずみ男としか思えないような人物も……
ここ数年の視聴率低下を打破するため、開始時間を朝8時00分スタートに変更した。
その効果があったのか視聴率は番組後半から一気に回復しただけでなく
・連続テレビ小説で初めてザテレビジョンドラマアカデミー賞最優秀作品賞を受賞
・2010ユーキャン新語・流行語大賞の年間大賞に「ゲゲゲの〜」が選出
・2011年第83回選抜高等学校野球大会の開会式入場行進曲に本作品の主題歌が選出
等様々な実績を出し、まさしくこの年は「ゲゲゲの女房」一色となり、改めて朝ドラが再評価されるきっかけを作った。そのため
2010年代以降の朝ドラのターニングポイントとして位置づけられた作品であるといっても過言ではないだろう。
また「あさイチ」での朝ドラ受けが始まったきっかけとなった作品であるが、注目されるようになったのはそれから数年後に放送された88作目の「あまちゃん」である。
83作目 てっぱん
【放送期間】2010年9月27日~2011年4月2日
【脚本】寺田敏雄、今井雅子、関えり香
【主役】村上あかり(演:瀧本美織)
【舞台】広島県、大阪府
【時代】2008年~2011年
【ナレーション】中村玉緒
主人公の母と祖母がかつて営んでいたお好み焼き屋を主人公が祖母と共に復活させ、様々な人との交流を経て主人公と祖母との絆を深めていく庶民派ホームドラマである。
初めて朝ドラヒロインが平成生まれ(1990年生まれ)となった。
OP映像は葉加瀬太郎が作曲しバイオリン演奏をした音楽をバックに、主人公含め様々な人々がダンス、通称「てっぱんダンス」をするといったもので、主人公以外の人は地元のエキストラ、及び一般公募により選ばれたものが使用されている。ちなみに花屋の前で黒いエプロンをして踊っている店員は「てっぱんダンス」の振り付け担当である。
出演者の中で特筆すべき点といえば、52作目「春よ、来い」で朝ドラヒロインを演じたものの、途中で降板した安田成美が主人公の母役で起用されていることだろう。彼女の降板は(上記の説が本当であれば)率直に言えば身勝手なもので脚本家の橋田壽賀子含め様々な人に迷惑をかけたものであった。その後15年の時を経て、朝ドラに再登板となったので彼女の顛末を知るものからすれば大きな驚きとなったことだろう。
東日本大震災が発生した影響で1週間丸々休止となった。そのため、最終週が1週間延ばされ次作が予定日より1週間遅く放送されることとなった。
84作目 おひさま
【放送期間】2011年4月4日~2011年10月1日
【脚本】岡田惠和
【主役】須藤陽子(演:井上真央)
【舞台】長野県
【時代】1932年~1953年、2011年
【ナレーション】若尾文子
【主題歌】平原綾香「おひさま~大切なあなたへ」(7月16日放送回以降土曜日放送限定)
東京に住む主婦が長野県安曇野市にある蕎麦店で出会ったその店の主の老婆から自身の半生を聞かされ、そこから老婆こと主人公の幼少時代から描かれていく作品である。
従来の朝ドラOPは1分10秒ほどの尺が用意されているが、この作品は珍しく45秒しかない。これはストーリー上書くことがたくさんあったため本編の尺稼ぎとしてOPを数十秒削ったことによるものである。
前述したとおり震災の影響で1週間遅く始まっただけでなく、朝ドラヒロインバトンタッチという恒例行事が行われなかった。
放送がスタートした時はまだまだ震災の爪痕が強く、心が癒されない人が多くいた。製作スタッフたちはそんな人たちを元気づけるために、戦後の復興期という題材に重ね合わせ、希望につながる作品にしたいという思いを込めて制作が続けられた。
またOPテーマは45秒しか尺がないということもありインスト曲が採用されていたが、視聴者からこの主題曲についての問い合わせが多かったこと、戦後編とこれからの震災復興という現実がシンクロするということから急遽、岡田惠和作詞・渡辺俊幸作曲・平原綾香の歌で歌詞が付き、「おひさま~大切なあなたへ」というタイトルで同年6月29日発売のドラマのオリジナルサウンドトラックのCDに収録されることとなった。また本編のほうでも7月16日の放送回から、土曜日のみ同曲が使われることとなった。
85作目 カーネーション
【放送期間】2011年10月3日~2012年3月31日
【脚本】渡辺あや
【モデル】小篠綾子(ファッションデザイナー・コシノ三姉妹の母、ファッションデザイナー)
【主役】小原糸子(演:尾野真千子 老年期:夏木マリ)
【舞台】大阪府
【時代】1924年~2011年
【ナレーション】尾野真千子、夏木マリ
