ジョン・ウィック:コンセクエンス

登録日:2023/10/22 Sun 17:03:34
更新日:2025/04/29 Tue 17:17:40
所要時間:約 6 分で読めます







報いを受ける時がきた


伝説の殺し屋は、決着に立ち上がる





●概要

『ジョン・ウィック:コンセクエンス』(原題: John Wick: Chapter 4 )は2023年に公開されたアメリカのR-15指定アクション映画。
ジョン・ウィック』シリーズの第四作目となる。
監督は前作に引き続きチャド・スタエルスキ、主演も引き続きキアヌ・リーヴス。

上映時間は169分と過去作品と比較して特に長く、大阪、ドイツ、パリと世界各地を舞台とするスケールの大きさ、派手なアクションも本作の特徴となっている。
(このシリーズは1の時点では低予算映画であり、衣装代を節約するためにウィンストン役のイアン・マクシェーンは私服で参加していた)
また、シリーズとしては初であるスタッフロール後のポストクレジットシーンも存在するが…。
なお、大阪での場面は全て現地での撮影となったわけではなく、国内・海外の各地で撮影された。

スタントマンも35人以上を動員しており、最多で6回殺されているスタントマンが存在する。

キャスト面ではかつて『47RONIN』にて共演した真田広之や香港映画の重鎮ドニー・イェンの参加が大きな話題となった。

作品の時系列はあまりハッキリしないが、前作で重傷を負ったジョンが今作では万全な状態となっているため、それなりに日数が経過していると思われる。
ぶっちゃけ8割アクションのジョン・ウィックシリーズにストーリーや世界観を求めたら負け。


●あらすじ

前作で「主席連合」との戦いで全てを失ったジョンだが、辛くも生き延びてバワリー・キングと合流し、再起のチャンスを得る。
再び「主席連合」に挑むジョンだが、組織は巨大であり頭を潰してもすぐに新たな頭が現れてしまう。
よって自由になるために古来のルールに則った方法を選択するジョンだが、相手は手段を選ばずにジョンを抹殺しに来るのであった。

●登場人物


演:キアヌ・リーブス/吹替:森川智之
主人公。
かつて闇の男(ブギーマン)(殺し屋)を殺す闇の男」として「ババヤガ」の異名で呼ばれた伝説の殺し屋

前作で重傷を負っていたが今作では万全な状態となり、前作で苦労した首長の元にも自力でたどり着き新首長に引導を渡す(指輪は前首長と共に消えてしまったが)。
その後の戦いでは、流石に連戦に次ぐ連戦で消耗はするからかもしくは寄る年波には勝てないのか、ネームドの敵が相手だとややサンドバッグ状態になりがちではある。そしてよく転げ落ち、昇り直すハメになったりする。何度もやられるとさすがにコントっぽい。
しかし、致命的なダメージを何度も負いながら何度でも立ち上がる不屈の闘志と強靭な精神力で猛反撃を仕掛けて、狙った獲物は必ず殺害している。
傷を負うことすら珍しいとされた全盛期とは別ベクトルで超人ぶりに拍車がかかっており、誰もが往年のババヤガに恐怖した所以を窺わせる。
1400万ドルの懸賞金は更に跳ね上がり、2000万ドルを上回って更に増額されている。

本作でも交友関係が描かれ、コウジやケインとは旧知の仲であり、カティアとも古株。
首長を始末した後はコウジを頼ってコンチネンタル大阪に身を潜め、立場上敵であるケインとも大阪コンチネンタル以降も度々殺し合ったり共闘したりもする。
カティアにはある出来事が原因で当初は敵視されていたが、彼女の依頼(指令)を引き受けて達成したのちに復縁。


コンチネンタル・ホテル

  • ウィンストン・スコット
演:イアン・マクシェーン/吹替:安原義人
あらゆる殺し屋達が利用する「コンチネンタル・ホテル」のニューヨーク本部のオーナー兼支配人。
前作に引き続き登場。前作にてコンチネンタルの支配人としての地位を取り戻した。
しかしジョンが首長を殺害したことを問題視されて、コンチネンタルホテル自体の取り壊しという苛烈な処分を受けることに。
殺してしまうと殉教者として神格化されてしまうという理由から命だけは長らえるも、それ以外の全てを失ってしまった。
しかし彼も諦めずに、自分の城を取り戻すためにある人物との接触を図ることに。

