アンドロメダ流国

登録日:2021/03/27 (土曜日) 21:45:00
更新日:2025/04/13 Sun 16:27:20
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「この戦いはお前達とわしらの未来永劫まで続く、聖なる戦いなのじゃ!」

「わしらはゲッターを倒し、世界のすべてを、宇宙を我が手中におさめる!!」




【概要】

アンドロメダ流国とは、石川賢氏による一連の漫画作品『ゲッターロボ・サーガ』に登場する宇宙国家である。
昆虫が進化して誕生したと思われる昆虫人間たちからなる国で、彼らの使う兵器にも昆虫の意匠が盛り込まれたものが多い。
ゲッターの歴史上、極めて重大な敵勢力であり、ほとんどの時代に直接的・間接的に影響を及ぼしてきた。

なお、国家名が明かされたのは『サーガ』最終作の『ゲッターロボアーク』から。
真ゲッターロボ』の時代に登場した惑星ダビィーンの皇帝一族やギィムバグ軍曹とは明確につながりがあるとは言われていないものの、
昆虫からなる姿やメカの意匠が似ており、一般戦闘員の姿もほぼ同一であることからして、両者には深い関係があるものと思われる。
『アーク』の時代でいくつかの部族に分かれていることが語られたので、惑星ダビィーンはその一派であったのかもしれない。
よって、本項目では未来からの敵勢力全般として紹介する。

ゲッターの宿敵であり、シリーズにおける最大の被害者にして加害者である。

その正体は、はるかな未来において宇宙進出時代を迎えていた人類に対して戦争を仕掛けてきた星間国家。
圧倒的な科学力と軍事力で、当時の人類を滅亡寸前にまで追いやるほどの絶大な力を持っていた
しかし、最早滅亡寸前となった人類に、彼ら自身すら想定していなかった強大な味方が現れた。

「宇宙を破壊する機械の化け物」、宇宙最大最強のスーパーロボット『ゲッターエンペラー』である。

エンペラーの力はアンドロメダ流国の宇宙艦隊を赤子扱いできるほど強力であり、あっという間に形勢をひっくり返されてしまう。
人類はエンペラーの庇護のもとで勢力を盛り返し、ここに後の世で「第一次オリオン大戦」と呼ばれる大戦争が始まった。
だが、ゲッター軍団の力が増大し続けるのに対し、アンドロメダ流国は「第二次オリオン大戦」「第三次オリオン大戦」と敗北を重ねていき、
ついには、「第一次」まで人類を追い詰めていたアンドロメダ流国の方が逆に滅亡の危機に瀕してしまう。

「もはやゲッターエンペラーにはどうあがいても勝てない」と悟った彼らは禁断の最終手段に出る。
時空を超えて過去に跳び、過去の早乙女研究所をつぶしてゲッターそのものを歴史から消滅させようというのである。
しかし過去のゲッター側も負けてはおらず、未来から襲い来るアンドロメダ流国軍に対して熾烈な戦いが繰り広げられていく。

【国民性】

総じて傲慢かつ残虐非道。
地球人類に対して一片の存在価値すら認めておらず、シリーズを通して人類に友好的な態度を示したことは一度もない。
かつては人類に対し「降伏など認めず、その細胞の一片までも根絶やしにする戦い」を仕掛けてきており、人類を霊長とは認めないとまで言い放っている。
その反面、同胞愛や自己犠牲精神は強く、ゲッターを倒して未来の自国・種族を救えるならばそれでいいとばかりに、
自分の命すら平然と捨てるような特攻戦術を当たり前に使ってくる。このへんは昆虫が進化した生命体ゆえと言うべきか。
降伏という概念もなく、どんなに追い詰められようとも白旗を上げることはない。

こうした性質ゆえに、自分たちを追い詰めているゲッター軍を「侵略者」「宇宙のガン」と散々に罵倒し、それを生み出した地球人類をも「宇宙に存在してはならない」と否定しているが、
実のところ、最初に地球人類を滅亡手前まで追い詰め、滅ぼすか滅ぼされるかの非情なる「宇宙の掟」を教え込んだのは彼らであり、自業自得という側面もある。
加えて、もしも目論見通りゲッターを倒せたのであれば、冒頭の言葉通り、自分たちがゲッターに代わって宇宙制覇に乗り出す気満々であり、「盗人猛々しい」を地でいく連中である。
これでは巴武蔵司令官が「宇宙にはびこる悪を一掃するための聖戦」と豪語して昆虫人類の虐殺を行っても仕方ない。