【主題歌】椎名林檎「カーネーション」
ファッションデザイナーとして活躍するコシノヒロコ、ジュンコ、ミチコの「コシノ3姉妹」の母であり、自身もファッションデザイナーである小篠綾子の半生を描いた作品。
朝ドラとしては初めて全編にわたりプログレッシブカメラによる撮影を行い、近年の大河ドラマを含む同局の歴史ドラマなどに見られる映画フィルム調の画質にした映像が使用されている。
年明けの2012年1月に主人公の老年期は夏木マリが演じると発表された。本作ではナレーションと朝ドラヒロインを兼任するスタイルであるので、ナレーションも夏木マリに交代することになった。これに対しいきなり主人公の役者が交代してしまうことに反発してしまうファンも多かった。
1週分ずれていた放送日程を元に戻すという狙いがあったためか東日本大震災の影響で1週分(6回分)話数が削減された。
朝ドラとしては初めてギャラクシー賞テレビ部門の大賞を受賞した。
86作目 梅ちゃん先生
【放送期間】2012年4月2日~9月29日
【脚本】尾崎将也
【主役】下村梅子(演:堀北真希)
【舞台】東京都、大阪府
【時代】1945年~1961年
【ナレーション】9代目・林家正蔵
【主題歌】SMAP「さかさまの空」
優秀な兄と姉にコンプレックスに感じていた末っ子の主人公が医者である父の姿を見て医者を目指しやがて町医者として活躍していく話。
主題歌を担当したのはSMAP。ジャニーズ事務所所属タレントでは初めて初の朝ドラ主題歌を担当で、2025年現在もこれが唯一である。
朝ドラとしては東日本大震災の復興支援プロジェクトの一環として位置づけられた最初の作品で、地震の液状化による被害が大きかった茨城県高萩市にある製紙工場跡地を利用して戦後すぐの蒲田の町を再現した。
特定のモデルが存在しない作品であるが、ヒロインと同年代に入学した蒲田医師会の女医たちの当時の実体験が台本づくりに反映されている。
また、
シンケンレッド/志葉丈瑠役でブレイクして間もない松坂桃李が演じる幼なじみと、
ボウケンレッド/明石暁役でお馴染みの高橋光臣が演じる医学生との三角関係もSNS上で話題になった。
本作の続編としてスペシャルドラマ「梅ちゃん先生〜結婚できない男と女スペシャル〜」が作成され、前編が同年10月13日に、後編が10月20日にNHK BSプレミアムで放送された。
【放送期間】2012年10月1日~2013年3月30日
【脚本】遊川和彦
【主役】狩野純(演:夏菜)
【舞台】沖縄県、大阪府
【時代】2012年
【ナレーション】夏菜
【主題歌】HY「いちばん近くに」
宮古島に生まれ育った主人公が実家のホテルを継ごうとしたが父に反対され家で同然で大阪へ、そこの一流ホテルで出会った他人の心が分かる青年「待田愛」(演:
風間俊介)と出会い結ばれ、実家のホテルを再建しようと活躍していく話。
しかし、開始から1か月程度で「内容が朝ドラ向きではない」という意見がNHKに寄せられた。
その例を挙げると、主人公と結ばれる待田愛は人の心を読めるエスパーという
朝ドラ初の超能力者であるが、現実的な作風をモットーとしている朝ドラでエスパーという非現実的な要素を持つ彼の設定は相応しくないといったものである。
そして後味の悪い展開が連続して続いていくというのも大きなマイナス点となっている。本編では後味の悪い形で終わってしまったが、単発続編の純と愛スペシャル「富士子のかれいな一日」では本編のフォローが入っている。
結果、朝ドラヒロインを演じた夏菜はかなりやさぐれてしまい、後年様々なバラエティ番組に本作の不満をぶっちゃけるような発言をしている。一方、風間俊介は今でも夏菜とは役名で呼び合う程に親しく、『ZIP!』で夏菜の結婚報道時には
「純さん起きてますかー?」と呼びかける一幕があった。
何気に本作は
朝ドラ作品の中で最初にアニヲタWikiにて項目が立てられた作品である。
【放送期間】2013年4月1日~9月28日
【脚本】宮藤官九郎
【主役】天野アキ(演:能年玲奈)
【舞台】岩手県、東京都
【時代】2008年~2012年
【ナレーション】宮本信子(故郷編)、能年玲奈(東京編前半)、小泉今日子(東京編後半)
東京で孤独に過ごしていた主人公が祖母の策略で母と共に母の故郷・岩手県北三陸へ訪れ、海女との交流を経て北三陸の海女になり、やがてそれがきっかけでアイドルになっていく作品。
現段階では最後のOPがインスト曲の作品であり、また地味に朝ドラ史上初の「紅白歌合戦
歌手出演者」による脚本作品でもある。
朝ドラで初めて東日本大震災を描いた作品。