1970年代の若い頃の彼を主役とした前日譚ドラマ、『ザ・コンチネンタル:ジョン・ウィックの世界から』も製作された。
日本ではアマゾンプライムビデオで配信中。

  • シャロン
演:ランス・レディック/吹替:堀内賢雄
コンチネンタル・ホテルのコンシェルジュ。前作に続き登場。
こう見えてもジョンに劣らない戦闘力を持ち、前作ではコンチネンタルを襲撃してきた主席連合の精鋭部隊をジョンと共に全滅させた。

今作ではウィンストンとの仲がクローズアップされており、単なる上司と部下ではなく友としての感情を抱いていたことが明らかになった。
コンチネンタルホテルの取り壊しの方針を巡ってグラモンの元へ立ち会うべくウィンストンに同行するのだが……

なお演者はこの作品の公開前の2023年に病気で逝去されている。作品のエンドロール後には彼への追悼メッセージが贈られた。

  • シマヅ・コウジ
演:真田広之/吹替:内田夕夜
コンチネンタルホテル・大阪支部の支配人。
ジョンやケインとは旧知の仲であり、ジョンを匿ったことから主席連合に目を付けられ、グラモンに仕えることとなったケインとはお互い不本意ながらも敵対することとなる。

大阪支部の支配人という立場からも一見ジョンやケインに腕っ節が劣りがちに思えるが、実際はサムライとは程遠い剣技に加えて射撃の達人であり、グラモンが仕向けた謎デザインの重武装で固められた私兵達を次々と葬るほどの実力者で、ジョンとケインの旧友に恥じない同格の漢でもある。
また、業界の掟よりも友情と義を重んじており、チディやケインにジョンを差し出せと迫られても一歩も退かず、逆にケインに対して今すぐ引き下がるように迫る等、度胸も据わっている。

娘のアキラとは仕事内では「支配人」として厳格でありつつも個人間では「親」として溺愛しており、公私を区別して接している。

  • アキラ
演:リナ・サワヤマ/吹替:内田真礼
コウジの娘。大阪のコンチネンタルホテルのコンシェルジュ。
戦闘ではナイフを主に使用する。
コウジがジョンを匿っているということを知った時は動揺を隠せず非難したが、それでも父に従って黙認することとなった。
やがてコンチネンタルが襲撃されると、自らも戦闘に参加するのだが……

なお、彼女のスタントを務めたのは『ベイビーわるきゅーれ』シリーズで主演にもなった伊澤彩織。
また、演じたリナ・サワヤマは本作のエンディングテーマ『Eye For An Eye』も歌っている。



主席連合

  • ヴィンセント・ビセ・ド・グラモン侯爵
演:ビル・スカルスガルド/吹替:増田俊樹
主席連合のメンバー。ジョンが首長を殺害したため、現在では主席連合トップの権限を得ている。名前がグラタンっぽいがグラ"モ"ンだし、ピエロでもない。

まだ年若く(あるいは年若いがゆえに)傲慢かつ尊大でありながらも劇中の言動から「お前本当に侯爵かよ?」と誰もがツッコミたくなるぐらい人前でもマナーが非常に悪く下品極まりない。
どれぐらいかと言うと、
  • 紅茶を混ぜた小スプーンを大きく口開いてなめる
  • カットしたケーキを別皿に移す際に素手でケーキに触れる上にそのケーキを食べる際は席に座らずテーブルに立って伸し掛かるし食べ方自体もハッキリ言って汚い
  • 手を刺されて血まみれの相手とそのまま素手で握手した直後に拭いた血まみれのハンカチを地面に投げ捨てる(しかもこの相手を苛立って刺したのは他でもないグラモン本人)
  • 稽古の最中のコンサート会場を(ガキじゃあるまいし)我が家の如くうろちょろしつつスマホでの通話も平然と行う
  • 終盤でとある人物とジョンの始末を巡った交渉で自身の要求が通らず一方的に電話を切られた際はブチギレてスマホを地面に叩きつけて自分で壊わしておきながら側近(執事と思われる)に再交渉のために黒電話を要求してコキ扱う
等、侯爵という高位に就きながらも汚らしい人間性と本性が顕になっている。
ある意味、(実力、ゲス度合いどちらにおいても)1作目のヨセフの完全上位互換ともいえる存在である。

