サヴァージ・オプレス

登録日:2019/05/08 Wed 12:00:00
更新日:2023/03/29 Wed 08:11:50
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「どうやって勝つ!? 誰が教えてくれる!!?」


【概要】

サヴァージ・オプレス(Savage Opress)とは、映画『STAR WARSシリーズ』関連作品に登場する人物。

CGアニメ『クローン・ウォーズ』にて初登場したキャラクターで、EP1「ファントム・メナス」に登場したシスの暗黒卿ダース・モールの弟である。
ただ、異母兄弟なのかなど、詳しい血縁ははっきりしない。
(モールの母と言われるマザー・タルジンのセリフがいちいち胡散臭い*1ことや、サヴァージを見たときのタルジンが初対面のような反応をしていることから、少なくともサヴァージはタルジンの子ではないと思われる)



【人物】

「いまさら、命乞いか。腰抜けめ!」

種族は、頭の上に鋭い角を生やした「ザブラク」。
ただ、ザブラクは一般に惑星イリドニアの出身だが、サヴァージたちは故郷を離れて「魔女の星」と呼ばれる惑星ダソミアに入植した分派である。
もっともこの惑星ダソミアは「魔女の星」と呼ばれるように、ナイトシスターという強力な魔術を使う女だけの部族が支配している世界である。
男性が生まれないわけではないが、彼らは「ナイトブラザー」と呼ばれ、ナイトシスターとは別の集落に住まわされる。その力関係というか立場関係は圧倒的に女が上で、実質ナイトブラザーはナイトシスターの奴隷に等しい。


もともとサヴァージは、ナイトブラザーのなかでもかなりの身体能力とそれなりのフォースの才能を持ちながらも、性格は温厚でまじめ、家族や同胞を大切にしつつ、戦闘には勇敢に挑む、ある種の誇り高い戦士だった。

しかしアサージ・ヴェントレスとマザー・タルジンたちに施された魔術で性格が一変
フォースの暗黒面により適応する、凶暴で残虐、攻撃的で殺意をむきだしにする性格へと変貌した。
その残忍さたるや、洗脳前は自分が身代わりになってでも守ろうとした弟を、洗脳直後に素手で絞め殺してしまったほど。


ただこの洗脳はうまくいったとは言いがたく、おかげで彼は力の加減や状況把握ができなくなり、命令内容を忘れて暴走するようになってしまう*2
その上、もともとの穏やかな性格を洗脳で凶暴化させているような状態だったので、しばしば弱音を吐いたり困惑したりと、迷いや甘えを見せるようになった。


力と残虐さが増した化け物になったが、戦士としては退化したと言っていいだろう。


【能力】

「すべてを敵に回せば俺に勝ち目はない!!」


パワーだけなら圧倒的。

洗脳前から体術に秀でており、フォース感知能力の片鱗も見せ、アサージの本気で殺すつもりの試験を生きて突破した。
それからのマザー・タルジンの魔術強化によって筋肉はさらに膨張し、身長もアップ
暗黒面のフォースも恐ろしいほどのパワーで使えるようになった。ついでに角も尖る。
肉体面でもフォース面でもとにかくパワーに突出しており、まさに「怪力」である。

またどういうわけだか、ブラスターを食らっても即死しないという尋常ではないタフネスも持っていた。
ダソミアの魔術で生み出された鎧を着ていたのでそのおかげと思われるが、ストームトルーパーのようにブラスターは鎧を貫通するので…… こいつ本当に生物か?

