SCP-1571-JP

登録日:2019/11/02 (土曜日) 04:09:03
更新日:2025/04/13 Sun 22:05:11
所要時間:約 10 分で読めます







開けてください。開けろ。お願いだから。




SCP-1571-JPはシェアード・ワールドSCP Foundationに登場するオブジェクトである。
オブジェクトクラスEuclid

概要

SCP-1571-JPは人型の何者か。
ハッキリしたことが言えないのは、彼は年に2~3回しか出現しない上に彼のことを認識できる人間および状況が非常に限られているため、分かっていないからだと思われる。

彼は午前1時から3時までの間に、日本国内にある施錠された家の玄関扉前に出現することがある。扉がすりガラスの部分を含んでいた場合、ちょうど上の画像のようにシルエット状に認識できる。
しかし、これ以外の方法でSCP-1571-JPを認識することはできない。ドアスコープを覗いても誰もいないし、家の外にいる人が扉を見てもその前には誰もいないのだ。また、後述のように彼は行動を起こすのだが、その声を聴くことも家の中にいる人間にしかできない。おそらくは霊的実体なのだが、これも機会が限られすぎて確証を得ることはできていない。

加えて、彼が出現してしまうと居なくなるまでその扉に外から干渉することができなくなる。つまり、中の人間しか扉を開けられなくなるということ。一旦彼が現れたら、扉を開けるか無視し続けるしかできることはない。
つまり収容不可能。財団ができることは出現を確認したのちのインタビューと記憶処理、SCP-1571-JPに似た不審者情報を定期的に流布することでごまかすことくらい。
なにやら日本的ホラー感あふれる雰囲気だが、このあとSCP-1571-JPはどうするのか見てみよう。

SCP-1571-JPタイムライン

出現時からの経過時間ごとに見ていく。
前述の通り、以下で起きることは家の中にいる人にしか認識できないし、外に助けを求めることもできない。

出現直後

扉がノックされ、低い男性の声で「開けてください」との声が聞こえる。
この時点では小さく、穏やかな声である。しかし明らかに不審であるため、まともな人ならば気づかないか困惑したまま次の段階に移るだろう。



約1分後

ノック及び「開けてください」の声が連続するようになる。
声の大きさも少し上がっており、大体の人はここで気づくと思われる。しかしドア穴を見ても、誰もいない。



約5分後

ノックの域を脱し、扉を強く叩き始める。
声量がさらに上がるほか、なにやら焦燥感や切迫感と言ったものを感じさせる声になる。インターホンがあっても押してこないらしく、カメラがついているなら見るかもしれないが、誰もいない。



約10分後

表札の有無によらないとは思われるが、家の中の人の名前を呼ぶようになる。
なぜ知っているのかは不明で、さすがにここまでくればおかしいことに気付くだろう。
扉にガラスがついているならそこになにかがいるのは分かるのに、それ以外の証拠はそこには誰もいないと言っている。



約15分後

扉への衝撃がさらに強くなり、さらに大きく、かつ焦燥感を増す声の内容が「開けてください」から「開けろ」に変化する。
こんな状態で平常心を保てる人はそういないだろう。そこにさらなる追い打ちが入る。



約17分後

家中の携帯やPCが数秒ごとに「開けろ」という差出人不明のメールを受信するようになる。
本格的に超常現象の様相を呈してきた。


約20分後

SCP-1571-JPは扉の前から動いていないにもかかわらず、家中の窓が同じように叩かれ始める。
さらに声量が上がるが、発声に意味がなくなってきており何やら断続的な叫びを上げるようになる。
一体どれだけ入りたいのか、なぜ入りたいのか全く分からない事実に家人が怯えるなか、現象はさらに進行する。


約30分後

さらに家中の壁までもが叩かれるようになり、家の中では四方八方から衝撃音が響き続ける
なぜか声は止み、扉に見えるシルエットは時折悶えているように見える。
もはや大地震や家鳴り状態となり、恐怖は最高潮に達する。

しかし、壁も窓も扉も、破壊されることはない。


約45分後

突然全ての行動を中止し、SCP-1571-JPが消失する。
ここまでの現象が現象だけに、この段階までに玄関扉が開けられた例は存在しない。こんなのに遭遇したら当たり前ともいえる。

