ベイB ジャック

登録日:2021/04/23 Fri 20:23:45
更新日:2021/05/05 Wed 01:49:54
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私たちにとっては、この子がプレミアム。



《ベイB ジャック》はデュエル・マスターズのクリーチャーである。


概要

ベイB ジャック VR 自然文明 (1)
クリーチャー:ミルクボーイ/イニシャルズ 6000
バトルゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
W・ブレイカー
このクリーチャーは、自分のターンのはじめにアンタップしない。
自分がカードを引いた時、自分のマナゾーンにあるカードを3枚タップしてもよい。そうしたら、このクリーチャーをアンタップする。
バトルゾーンにある自分のクリーチャーを、自分のマナゾーンにあるかのようにタップしてもよい。

DMR-23「革命ファイナル 最終章 ドギラゴールデンvsドルマゲドンX」で登場したミルクボーイ/イニシャルズ
革命ファイナルといえば、やれ《蒼き団長 ドギラゴン剣》だの、《時の法皇 ミラダンテXII》だのといったパワーカードを輩出したカレーパン馬鹿編最終章だが、
そんななかで登場したこのカードもまた、恐ろしいレベルのパワーカードであった。

種族自体はミルクボーイとイニシャルズということで、種族サポートは非常に少ない。
そしてカードパワーは1マナのP6000WB。無論デメリットは有り、タップインで登場して、他のカードを3枚タップしないとアンタップできない。
しかし、ミルクボーイデッキでは《Dの揺籠 メリーボーイラウンド》が存在するので、自身の効果によらずアンタップ可能である。

……はっきり言ってそういうミルクボーイの共通効果的なやつはほぼほぼおまけである。
こいつの真価は一番下。

バトルゾーンにある自分のクリーチャーを、自分のマナゾーンにあるかのようにタップしてもよい。

この文章を読んだ人はだれでも真っ先に目を疑い、そして次にこう言うだろう。
「そんなことしたらダメだろう」と。
事実、そんなことしたらやっぱりダメだったのでこのカードは現在プレミアム殿堂となっている。

何がダメだったのか

単純にどう見てもぶっ壊れている能力なので、解説するのも釈迦に説法でしかないのだが、
まずバトルゾーンにクリーチャーが出ればもれなく1マナブーストしたのと同じことになるという破格のマナブースト要員。
しかもそいつをタップしてクリーチャーを出せば更にマナブーストできる。
この都合からウィニーデッキでは横並べの大加速が行え、ランプデッキでも展開にかけるスピードを節約可能。
他にも『光臨』や『サイレントスキル』など、相性のいい能力は多い。
しかし、実際に《ベイB ジャック》が使われたのはそんなビートダウンデッキではなかった。
むしろループコンボにおいて、彼は職場を得ることになる。

ワンショットキルまでのスピードは当然あがるが、当時の環境では更に「バトルゾーンとマナゾーンをいったり来たり」する
《蛇手の親分ゴエモンキー!》と《S級原始 サンマッド》を中核にいくつかのカードを使った【緑単ループ】というデッキがあった。
このデッキでは《フィーバー・ナッツ》でコストを節約したり、
《原始 サンナップ》などでマナを回復したりするほどマナが必要になるうえ、
かといってマナにループが落ちやすいのでマナ回収も度々行う必要があった。
しかし、「バトルゾーンにあるクリーチャーをマナゾーンにあるかのようにタップしてマナをうめる」《ベイB ジャック》の効果で、
「場に出せばとりあえずマナ基盤にもなる」ということからループ手順が簡略化されてしまった。
あとはループに《曲芸メイド・リン・ララバイ》*1をからめつつ、《極真龍魂 オール・オーバー・ザ・ワールド》で自分だけ山札を回復し、
相手だけライブラリアウトさせればわぁい、コンボーできる。
後年には「自分が山札を引ききると負ける代わりに勝つ」という、《水上第九院 シャコガイル》の登場でループ手順が更に簡単に。
緑単なのにフィニッシャーが青いんですがそれは

《無限銀河ジ・エンド・オブ・ユニバース》の登場以後は、横並べが得意なメタリカとつるみ、
「もっと横並べを得意にしてあげる」ことでエクストラウィンを狙う【白緑メタリカ】にも職場を得る。

雑に言えば、「コスト軽減」「手札補充orマナ召喚」「横並べ適正」が揃えば《ベイB ジャック》は即死コンボを作ってくれるのだ。
【バニラビート】も、《ベイB ジャック》と《サイバー・J・イレブン》を取り込んで、【バニラジャックイレブン】なるデッキに仕上げてしまった。
「バトルゾーンにある自分のクリーチャーを、自分のマナゾーンにあるかのようにタップし」たらいけなかったのである。
この能力の前には正直「ドローとマナ確保さえ何度もできれば無限アタックできる」とか、
「1マナで出せてしまうのにパワー6000でスレイヤーでもなきゃ序盤で殴り倒せない」とかは些末な問題である*2
そもそも1マナじゃなかったとしても何らかの踏み倒しを経由してコンボに投入されるのが目に見えている。

