SCP-618-JP

登録日:2020/07/23 Thu 15:18:59
更新日:2025/03/08 Sat 21:38:53
所要時間:約 7 分で読めます




SCP-618-JPとは、怪異創作コミュニティサイト「SCP Foundation」に登場するオブジェクトの一つである。
項目名は「ステレオタイプ・ジパング」。
オブジェクトクラスは「Euclid」。JPのコードが示す通り日本支部の管轄にあるが、オブジェクトそのものがあるのはアメリカである。

概要

さて、このオブジェクトが何か、ということだが、アメリカ某所の山中にある5×5メートル四方の空間である。カバーストーリーにより一般人の立ち入りは禁止されている。

このオブジェクトは通常状態ならなんてことない普通の空間であり、特に異常性は存在しない。異常性が発現するのは「ある条件」を満たした人が通過した時だけである。

で、本オブジェクトは日本支部の管轄だが、実は日本人には全く縁のないオブジェクトだったりする。別にアメリカに存在するから、というわけではなく、前述の「条件」が関与している。
というのもこのオブジェクトの異常性発現のキーになるのは、「日本国籍を有していない、日本への滞在歴が累計3年未満の人物」だからだ。
つまり、日本人には一切何の影響も存在しないし、日本に帰化していたり、長いこと滞在したりしている人も対象外。
まぁ、普通のアメリカ人ならほぼ対象に含まれるだろう。

では、この条件を満たした人がSCP-618-JPに侵入すると何が起きるかというと、 異空間に転送される
この異空間は能動的に脱出する手段は一切存在せず、3時間が経過するか、内部で死亡すると自動的に排出される。
GPSを持たせていた場合、SCP-618-JP近辺を指すが、その座標を確認しても対象の人物は存在しない。同座標の全く別次元にでも連れていかれているのだろうか。
同時転送人数の上限は不明。一応二桁の人数までは確認されているが、これは単純にSCP-618-JPの面積の限界によるものであり、転送そのものの上限ではないと推測されている。
なお、一度排出されると、以降3時間ほどは不活性化し、条件を満たした人が通過しても何も起きない。

ちなみに、海外に存在する-JP系オブジェクトでは珍しく、このオブジェクトは日本支部の管轄下に置かれるようになった経緯が判明している*1
前述の特性から、アメリカ人が管理するといつ異空間に巻き込まれるかわからず危険なので、日本人が主体になって管理することになったとのこと。

異空間は黄金の国

さて、日本人以外が踏み込むと転送されるSCP-618-JP内部の空間だが、なんとそこは日本であった。 ただし、概ね日本人以外が想像する感じに間違っているが

この空間は、大体半径10キロぐらいで、中央には富士山っぽい山がある(まぁリアル富士山だと到底半径10キロには収まらないので、多分スケールダウンされた「それっぽい」山なのだろうが)。
空は常に白色で、太陽は赤色(日本人はあまり違和感を覚えていないが、太陽を赤で表現する国は日本ぐらいだったりする)。日没はしないが、時間の概念は一応存在しているらしい。
北部には無風状態でも高波を繰り返す海が広がっており、環境は意外と多様。

そして西部の上空には、 姫路城っぽい城が飛んでいる 奇天烈将軍マッギネスかな?
内部には「殿」と称される偉そうな人が住んでいるらしいが、調査記録では侵入できたことがないため詳細は不明。
この「殿」と呼ばれる人は時々お供のサムライを伴って地上に降りてくるが、その際頭を下げないと 問答無用で殺される

他にも、この空間にはいろいろとおかしなものが多数存在している。
ナスを咥えたタカのような生物だったり、折り鶴そのものの飛翔体だったり……。

さらに「殿」の付き人以外のサムライ型実体も存在するが、 これも無礼な態度を取ると斬り捨て御免と言われ即座に殺される
一方、サムライたちも特に何の理由もなくいきなりハラキリしたりする。

また、[編集済]になっている不確定な人型実体も存在するが、決してかかわってはいけない。 その存在を認知した瞬間、謎の飛翔体で脳天貫かれて殺害されるから である。
アイエエエエ![編集済]!?[編集済]ナンデ!?