初期の企画コンセプトは「小さな田舎の、地元アイドルによる村おこし」で脚本担当の宮藤官九郎曰く、舞台も長野県にしようと考えられていたそうである。しかし、具体的な題材を探す中で岩手県の様々な取り組みを見て取材を行った結果、舞台が岩手県になった。
岩手県は東日本大震災で非常に大きな被害を受けた県の一つであったことから、東日本大震災の描写を書くのに宮城県出身の宮藤自身抵抗感があったが、「(実際にあったことなのに)やらないのは嘘」と考え執筆した。
朝ドラ初のナレーションが3人制となっており、祖母→孫→母の3世代リレーとなっている。ちなみに母役を演じた小泉今日子は80年代の人気アイドルの一人である。
そして朝ドラとしては初めてパロネタをふんだんに使った作品で、実際の名称はNHKの決まり事の関係で出すことはなかったが、
ジョジョの奇妙な冒険、
スーパーマリオブラザーズなどわかる人にはわかるネタをさりげなく、あるいは思いっきりぶっこんでくる。
そもそも本作のキー要素である「潮騒のメモリー」も出来の悪かった80年代アイドル映画の特徴をパロってる。
朝ドラとしては初めてアイドルを題材としており、若者向けのジャンルとあって今まで朝ドラに触れてこなかった若者をファンにつけるなど朝ドラの若年層の新規開拓に成功したといえよう。
特にキーキャストとして小泉今日子と薬師丸ひろ子を置き、彼女達が一世を風靡した80年代の実在する様々なアイドルの楽曲や歌唱映像などのあれこれを本作で使用したことにより80年代のサブカルを謳歌した中年世代ホイホイ、さらに60年代の曲『いつでも夢を』をもフィーチャーし歌い手の一人橋幸夫がゲスト出演した事で壮年世代にも分かるネタが入った作品ともなった。
ちなみに数多くいるアイドル役の中には、若手声優
水瀬いのりの姿も。
21世紀以降の朝ドラの中では爆発的に世間に流行った作品であり
- ギャラクシー賞、ザテレビジョンドラマアカデミー賞、エランドール賞などの演劇に関する賞を総なめ
- 第55回日本レコード大賞作曲賞として本作のさまざまな楽曲が受賞
- 流行語大賞の大賞の一つとして本作を代表するワード「じぇじぇじぇ」が選出
- OPテーマ曲が高校野球のブラバン演奏曲として定着
等々書ききれないほど様々な実績を残している。
そしてSNS人気も非常に強く、「〇〇絵」、「〇〇ロス」といったワードを生み出し次作以降の朝ドラ作品に定着させた。
それから、何気に朝ドラにおいて、スマホが初登場した作品でもある。
89作目 ごちそうさん
【放送期間】2013年9月30日~2014年3月29日
【脚本】森下佳子
【主役】卯野め以子(演:杏)
【舞台】東京都、大阪府
【時代】1911年~1947年
【ナレーション】吉行和子
【主題歌】ゆず「雨のち晴レルヤ」
料理店の娘として生まれ、食べることが大好きな主人公が小姑からのいびりにあいつつも、食を通じて次第に家族のわだかまりを解いていく様子を描いた作品。
食が題材の作品なだけあって他の朝ドラ作品以上に食に力を入れており、スコッチエッグや牛すじカレー等の様々な料理が毎週のように登場するのでまさに飯テロ作品である。
Eテレの料理番組、「きょうの料理」にて本作にちなみ「大阪の味で“ごちそうさん”」のテーマ名で大阪料理のレシピを紹介する回があった。
∀ガンダムや
マクロスF等のアニメ作品の音楽を担当してきた菅野よう子が本作の音楽担当に選ばれた。「焼氷有り〼の唄」、「いちごの唄〜源太出征の日」の挿入歌の作曲も手掛けている。
主人公を演じた杏と相手役を演じた東出昌大はこの作品で結婚。本作のファンから大きな祝福の声が捧げられた。
だが数年後、どうしてこうなった……
主人公の長男が主役のスピンオフコメディドラマ「ごちそうさんっていわしたい!」が放送終了から僅か数週間後に放送された。
90作目 花子とアン
【原案】村岡恵理
【放送期間】2014年3月31日~2014年9月27日
【脚本】中園ミホ
【モデル】村岡花子(翻訳家)
【主役】村岡花子(演:吉高由里子)
【舞台】山梨県、東京都
【時代】1900年~1952年
【ナレーション】美輪明宏
【主題歌】絢香「にじいろ」
「赤毛のアン」を初めて日本語に翻訳した村岡花子の半生を描いた作品。原案は村岡花子の姪の娘である村岡恵理が執筆した。朝ドラの主人公はモデルから少々ひねった名前にするのが基本だが、本作は珍しくモデルと完全に同一の名前に設定されている(結婚前の旧姓はオリジナル)。
