登録日:2021/06/25 Fri 20:24:29
更新日:2025/04/09 Wed 00:26:54
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TV版の一年後を舞台に、卒業が近づく9人の舞台少女の新たなレヴューを描く。
作品概要
2019年11月3日開催の3rdスタァライブ”Starry Diamond”で、再生産総集編『ロンド・ロンド・ロンド』と共に発表されていた完全新作の劇場作品。
アニメ版および『ロンド・ロンド・ロンド』の続編となっており、同じくアニメ版のその後を描いた『
スタリラ』や『
The LIVE #2 Transition』とはパラレルの関係となっている。
前述のように、今作では9人の舞台少女の卒業を軸にして「舞台少女の生と死」「9人の少女の抱えた『心残り』の精算」
そして、舞台#2でも触れられた「9人の舞台少女の中で唯一『夢を叶えてしまった』存在である愛城華恋が見つける新たな舞台とは何なのか」といった数々のテーマを描いている。
特に「華恋がTV版の後、どう歩んでいくか」ということについては物語のメインテーマとなっており、
古川知宏監督も各種インタビューで「TV版では『物語を進行する舞台装置』的な役割が大きくなってしまった愛城華恋を人間にする話(※要約)」と語っている。
後述する「トマト」を筆頭に、TV版以上に抽象的な、観客に解釈を委ねるような描写・シーンは多いものの、
本筋自体は監督が「『彼女たち、卒業します。以上』で終わり(笑)」と語っているように簡単で理解はしやすい。
というか監督がインタビューでこんな言葉を残しており、
―え?「ヤンキーマンガ」ですか?
古川:そうです。僕自身も作っている途中で気づいたんですが、これはヤンキーマンガと同じ手法なんですよ。
ヤンキーたちが河原に集まって殴り合うじゃないですか。それで感情をむき出しにしてぶつかり合って、最後まで強い気持ちを持っていたヤツが立っている。あれと同じです(笑)。
「Febri」劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト 監督・古川知宏インタビュー③より
上記の発言を踏まえてみると、大筋に関しては非常にわかりやすく把握できる。
そして上記のストーリーやテーマを乗せて描かれるレヴューシーンはTV版以上の圧倒的かつスペクタクルなヴィジュアルで描かれており、
新たなレヴュー曲や、アニメと舞台を経てより役と一体化した声優陣の演技と相まって観客の心を揺さぶるどころかガンガンぶん殴ってくる。
各キャラの心情を時にダイナミックに、時にコミカルに、時に精緻、時に恐ろしく描くこれらレヴューシーンはそれぞれが個性的かつハイクオリティに仕上がっており、
これらの映像美にスタァライトされてしまった舞台創造科からは本作を絶賛する声も少なくない。
そのハイクオリティは約1年半前から本作を待ちわびていた舞台創造科だけでなく、映画版から本作を知った新規層をも見事にスタァライト。
『
シドニアの騎士 あいつむぐほし』『
映画大好きポンポさん』など同時期のアニメ映画や『
るろうに剣心 最終章』といったヒット作を相手にも負けない高評価を見せ、
映画レビューサイト「Filmarks」では、上記の作品を超えて6月第1週公開映画の初日満足度ランキング第一位を獲得、
さらに
2021年上半期 満足度ランキング1位を獲得する快挙を成し遂げた。
その人気は留まるところを知らず、6月以降、上映館・上映回数を減らしつつも
約6ヶ月に及ぶロングラン上映がなされただけでなく、
再度の鑑賞を望む舞台創造科や前述の新規層の声に応えた各地の劇場が、一度は上映を終了した本作や前作である『ロンド・ロンド・ロンド』を再上映するなど、
深夜アニメ発のアニメ映画としては異例の大ブームを見せている。
キャッチコピーの一つである「”劇場”でしか味わえない{歌劇}体験」は決して誇張ではない。
9人の舞台少女たちが放つキラめきは、見たものの心を必ずや「スタァライト」するだろう。
でもキリンの「初見でもわかります」という言葉は信用しないで、最低限TV版か『ロンド・ロンド・ロンド』は予習しようね。
ストーリー
見つけなければいけない。
みんなに立つべき舞台があるように、この道の果てにある、あなただけの舞台を。
トップスタァの座を巡って、9人の舞台少女たちが戦ったあのオーディションから一年。
聖翔音楽学園の最上級生となった愛城華恋ら9人の少女には、卒業という人生の岐路が迫っていた。
だが、少女たちが各々の志を胸に卒業後の進路を決める中、華恋だけは自身の進路を全く決められずにいた。