【流国の歴史】

注:あくまで作中描写から推測されるおおまかなものです。

  • 未来の世界において地球人類と接触、宇宙戦争で人類を滅亡寸前に追いやる。


  • 第二次、第三次オリオン大戦に敗北。

  • 歴史改変の第一陣、過去の時代で百鬼帝国を建国してゲッターGと交戦。

  • ギィムバグ軍曹、真ゲッターと交戦。ゲッターGが真ドラゴンへの進化を開始。


  • 諸葛孔明一味、太平洋上にストーカ01を築いて現代に攻撃を開始。

  • 人類と恐竜帝国の連合軍に攻撃を繰り返すも、ゲッターロボアーク、作戦『ジュラ・デッド』により未来にワープ。

  • 巴武蔵司令官のゲッター軍により諸葛孔明一派壊滅。最後の切り札バグをカムイ・ショウに託す。


【関連人物】

  • ブライ大帝
百鬼帝国の支配者。
もともとは地球人の科学者だったが、南極に墜落した流国のUFOを調査した際に洗脳改造され、円盤を修復して百鬼帝国を作り上げた。
元々が地球人のため「ゲッターを倒す」という意思があまり強くなく、ゲッターを倒せる状態でもナメプしたり世界征服を優先したりする中途半端な行動が目立った。
死後、ギィムバグ軍曹によって回収され、巨大百鬼メカとなって真ゲッターに挑むも敗北。
さらに精神体となってギィムバグ軍曹に情報を送るも、その後はゲッター線に取り込まれて早乙女研究所の助力に現れるという数奇な運命を辿った。

  • ギィムバグ軍曹
初めてゲッターチームの前に現れた未来人。カブトムシのような姿をしている。
早乙女研究所を何度も攻撃するも、真ゲッターと真ドラゴンの力にはかなわずに敗死。
むしろゲッターGが真ドラゴンへの進化を始めるきっかけを作ってしまった。

  • 戦闘艦ギムス艦蟲長
惑星ダビィーンの艦隊司令。
母星を破壊されるも、無茶を承知で過去へ飛んで地球ごと自爆してゲッターを葬ろうとする。
しかし艦はタイムワープのゲートごとエンペラーに握りつぶされ、時間を超えられた先端部分も真ドラゴンに吸収されてしまった。

  • 諸葛孔明 CV:土師孝也(アニメ版『アーク』)
アークの時代に太平洋に亜空間ゾーンを築いて地球を攻撃していた司令官。
姿は中国っぽいが、史実の諸葛亮孔明との関係は不明。
また、軍師っぽいがやることは力押しばかりで知的なことはあまりしていない。
バグを現代で完成させるというアイデアも言われてやっと気が付いたくらい。

アニメ版では「コーメイ」という名前に変更された。まあさすがにそのままだとまんますぎるので仕方ない。

  • 大女王メルドゥーサ CV:朴ロ美(アニメ版『アーク』)
名前だけ登場したアンドロメダ流国の支配者と思われる存在。
なお、間違われがちだがアーク終盤で壊滅したのは諸葛孔明一派だけでアンドロメダ流国自体はまだ存続している。

アニメ版では立体映像を通してコーメイに指示を出しているが、映像がぼやけているのではっきりとした容姿はわからない。

  • カーター・マクドナル CV:立木文彦(アニメ版『アーク』)
アメリカの特務機関員を名乗って流拓馬の身柄を狙っていた男。
正体は百鬼帝国の生き残りであり、アンドロメダ流国に協力して復讐の機会をうかがっていた。
拓馬の母親の仇であり、拓馬から執拗に狙われている。
終盤、ゲッター軍団を前に風前の灯火の孔明からバグを預かり、カムイに言葉巧みに託す。