村岡花子の半生と赤毛のアンを重ね合わせた作風となっており、随所に赤毛のアンを彷彿とさせる場面をちりばめられている。例えば、教室で妹が泣かされたので怒って同級生に石盤をぶつけるシーンは、アンが自身の赤毛の髪を「にんじん」とからかわれたので怒って同級生に石板をぶつけるシーンから来ている。
村岡花子の腹心の友である柳原白蓮を元にした葉山蓮子というキャラクターが大きな人気を博し、その人気っぷりは柳原白蓮の生涯を小説にした「白蓮れんれん」が急遽完売するほど。さらに彼女の2番目の夫である伊藤伝右衛門と共に10年間生活した旧伊藤伝右衛門邸の入場者数が急激に伸びていった。
魔法少女まどか☆マギカや
鬼滅の刃等のアニメ作品の音楽を担当してきた梶浦由記が本作の音楽担当に選ばれた。このため前作から2作続けてアニメ作品をメインに手掛けてきた人が音楽担当することになった。
91作目 マッサン
【放送期間】2014年9月29日~2015年3月28日
【脚本】羽原大介
【モデル】竹鶴政孝(ニッカウヰスキー創業者)
【主役】亀山政春(演:玉山鉄二)
【舞台】広島県、大阪府、北海道、スコットランド
【時代】1920年~1971年
【ナレーション】松岡洋子
【主題歌】中島みゆき「麦の唄」
ニッカウヰスキー創業者である竹鶴政孝とその妻・リタの夫婦の半生を描いた作品。
『走らんか!』以来久々となる男性主演作品であり、朝ドラ史上初となる外国人ヒロインである。
放送から数週までは外国人キャラの話す英語は恒松あゆみや比嘉久美子等の声優による吹き替えが行われていたが、視聴者たちには賛否両論となった。これが関係したのかどうかわからないが、途中から字幕対応となった。
66作目「さくら」以来の海外が舞台となった作品だが、予算的な関係かスコットランドでは一切ロケが行われていない。
このドラマのヒットの影響で、「鴨居商店」のモデルであるサントリーが販売する「山崎」「白州」「響」、「ドウカウヰスキー」のモデルであるニッカウヰスキーを傘下とするアサヒビールが販売する「竹鶴」「余市」「宮城峡」、それぞれの会社の主力商品が大きく売れ品薄状態が続いた。
さらに2015年、イギリスのウィスキー品評会「ワールド・ウィスキー・アワード」において、「竹鶴17年ピュアモルト」が2年連続でグランプリに当たる「世界最高賞」を獲得し、NHKのニュース番組やサイトにおいて「マッサンウィスキー世界一」と紹介された。
まさにサントリー、アサヒビールにとっては「マッサン」様々となったことだろう。
スピンオフ作品として放送終了後の2015年4月25日に前編が、2015年5月2日に後編が放送された。
92作目 まれ
【放送期間】2015年3月30日~2015年9月26日
【脚本】篠﨑絵里子
【主役】津村希(演:土屋太鳳)
【舞台】石川県、神奈川県
【時代】1994年~2015年
【ナレーション】戸田恵子
【主題歌】土屋太鳳 他「希空〜まれぞら〜」
石川県能登地方に移住した主人公がパティシエを目指す作品。
本作はスイーツが題材であるので、シュークリームやミルフィーユ等毎週のように何らかのスイーツが登場しており、言うなればスイーツ版「ごちそうさん」。スイーツの監修は舞台となった石川県の出身者である、世界的に有名なパティシエの辻󠄀口博啓が担当している。その中には「しっぱいおっぱい世界一ケーキ」というその名称に物議を醸した番組オリジナルスイーツが登場している。
OP主題歌の歌詞の1番は主人公を演じた土屋太鳳、2番は一般公募によるものである。このようになったきっかけは、本人のブログに「輪島塗を見ていたら能登の夕日が見えた」という記載をスタッフが発見。センスを見込んで依頼したことによるものである。2番の応募総数は12722作もあり、その中から1つ選ばれた。
同曲の歌唱者も土屋太鳳が起用されており、朝ドラとしては初の合唱スタイルの楽曲となった。
…なおその後、メイン出演者の中から強姦による逮捕者、某宗教団体絡みで表舞台から消えた人が現れたため、再放送は絶望的かと囁かれている。また2024年の能登半島地震とそれによる輪島朝市火災により、輪島市に本作記念として建てられた『輪島ドラマ記念館』がオブジェ「まれケーキ」を遺して全焼してしまった。
2015年10月24日、2015年10月31日に前後編のスピンオフ作品が公開された。それぞれの本編終了後に、土屋がドラマのクランクアップ後に能登を訪れて取材した「まれ能登紀行」という4分のミニコーナーが放送された。
93作目 あさが来た
【原案】古川智映子
【放送期間】2015年9月28日~2016年4月2日
【脚本】大森美香
