ジョン・ウィック(映画)

登録日:2019/08/25 Sun 01:57:00
更新日:2024/03/12 Tue 16:09:19
所要時間:約 6 分で読めます





DON'T SET HIM OFF



見惚れるほどの、復讐。



概要

『ジョン・ウィック(原題:John Wick)』は2014年に公開されたアメリカのアクション映画。R15+指定。
監督は本作が初監督作となるチャド・スタエルスキー、ノンクレジットだが後に『デッドプール2』も手掛けるデヴィッド・リーチも共同監督を務めている。
製作はサンダー・ロード・ピクチャーズ、配給はアメリカではライオンズゲート、日本ではポニーキャニオンが担当した。

生きる希望を失った伝説の殺し屋の壮絶な復讐劇を描く。
主演兼製作総指揮は『マトリックス』シリーズのキアヌ・リーブス、製作スタッフやキャストにも『マトリックス』の関係者が多く名を連ねている。
監督のスタエルスキーも『マトリックス』でスタント・コーディネイターを務めていた。

現代のアメリカ・ニューヨークの裏社会を舞台とし、全体的に芝居がかった演出や台詞回しが特徴。
主人公はその過去から主要・モブ問わず登場人物の多くと最初から面識があり、顔馴染み故のやり取りも独特な印象を与える。
日本のアニメや殺陣、マカロニ・ウェスタン、マーシャル・アーツ、香港映画のガンフーなどが参考にされたアクションは非常に評価が高い。

本作のヒットにより続編が2017年に『ジョン・ウィック:チャプター2』、2019年に『ジョン・ウィック:パラベラム』、2023年に『ジョン・ウィック:コンセクエンス』が公開された。

また、ドラマシリーズに若き頃のウィンストン・スコットが登場する『ザ・コンチネンタル:ジョン・ウィックの世界から』がある。

あらすじ

一見冴えない男・ジョンは最愛の妻・ヘレンを病で喪い絶望していた。
そんなジョンの元にヘレンが生前に手配していた子犬・デイジーが届き、ジョンは人生に新たな希望を見出す。
しかしある日、愛車のフォード・マスタング・BOSS429を狙って強盗が侵入、ジョンは袋叩きにされた上に車を奪われ、デイジーも殺されてしまった。

ジョンは奪われた車の情報を得るべく馴染みのガレージに向かい、車を持ち込んだ人物の話を聞く。
強盗の正体は以前働いていた組織のボスの息子・ヨセフの一味だった。

一方その頃、ロシアン・マフィアのボス・ヴィゴはヨセフが何を仕出かしたのかを知る。
ヨセフが怒らせたのは、裏社会の人間ならば誰もが震え上がる"伝説の殺し屋"ジョン・ウィック
ジョンに交渉を無視されたヴィゴは止む無く刺客を差し向ける。

ここに、伝説の殺し屋の凄惨な復讐の幕が上がる。


登場人物

演:キアヌ・リーブス/吹き替え:森川智之
主人公。
かつて闇の男(ブギーマン)(殺し屋)を殺す闇の男」として「ババヤガ」の異名で呼ばれた伝説の殺し屋
鉛筆一本で3人の男を殺した逸話など数々の伝説を持ち、裏社会のある者は親しみを込めて、またある者は畏怖の念を持ってその名を呼ぶ。
結婚を機に引退したものの僅か5年で妻を喪い、彼女から贈られた子犬・デイジーの世話と愛車を走らせることを手慰みに生活していた。
人生に希望を見出しつつあったが、ヨセフの襲撃で全てを失い、復讐のために裏社会に再び足を踏み入れる。

「腕が落ちたんだろう」と自嘲している*1が、戦闘能力は間違いなく作中最強。
銃やナイフはおろか、周囲のあらゆるものを武器として使いこなし、確実に敵を抹殺する。
タフネスも尋常ではなく、どれほどの深手を負っても動くことを止めない。主人公補正とは言うな。
何よりも恐ろしいのはその強靭な意思であり、一度自分が定めた「仕事」は何があろうとも文字通り「絶対にやり遂げる」
一方で、敵対行動を取ってさえいなければ積極的に殺そうとはせず、緊迫した状況でなければ見逃したり忠告をすることもある。

銃はドイツ製のものを好み、本作ではH&K P30Lとグロック26を使用。
「C.A.Rシステム」*2と呼ばれる、顔の正面で斜めに銃を構える姿が特徴的。

  • ヴィゴ・タラソフ
演:ミカエル・ニクヴィスト/吹き替え:堀内賢雄
ロシアン・マフィアのボス。ジョンのかつての雇い主であり友人。
老獪で経験豊かなボスだが、一方で非常に頑固で、失態を犯した部下はヒステリックに殺害する。
引退を申し出たジョンに対して「実行不可能な仕事」を条件として提示し、ジョンがそれを成し遂げたことで組織を一大勢力として確立させた過去がある。
ジョンの恐ろしさを誰よりもよく理解しており、息子のヨセフがジョンの逆鱗に触れたことを知った際は言葉を失い、顔を青ざめていた。
それでも親として息子・ヨセフを守るためにジョンに指名手配を掛け、自分の組織の刺客とフリーランスの殺し屋達を差し向ける。
そしてヨセフが殺されると報復としてマーカスを殺害し、これまでのジョンへの因縁を清算するかのように容赦のない勝負を仕向ける。
最期はジョンとの死闘の果てに致命傷を負い、「また会おう」と告げてこと切れた*3
演じたミカエル・ニクヴィストは2017年に肺ガンで亡くなった。