ジョンを始末するためにコンチネンタルニューヨークとコンチネンタル大阪を丸ごと潰しにかかる卑劣極まりない手法を取る。
自身が地位しかない仮初の玉座についていることも理解しており、ジョンを殺すことでその実力を証明しようとしている。
この手の高慢ちきが長く生きられるわけも無いのはこの映画のシリーズを見続けている人なら大体察しが付くだろう。

  • チディ
演:マルコ・サロール/吹替:田所陽向
グラモン侯爵の部下。
高い戦闘能力を持ち、ジョン同様に防弾スーツを着込んだ偉丈夫。ただでかいだけのパワーキャラなんてことはなく、ジョン並みに身軽なフットワークの持ち主でもある。
人となりに関してはよくわからないが、ゲスな性分のグラモン候に仕え、且つその命令にも従っていることから彼もあまり褒められたものではないのだろう。
しかし終盤では作中トップクラスで手痛い生き地獄のような玉攻め仕打ちを受けることとなる。
中の人は武術家兼俳優。

  • 告知人
演:クランシー・ブラウン/吹替:石田圭祐
主席連合から派遣された老男性。コンチネンタルニューヨークの破棄を通知する他、その後も戦いの審判役、及び進行役となる。
自身よりずっと若いトップとなったグラモンには立場上は逆らえないものの、内心では快く思っておらず、彼の暴走行為には釘を刺すように諭す。
よく見るとジョンと同じく左の薬指が欠けており、過去がとても気になる人物。若い頃の彼もジョンと同等の実力者でありつつ修羅の道を歩んだのだろうか?

  • キーラ
演:スコット・アドキンス/吹替:亀山雄慈
ドイツの首都ベルリンに拠点を設ける主席連合の一員。
かなりの肥満体だが身のこなしは軽やかでタフ。更に殺し屋達が集まった一触即発の状況でも動じずカードゲームを続行するほどの胆力の持ち主。しかも配るカードを完全操作してファイブカードまで作ってしまう。
ただ喘息持ちで、たびたび咳込んでは吸入器を使用している。ダイエットしなよ。
中の人はガチムキの武術家兼俳優で、劇中での太った姿は肉襦袢によるもの。
あまりにも変わりすぎていて同氏が主演の「デッドロック(Undisputed)」4作や、ケインの中の人と共演した「イップ・マン 完結」を見ていた人でもエンドクレジットを見るまで中の人が分からなかった人は多い。
こっちの映画じゃベネさんに華麗な蹴りをお見舞いしてたり、こっちの映画じゃデップーさんのスタントダブルもしてたりした人。

  • カティア
演:ナタリア・テナ
前作でジョンが縁を切った古巣「ルスカ・ロマ」のベルリン最高幹部(前作のNYルスカ・ロマの「ディレクター」との関係は不明)で、ジョンのルーツを知る数少ない人物。
ジョンが首席を殺害した報復に殺された父・ピョートルの後を継いだ。狼人間と結ばれた七変化の魔女ではない。

  • 首長
演:ジョージ・ゲオルギウ
主席連合の長。ただし前作に登場した首長とは別人で、曰く「先代は君(=ジョン)の指輪とともに消えた」とのこと。
ジョンと対峙しても動じない態度で振舞ってはいたが、結局ジョンに殺されてしまった。
前作から何故代替わりしたのかは不明だが、ジョンが復讐するために戻ってくることは容易に想像がつくであろうことから、先代は雲隠れした可能性もある。
というかこの首長はジョンと初対面だろうに、先代の尻拭いをさせられてしまっただけである。首長は犠牲になったのだ。


その他

  • ケイン
演:ドニー・イェン/吹替:大塚芳忠
盲目の暗殺者。ジョンとは友人であり、コウジとも交友がある。
既に引退している隠居人だったのだが、娘を殺すとグラモンに脅されている状態であるために否応なしに暗殺者として復帰することに。
なお、視力を失ったことについて「捧げたのだ」と発言したり、実の娘に近づくことすらも禁止されていたり等、過去のジョン同様に引退するにあたってそのような契約を結んだ&犠牲を払ったものと考えられる。