【モデル】広岡浅子(事業家・教育者)
【主役】今井あさ(演:波瑠)
【舞台】京都府、大阪府、福岡県
【時代】1857年~1911年
【ナレーション】杉浦圭子アナウンサー
【主題歌】AKB48「365日の紙飛行機」
教育者で実業家でもあり、大同生命を創業した広岡浅子の半生を描いた作品。
朝ドラ史上初となる明治時代以前を描いた作品である。そのため、物語がスタートしてしばらくは衣装や髪型、街の雰囲気などから朝ドラというよりは大河ドラマ感が強い物であった。
実際に
大久保利通や大隈重信、福沢諭吉など、大河ドラマの題材であってもおかしくない歴史上の偉人たちが続々登場している。その中には新選組でお馴染み土方歳三もいて、それを山本耕史が大河ドラマ「
新選組!」以来の再演するということでも注目を集めた。
OP主題歌はAKB48。発表された際、「AKBでは硬派な朝ドラとは合わない」と批判的な意見がSNSなどで多く見られたが、「朝ドラの主題歌」を前提に置いた歌詞と曲調で、いざ放送されるや作品の雰囲気に溶け込んでいると大きな反響を得て、放送終了後も卒業や結婚の祝福の歌などとして社会に大きく定着している。
平均視聴率は23.5%と、21世紀に放送された朝ドラ作品の中ではナンバーワンを記録。そしてNHK主催の、100作品突破を記念した視聴者投票による朝ドラ作品ランキングでは、世間で大きく流行った「おしん」や「あまちゃん」を差し置いて1位を獲得した。
また薩摩の実業家で主人公の憧れの存在である五代友厚が大きな人気を呼び、そのあまりにも大きな人気っぷりから2015年末の放送で亡くなる予定だったのを、2016年1月放送まで寿命を延ばしてもらったほどである。
彼がなくなった回は視聴者たちから多くの悲しみの声が上がり、
「五代ロス」の言葉もしばらく流行したほど。演じたのは日本人ながら、台湾でデビューし中華圏で人気を確立していたディーン・フジオカで、この作品をきっかけに日本でも注目され、一躍人気俳優の仲間入りを果たした。
ディーンもまた2021年の大森脚本の大河「青天を衝け」で五代を再演。こちらでは朝ドラでは見せなかったダーティーな姿も見せつつ、主人公の渋沢栄一のライバルとして存在感を示した。
人気キャラの延命は大河でもよくあることだし、よくよく
大河ドラマと縁のある作品である。
というか「あさが来た」放映開始時の大河は評判が良くなかったので、「あさが来た」こそ今年の大河とまで言われてたし……
2016年4月23日には単発のスピンオフ作品も放送された。
94作目 とと姉ちゃん
【放送期間】2016年4月4日~2016年10月1日
【脚本】西田征史
【モデル】大橋鎭子(暮しの手帖社創業者・編集者)
【主役】小橋常子(演:高畑充希)
【舞台】静岡県、東京都
【時代】1930年~1988年
【ナレーション】檀ふみ
【主題歌】宇多田ヒカル「花束を君に」
暮しの手帖社の創業者で同社が発刊している生活総合雑誌「暮しの手帖」の創刊者の1人である大橋鎭子の半生を描いた作品。
OP主題歌を担当した宇多田ヒカルは5年ほど歌手活動を休業していたが、今作をきっかけに音楽活動を再開することとなる。
本作の放送中、「暮しの手帖」にかつて存在した「商品テスト」のコーナーのヤバさっぷりがSNSにて紹介されており、その内容はというと
- トースターで食パンを43088枚焼き、その結果から薦められる製品、薦められない製品を実名で書いた
- 石油ストーブでの火事が問題となっていたので、消火方法を調べるため古い住宅を実際に燃やした
等々である。
こちらも単発のスピンオフドラマが2016年11月19日に放送された。
95作目 べっぴんさん
【放送期間】2016年10月3日~2017年4月1日
【脚本】渡辺千穂
【モデル】坂野惇子(ファミリア創業者)
【主役】坂東すみれ(演:芳根京子)
【舞台】兵庫県、大阪府
【時代】1934年~1984年
【ナレーション】菅野美穂
【主題歌】Mr.Children「ヒカリノアトリエ」
子供向けアパメルメーカー「ファミリア」の創業者の1人、坂野惇子の半生を描いた作品。
劇中に登場する子供服や日用品などに施された刺繍は実際にファミリアで40年以上働いていたベテランのファッションデザイナーが担当。ちなみにこの作品の放送の前年に退職している。
ファミリア初代社長を務めた元田蓮がモデルとなった靴職人役を演じた市村正親は神戸の現役靴職人に一から靴作りを教わるなど役作りに力を入れていた。