だが、5時間ほどで薄れ消えるとはいえ、ひとつだけ痕跡が残るという。
それは何かと言うと…








消失地点付近から糞便のものに似た悪臭が確認される。








…えーと。

ここで元記事の上記画像ファイルの名前を見てみよう。
moreru.jpg」。




つまりはだ。















SCP-1571-JP


悲痛の訪問者


どれだけ苦しんでも、どれだけ助けを求めても、これでは開けてくれるわけがない…
年に何回か漏らし続ける、あまりに悲しき運命を背負った彼にどうか幸あれ。



Tale「追加実験」

こちらは別作者による作品のため、SCP-1571-JPの作者による設定ではないことをご留意いただきたい。

このTaleでSCP-1571-JPに遭遇するのは、SCP-017-JPの実験に関わり探査申請をハネられ一度は失意に駆られながらも邁進し、上位職にまでのぼり詰めたあの富岡サイト管理官である。なんてこった。
頻度を増すノックの中、自らに落ち着けと言い聞かせながら異常通報オペレータに連絡する、長期休暇を自宅で夫婦ゆっくりくつろいで過ごしていた管理官。その電話はSCP-1571-JP担当の間宮研究員に転送された。
が、怯え半分の富岡管理官と対照的に、間宮研究員はやけにテンションが高かった。

「遅れてすみません!異常性について情報共有を受けましたがまずSCP-1571-JPで間違いありません、いやー待ってました!やっと実験の続きが出来る!」

そう、SCP-1571-JPは完全ランダムかつかなりの低頻度で、しかも発生中は中の人は一般人ならまあ行動できそうもないため財団が把握することがまずできない。だから性質がよく分かっていなかった。
とりあえず実害はほぼなく、外部から助けることはできないものの1時間もしない内に開放されることを説明される管理官。

「なるほど、ただ中で待っていれば良いんだな」

そうともいかないんですよねぇ!

富岡は電話の向こうの研究員が満面の笑みを浮かべている気がした。

今回、SCP-1571-JP発生中に財団の人間が研究チームにコンタクトを取ることができた。これはまたとない追加実験のチャンスであろう。そりゃテンションも上がるというものだ。
管理官としちゃたまったもんじゃないだろうけど。

まあ、財団職員たるもの異常に遭遇したなら調べるのが使命。
まだ寝ている妻を巻き込んでしまうことにはなるが、管理官は覚悟を決めて追加実験の依頼を承諾した。
SCP-1571-JPの報告書データを送ってもらい、読んだ。


念のためもう一度読んだ。


「この、これは正気か?その、アレはただの脱糞しそうな霊的実体か何かなのか?」

「正気も正気です!」

こんなのに追加実験が要るのか疑問に思った管理官ではあったが、研究員にSCP-1677-JPの事例を持ち出され、どんなにわけわからんことでも後から意味が見つかることもあると思い出した。
彼は、SCP-017-JPの実験でそれを知っていた。

管理官は指示に従い、家の中から実験に使えそうなものを集めていった。
メジャー宗教に抵抗があるかもしれないから十字架のネックレスや神棚を持って来たり、扉を開けろと言ってくるのが吸血鬼っぽいから玄関にビニールプールを設置して水を張ったり…
しているうちに元エージェント・現人事部の管理官の奥さんが起きてきてしまった。
事情を説明すると彼女はため息をついたが、こう言ってくれた。

「謝らなくて良いよ、千載一遇の機会なんでしょ?せっかくの休暇なのに、ほんとに運が悪いのね。報告書見せて、手伝うよ」

報告書を見た彼女は、もう一度ため息をついて言った。

あなた、くだらない異常を引きすぎじゃない?