原作ではあくまで地球人であるということでアンドロメダ流国の人間からは疎まれていたが、アニメではコーメイの副官ポジションとなり、コーメイからも信頼されている。
なおアニメでは名前が「マクドナル」と微妙に変わっている。これは「マクドナル」だと叫びづらいからだとか。
言うまでもなく某[[ハンバーガー]]チェーンは関係ないのだが、視聴者からネタにされる事となった

  • 兎猿候
孔明の部下で、早乙女研究所に攻撃をおこなった獣戦士(アニメではインセクター)軍団の指揮官。
孫悟空カカロットのほうではないのような姿をしており、猪八戒のような豚型のメカに乗っている。
原作では特に名前が無かったが、アニメで命名された。
ゲッターG5の一機に化けて騙し討ちにし、次いで獣戦士軍団を研究所に送り込む。
しかし獣戦士軍団はクジャクで大打撃を受け、せめてアークだけは道連れにと突撃したが、アークの速度についていけずにトマホークでバラバラにされた。
アニメでは見せ場が増えており、ゲッターD2を2機撃墜。残った3機も高速移動で翻弄するなどかなりの強さを見せつけた。
一方で調子に乗って浮かれたり、マクドナルドに油断するなと釘を刺されると頭をかきながら困惑したりと、アンドロメダ流国のキャラでは珍しいコミカルな一面を見せた。

  • 女王虫
早乙女研究所破壊のために送り込まれてきたエージェント的存在。
流国人の女性体なのか生物兵器なのかはさだかではないが、人間に卵を産みつけ昆虫人間に変えて操る力を持つ。
研究所に侵入して甚大な被害をもたらすが、飛び込んできたゲッターアークに噛み殺される。
アニメでは作品全体の作画がイシカワチックなのに対して彼女だけは大幅に美人に書き換えられている。
なんでもスタッフ曰くデビルマンのシレーヌをモチーフにしたとか。デビルマン風のゲッターがデビルマンの敵モチーフ噛み殺すとかそれなんてデビルマン?

【兵器】


  • 宇宙戦闘艦
イモムシのような形の宇宙戦艦を多数保有している。
一隻ごとが惑星を破壊できるほどのパワーを持っているが、エンペラーの前では文字通り虫けら同然の存在でしかなかった。

  • 巨大円盤
最初に時空を超え、地球でブライを操って百鬼帝国を築かせた。
ゲッター戦記にもその存在が時空超越の第一陣として記録されている。
しかし時空を超えた衝撃で円盤は大破しており、ブライが修復して百鬼帝国に改造したものの性能はかなり落ちている。
後に完全な形のものが発見され、搭載された戦闘ロボットはゲッターGを追い込むほどの力を見せたが、
ブライが余裕をこいてゲッターGのとどめを後回しにしたために中枢に飛び込まれて破壊された。

なお、世界観は違うが「真ゲッターロボ対ネオゲッターロボ」にも同デザインの円盤が登場している。
この中で、調査隊の人間たちが恐竜帝国に殺害されている描写があり、サーガでは帝王ゴールはブライに殺されているため、
死んでいる調査隊にブライがいたとしたら、ゴールは間接的に復讐を果たしたことになる。

  • 巨大百鬼メカ
ギィムバグ軍曹が宇宙を漂っていたブライを回収して蘇生改造したもの。
それ自体が百鬼メカの塊の巨大要塞であり、初代ゲッターロボやゲッターGでは歯が立たないほどの強さを持つ。
しかし真ゲッターには出力1/5でも歯が立たずにボコボコにされてしまった。

  • 人食い昆虫
石川作品ではお馴染みのウジャウジャ出てきては人を殺していくアレ。要はドグラやインベーダーみたいなもん。
生物なのかメカなのかわからない気持ち悪い奴ら。

  • 偽真ゲッターロボ
小型の昆虫メカが群体をとって真ゲッターに擬態したもの。
ゲッターの能力まではコピーできていないが、半端な攻撃では多少崩れるだけですぐ戻ってしまう。
真ゲッターを手こずらせたが、ストナーサンシャインで消滅させられた。