脚本担当の渡辺千穂の夫はフリーアナウンサーの羽鳥慎一で、朝ドラの裏番組である「モーニングショー」(テレビ朝日)の司会である。そのため放送前にはある意味夫婦対決になっていると一部で話題となった。
放送終了後、本編スペシャルとスピンオフ(テレビ・ラジオ)3種類が製作・放送。朝ドラのスピンオフでラジオドラマが製作されたのはこれが初となる。
96作目 ひよっこ
【放送期間】2017年4月3日~2017年9月30日
【脚本】岡田惠和
【主役】谷田部みね子(演:有村架純)
【舞台】茨城県、東京都
【時代】1964年~1968年
【ナレーション】増田明美
【主題歌】桑田佳祐「若い広場」
東京へ出稼ぎに行った父が失踪したことがきっかけで集団就職した主人公がさまざまな出会いと別れを重ね、高度成長期をひたむきに生きていく作品。
朝ドラ作品では久々の高度経済成長期が描かれた作品で、作品コンセプトは「高度成長期を支えた名もなき人たちの物語」。これは93作目「あさが来た」以降実在の人物の半生を描いた作品が続いていたことが大きな理由である。
60年代中期の様々な楽曲が主人公や周囲の登場人物によって歌われており、その中にはハウス「印度カレー」や森永「エールチョコレート」のCMソングも。その性質上民間の商品に関する事柄は出さないNHKとしては珍しい選曲である。
畳を田んぼに見立てたり、ラジオなどの家電をビルに見立てたりしていた、ミニチュアで構成されたOP映像が話題となった。
当初続編の作成は考えられていなかったが、続きが見たいという視聴者たちの声が多く寄せられたことから、本編から2年後を描いた続編「ひよっこ2」が2019年3月25日~2019年3月28日に計4話放送された。OP映像は新規に作成されている。
97作目 わろてんか
【放送期間】2017年10月2日~2018年3月31日
【脚本】吉田智子
【モデル】吉本せい(吉本興業創業者)
【主役】藤岡てん(演:葵わかな)
【舞台】京都府、大阪府
【時代】1902年~1946年
【ナレーション】小野文惠アナウンサー
【主題歌】松たか子「明日はどこから」
吉本興業の創業者である吉本せいの半生を描いた作品。
吉本せいがモデルの作品といえば「花のれん」(山崎豊子)が有名だが、本作は「花のれん」と異なりせいの幼少期からを描き差別化が図られている。
放送時期に再販された「花のれん」は帯がちゃっかり朝ドラに便乗していたけどね!
吉本興業を描いた作品なだけあって、藤井隆や内場勝則等、吉本所属タレントが数多く出演している。
なお史実では巨大暴力団と関係しておりそこをどうするか放送前から朝ドラファンからやきもきさせていたが、ドラマ内ではそれ自体をなかったことにしたという大胆な改変を行った。
吉本興業自体が巨大な暴力団だから問題ないとか言ってはいけない
「ラブ&マンザイ〜LOVE and MANZAI」のタイトルでスピンオフドラマが4作も制作された。
98作目 半分、青い
【放送期間】2018年4月2日~2018年9月29日
【脚本】北川悦吏子
【主役】楡野鈴愛(演:永野芽郁)
【舞台】岐阜県、東京都
【時代】1971年~2011年
【ナレーション】風吹ジュン
【主題歌】星野源「アイデア」
小学生の時突然片耳が失聴した主人公が両親や幼馴染との支えにより立ち直り、後に漫画家や店舗開業などで活躍していく作品。
朝ドラヒロインとしては初めて障害を持っており、タイトル名の「半分、青い」の半分の部分は主人公の耳が半分しか聞こえないことからも由来している。
主人公のクラスメイトの父役として声優の
高木渉が顔出し出演している。
平成が終わろうとしている今、昭和平成史を振り返るというコンセプトにより数々のトレンディドラマを手掛けてきた北川悦吏子が選ばれた。岐阜が舞台となったのは彼女が岐阜出身だからである。だが、彼女が選ばれたことにより
Twitter上では様々な騒動が勃発することとなった。
実際に本人がTwitter(現:X)にて、「神回」と頻繁にツイートしたため
「神回と感じるのは脚本家ではなく視聴者達からではないのか?」と疑念の声が多く挙がっていた。
そしてアンチタグである「#半分白目」が話題となっていたころ、北川は「否定的な意見を見たくないために自らハッシュタグ『#北川プラス』をつけて応援コメントを送ってほしい」とツイートし、これが火に油を注ぐ形となった。そしてついには自身に意見するアカウントを次々とブロックしていくなどさらに騒動を拡大させていった。流石にNHKはこれら一連の騒動を見て見ぬふりできなかったようで、直接北川に注意した模様。
