ラストマイル(映画)

登録日:2024/09/27 Fri 11:03:43
更新日:2025/04/10 Thu 08:41:32
所要時間:約 5 分で読めます






ブラックフライデー前夜、届いた荷物は爆弾だった――

日本中を震撼させる4日間。


『アンナチュラル』『MIU404』と繋がるシェアードユニバース・ムービー



ラストマイル』とは、2024年8月に公開された日本の映画。

監督:塚原あゆ子
脚本:野木亜紀子
主題歌:米津玄師『がらくた』


【概要】


作品の題材は物流、および物流を管轄するロジスティクスと、配達件数の増加、不在による再配達の負担といった配送業者への負担増加、それに伴うドライバー不足といったいわゆる2024年問題
このため、作中の主な舞台は物流センターで、また作品名の「ラストマイル」とは物流サービスにおける最終区間、物流センターから顧客に品物が届くまでの過程を指す用語。なお正確には「ラストワンマイル」と呼称される。
オリジナル作品ではあるが、監督と脚本のタッグがかつて手掛けたテレビドラマ『アンナチュナル』と『MIU404』の登場人物がゲスト出演するシェアード・ユニバース作品となっている。(一応その二つのドラマを未視聴でも本作は問題なく視聴できる)
大物俳優が多数登場しており、製作側も「数年先までスケジュールが埋まっているような俳優さんばかりなので、調整が非常に難しかった」と語っている。
社会問題へ深く切り込んだ視聴者への警鐘を込めたシナリオ、練りに練られた伏線、それを活かした俳優の細かな演技などが評価され、近年のオリジナル邦画においては異例ともいえるヒットとなった。
ちなみに作中の舞台は首都圏だが、ロケ地となった物流倉庫は群馬県埼玉県に存在する。また作中に登場するショッピング施設は宮城県仙台市にある。

キャッチコピーは”ノンストップ・サスペンス・エンターテインメントムービー”
テレビドラマによくある人物図をホワイトボードに書くといった状況整理のシーンはない為、話の流れがわかりにくいという声もある。
だが一方で1秒たりとも物流を止める訳にはいかず、かつ何が起こっているのか誰にも把握できない混乱状態が続くという作中の状況とも相関しており、中だるみすることなく最初から最後まで独特の緊迫感と臨場感を生み出している。

制作陣は『ダイ・ハード』シリーズを目指したと語っており、鑑賞した観客からも同作を連想したとする感想が多い。
特に都市そのものが舞台となって、謎解き要素が多く、犯行に爆弾が使用される『ダイ・ハード3』が近いか。
また序盤の些細な動作、雑談にしか思えない台詞が後々に重大な伏線だったことが明らかになる構成も『ダイ・ハード』リスペクトといえ、二度目、三度目の視聴によって伏線に気付けた、新たな発見があったというリピーターの意見もある。

期間限定で副音声上映も行われ、専用のアプリを起動してイヤホンと接続すると制作陣の解説を聞きながら視聴できた。


【あらすじ】

11月、流通業界最大のイベントのひとつ“ブラックフライデー”の前夜、
世界規模のショッピングサイトから配送された段ボール箱が爆発する事件が発生。
やがてそれは日本中を恐怖に陥れる謎の連続爆破事件へと発展していく――。

巨大物流倉庫のセンター長に着任したばかりの舟渡エレナ(満島ひかり)は、
チームマネージャーの梨本孔(岡田将生)と共に、未曾有の事態の収拾にあたる。

誰が、何のために爆弾を仕掛けたのか?
残りの爆弾は幾つで、今どこにあるのか?

決して止めることのできない現代社会の生命線 ―
世界に張り巡らされたこの血管を止めずに、いかにして、連続爆破を止めることができるのか?