今後、色んなTaleや記事で富岡管理官がそういう役割で登場する日が来るかもしれない…



SCP-1571-JPの出現から35分、もう家中でドガンドガン言っているがようやく準備は完了した。カメラを回し、研究員と通話しながら追加実験の開始である。

玄関の鍵を開けてみる

…ノックが止まない。どうやら鍵が開いていても招かれないと入れないらしい。

「どうぞ」と言ってみる

その途端、扉がものすごい勢いで開かれた。透明な何かが、凄まじい咆哮を上げながら管理官の横を通り過ぎるのが感じられた。
招待があれば、扉を開けてやるまではしなくていいようだ。

水の流れるビニールプールを置いてみる

効果なし。普通にプールを踏み抜きながらそれは走っていき、玄関に水が跳ねる。
管理官は息子のよく使ってたプールがこんなことに使われていることになんか言いようのない感情を覚える。なお息子は今管理官とは別のサイトで新人エージェントをやっている模様。
招かれなければ入れないが、流水は渡れたので吸血鬼ではないらしい。また身体は透明のくせに物理的抵抗はあるらしい。少し物理世界に近めの霊的実体というところだろうか。
あとメジャー宗教の関連品も置いてあったが効果はなかった。

バリケードを築いてみる

効果あり。トイレに続く廊下を戸棚やら家具やらを積んで封鎖しておいたが、素通りは出来ない模様。
とはいえひとつひとつ撤去して切り開こうとはしている。
管理官は「咆哮に一部『なんだよこれ』と聞こえる箇所があったような気がする」とのこと。
夫婦二人がかりで持ち上げたタンスには苦労しているらしく、彼には成人男性レベルの力しかないらしいことが分かった。最終的にはずらして隙間を作り、突破された。
ついでに霊には強そうな銀や鉄でできたものもあったが、普通にスルーされた。
ついに彼は念願のトイレに至る。

トイレに立てこもってみる

容赦ないな あらかじめ奥さんがトイレに入り、鍵を閉めていた。
もちろんものすごい勢いで叩かれるトイレのドア。

「富岡だが、送付されてるメールの内容が『開けろ』から『代わって下さいお願いします』に変化したぞ」

「興味深いですね、やはり玄関ドアだけでなくトイレのドアも入れないみたいですね!」

もう見てるこっちとしても彼同様限界である。はやく何とかしてやって。

トイレのドアを開けてみる

当然のように勢いよくドアが開かれ、奥さんは脱出。すぐにドアが閉じられると、家鳴りが収まった。
それを管理官が報告しようとした途端、

ブリブリブリブリュリュリュリュリュリュ!!!!!!ブツチチブブブチチチチブリリイリブブブブゥゥゥゥッッッ!!!!!!!

これまで聞いたことの無い程大きな排便音がトイレの個室から響き渡った。
雷雨のような破壊的な音がゆうに1分間続き、その全てをカメラが拾いきった。
そして、静寂が訪れた。

聞いてみたいが聞きたくない音ランキングで上位に食い込みそうな爆音が収まったところで、管理官にメールが届いた。
奥さんと共に覗き込むと、そこにはこう書いてあった。




ありがとう




これにて実験終了。40分しか経っていないが収まったので、扉を開ければ早く現象を終わらせられることがわかった。研究員は後片付けのために職員を派遣してくれることを告げたのち、通信を切った。
夫婦の間に自然と苦笑がこぼれた。

研究者出身サイト管理官の夫と、フィールドエージェントとして長く慣らした妻。それぞれ色々な異常に関わってきたが、二人でそれに対処したことはなかった。その初めてがよりによってこんなオブジェクトになるとは…
管理官はそう思ったが、まあこれも自分らしいとも感じていた。

ひどい休暇だ、延長してもらおう。家じゃなくてドライブにでも…と話す管理官夫妻。
そんなこと言ってるとそこでまた何かと遭遇するTale書かれても知らないぞ?
そう談笑しながら、管理官は異常の過ぎ去ったトイレのドアを開けた。



異常性の無い管理官の咆哮が響き渡った。



SCP-1571-JPタイムライン

要請に応じた場合

トイレまでに障害物があった場合は成人男性程度の力で対処し、トイレに入ると全ての行動を中止してSCP-1571-JPは消失する。
なおこの場合もトイレに糞便のものに似た悪臭が確認されるが、5時間ほどで薄れ消える。




管理官メモ: 流してから帰ってくれ。


余談

なおこのTale、SCP-1571-JPの投稿からわずか12時間で投稿された。仕事が早い。
ただしそれから2週間もたたないうちに47分にまで大幅更新された模様。


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最終更新:2025年04月13日 22:05
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