  • ヨセフ・タラソフ
演:アルフィー・アレン/吹き替え:金城大和
ヴィゴの息子。本作の全ての元凶。
次期ボスとしてヴィゴから教育を受けているが、その一環とはいえ趣味混じりの車泥棒を生業とするチンピラ。
父親の歪な部分をそっくり受け継いでいる上、親の七光りを振りかざす一面まで持っている。
偶然見かけたジョンのフォード・マスタング・BOSS429を気に入り手に入れようと考え、ジョンが何者であるかを知らずに家を襲撃。
車を奪うだけでなく喚くデイジーの殺害を部下に指示したため、激怒したジョンに付け狙われることになる。
ヴィゴからジョンの恐ろしさを散々説かれたにもかかわらず、護衛に任せきりで全く危機意識を持っていなかった程に傲慢で救いようがない。
実際に襲われるとさすがに恐怖を抱くが時すでに遅し。最終的にはアジトで「あんな犬如きに」と言うことすら許されずジョンに撃たれた。残念でもないし当然。

裏社会の登場人物の中でヨセフの一味のみがジョンと面識がない。

  • ウィンストン
演:イアン・マクシェーン/吹き替え:安原義人
あらゆる殺し屋達が利用する「コンチネンタル・ホテル」のニューヨーク本部のオーナー兼支配人。
ジョンとは親しく、ファーストネームを略さず「ジョナサン」と呼ぶ。
「(裏社会に戻ったのではなく)立ち寄っただけ」と言うジョンに対し、「骨の髄までとことん考え抜いたか?」「一度抜けた君が小指の先でも関わろうとするならドン底に逆戻りするかもしれない」と忠告を行う。
事実、ジョンは裏社会の沼から逃れられず、再び引きずり込まれていくことになる。

コンチネンタルは世界中の殺し屋達のサポートを行う組織であり、裏社会の巨大犯罪組織と同格の地位を持つ。
サービスの利用には独自に流通させている金貨が用いられ、武器の調達、情報の収集、仕事中の宿の提供、医者の手配、死体の始末などを請け負う。
掟の遵守を絶対としており、中でも「ホテルの中での仕事(殺し)を厳しく禁じている。
これを破ったものは追放処分とされた上、コンチネンタルを利用する全ての殺し屋から粛清対象とされ遠くないうちに抹殺されることになる。

  • シャロン
演:ランス・レディック/吹き替え:堀内賢雄
コンチネンタル・ホテルのコンシェルジュ。
ジョン個人に対し大きな敬意を払っている。

  • マーカス
演:ウィレム・デフォー/吹き替え:山路和弘
ジョンの親友の殺し屋。ヴィゴとも古くからの仲間。
スナイパーライフルを得物とする凄腕の狙撃手。
ヘレンの葬式にも出席し、傷心のジョンを気遣うなど情に厚い性格。
ヴィゴからジョンの殺害を依頼されるが、承知すると見せかけて陰ながらジョンを手助けする。
そして、最後はヴィゴから凄惨な手打ちを受けることに…

  • オーレリオ
演:ジョン・レグイザモ/吹き替え:家中宏
ジョンの友人で行きつけのガレージの主。ヴィゴの部下でもある。
ジョンのフォード・マスタングを持ち込んできたヨセフを殴り、ジョンの逆鱗に触れたことをヴィゴに伝えた。

  • ミズ・パーキンズ
演:エイドリアンヌ・パリッキ/吹き替え:東條加那子
ジョンの知り合いの女性の殺し屋。
300万ドル以下の仕事はしない主義。
ヴィゴの依頼を受けてジョンを襲撃する。
コンチネンタルの厳粛な掟を軽視しており、ホテル内で仕事を行ったためその報いを受けることになる。

愛銃はワルサー P99

  • アヴィ
演:ディーン・ウィンタース/吹き替え:根本泰彦
ヴィゴの右腕の弁護士。
ロシア語はわからない。

  • チャーリー
演:デヴィッド・パトリック・ケリー
掃除屋の老人。
ジョンの依頼で彼の自宅を襲撃したヴィゴの刺客達の死体を始末した。

  • キリル
演:ダニエル・バーンハード/吹き替え:家中宏
ヴィゴの組織の警備主任。
ジョンとは知古の関係で、彼の恐ろしさも知っている。

  • ジミー
演:トーマス・サドスキー/吹き替え:北田理道
ジョンと顔馴染みの警官。
現役時代のジョンを知っているため、周囲からの通報を受けて家を訪ねたものの状況を察して直ぐ立ち去った。

  • ヘレン・ウィック
演:ブリジット・モイナハン/吹き替え:竹内絢子
ジョンの妻。
笑顔が美しい魅力的な女性だったが、病で他界した。
一人残されるジョンを案じて子犬のデイジーを手配していたが、その思いは踏みにじられることになってしまう。






追記・修正は動物病院の犬を連れ、夜の街に消えたらお願いします。



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最終更新:2024年03月12日 16:09

*1 ウィンストンの台詞から現役時代は傷を負うことすら珍しかった模様。また、作中ではマーカスの助けが入らなければ殺されていたであろう場面が何度もあった。

*2 実在する銃の構え。至近距離戦に特化し、左右に素早く照準を振る事ができる事と、腕を屈ませて銃を構える事から敵に銃を奪われにくくしている事が特長。警察などの法執行機関で用いられている。因みに、エアガンで真似するとホップアップのかかり方がおかしくなるため目標に当てにくくなると言われる。

*3 野暮な解説をするとこの台詞は「地獄で待ってるぞ」という皮肉なのだが、とても死に際の恨み節には見えない爽やかな笑顔で言っているためか、「ジョンに見逃された」と誤解する視聴者が意外と多いようだ。