この時点で、体術の鋭さとフォースの強さは並のジェダイが手に負えるレベルになく、初陣ではマスタークラスのジェダイとそのパダワンを瞬殺し、送り込んだドゥークーも手早さには驚いたほど。


しかし上記の洗脳の悪影響で精神面のバランスが崩れ、戦闘技術はむしろ退化。力任せの攻撃はオビ=ワンから「血に飢えた野獣のやり口」と評された。
そもそもナイトブラザーの体術もしょせんは田舎拳法に過ぎず、世界の中心と言うべきジェダイ聖堂で練磨したドゥークーにはまったく及ばない。

フォースの技術についても、凶暴化した精神から引き出せる暗黒面のフォースは確かに莫大ではあるが、安定して引き出すことも集中してコントロールすることもできない。
念力など基礎的なものはできるが、感知能力など細かい芸当や応用は明らかに劣る。
上述の通り、弱音や迷いを漏らすなど、精神的な弱さや甘えも露呈している。

ただセンスまで悪い訳ではないらしくドゥークー伯爵いわく「技術が伴っておらん。荒っぽい。だがきちんと訓練を受ければ強くなれる。才能はあるようだ! 磨けば光る」

総評すると、パワーだけはひたすら大きいがそのほかはひたすら未熟
本人もそれを自覚しており、劇中ではよく師となる人物を求めてさまようことになる。


なお、使用するライトセーバーは兄ダース・モールのものと同じ、両方から刃の出るダブルブレード・ライトセイバー
ビーム放出口にはブレードのような部位があり、これはドゥークーのセイバーと同じ特徴。
ドゥークーの弟子になってすぐ、ライトセイバーを作る技術も暇もなかったときにもう持っていたので、おそらくドゥークーが作って与えたものと思われる。

【来歴】

◆前歴

もとは惑星ダソミアのナイトブラザーの一部族に所属し、一族とともに鍛練に勤しんでいた。

あるとき、ナイトシスター出身のシス崩れのダークジェダイアサージ・ヴェントレスが、優秀な男を求めて飛来。サヴァージたちの部族、ダース・モールの血縁者から刺客を選んだ。
アサージの「敗者は殺す」非道な試験に憤りつつも、弟をかばいながら奮戦。
家族を助ける甘さは毛嫌いされたが、その素質を見込んだアサージによってマザー・タルジンのもとに運ばれた。

そこで彼は、暗黒面のフォースを扱いドゥークーを殺す刺客となるべくナイトシスターの魔術を施され、筋骨隆々たる巨体と、守ろうとした実弟を手に掛ける、血に飢えた野獣のごとき凶暴性を備えた「怪物」と化した。


◆ドゥークー暗殺計画

折しもドゥークーは、追放したアサージに代わる新たな暗殺者兼弟子を求めており、それにつけ込んだマザー・タルジンは調整したサヴァージを独立星系連合に推挙。
その巨躯とフォースの力強さを見て取ったドゥークーは喜び、かつ最初の任務で並のジェダイを瞬殺する強さを見せたことで、彼を本格的に新しい弟子として、暗黒面の修業をつけることになった。

「憎しみを力に変える道」であるだけに、フォースの稲妻を浴びせられるなかで憎悪と集中力を強化し、そうして暗黒面のフォースを引き出してコントロールする、というスパルタ式の修業をたたき込まれる。
もちろん楽しいはずがなく、サヴァージは師への憎しみを募らせるが、それによって確かにパワーや技術、集中力は上がったため、ドゥークーに対しては憎悪とともに敬意や憧憬が芽生えたようである*3
ドゥークー側も期待するところがあったようで、高価なプンウォーカ型ソーラーセイラーを一機与えている。


しかし二度目の試験中、生け捕りにして連れてこいと命じられた対象を乱戦のさなかに絞め殺して持ち帰ったため、ドゥークーの激怒を買い稲妻の制裁を浴びながらも謝るサヴァージだったが、
そこに彼を派遣した黒幕のアサージ・ヴェントレスが出現
ドゥークーに派遣する前に施しておいた暗示が起動され、アサージの支配下に戻ったサヴァージはふたり掛かりでドゥークーに挑む。

しかしサヴァージの力は、確かにドゥークーの手からライトセイバーを弾き飛ばすほどだったが、力任せの攻撃では洗練されたドゥークーには手も足も出ず、アサージからも「お前なんかに頼ったのが間違いだ!!」と罵倒され、視聴者からはフォース・天丼・ライトニングでシリアスな笑いをされる。

