セメタリーゾンビ(ナイト・オブ・ザ・リビングデッド)

登録日:2020/06/14 Sun 21:54:00
更新日:2024/07/26 Fri 20:56:09
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セメタリーゾンビとは、『ジョージ・A・ロメロのデッドシリーズ』の第一作目『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド(映画)』に登場するゾンビである。
本作のゾンビについてはこちらを参照。

演者はビル・ハインツマン

概要

本名や人間だった頃の素性は一切不明。セメタリーは「墓地」の意で、墓地を徘徊していたことが由来。
喪服(黒スーツ、黒ネクタイ、白ワイシャツ、黒い靴)を着用した白人男性のゾンビで、髪は茶色で短髪。

死因は不明だが、全ての死者がゾンビ化する謎の現象『ゾンビアポカリプス』でゾンビ化した最初期の個体となった。

最大の特徴は通常のゾンビよりもはるかに知能が高く動きも俊敏なこと。
通常のゾンビは一度脳死した状態から最活性化した影響でを含む身体のあちこちが機能不全を起こしており、動きは緩慢で知能も下等動物程度に劣化してしまう。
しかし、このセメタリーゾンビは動きも知能も酔っ払いの人間並で、転倒しても即座に立ち上がったり全力で逃げる人間を見失わずに追跡できる程度には走れるし認識できる。
その上、の構造を理解し反対側のドアに回り込んだり、追い込んだ獲物に助けを呼ばせないため電話線を破壊したりまでする判断力を持つ。
もちろん素手では破壊出来ないものに対しては、即座に石や棒を利用して破壊しようとするなどおよそゾンビとは思えない知性を保っている*1

ただし、後続作に登場するバブビッグ・ダディとは違い仲間への慈愛を始めとする感情は持たない。
単純に他の個体より知能が高いという点では『サバイバル・オブ・ザ・デッド』に登場するジェーン・オフリンに近い。

単にこの時点ではゾンビの設定が定まっていなかったとする説もあるが、他のゾンビは後続作のゾンビと大差無い*2ため、明らかにこの個体だけ異常である。

因みに、「セメタリーゾンビ」という呼称はフィギュア化等の商品化に伴い定められた俗称で、作中ではゾンビではなく「グール(食屍鬼)」と呼ばれている。
脚本家の一人であるルディ・リッチからは「セメタリーグール」と呼ばれた。

もう一人の脚本担当であるジョン・ラッソが編集・映像追加した『最終版』(滅茶苦茶悪評名高い)では幼女を強姦殺人して逮捕され電気椅子の刑に処されたクソヤロウ。
埋葬直前にゾンビ化したことになっているが、この『最終版』にはロメロが一切関与していないことは留意すべきである。

作中の活躍

ゾンビアポカリプス開始直後、ピッツバーグの共同墓地にて死亡、ゾンビ化(死者の蘇生現象(デッドライジング))し、母の墓参りしに来たジョニーとバーバラ兄妹に襲いかかる。
ジョニーとの激しい取っ組み合いの末、怪力で無理矢理押し倒しジョニーの後頭部を墓石に打ち付け殺害。
しかしジョニーの遺体には手をつけずにバーバラに襲いかかり、彼女が車に逃げ込むと最初は無理矢理ドアハンドルを引っ張ったり窓を叩いてこじ開けようとする。
しかしドアがロックされていると分かると即座に反対側のドアに回り込み、こちらもロックされていると分かるとこじ開けるのは無理だと判断して大きめな石を拾い窓を破壊。
慌てて車を放棄して逃げ出すバーバラを酔っ払い走りで執拗に追跡し、彼女が民家に逃げ込むと今度は電話線を破壊し、連絡手段を絶つ

その後もバーバラに執着し民家の周辺を徘徊し続ける。

ベン達がトラックにガソリンを入れるため、民家から飛び出した際は荷台に乗ったベンに掴みかかるが火を着けた即席の松明を押し付けられて引火し、慌ててスーツ叩いて火を消す。