すべての謎が解き明かされるとき、
この世界の隠された姿が浮かび上がる。


(公式サイトより引用)


【用語】

  • デイリーファスト
外資系の通販業で業界最大手。
一般消費者は勿論のこと、企業及び医療関係者宛てのメディカル便も取り扱っている。
外資系らしく雇用に関する契約関係はドライで、数千人が働く倉庫でありながらほとんどのスタッフは非正規雇用で正社員はわずか。かつ、前任者からの申し送りなどの情報共有はあまりなされていない。

  • 西武蔵野ロジスティクスセンター
デイリーファストの物流センター。関東圏を担当する国内最大規模の物流倉庫。

  • デイリーフォン
デイリーファストが自社製造したスマートフォン。海外では既に発売されており、日本での発売日はまだ先だが、一部で先行販売されている。

  • 羊急便
大手の運送会社。
デイリーファストの荷物が6割を占める為、配送料など足元を見られて強引な契約を結ばされている。
通常時でもドライバーが足りずに配送がパンク状態である中、今回の事件によって更なるしわ寄せを受ける羽目になり……。

  • ブラックフライデー
アメリカ合衆国で感謝祭(11月の第4木曜日)の翌日に行われる大安売りセール。
通販に限らず、一般の小売店でも行われる。



【登場人物】

アンナチュラルMIU404の項目も参照。

【デイリーファスト】

  • 舟渡エレナ
演:満島ひかり
西武蔵野ロジスティクスセンターの新任センター長。
着任早々、自身が管理する物流倉庫で爆弾事件が発生したことで上からの指示と警察との折衝、現場への対応とあらゆる事情に板挟みになって奔走することに。

  • 梨本孔
演:岡田将生
西武蔵野ロジスティクスセンターのチームマネージャー。
他の人物が自身の都合を主張する中で流されてばかりの日和見な姿勢が目立つ。

  • 五十嵐道元
演:ディーン・フジオカ
エレナの上司で、日本支社の統括本部長。
エレナの上の立場だが、彼もアメリカ本社からの指示を受ける中間管理職である。


【警察関係者】

  • 刈谷貴教
演:酒向芳
警視庁捜査一課刑事。事件の調査担当。カタカナ語が苦手で「ロジスティクス」がうまく言えない。

  • 毛利忠治
演:大倉孝二
西武蔵野署所属の刑事。刈谷とコンビで捜査に当たる。
エレナがとある人物の名前を正しく言えたことにすぐに気づくなど、刑事として優秀な面も健在。


【羊急便】

  • 八木竜平
演:阿部サダヲ
羊急便の関東局局長。
仕事が出来なさそうなくたびれた印象が強いが、現場のスタッフからは慕われている。急便という会社に勤めているのに八木(ヤギ)という苗字であることをエレナにネタにされている。

  • 佐野昭
演:火野正平
ドライバー。ただし羊急便の直接雇用社員ではなく、自身の運送会社である佐野運送を営みつつ、羊急便とは委託ドライバー契約をしている。
安すぎる配送料とそれに見合わない荷物や仕事の増加に苦慮しているが、運送屋としてのプライドを持って業務にあたっている。

  • 佐野亘
演: 宇野祥平
昭の息子。
かつては家電メーカーに勤務していたが、会社が倒産して失職した為に、現在は父親と一緒に仕事して配達員見習いをしている。身を粉にして働く父親を心配するとともに苛立つ一面も見せる。


【余談】

前述した通りブラックフライデーは大安売りセールである為、消費者にとってはお得なイベント、会社にとっては書き入れ時というハレの日である。
だが、この語での「ブラック」とは「小売店が繁盛して黒字になる」という前向きな意味を持たされているが、その語感故にホラー映画の題材にブラックフライデーという語が使われているケースもある。(大抵はZ級映画だが)

ホラー以外でブラックフライデーに関連する近年の作品を挙げると、ジェイソン・ステイサム主演の『キャッシュトラック』など。こちらは小売店から売上金を回収する現金輸送車を題材とした作品である。


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最終更新:2025年04月10日 08:41