道の駅

登録日:2023/11/19 Sun 12:03:00
更新日:2025/04/22 Tue 15:05:27
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【概要】

道の駅とは、各市町村が道路管理者と連携して設置し、国土交通省*1により登録された、休憩施設にして地域を盛り上げるための施設である。
早い話がサービスエリア(SA)/パーキングエリア(PA)の一般道バージョンと思えばいい。
少数派ながらSA・PAと道の駅を兼ねる施設もあり、一般道と高速道路の両方から入れるようになっている。
国土交通省主管の「道の駅」という名称から「自動車ドライブの際の休憩所」というイメージが強いが
あくまで地域の休憩施設なので「家の近くにある道の駅に徒歩で行って軽くダラダラして帰る」というのも想定された用法である。

1991年10月、山口県岐阜県栃木県の3県に試験的に設置されたのが始まり。
約半年間のテストの結果、「地元のコミュニティー形成」「地元特産物のPR」などの効果が認められ、試験は成功裏に終わった。
こうして1993年2月23日に「道の駅」登録・案内制度が創設され、登録の申請・受付を経て4月22日に「道の駅登録証」が103の施設に交付され道の駅がスタートした。
その後も年々設置する自治体が増えていき、2025年2月現在、制度開始時の10倍以上の1230ヶ所が存在している。
かなりの数に見えるが、まだ設置していない自治体の方が多いので、それほど飽和状態というわけではない。
各都道府県に存在しているものの、東京都たったの1つだけしかない。
しかも今後も増やすかどうかは未だ不透明である。
なお、一度登録したが高速道路の開通などで利用者数が減少し登録抹消となった道の駅はたったの4つである。*2*3

国土交通省によれば道の駅には3つの大きな機能が備えられている。
1つめは休憩機能。24時間無料で利用できるトイレや駐車場などがそれを果たしている。
2つめは情報発信機能。道路情報や地域の観光情報、急な怪我や病気に陥ってしまった人のための緊急医療情報などがそれを果たしている。
どこの道の駅にもある道路状況などを表示するディスプレイだが、ぶっちゃけあれは遠隔表示しているパソコンの画面なので道の駅にいる人間に緊急で伝えたい情報が発生したらそこに表示させる前提になっている。
発信と言いつつ利用者からの通報受付機能も求められているがそれは緊急通報機能付きの公衆電話で事足りる。最近ではフリーWi-Fiを置くところも多い。
3つめは地域連携機能。文化共用施設や観光レクリエーション施設などの地域振興がそれを果たしている。
これら3つにより、道路利用者の安全で快適な道路交通提供や地域の振興を果たしている。

ほとんどの道の駅は自治体が建設・所有し、第三セクターや民間会社に運営を委託する方式で経営されている。
第三セクターや公益法人が設置しているものもあるが、ごく稀である。
またサービスエリアやパーキングエリアなどの既存の施設を道の駅としてリニューアルオープンするパターンもある。

なお、川の駅や里の駅など道以外の○○の駅も時々あるが、それらは道の駅としての基準を満たさず国土交通省の認可を得ていない「道の駅のようなもの」である。紛らわしいものとして街道の駅なるものがあるが。
しかしながら、改修工事を行い国土交通省の審査を受けた結果道の駅へと昇格した所も少なくはない。

【施設一覧】

…とはいうものの前述した休憩機能や情報発信機能を備えた場所こそが「道の駅」でそれ以外は 付帯設備 である。
つまりトイレやベンチ等休憩設備、情報表示機器のある場所さえ生きていれば道の駅としての機能なので
レストランや売店が入ってる一見メインぽい建物は入居している業者の都合やトラブルで閉鎖しても「道の駅」としては独立稼働できるような構造になっている。
道の駅や高速のSA、PAでトイレが離れたところにちょこんとあるようなところが多いが本来はそちらが道の駅等のメインということ。

・レストラン
ガッツリご飯食べたい人向けの施設。
その土地の郷土料理や特産品が使われた料理の提供が多い。

・喫茶/軽食/テイクアウト
レストランよりもお手軽に食べられる商品を展開している。レストランはなくてもこれがあるという道の駅も多い。

・観光案内所
情報発信機能の源なので、ほとんどの道の駅にある。
その土地にどのような名所があり、どのようなイベントがあるのかなどを知ることができる。

・ショッピングコーナー
その土地の特産品や農家の野菜が販売されている。大抵JAが運営している。
場所によってはコンビニエンスストアが設置されているところも。
安価なおもちゃが売っていることもあり、子供の時ねだった人もいるはず。

・トイレ
これがない施設はまずないだろう設備。
しかし、古い施設だと洋式がなかったり多目的トイレがなかったりすることも。
多目的トイレがあるか否かは道の駅の公式ホームページで確認できる。