創作の盲者キャラでよくある異常聴覚による位置探知等の超感覚は持ち合わせておらず、特に銃撃戦において盲目のせいで危うい局面もしばしば見られて、やはり全盛期からは衰えている様子。しかしそれを考慮しても杖・刀・拳銃、近接戦闘では隙のない強さを誇り(ついでにジョンの代名詞といえる鉛筆も当たり前のように扱う)、シリーズでもトップクラスの戦闘力を誇る最強の刺客である。ある意味この人と同類。
そして終盤での被弾数もジョンとほぼ同数であり、"ある儀式"のために彼も装着していた防弾スーツジャケットを脱いだ際にポロポロ落ちる弾丸はもはやギャグ。



  • バワリー・キング
演:ローレンス・フィッシュバーン/吹替:玄田哲章
ホームレス達による地下犯罪組織の頭目。前作に引き続き登場。「処罰」による傷が痛々しい。あれだけ滅多斬りにされてよく生きていたな……
前作ラストにて(「なんで死なないの?」って言いたくなるぐらい)傷ついたジョンを匿っていた。ジョンを送り出した後は主席連合に対抗すべく彼も独自に動いていた。

  • トラッカー/ミスター・ノーバディ
演:シャミア・アンダーソン/吹替:八代拓
「名無し」を名乗るホームレス風の若い黒人男性。なぜ名無しなのかは不明だが、可能性としては組織(主席連合?)に追放処分された際に自身のあらゆるプロフィールを抹消されたからか、あるいは産まれてすぐさま両親に名前も与えられず捨てられてそのままホームレスとなって今に至ったからか、どのみち不明である。

ジョンを殺して賞金を得ようとしている。
追跡者(トラッカー)だけあって追跡能力は相当高く、ジョンの行く先々に確実に辿り着いている。
だが賞金を吊り上げるためにジョンをわざと逃がすだけに留まらず、交戦中のジョンを遠距離狙撃で援護する等、その行動にも謎が多い。
武器は主にレバーアクションライフルやリボルバーなど、やや古風な物を使用する他、背中に背負っているリュックサックから防弾プレートを展開したり等、ホームレスじみた風体に反して侮れない実力者。
常に犬を連れている。

ノーバディが連れている犬。戦闘用の訓練を受けており、銃を持つ相手は手を噛んで体勢を崩し、倒れた相手の股間を噛み潰す。
今作では完全な戦闘要員であり、「可愛い」「頼もしく勇ましい」「怖い」「犬がトラウマになった」という感想も見られる。


●登場する施設・武器


  • コンチネンタルホテル・ニューヨーク
シリーズおなじみのコンチネンタルホテル。
しかし、前作で殺したと思われていたジョンが生きており、主席連合の首長を殺害した事が問題視され、制裁としてホテルそのものが爆破解体され潰されてしまった。

  • コンチネンタルホテル・大阪
日本に存在するコンチネンタルホテル。
正確な場所は不明だが最寄駅は梅田駅と思われる。
古風なデザインだったニューヨークコンチネンタルと比較すると、ネオンの看板があったり、エスカレーターがあったりと近代的。
シマヅの部下たちはどことなく雰囲気が893や忍者っぽかったり、メインウェポンが日本刀だったり、防弾仕様(?)のバイオスモトリ力士が居たりと色々と自由な面子が揃っている。

外観は東京にある国立新美術館である。

  • 天国と地獄
ベルリンに存在するクラブ。キーラが仕切っている。
謎構造のダンスフロアに加え、カジノも存在する。

外観はベルリンにある旧国立美術館である。

  • ドラゴンブレス弾
ジョンの防弾スーツに対抗するために刺客が用意した弾丸。
マグネシウムの粒が封入されていて発火、炎上する一種の焼夷弾である。
ジョンも敵から鹵獲してブッ放すのだが、自身が鹵獲した銃もドラゴンブレス弾仕様であることに気づかなかったからか初発では一瞬困惑していた。

  • エッフェル塔
ご存命パリの象徴にして世界遺産の1つ。
ここでは銃撃戦は起こらないものの、どういうわけか公然と殺し屋の司令塔と化している。
どう考えてもそんな状況下にあることをフランス政府・国民が許すはずがないので全力で潰しに来られても致し方ないのだが、そもそもどこを歩いても周囲が殺し屋だらけで、警察関連含むあらゆる機関がまるで機能してないジョン・ウィックシリーズの世界観において今更気にするだけ無駄かもしれない。

  • サクレ・クール寺院
パリで最も高い丘陵にある寺院。最終決戦の場となった。
日の出の風景が非常に美しい。





追記・修正は222段の階段を転げ落ちてからお願いします。



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最終更新:2025年04月29日 17:17