ババサレ

登録日:2019/07/28 Sun 20:48:28
更新日:2024/08/08 Thu 18:54:40
所要時間:約 3 分で読めます




日本の現代妖怪の一種。
今の子供たちはちょっと知らないかもしれないが、一昔前の子供たちは現代の妖怪をまとめた本などでその存在を知り、恐怖に怯えていた。
とはいっても「ババ」という名前から「ああ、お婆さんの妖怪なんだな」と想像つくくらいで、それが何なのかわからない読者も多いと思われるので、ここではその詳細を解説する。


概要

鎌を携えた老婆の姿をした妖怪。ババサレの話を聞いてしまうとドアや窓の向こうに現れてドアをドンドンと叩く。
この時うっかりドアを開けてしまったが最後、ババサレに鎌で首をチョン切られてしまうという
ただし、ドアを開けず「ババサレ、ババサレ、ババサレ!」と、三回唱えればババサレは逃げていくという。
かつて、NHKの朝ドラ『おしん』で主人公の幼少期を演じた小林綾子氏が、その撮影現場でこの話を披露したという記録がある。


ババサレの仲間たち

日本の都市伝説の集大成ともいえる書籍『日本現代怪異事典』(朝里樹著、笠間書院)には巻末に「ババサレの怪」として様々な仲間たちの名前がまとめられている。

  • バーサレ
この怪異の話を聞いてから三日以内の真夜中、寝ている間に老婆が現れ体をゆする。
この時目を開けると心臓を食われてしまうが、目を閉じたまま心の中で「バーサレ、バーサレ、バーサレ」と唱えると襲われない。

  • 姥よ去れ
深夜2時ごろ、ドアをノックする音が聞こえてきたら
姥よ去れ、姥よ去れ、姥よ去れ
と唱えないと老婆にどこかに連れていかれてしまう。
またこの話を聞くと一週間以内に彼女が現れる。

  • バッサリ
原典ではババサレの仲間として紹介されており、親の声真似でドアを開けさせて鎌で首をチョン切るところも共通するが、
正体が老婆かどうかは不明であり、また呪文で退治する要素も失われている。

  • バファシサロ
昔、バファシサロという音楽家が戦乱に巻き込まれ、銃や矢を一身に受けながら走り続け、戦乱が終わると血まみれになって果てた。
死後その霊が怪異となって現れ、夜中12時ごろに戸を叩く音が聞こえたら「バファシサロ!」と呼んであげないと彼と同じように血まみれになって死亡する。

  • バーニシャル
雨の続く夜、山奥に住む男性がドアをノックする音を聞いたので開けてみるとそこには老婆がいて目がピカッと光った。
その瞬間男性は内臓が飛散して死亡した
この話を聞いた人のもとにはその老婆が現れるので、彼女を見たら
バーニシャル、バーニシャル、バーニシャル
と唱えなければ男性のように内臓が飛散し命を落とす。

  • バーザル
ババサレの類話だからといって老婆の姿をしているとは限らない。
事典の拾遺として『日本現代怪異事典 副読本』で紹介されたこのバーザルは女性の姿をした怪異である。
夜、壁を背に勉強をするとバーザルが壁から出現して肩を二度叩いてくるが、振り返ったら首を切断されるという。バーザルにはババサレのような撃退呪文は存在しない。
他にもババサレの類話として、少女の姿をしているかもしれない「バーバラさん」というものもある。


創作作品におけるババサレ


ヒィイイイイイイアアアアアア

第6話「扉を裂く悪魔の手 惨劇の夜」に登場。
赤く輝く目をした和装の老婆の姿をしているが、紫色でボロボロのフード付きローブを纏い、小型の鎌を携え、宙を浮きながら襲い掛かる異様な姿はまさに死神。
扉をドンドン叩いて扉を開けるように仕向け、不用意に開けた子供を鎌で襲う。
扉を開けた瞬間一気に襲うこともあれば、一旦姿を消して標的の警戒心を解かせて後ろを向いた瞬間襲撃したり、子供の親の声を真似て警戒心を緩めさせたりと芸達者。
そして扉を開けてもドアチェーンなどで対策をしている場合や、ババサレの姿を認識した状態で扉を閉めて開けない場合はドアチェーンを鎌でぶった切ったり扉や窓を鎌でブチ壊して実力行使で家に侵入する武闘派でもある。
あくまで命を奪うわけではないようで死者こそでなかったが、代わりに襲われた子供はショックのあまり寝込んでしまう。
人の恐怖心に付け込む存在であるため標的の子供を仕留めるまで延々と追い回して強引に家に入り込んでくる執念深さを見せる反面、ババサレに恐怖心を持たない者やオバケを信じていない大人には認識できず、その場に存在できない。
またババサレが襲来する家は突然停電し電話が不通になる怪奇現象が起こる。