その苦痛と屈辱でついにサヴァージは暴走。すさまじいフォースグリップでドゥークーと、そしてアサージまで締め上げた。
能力も精神も暴走したサヴァージは敵味方の区別なく暴れ回り、ついにはアサージからドゥークー追撃に締め出されてしまう。
ドゥークーはおろかアサージにも見捨てられたことに困惑したサヴァージは、折しも追ってきたオビ=ワン・ケノービアナキン・スカイウォーカーに目標を改め、すさまじいパワーでふたりまとめてぶっ飛ばす。
しかしやがてドロイディカ含むドロイド部隊まで敵に回り、四方八方から攻撃を受けた彼は大敗。
ボロボロになった彼は命からがら惑星ダソミアに逃げ帰るが、導き手も失ったことを嘆いた。

そんな彼にマザー・タルジンは、彼の生き別れの兄の生存を示し、彼を師とするよう助言して送り出した。


◆兄を求めて三千里

クローン戦争も二年目に入るなか、マザー・タルジンのタリスマンの光を頼りにさまよったサヴァージは、ゴミ処理惑星ソロ・マイナーに潜入。
途中、モーレイと言う蛇型の宇宙人に接触させられたサヴァージは、彼の罠によって地下道に落とされ、そこで「モーレイのご主人サマ」の襲撃を受ける。

その下半身がクモのようになった怪物こそが、彼の生き別れの兄、ダース・モールの変わり果てた姿だったのである。
敗北の屈辱と、生き延びるあいだに味わった苦痛、十二年間ほかに向き合うものがなく、復讐心に浸りすぎたダース・モールは完全に発狂しており、かつての寡黙さはどこへやら、独り言をつぶやいてのたうち回る状況だった。

さすがのサヴァージもこの様にはあきれたようだが、なんとか彼を宇宙船に押し込んで、グリーヴァス将軍の討伐を受けて壊滅していた惑星ダソミアに帰還。
マザー・タルジンは魔術を施してモールの精神を再起させるとともに、B2バトルドロイドの残骸を利用して、モールに新しい下半身を与えた。
兄と合流できたサヴァージは、彼にクローン大戦のあらましを説明して、兄の復讐の協力を決意。
モールの指示を受けながら、討伐に赴いたオビ=ワンを背後から奇襲し、不意討ちに成功して気絶させた。

勝利した兄弟は宇宙船のなかでオビ=ワンを痛めつけたが、そこにアサージ・ヴェントレスが侵入。なんとオビ=ワンを救出し、二人でモール兄弟に挑んだ。
戦況はモール兄弟がリードしていたが、オビ=ワンとアサージは脱出してしまう。


◆シス兄弟の戦い

なにはともあれ合流した兄弟は、今度は独立するべく資金力と組織力を構築し始めた。
といっても、策謀よりも戦闘が得意なふたりであるため、その手段はもっぱら貿易船や海賊船を襲撃しての「荒稼ぎ」であった。
その過程で、ジェダイ評議員の一角アディ・ガリアを含む多くのジェダイも正攻法で撃破しており、腕を急速に上げていく。

また、この過程でサヴァージは兄モールの「シスとしての弟子」になる。
本人は当初、兄弟なんだから支配関係を持ち込むべきではないといったが、モールは「シスは師匠と弟子の二人だけが存続を許される」と説明し、自分が師匠、サヴァージが弟子になるのが筋だと説く。
当然サヴァージは反発してライトセイバーを構えたが、筋力は上でも戦闘技術やシスの知見は圧倒的にモールが上で、あっさり完敗。兄の弟子となる。


とはいえ兄弟間の相性は良かったようで、負けたサヴァージは見違えた兄を素直に認めており、モールもなんだかんだ言ってサヴァージの弱音を励ましたりしているこいつらほんとにシスか?