・温泉
多くはないが、温泉施設がある道の駅がある。
また足湯だけというところも。
後述の宿泊施設と併設している場合もある。

・宿泊施設
道の駅は休憩施設なので車内泊は基本的に禁じられている。
その代わりとして宿泊できる道の駅が僅かながら存在しており、ホテル・旅館型のところもあればキャンピングカーサイトが併設されているところもある。

・ドッグラン
愛犬と散歩したりして楽しむ施設。
近くに川や海があるところは思い切りそこで泳がせることもできる。
またその需要を見越して地域の特産品を使用したオリジナルのドッグフードを物産展などで販売しているところも。

・水族館
いずれも小規模ではあるが、その土地の水生生物が展示されてある道の駅がある。
例を挙げると富山県の「道の駅 ウェーブパークなめりかわ」ではホタルイカが、北海道の「道の駅 おんねゆ温泉」では北海道に生息する幻の巨大魚イトウが展示されている。

・博物館/美術館
その地域の芸術家の美術品だったり伝統工芸品などその地域に根深い物が展示されている。
九州産業大学美術館から全国にある美術館・博物館がある道の駅マップが発行されており、ネットからだと関東「道の駅」のサイトで見ることができる。

・生簀
地域性の高いものになるが、水産物を販売する道の駅には獲れたての水産物を保管するための生簀や、それを捌いて加工するための設備などが設けられている。


【その他特徴的な道の駅】

道の駅 遠軽 森のオホーツク(北海道 遠軽町)
少し離れた所にスキー場がある道の駅はちらほらあるが、この道の駅はなんとスキー場が併設されている。
よってスキーヤーやスノーボーダーホイホイな道の駅であるといえる。
夏にはサマーゲレンデを楽しむことができる。
また4月~10月までにはジップラインやツリートレッキングも楽しむことができる。

道の駅 ぐりーんふらわー牧場・大胡(群馬県前橋市)
その名の通り牧場を持つ道の駅である。
その広さはなんと東京ドーム4個分と非常に広大であり、恐らく1番広い道の駅であろう。
牛やポニー、羊などの動物と触れ合うことができる。
大きな風車があるのも特徴的である。

道の駅 保田小学校(千葉県 鋸南町)
名前から分かる通り、廃校になった小学校を大幅改修し道の駅にした施設である。
既存の施設を道の駅にするのはよくある手法だが、廃校になった学校を道の駅にというのは非常に珍しく、他には岩手県の「道の駅 三田貝分校」と、滋賀県の「道の駅 奥永源寺渓流の里」しかない。
中に入った瞬間懐かしさを感じるとして、リピーターが続出している。
美術室はアートギャラリー、音楽室は音楽・ダンスの練習やミニコンサートを行える貸しスタジオ、家庭科室は調理実習や農・水産物の加工品試作などが行える貸し調理室と、元々の設備を最大限に活かしている。

道の駅 神戸フルーツ・フラワーパーク 大沢(兵庫県神戸市北区)
まるでヨーロッパに紛れ込んだかのような外観である。
桃やブドウを採取できたり、観覧車やジェットコースターに乗れたり、パターゴルフで遊べたりと道の駅というよりはまるでテーマパークのような道の駅。
それもそのはずで、1993年にオープンした当初は中世ヨーロッパをイメージした市営テーマパーク「フルーツフラワーパーク」だった。
徐々に来場者数が減りピーク時の4分の1にまで落ち込んだため、「テーマパークのような道の駅」として再オープンすると来場者数はV字回復。
逆転の発想で奇跡の復活を遂げた施設なのである。

道の駅 とざわ モモカミの里「高麗館」(山形県戸沢村)
施設の外観は韓国風、お土産も韓国産の物品、レストランも韓国料理オンリーという異色の施設。
道の駅というよりは東京ドイツ村とか新潟ロシア村とかそっち系に見える
戸沢村は一時期人口減少対策として村民と韓国人女性の国際結婚を推進しており、韓国系人口の比率が非常に高い村となっているため、韓国要素を全面に押し出した施設となった。

道の駅 八王子滝山(東京都八王子市)
施設そのものはほぼテンプレ通りの道の駅といった風情で特筆すべき点はさほどないが、最大の特徴は東京都に存在する唯一の道の駅であるという点。
都市機能が十分すぎる程に発達している東京都には道の駅が求められる場面がそもそも少ないのかもしれない。



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最終更新:2025年04月22日 15:05

*1 制度開始時の名称は建設省だった。

*2 2004年に京都府の「道の駅茶処 和束」、2013年に兵庫県の「道の駅山崎」、2022年に北海道の「道の駅足寄湖」と「道の駅フォーレスト276大滝」

*3 運営上の都合による移設、つまり土地も建物も別物に改められたが名目上は前の駅と同一というものはある。