主人公が「マグマ大使」のファンでその実写版の映像が一部使われていたことが話題となったが、1971年生まれの主人公が1966年に放送された同作を知っているのはおかしいという批判もあった。しかしすぐ後の回で父親の影響ではまったというフォローがされている。
主人公が就職活動で落ちてしまった企業は2012年~2017年の朝ドラ作品の主人公の名前とその作品が題材となった物から取られている。
下村医療器 下村梅子(梅ちゃん先生/2012前/医療)
狩野旅館 狩野純(純と愛/2012後/ホテル業)
天野海産 天野アキ(あまちゃん/2013前/海女)
レストランにしかど 西門め以子(ごちそうさん/2013後/食事)
村岡書店 村岡花子(花子とアン/2014前/児童文学)
亀山飲料販売サービス 亀山政春・エリー夫妻(マッサン/2014後/ウイスキー)
津村食品 津村希(まれ/2015前/スイーツ)
白岡信用金庫 白岡あさ(あさが来た/2015後/銀行)
コバシ印刷 小橋常子(とと姉ちゃん/2016前/出版業)
坂東織物工業 坂東すみれ(べっぴんさん/2016後/衣料)
谷田部精工 谷田部みね子(ひよっこ/2017前/工場)
藤岡企画 藤岡てん(わろてんか/2017後/エンタメ業)
【放送期間】2018年10月1日~2019年3月30日
【脚本】福田靖
【モデル】安藤仁子(日清食品創業者・安藤百福の妻)
【主役】今井福子(演:安藤サクラ)
【舞台】大阪府
【時代】1938年~1971年
【ナレーション】芦田愛菜
【主題歌】DREAMS COME TRUE「あなたとトゥラッタッタ♪」
日清食品創業者である安藤百福とその妻仁子の半生を描いた作品。なお、69作「てるてる家族」にも百福をモデルにしたキャラクターが脇役で登場している。
朝ドラヒロインを演じる安藤サクラは前年の6月に子供を出産したばかりであるが、その数か月後の10月にオファーが来たという。
朝ドラヒロインは彼女にとって憧れだったが、当時の演者は育児の両立ができるかどうか不安だったため当初は断ろうかと考えていた。しかし、夫である柄本佑を筆頭とした芸能一家である家族の強い勧めや、NHKが育児へのサポートを約束したことからオファーを受け入れ、朝ドラヒロインを演じる役者としては史上初となる「ママさんヒロイン」となった。
OP主題歌を担当したDREAMS COME TRUEは48作目「ひらり」でも担当していたことから、朝ドラ主題歌2回目の起用も彼女たちが史上初となった。
ナレーションを担当する芦田愛菜は史上最年少の14歳での起用となった。
なお、史実の安藤百福が台湾出身の帰化者でかつ離婚歴の持ち主(日清社長に安藤の最初の結婚時に生まれた息子が就任していた時期がある)なのは作中で完全にスルーされていたが、台湾の地上波テレビ局である民視で2021年2月1日より「泡麺之王」のタイトルで放送されることになった。
次回作である「なつぞら」と111作「おむすび」に、本作のキーアイテム「まんぷくヌードル」が小道具として使われている。
100作目 なつぞら
【放送期間】2019年4月1日~2019年9月28日
【脚本】大森寿美男
【モデル】奥山玲子(アニメーター)
【主役】奥原なつ(演:広瀬すず)
【舞台】北海道、東京都
【時代】1946年~1975年
【ナレーション】
内村光良
【主題歌】スピッツ「優しいあの子」
敗戦直後の日本で戦災孤児となった主人公がやがて「漫画映画」こと、アニメーションと出会いアニメ業界へ飛び込んでいく話。
平成最後の作品であると同時に令和最初の作品。そして記念すべき朝ドラ100作目。
そのため放送開始前から朝ドラ100作をアピールする施策を行っており、朝ドラ全体の公式サイト「朝ドラ100(現:朝ドラ全史)」を開設。「
チコちゃんに叱られる!」とのタイアップでスペシャル番組を放送したり、「朝ドラ100作 ファン感謝祭」ではNHKとしては初となる朝ドラ作品人気投票を行ったりした。
この作品の発表が行われたのは前作「まんぷく」の発表から僅か1週間足らずで、通常よりもかなり早い発表となった。これはNHKの働き方改革の影響によるもので、従来よりも数か月早くクランクインすることになったためである。
本作は特に気合の入ったキャスティングがされており、当時大ブレイク中だった若手女優の広瀬すずを朝ドラヒロイン役としてオファーで起用しており、その他脇を務める役者はイケメン若手俳優ばかりだったり、北海道が舞台故「TEAM NACS」のメンバー全員がバラバラで出演したり、ナレーションは今なお高い人気を誇るお笑い芸人「ウッチャンナンチャン」の内村光良を起用したりと様々な年代の人気者を集めた布陣だった。