結果として、2018年3月1日付けでプレミアム殿堂入り。
唯一無二の壊れ能力を持つこいつが使用可能になることは、どれだけインフレが進んでもまずありえないだろう。

《ベイB ジャック》のプレミアム殿堂以後、《オッケーBros.》などの簡単なアンタップ手段、
マジボンバーなどの横並べ手段、キリフダッシュやビビッドローなどの代替コスト持ちなどが登場している。
というよりも、《ベイB ジャック》がいないからこそこの手のカードがデザインできたとも言えよう。

で、【ミルクボーイ】ではどうなのよ

ミルクボーイデッキでは、正直ほとんどこいつのプレミアム殿堂で影響はなかった。

《ベイB ジャック》には、実は完全下位互換の《ベイB ソーター》なるカードが存在する。

ベイB ソーター C 自然文明 (1)
クリーチャー:ミルクボーイ/イニシャルズ 6000
W・ブレイカー
このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、このクリーチャーをタップする。
自分のターンのはじめに、このクリーチャーはアンタップしない。
自分のターン、1枚目のカードを引く時、自分のマナゾーンのカードを3枚タップしてもよい。そうしたら、このクリーチャーをアンタップする。

《ベイB ジャック》と《ベイB ソーター》の違いは以下の通り。

  • レアリティ。《ベイB ジャック》は《レアリティ・レジスタンス》に引っかかる。しかし当の《レアリティ・レジスタンス》が使用率が低い。
  • アンタップ可能なタイミング。《ベイB ソーター》は最初のドローにしか反応しないが、《ベイB ジャック》は2枚目以降でもいい。つまり《スーパーハッカー養成プラン》などドロー手段を確保しておけば連続アタックもできる。
  • 《ベイB ジャック》には上記の「バトルゾーンにある自分のクリーチャーを、自分のマナゾーンにあるかのようにタップ」できる効果がある。

つまりどうあがいても《ベイB ジャック》に《ベイB ソーター》が勝てる要因はない……のだが、
【ミルクボーイ】において、これらの優位点が有効に働かないのである。

  • 【ミルクボーイ】においてミルクボーイたちはみんなタップインしており、タップできるクリーチャーの数が少ない。しかもそれらのクリーチャーをタップするくらいなら、そいつらでアタックしたほうが打点が上である。
  • 【ミルクボーイ】にわざわざ《ベイB ジャック》だけのために継続ドロー手段を放り込むだけの余裕がない。そもそも【ミルクボーイ】は《Dの揺籠 メリーボーイラウンド》の効果で一斉にアンタップするのが基本戦略であり、《ベイB ジャック》だけ別のアンタップ手段を取るメリットもない。
  • 使用率が低いとはいえ、《レアリティ・レジスタンス》に弱いことそれ自体は《ベイB ソーター》に対する明確な欠点。しかもレアリティが高い分《ベイB ジャック》を揃えるのは《ベイB ソーター》よりもカネがかかる*3

結果として、「ジャックは5枚目以降のソーター」とかいう、仮にも完全上位互換のカードの扱いとは思えない評価がなされる。
《ベイB ジャック》の殿堂入りで【ミルクボーイ】は特に影響も受けておらず、
後に《ベイB アカリンヒオリン》(ミルクガール)の登場で頭数の減った分さえカバーしてしまった*4

関連カード

蛙跳び フロッグ UC 自然文明 (2)
クリーチャー:アウトレイジ 1000
このクリーチャーがバトルゾーンにあれば、自分のマナゾーンにあるかのようにこのクリーチャーをタップしてマナを生み出してもよい。(このクリーチャーをバトルゾーンに出したターンに、この能力を使ってもよい)
《ベイB ジャック》の元ネタとなったであろうアウトレイジ
MtGの《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》を元にした能力であるが、ラノエルほど使われることはなった。
そのせいで開発が甘く見たのが《ベイB ジャック》の誕生に繋がったのかもしれない。

カエルB ジャック SR 水文明 (3)
クリーチャー:トリックス/ワンダフォース 7000
このクリーチャーは攻撃できない。
自分が呪文を唱える時、自分のクリーチャーを好きな数タップしてもよい。こうしてタップしたクリーチャー1体につき、その呪文を唱えるコストを1少なくする。ただし、コストは0以下にならない。
各ターン、自分がはじめて呪文を唱えた時、カードを1枚引く。
「効果を発動するタイミングを呪文詠唱時に限定」「打点になれない」「下限がある」と3つも保険をかけられた調整版。
トリックスになったため、種族サポート自体は優秀にはなった。
GR召喚しないのにワンダフォースなのは謎だが

