シーカウ星人/エマキラ(ウルトラ怪獣)

登録日:2020/12/11 Fri 16:30:33
更新日:2024/11/25 Mon 04:51:06
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シーカウ星人並びにエマキラとは、故・居村眞二の漫画作品『決戦!ウルトラ兄弟』に登場した宇宙人&怪獣である。
初出は「てれびくん」1978年4月号別冊付録に掲載された連載第1話「おさななじみ」。


シーカウ星人

複眼に節足状の四肢、ギザギザのハサミ状の両手……と、ザリガニなどの甲殻類を擬人化したかのような細身の宇宙人で、ウルトラマンタロウの幼馴染
劇中でも彼らから「シーカウ」と呼ばれてたことから、恐らくは種族名ではなくエンペラ星人辺りと同様の個体名と思われる。
性格はウルトラの父に「気弱」と評されており、宇宙警備隊からも特にマークされてなかったようだが、
その実シーカウ自身は、子供の頃から強かったタロウと比べられることに劣等感を抱き、彼に対して逆恨み同然の憎悪を長年にわたり募らせており、
タロウの地球赴任の時期に、怪獣エマキラを光の国で暴れさせ、更にその勢いでタロウを殺すべく地球へと襲撃を仕掛けた。
武器は両腕のハサミから放つ光線。

作中ではエマキラを操ってタロウを痛めつけて「宇宙には、お前より強い者はいくらでもいるんだ!」と豪語するも、
完全に怪獣頼りの他力本願、そもそも目的はタロウ一人なのに関係ない光の国も襲撃する、罪のない犬を惨殺するなどの所業を見るに、
その実態は自身の研鑽すらせずに卑屈を溜め込み、無関係な相手への憂さ晴らしで鬱憤を晴らす、「虎の威を借る狐」そのものでしかない。

それにしても、非映像媒体を含めると親友に実兄が闇堕ちした父親に続き、
タロウもタロウで正史のトレギアに『ザ・ウルトラマン』のエルフに『悲しみの妖精少女』のセーナ……と
シーカウ含めた幼馴染3人に東光太郎としての幼馴染1人が闇落ちしている辺り、この血族は身近な人物をダークサイドに墜とす因果でも背負ってるのだろうか。


エマキラ

シーカウ星人に操られるスタンダードな二足歩行の恐竜型怪獣。
全身にサイボーグ化された機械パーツで覆われているのが特徴で、武器は両腕の鎌に、口から吐く熱線。
戦闘能力はシーカウが「宇宙最強」と豪語するだけあり、予行演習的に光の国に攻撃を仕掛けて大打撃を与えたり、
タロウとの戦いでもウルトラ兄弟の加勢が入るまでは優勢に立っていたりと、極めて高い。まさにシーカウという名の「狐」にとっての「虎」と言える存在。
この凶暴性はシーカウによって後天的に植え付けられたものであるらしく、
ゾフィーは元のエマキラの性質を知っていたようで「操られさえしなければ大人しい怪獣だった」と憐れんでいた。


「おさななじみ」エピソード解説

突如として、ウルトラの国を何者かが襲撃して街を破壊するという事件が起きた。
駆け付けたウルトラの父に、現場に居合わせた初代ウルトラマンは、シーカウ星人がエマキラを操って行った事だと事態を説明する。
気の弱いシーカウが何故このような所業に至ったのか……ふと、ウルトラの父は、シーカウがタロウと幼馴染だった事を思い出す。
ウルトラマン曰く、シーカウはエマキラ共々地球へ向かったとの事。地球には現在タロウが赴任中……父は悪い予感を感じ取った。


その頃、地球……野々川という少年が、飼い犬のサミーに同級生の子供たちを「いつもおれをのけものにするバチ」と称して襲わせていた。
それに割って入ったのがケン一少年。犬を嗾けるという卑怯な手段に怒り、喧嘩ならウデでこいと啖呵を切るも、襲い来るサミーに思わず怯んでしまう。

と、彼を救ったのは東光太郎。なおもサミーを暴れさせる野々川少年だったが、光太郎はウルトラマンとしての超能力を発揮し、サミーを大人しくさせると、
野々川少年に「君はサミーを悪い犬にしたいのか」と叱りつける。
が、今度はケン一少年が「犬さえいなけりゃお前なんか」と言い放って、野々川少年を殴りつけて泣かせるという行為に及んでしまう。
流石の光太郎もどうして仲良くできないんだと二人に怒り、ケン一もバツが悪そうにするしかなかった。