主人公宮ノ下さつきの母によって先述の呪文と悪霊封じの結界で霊眠させられていたが、裏山の土地開発の影響で復活。
アバンタイトルで夜遅く留守番している少年に襲い掛かり、別の家でも少女を声真似で誘き寄せ、後ろから襲撃
さらにクチビルメガネレオの自宅に出現し、鎌でドアチェーンを引きちぎる荒業を見せた。
退治方を知っていたレオは呪文を唱えるも、裏山の結界が破壊されていたため効かなかった。
逃げ出したレオを追って今度は宮ノ下家に出没。さつきの弟敬一郎をターゲットに捉え、さつきの声真似で誘い出そうとするが、さつきとハジメの協力で失敗。
天窓を突き破って再び宮ノ下家に現れたものの、さつきがひっくり返したカレーを被ったときに体が半透明になったため、さつきは彼女の弱点はお湯だと勘違い。
ハジメとレオによってお風呂に投げ込まれ、溶けてしまった。

……と思われたが、カーヤ(天の邪鬼)が発した「あいつは子供の恐怖心に反応する。お湯が弱点なんて事無いはずだぜ」という余計な一言がさつき達の恐怖心をかきたて復活。
絶体絶命のその時、帰宅したさつきの父と桃子を見てババサレは姿を消し、結局最後まで霊眠させられていない事を示唆しつつ物語は幕を閉じた。
最終回では逢魔に操られるオバケの一体として再登場し、再びさつき達に襲い掛かっている。


余談

恐怖心を糧とする妖怪は古くから見られ、臆病者に取り憑く「震々」や恐怖を感じるたびに背が伸びていく「見上げ入道」などがいる。

一説によれば、魔除けの真言の一部の「 バサラ 」や「 バザラ 」が訛った呪文で、
民間語源の要領で「お婆に去れと言ってるから老婆の妖怪なんだな」と姿が与えられたと言われている。


類似例

こうした話を聞いた者の所に現れるという都市伝説はネット上では「自己責任」と総称される。
不幸の手紙と同様に「人に話すとそれだけ分散する」設定が付くことも。

さらに、ババサレ同様「怪談のタイトルを唱えることで難を逃れられる」という妖怪には次のようなものもある。
  • 火龍蕎麦(かりゅうそば)
火龍蕎麦の話を聞いてしまった者の家にが現れ、火炎放射される前に「火龍蕎麦」と三回言わなければ火事になる*1

  • 僧文是(そうぶんぜ)
話を聞いてしまうと逆さづりにされて殺された僧侶に出る。その僧の名『僧文是』と唱えると坊主は去っていき助かる*2

  • 与田惣(よだそう)
話を聞くと、逆立ちした少年が毎日夢の中に現れてだんだん近づいてくる。完全に寄られる前に「よだそう」の謎が解けないと連れていかれる*3

  • ソウシナハノコ
話を聞くと、事故でバラバラになった少女が夢に出て小指を持ってくるように指示される。しかしその指示は非常に複雑で、間違えてしまうと夢の中から帰ってこられなくなるが、最初に「ソウシナハノコ」の謎を解けばその場でクリアとなる*4

ドンドン


追記・修正、追記・修正、追記・修正!

バ サ ッ

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最終更新:2024年08月08日 18:54

*1 「かりゅうそば」と早口で言い続けてみよう!

*2 「そうぶんぜ」逆さに読むと…?

*3 「よだそう」逆さに読むと…?

*4 「ソウシナハノコ」逆さに読むと…?