その後、不幸な事故で爆死したトムとジュディのバーベキュー(焼死体)を他のゾンビ達と共に旨そうに食った。

映画終盤には遂に他のゾンビと共に民家に総攻撃を仕掛け、クーパー一家、バーバラが次々に犠牲となったあと、窓に打ち付けられた板を破壊して屋内に侵入。
だが最後の生存者であるベンが閉じ籠った地下室の扉を突破できず*3、夜が開ける前に退散した。

最後はいつの間にかコナン・マクレランド保安官率いる自警団に始末され、誤射により死亡したベンの遺体共々燃やされた。

最初のゾンビ

このゾンビは色んな意味で「最初のゾンビ」であるため、「ファーストゾンビ」とも呼ばれる。
  • 作中最初に登場するゾンビ
  • ロメロのデッドシリーズ最初のゾンビ
  • ゾンビアボカリプスにより蘇生した最初のゾンビ
  • 作中で最初に「殺人」を行ったキャラクター
  • シリーズ中で最初に「殺人」を行ったキャラクター
  • 映画史上初の「人食いゾンビ」
  • 映画史上初の「非ブゥードゥー教のゾンビ」
  • 映画史上初の殺人ゾンビ
  • 映画史上初の操られていないゾンビ

愉快な仲間達

◆ヌードゾンビ

演者:キャロル・ウェイン
セクシーな全裸の白人女性ゾンビ。リメイク版にも登場した。
演者はピッツバーグのプロのヌードモデルさん。
地元民「いつテレビ放送すんの!?」

◆ゾンビ

演者:ルディ・リッチ
脚本担当の一人。どこにいるかな?
ゾンビ(映画)』では強盗団リーダーを演じた。

◆ジョニー

演者:ラッセル・ストライナー
序盤でセメタリーゾンビに殺されたバーバラの兄貴。手袋が目印。リメイク版では市民軍に殺られた。
頭を打ち付けて(脳が損傷して)死んだのにゾンビ化して復活という事で、物議を醸す存在。
実は演者のラッセルは制作スタッフも兼任しており、『バタリアン』の原案者の一人でもある。

◆カレン・クーパー

演者:カイラ・ショーン
クーパー一家の娘。推定9歳。登場時点ですでに大怪我を負っており、意識も朦朧としている。映画終盤に衰弱死、そしてゾンビ化。
ぶっちゃけハインツマン氏よりゾンビの演技が上手い。ちなみにハリー・クーパー役のカール・ハードマンは実父であり本当に親子。
ついでに母親役のマリリン・イーストマンは実母ではなくメイクスタッフで、蟲を貪り食ってたゾンビ役としても登場している。

余談

  • 動きが機敏な理由は、バーバラを民家に追い詰めないといけない作劇上の都合だったりする。
  • 演者のビル・ハインツマンは本作の制作スタッフも兼任している、ロメロ映画においては常連と言っていい人物。
    デビッド・エンゲハワード・シャーマンに並ぶ「史上初のロメロゾンビ役者」として有名になった。
    • その後はホラー映画の監督を務めたりし、本作の30周年記念作品として1999年の「最終版」で再びファーストゾンビ役に抜擢された。
  • リメイク版『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド 死霊創世記』ではメイク担当のグレッグ・ファンクが演じる。
    • オリジナル版と違い腐敗が酷く動きも緩慢だが、相変わらず石を拾って窓を割ったりと頭が良い。
      映画中盤でエレン・リプリーやサラ・コナー並のスーパーウーマンになっていたバーバラによって兄貴の敵とばかりに射殺された。



ジョージ・A・ロメロのデッドシリーズ関連項目


追記、修正は夜が開け、日が上り、ビッグ・ダディと共に死者の国を創造してからお願いします。

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最終更新:2024年07月26日 20:56

*1 通常のゾンビはせいぜい落ちている物体を拾い振り回すだけである

*2 ただし、後続作と違い「グール(食屍鬼)」と呼ばれているように「一旦相手を殺してから喰う」傾向があり、物を振り回す個体も第二作『ゾンビ』より多い

*3 ゾンビ化したカレン・クーパーが扉に張り付いていたのも一因。ゾンビは共食いや同士討ちはしないため、他のゾンビを押し退けたりもしない。