……と、突如としてサミーが犬の本能で何かを感じ取ったのか、その場から駆け出す。次の瞬間、何者かにサミーは引き裂かれるかのように惨殺されてしまった
愛犬の惨状を前に涙する野々川少年。犯人を追って光太郎は駆けるが、その先に居たのは彼のタロウとしての幼馴染、シーカウ星人であった。
思いがけない再開に、一瞬とはいえ先ほどの事件を忘れたか笑顔になる光太郎であったが、シーカウは自分が地球に来た理由を「長年の恨みを晴らすため」と発言。
訳も分からず動揺する光太郎に対して「タロウ、お前を殺す」と宣言し、怪獣エマキラを街中に召喚すると、そのまま姿を消してしまった。
腰を抜かして歩けなくなってしまった野々川少年を助けるようにケン一少年を促し、彼らが去ったのを見届けた光太郎は、ウルトラマンタロウに変身する。

街で暴れまわるエマキラに対してスワローキックで先制するタロウだったが、あっさり強靭な尻尾で跳ね飛ばされてしまい、更に追撃で大ダメージを受けてしまう。
早くもカラータイマーが点滅してしまったタロウの姿に、シーカウはほくそ笑みつつ彼に対する積年の恨みつらみ……もとい、完全な逆恨み同然の感情をただひとり吐露する。

シーカウ「ハハハ、思い知ったかタロウ」
シーカウ「お前は子どものころから強く、おれはいつもおまえにくらべられてくやしかった。おれは、だれにもいわなかったが、おまえをずっとにくんでいた」
シーカウ「宇宙にはおまえより強い者はいくらでもいるんだ!エマキラ、タロウを殺すのだ」

応援に来たZATすらも返り討ちにし、タロウに止めを刺そうとするエマキラ。死を覚悟するタロウ。万事休す……

と、エマキラの放った鎌の一撃がタロウを逸れる。
ウルトラの国より駆け付けたゾフィー率いるウルトラ兄弟*1が、エマキラの身体を抑え込んでタロウを助けたのだ。
その光景を見ていたケン一少年と野々川少年も、抱き合って喚起する。いつの間にか、野々川少年もすっかり立ち上がれるようになっていた。
ゾフィーからウルトラパワーをカラータイマーに充填されて復活したタロウは、トリッキーな動きでエマキラの攻撃をかわすと、
ブレストレットランサーをエマキラの頭頂部めがけて突き刺し、動きの止まったエマキラにストリウム光線を放って爆殺。あっという間に決着をつけてしまった。
ゾフィーは、元々大人しい怪獣だったにもかからず、シーカウに改造されてしまったエマキラを憐れむ。

エマキラの敗北に冷や汗を流すシーカウだったが、彼のもとに等身大サイズとなったタロウが飛来する。

タロウ「シーカウ」
シーカウ「タ…タロウ」
タロウ「教えてくれ!なぜ、おれを殺そうとしたんだ?」
シーカウ「お前にいったところで、おれの気持ちなんて、わかりはしないさ」

エマキラで破壊活動を行ったシーカウに対してもなお、幼馴染だった相手の真意を問いただすタロウであったが、劣等感と憎悪に塗れたシーカウは結局その理由を語りすらせず、巨大化
タロウもまた再び巨大化し、タロウとシーカウの戦いが始まった。

幼馴染との戦いを拒むタロウであったが、シーカウは両腕のハサミから光線を放ってタロウを殺すべく執拗に攻撃。
このままでは自身がやられてしまう……タロウは一瞬の葛藤の末、シーカウに突撃し、奥の手・ウルトラダイナマイトを発動。
断末魔すら残すことができず塵と化したシーカウの痕跡を前に、タロウは兄弟たちが見守る中、寂しそうな表情をするのであった……

タロウ「シーカウ……子どものころ、よく遊んだのに……」


事件が終わり、シーカウに殺された愛犬サミーのお墓参りに訪れた野々川少年。
そんな彼のもとに姿を見せたのはケン一少年。彼もまた、献花を手に訪れたのだ。
二人がお互いに先日の過ちを謝罪して仲直りする姿を見て、光太郎も笑顔を見せるのであった。



追記・修正は、タロウの幼馴染になってかつ闇堕ちしなかった方がお願いします。

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最終更新:2024年11月25日 04:51

*1 ちなみに一コマだけであるが、タロウの地球赴任時にはまだ居なかったはずのレオまで描かれている。