勢力拡張に乗り出した当初は、大海賊・尾仲本堂さん ホンドー・オナカーの勢力を奪おうと惑星フローラムに攻め込んだが大敗北を喫し、あげくオビ=ワンに左腕を斬り落とされるなど、成功と蹉跌を繰り返した。

しかしフローラムの敗退後、マンダロアの保守武闘派勢力「デスウォッチ」に拾われ、左腕もサイボーグ化して復活。
作戦を考案するようになったモールに対して、戦闘のみに活躍するようになる。
犯罪組織として名高いブラックサンとハット評議会を襲撃した場面でも、その蛮勇をフルに発揮して大暴れした。
このころは少し落ち着き知恵も身に着けたようで、
命令を無視した殺しは自制する、敗北の演技を立派にこなす、兄の作戦を裏まで理解するなどして、モールからも褒められている。

「獲物を釣り上げさせておいて横からかっさらう、か」
「利口になったな、我が弟子よ」

そうした自制が功を奏して、惑星マンダロアの支配を確立。
ハット評議会、ブラックサン、パイクシンジケートという名だたる犯罪組織を「シャドウコレクティヴ」に従えた、
名実共の闇の大物兄弟として、君臨することになった。


◆転落

おそらくはこの時点が、サヴァージ・オプレスの人生における絶頂期であっただろう。


ところがそれからほどなくして、モール兄弟の帝国は突如、シス卿、ダース・シディアスの奇襲を受けた。
シスは常にふたりしか存在してはならない。すでに正規のシスとしてシディアスとティラナスがおり、師を越えうる力を得た以上、
モール兄弟の存在は許されなかったのである


「そなたは余の、敵となった!!!」


シスの掟に従い猛然と攻撃を掛けるシディアスに対して、覚悟を決めたモールとサヴァージもライトセイバーを起動させて太刀向かう。
しかし真のシスの実力は兄弟の想像をはるか超え、フォースの技術はおろか剣術でもシディアスはモールとサヴァージを圧倒。
サヴァージの筋肉とフォースが織りなす怪力すらも通じず、あまつさえ軽々と蹴り飛ばされる。

ついにモールがフォースの念力で弾き飛ばされ、一対一になったサヴァージはダブル=ブレード・ライトセイバーで猛攻を掛けるが、
いまだ粗さが抜けなかった剣術と体術ではシディアスを超えることはできず、二本のライトセイバーで胴体を穿たれてしまった。


「兄弟……」

致命傷を負った肉体からダソミアの魔力が抜けていく。
筋肉がしぼみ、角が縮み、ナイトブラザーだったころの細い肉体へと戻っていくなか、サヴァージは自分の手を握る兄の、悲しみにゆがむ顔を見つめていた。

「不甲斐なくて済まない……おれはあんたとは違う……駄目な男だった」


死への恐怖でもなく、敵への恨みでもなく、ただ兄への詫びだけを伝えて、サヴァージ・オプレスはあまりにも唐突に息を引き取った。


【余談】

  • 性格
もともとサヴァージは、家族が傷付くと駆け寄って助けようとする優しい性格だった。
彼がシディアスに殺されたとき、モールは目の前の敵を無視して弟のもとに駆け寄った。その場面は構造を含めて、サヴァージがアサージ・ヴェントレスから弟を助けようとした場面に似ており、二人が意外なところで兄弟であったということを強く印象付けられる。





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「利口になったな、我が弟子よ」

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最終更新:2023年03月29日 08:11

*1 というか、サヴァージ登場後に書かれたレジェンズ小説「ダース・プレイガス」だと、モールはタルジンの子ではなく、母親はむしろタルジンからモールを逃がそうとしていた。

*2 洗脳前は連携を指示することもできたが、洗脳後は敵味方お構いなしに暴れだした。

*3 ドゥークーのライトニングを苦しみながらも「すごい力」と評し、次のミッションを受けたときには素直な面立ちを見せたりしていた。