  • 獣戦士
アンドロメダ流国の戦士たち。古代中国の鎧武者のような姿をしている。
アークの力を測るための当て馬として使われ、アークのサンダーボンバーで吹っ飛ばされた。
早乙女研究所攻撃に向かった一隊も、敷島博士の作戦名クジャクでオーバーキルぎみに一掃された。哀れ。

  • 時空超越機スターボーダ
いわゆるタイムワープ装置。これを使って諸葛孔明一味は現代に兵器を送り込んでゲッター殲滅を試みた。
だがそれゆえにゲッター軍団に目を付けられてしまい、巴武蔵司令官のゲッター軍によって孔明一味は壊滅することになる。
しかし滅びる寸前、現代にバグを送り込むことに成功。現代のゾーンは消滅したが……。

アニメ版にのみ登場。
かつてゲッタードラゴンを敗北させたアトランティス文明の遺産。
背中に人型の生えた巨大な機械竜であり、口から放つ強力な重力遮断光線を最大の武器とする。
アンドロメダ流国に回収されて改造を受けたのか、失っていたはずの人型が復活し、未来のゲッター軍団を圧倒できるほどのパワーを有している。

  • バグ
アンドロメダ流国の最終兵器。唯一、ゲッターに対抗できる力を持っているという。
ただし、この指す対象のゲッターが「現代」のものなのか「未来」のものなのか、どちらなのかは不明。
未完成であったが、現代において恐竜帝国によって完成させられ、カムイ・ショウによって人類抹殺に動き出す。
ゲッターアークを半壊させる強さを見せつけるが、その時ついに真ゲッタードラゴンが現れ……。

石川氏の別作「セイテン大戦フリーダーバグ」に登場する兵器に似ているが関連性は不明。

アニメ版では、地球の百鬼帝国が集めたデータを元に設計されており、正式名称は「Biogeocenosis(生態系)Unlimited(無限界)Genocidemachine(抹消機)」。
惑星環境どころか全宇宙の環境すら改変していくことができる。

【歴史に与えた影響】

ゲッターを倒すために何度も過去へのタイムスリップを繰り返してきたわけなので、当然その度に歴史に大きな影響を及ぼしている。

アンドロメダ流国が歴史への介入を行う前の『正史』のゲッターの歴史では、まず百鬼帝国が存在しないことが大きな違いとなる。
ブライはうだつのあがらない科学者として人生を終え、ゴールもブライに殺されることなく、恐竜帝国との決着もまったく違った形になったはずである。
ウザーラも発掘されず、アトランティスの人々はその後もずっと眠り続けられていた。
その後は、真ゲッターロボが開発されるとしても、プロフェッサー・ランドウの登場まで平和が続き、ドラゴンの暴走も早乙女研究所の壊滅も起こらない。
このためエンペラーの誕生の経緯も違ったものになっていた可能性もある。
最たるものを言えば、流竜馬はゲッターGの完成前に死亡していたかもしれないのだ。

アンドロメダ流国が介入した結果、一時的にゲッターを追い込むことはできるものの、ゲッターは対抗して強大に進化し、その度に撃退されている。
結果的に彼らはゲッターを倒そうとすればするほどにゲッターの進化を加速させてしまう結果を招いており、
どこぞの魔法少女のように、「挑む敵が強ければ強いほど奴らはさらに強くなる」(ByJAM Project『Bloodlines~運命の血統~』二番歌詞)という、
勝てない敵に抗うほどに敵を強化してしまうという最悪の循環を繰り返しているのである。
だがはっきり言えば、「勝てぬ、絶対に勝てぬ!」と、絶望して消滅した闇の帝王とほとんど同じ状況に追い詰められながらも、
あきらめずに抵抗を続けている彼らの精神力の強さは賞賛すべきものであろう。
闇の帝王はある世界で非常にうまい具合にエンペラーの出現を阻止したけどな
ただし、そもそもゲッター線が進化をつかさどる神のような存在であるならば、彼らは人類の進化の肥やしとして無駄な抵抗を繰り返すように定められた哀れな当て馬なのかもしれない。


追記・修正はゲッターエンペラーとの永劫の戦いに飛び込んでお願いします。

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最終更新:2025年04月13日 16:27