さらに、芸者っぽい美女も存在しており、侵入した人をしきりに物陰に誘い込む。 ただし、その誘いに乗って連れ込まれた瞬間、GPSの信号はロストし二度と帰ってこない
[編集済]に殺害された場合でも死体は帰ってくるのに……一体何が起きているのかは謎。

他にも、様々な食品などを売っている商人も存在する。食品は、「スシ」「スキヤキ」「テンプラ」「オコノミヤキ」「ソバ」「イモ」など。
彼らの売っている商品には特に異常性はなく、普通に客として交流する分には安全。ちなみに店主の名前は「キム・オオタ」、「ワン・イムゾ」、「カトウ・チュンジ」などが確認されている。韓国人か中国人混ざってないか?*2
なお、通貨単位には報告書内では触れられていないので、どのように売買が成立しているのかは不明。色々な意味でいい加減すぎる世界なので現代米ドルが普通に通用しそうな気もするが。

総じて、ゲイシャ、[編集済]、サムライ、スキヤキ、テンプラ、フジサンと「なんか勘違いされた日本っぽいもの」がごった煮になったカオスな空間になっている。


……というのが収容初期の状態だったのだが、20XX年以降、どうもこの空間に何かしらの変化が生じているらしい、ということがわかった。

北部の海上上空には、接近すると突撃してくるゼロ戦が出てきたり、
エレベーターまで畳で覆われた高層ビルが出現したり、
ひたすら携帯電話の向こうの相手にお辞儀を繰り返す、会話の成立しないサラリーマン型実体が出現したり、
天空の姫路城まで通じている新幹線が出現したり……と、 急速に近代化している のだ。それでもやっぱり色々間違っているが
なお、近代化してはいても、相変わらず江戸時代っぽい部分はそのままなので、 これらが入り混じってさらにカオス度は増している らしい。



とはいえ、である。

言うこと聞かないと殺されたりとやや危険な部分こそあるものの、 見方を変えればとても楽しい空間 である。
「勘違い日本」をそのまま再現したテーマパークと思えば、現実の日本との違いも楽しめるだろう。
やりようによっては、これ観光資源にしたりもできるのではないだろうか?夢の広がるオブジェクトである。


余談



映像記録618-██

被験者: D-618-12(カナダ出身、日本滞在歴2年3ヶ月)

オペレーター: 鳴蝉博士

付記: 資料の会話内容は英語を日本語訳したものです。

<記録開始>

鳴蝉博士: 聞こえますか、D-618-12。周囲の状況を報告してください。

D-618-12: 聞こえています。……私は今、森の中にいます。人の気配はありません。

鳴蝉博士: では、開けた場所に出るまで移動してください。

D-618-12: 了解しました。[映像が大きくぶれ、周囲が急に暗くなる]うわっ。

[銅鑼のものと推測される金属音が3回記録される]

鳴蝉博士: どうしましたか、D-618-12?

D-618-12: 分かりません。急に大きく揺れたと思ったら、暗くなりました。

鳴蝉博士: 周囲の状況を報告してください。

D-618-12: 了解しました。[10秒の沈黙]……[短い悲鳴]

鳴蝉博士: D-618-12?報告を……

D-618-12: [息を切らす音]あ、あの、[金属の衝突音]が[軋み合うような巨大な音]しています!

[正体不明の鳴き声らしき音声]

鳴蝉博士: 何があったんですか!?D-618-12!

D-618-12: [悲鳴]

[D-618-12が映像機器を放棄、全長25mを越すと推測される人型の機械と、それに相対する爬虫類に酷似した外見の巨大な生物が映し出される。その後2時間に渡って両者の戦闘する映像が撮影された]

<記録終了>

終了報告書: 映像が撮影された後、SCP-618-JPにて激しく損傷したD-618-12の遺体が回収されています。映像で確認された実体は今までの調査では報告されていなかった存在であり、新たにSCP-618-JP-1-rおよびSCP-618-JP-1-sと分類されました。



……………………………




いや、まぁこれも確かに日本のイメージと言えばそうではあるが……


観光資源化は難しいかもしれない……むしろ行ってみたいぞ、という人も多いだろうが


多分、もう少し時間が経過したら、アニメの中にしかいないだろう美少女型実体が大量に出現するのではないだろうか?*3





追記・修正は外国人の勘違い日本イメージを修正しながら行ってください。



CC BY-SA 3.0に基づく表示

SCP-618-JP - ステレオタイプ・ジパング
by semiShigUre
http://scp-jp.wikidot.com/scp-618-jp

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最終更新:2025年03月08日 21:38

*1 -JPは単に日本人が創作したオブジェクト、というだけなので、説明なしに海外に存在するオブジェクトを出しても特に問題はない。

*2 実際にアメリカ人の一部は日本、中国、韓国文化がごっちゃになってる人もいるようである。

*3 ちなみにディスカッションでの618-jpの執筆者曰く、「萌え文化は遅からず出現するでしょう。その際はきっと日本刀を背負ったセーラー服ガールが出現するはずです。」とのこと。案の定である。