この他角野卓造が出演しているが、当時の裏番組だった「スッキリ」(日本テレビ)にハリセンボンの近藤春菜がレギュラー出演していたことから「
角野卓造が裏被りしている」とSNSで話題となった。春菜はこの年から同じNHKの「土曜スタジオパーク」(現:土スタ)の司会に就任したため、番組で「なつぞら」特集をした際には(例のフリを振られたうえで)この件に言及している。
本作には歴代朝ドラヒロイン(幼少期を演じた元子役も含む)計15名が脇役として出演している。その中には前作の朝ドラヒロインだった安藤サクラが声のみの出演であるが早速この布陣に名を連ねている。これは意図的にやったことであり、過去99作品を製作した先人達への「リスペクト」であるとともに、見続けた視聴者への「カーテンコール」であるとしている。言うなれば、
朝ドラ版「アベンジャーズ」みたいなものである。
北林早苗 1作目「娘と私」(少女期役)
藤田三保子 14作目「鳩子と海」
浅茅陽子 17作目「雲のじゅうたん」
原日出子 28作目「本日も晴天なり」
小林綾子 31作目「おしん」(幼少期役)
田中裕子 31作目「おしん」
山口智子 41作目「純ちゃんの応援歌」
戸田菜穂 49作目「ええにょぼ」
松嶋菜々子 54作目「ひまわり」
岩崎ひろみ 55作目「ふたりっ子」
三倉茉奈 55作目「ふたりっ子」(幼少期役) 79作目「だんだん」
藤澤恵麻 70作目「天花」
比嘉愛未 76作目「どんど晴れ」
貫地谷しほり 77作目「ちりとてちん」
安藤サクラ 99作目「まんぷく」
また、アニメが題材なだけあって数々の声優が顔出し出演or声での出演をしている。役柄は本業通り声優役から業界人役まで様々である。
山寺宏一 元活動弁士の大物声優
高木渉 番組ディレクター
田中真弓 福祉事務所の職員役 「わんぱく牛若丸」の主役
沢城みゆき 声優初挑戦の若手女優
真柴摩利 犬の洋画作品の吹き替え
ならはしみき 本作オリジナルアニメ「魔法少女アニー」の主人公役
須藤祐実 本作オリジナルアニメ「魔法少女アニー」に登場する女の子役
真殿光昭 本作オリジナルアニメ「キックジャガー」の主人公役
岩崎ひろし 須藤沙織 本作オリジナルアニメ「ヘンゼルとグレーテル」に出演した声優で顔出し出演も果たした
ちなみに、OP映像等のアニメパートは本作のアニメーション監修者である舘野仁美のスタジオ「ササユリ」と「東映アニメーション」が担当し、「シンエイ動画」、「スタジオカラー」、「コミックス・ウェーブ・フィルム」、「オープロダクション」、「スタジオパブロ」など名だたるアニメ制作会社所属のスタッフが参加している。
また、アニメーションの時代考証は主人公のモデル奥山玲子の夫であり同じくアニメーター・キャラクターデザイナーの小田部羊一が行っている。
2019年11月2日に「なつぞらSP 秋の大収穫祭」のタイトルで2作のスピンオフドラマが放送された。番組の合間に、本編より反響の多かったシーン「なつぞら名場面10選」や未公開映像もあわせて放送されている。
101作目 スカーレット
【放送期間】2019年9月30日~2020年3月28日
【脚本】水橋文美江
【モデル】神山清子(陶芸家)
【主役】川原喜美子(演:戸田恵梨香)
【舞台】滋賀県、大阪府
【時代】1947年~1987年
【ナレーション】中條誠子アナウンサー
【主題歌】Superfly「フレア」
女性陶芸家であり、白血病により自身の息子を亡くしたことがきっかけで骨髄バンク設立運動にも奔走した神山清子の半生を描いた作品。
令和にスタートした作品としてはこれが初。
NHKの働き方改革の影響により本作が最後の月~土曜放送作品となった。
本作の舞台地である滋賀県出身者である
西川貴教が演じる芸術家のジョージ富士川のモデルは
岡本太郎ではないかと視聴者から推測されている。その根拠として「自由は、不自由や」という格言で有名になったという設定があるが、岡本太郎も「芸術は爆発だ!」の格言が有名であることと、岡本太郎は近江の陶器と関わりがあったということである。
本作の終盤が放送された時期はコロナウイルスが日本にも蔓延し始め、爆発的に流行する前の2020年2月29日にクランクアップとなったものの、新型コロナウイルス感染症感染拡大防止の観点から、報道陣を集めての取材会は行われず非公開となった。そして次作以降からしばらくの間、コロナウイルスが朝ドラそのもののスケジュールに大きな影響を与えることになる。