情報公開当初はぶっ壊れではないかとかなり騒がれ実際に初動も高値で取引されていたものの蓋を開けてみればそこまで強くない事が判明し値段も急降下。
現在ではファンデッキでは活躍を見せるが、環境ではいまいち活躍に恵まれない。

余談

《ベイB ジャック》のあだ名として良く「豆」というものが使われる。
実際ツヤのある丸い緑色をした見た目は豆に見えなくはないが、よくよく見ると《蛙跳び(ジャンピン・ジャック) フロッグ》をオマージュしたルックス。
イラストでは《蛙跳び フロッグ》の背景にもいた緑色のオタマジャクシ達に囲まれていることからして、つまりこいつも本当はオタマジャクシなのであろう。でも相変わらず豆呼ばわりされるが。
ジャックと豆の木という童話があるのも理由だろうか?
他にも「忌み子」など。

プレミアム殿堂後によりにもよって大川ぶくぶによってイラストが描かれたプロモーションカードとして雑誌『コロコロアニキ』に収録。
フレーバーテキストは本記事冒頭のものだが、皮肉が効きすぎている。
挙げ句その号で大川ぶくぶによって鬱アニメTCGに出荷される始末。
そちらのフレーバーテキストは「ふたたびお風呂に入るその日まで。」と、温泉行きをネタにしたものとなっている。

ちなみにDMはMtGに比較した際、1マナカードが弱いとしばしば言われている。
例えば《凶戦士ブレイズ・クロー》は1マナP1000で強制攻撃デメリットを有するが、
MtGでは1マナ1/1(DMのP1000相当)のバニラである《モンスのゴブリン略奪隊/Mons's Goblin Raiders》が存在しており、
しかもこれですら多くのカードの下位互換という環境。
《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》や《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》など、
DMでは考えられない性能の1マナクリーチャーが犇めいている*5
しかし《ベイB ジャック》の場合、「タップインで3マナ支払ってやっとアンタップというデメリットを持つとはいえ、実質1コスト6/6で自軍全体に自分をタップして自分の色のマナを生むマナ能力を付与する*6」であるため、
おそらくMtGの世界でもやっていけるだろう。
むしろDMと違って相手ターンだろうがお構いなしに動けるため、MtGでこそ大暴れできるかもしれない。

《ベイB ジャック》のプレミアム殿堂で、各色に「殿堂入りを経験せずプレミアム殿堂」したカードが揃った。
光は《天雷王機ジョバンニX世》、水は《アクア・パトロール》、闇は《超次元バイス・ホール》と《フューチャー・スラッシュ》、
火は《ボルメテウス・サファイア・ドラゴン》。
後に光には《ベイB ジャック》と同弾である《ヘブンズ・フォース》が、闇には《ヨミジ 丁-二式》が、
水には《緊急プレミアム殿堂》が、そして同じ自然には《マリゴルドIII》が仲間に加わった。
こんなカードの割に、登場時どんなデッキにも入っていたというわけではないのがこれまた革命ファイナルの凄さを物語る。
実際、《蒼き団長 ドギラゴン剣》や《時の法皇 ミラダンテXII》、《ヘブンズ・フォース》の入るデッキとは
そこまで相性はよくないためおかしいことではないのだが。



私たちにとっては、この追記がプレミアム。

ふたたび修正に入るその日まで。

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最終更新:2021年05月05日 01:49

*1 場に出るとき、お互いのプレイヤーが山札から1ブースト。破壊されるとき、代わりに墓地のドリームメイトを手札に加えることで回収できる。通常はデメリットにもなりうる能力だが、強制であったために悪用されてしまうことになった。

*2 とはいえ実際問題として、実質「クリーチャーを出すたびにマナブースト」というシステムクリーチャーがたった1コストなのはデザインミスとも言えなくもない。なにしろ直近の類例である《Dの花道 ズンドコ晴れ舞台》でさえ5コストなのだ。また完全下位互換の《ベイB ソーター》を適正コストと捉えた場合、この能力は0コスト相当ということになる。《ロスト・チャージャー》並みにおかしなことになっている。

*3 とはいえ、明確にすぐプレミアム殿堂入りしそうなカードであったこともあって、意外と高騰しなかったとも言われている。

*4 なお《ベイB アカリンヒオリン》はミルクボーイでもイニシャルズでもない点より《ベイB ソーター》の完全下位互換。しかし【ミルクボーイ】では正直《ベイB ジャック》とやることはなんも変わらない。

*5 これには、MtGには軽量除去や打ち消し呪文などがこれまた犇めいており、1マナでこれくらいできなきゃやってられないというのがある

*6 しかも場に出たターンから有効