華恋が「運命」を交換した舞台少女・神楽ひかりが自主退学という形で聖翔を去ったことで、彼女は自分の進路を見失い、自分がその後立つべき舞台を全く思い描くことができなくなっていた。
そんな中、真矢・まひる・双葉が進路として選んだ国内最高の劇団「新国立第一歌劇団」の見学会が開かれる。
憧れの劇団を前に浮かれる舞台少女たち。だが、8人が乗り込んだ見学会に向かう電車に異変が起こる。
8人以外の乗客が消えた電車の中、鳴り響くのは彼女たちが1年前耳にしたメロディ―――オーディション開始を告げる、あの着信音。
彼女たちに状況を理解する間も与えず、電車はオーディションの舞台へと変貌してしまう。
突然の事態に混乱する6人の前に現れたのは、すでに臨戦態勢のななとキリン。
再び現れたキリンは、7人に新たなレヴュー「ワイルドスクリーンバロック」の開催を宣言する。
そして、その宣言とともにななは混乱する6人に刃を向け、ワイルドスクリーンバロック第1幕「皆殺しのレヴュー」が開演した。
一方、一人残された華恋を乗せた電車は、果てのない砂漠へたどり着く。
砂漠の中で脱輪した電車から降りた彼女は、砂漠の中に見えた、ひかりとの約束の地…東京タワーを目指しながら、自身の舞台少女としてのルーツを回顧していく。
そして8人が異変に巻き込まれている頃、ロンドンでは華恋の元を去ったひかりの前にキリンが現れる。
キリンの語り口から華恋に異変が起きたことを察したひかりは再びレヴュー衣装を身にまとい、ワイルドスクリーンバロックに参戦する。
舞台の上で、再び感情を爆発させ、ぶつかり合う舞台少女たち。
9人の舞台少女はワイルドスクリーンバロックの中でどのような景色を見るのか?
そして華恋は再びの「アタシ再生産」を果たすことができるのか?
「スタァライト」は作者不詳の物語。
キラめきはどこから来て、どこに向かうのか。
そして、この物語の『主演』は誰か。
登場人物
CV:小山百代
赤い王冠の髪留めがトレードマークの、本作の主人公。
第100回聖翔祭で見事に『スタァライト』のフローラ役を射止め、胸に秘めた「ひかりとともに最高の舞台を演じる」という夢を叶えたが、
夢が叶ってしまったがゆえに「自分の未来において立つべき舞台」を見失ってしまう。
そのため、9人の中では唯一卒業後の進路が定まっていない。
電車の中でワイルドスクリーンバロックに巻き込まれるも、彼女だけは参戦することができずに電車の中に取り残され、果てのない砂漠へとたどり着く。
砂漠の中で目にした東京タワーを目指しながら、彼女は自分の人生を、舞台少女としてのルーツを回顧していく。
幼少時代の彼女は、現在とは真逆の引っ込み思案で内気な性格であり、ひかりとの出会いで現在の明るい性格が形成されていった。
そしてひかりの誘いで「スタァライト」を観劇したことで、舞台少女・愛城華恋が生まれたことはTV版でも語られているのだが、今回の映画ではその後の、華恋が舞台を目指す姿が描かれている。
彼女はひかりと別れたのち、「劇団アネモネ」に入団して幼少期から数々の舞台を経験しつつ、クラシックバレエ、声楽、ダンスなどを学び、舞台人としての研鑽を積んでいった。
華恋は「ひかりとともに最高の舞台を演じる」という夢…いや、運命のため、キリンが言ったように「普通の楽しみ、喜びを焼き尽くして」邁進する、一途な舞台少女だったのである。
しかし、その心には「ひかりは約束を忘れているのではないか?」という恐れが常に渦巻いており、その恐れから逃れるために、
彼女は幼少時にひかりと交わした「自分だけが手紙を送る」というルールを頑なに守り、神楽家から送られるロンドンからの手紙に全く手を付けないという、傍から見ると異常なこだわりを10年近く守り続けていた。
しかし「ひかりは約束を忘れているのではないか」という疑問は、次第に彼女の中で抑えられないほどに膨れ上がっていき…。
CV:
三森すずこ
イギリスの演劇学校「王立演劇学院」から転校してきた華恋の幼馴染。星の髪留めがトレードマーク。
第100回聖翔祭の後に聖翔を自主退学しており、古巣であったロンドンに戻っている。
「彼女がなぜ華恋と別れたか」は物語前半のキーポイントとなっており、その真実はワイルドスクリーンバロックにて明かされることになる。
聖翔の面々との関わりを絶ってロンドンで過ごしていたが、突如現れたキリンに新たなレヴュー・ワイルドスクリーンバロックのことを告げられる。
キリンの語り口から華恋に異変が起きたことを察し、ロンドンからワイルドスクリーンバロックに参戦する。
CV:岩田陽葵
小さな
ツーサイドアップが特徴の、華恋とひかりのルームメイト。
「みんなを笑顔にするスタァになりたい」という夢を胸に、国内最高の劇団である「新国立第一歌劇団」を卒業後の進路に志望する。
「皆殺しのレヴュー」では混乱しつつもななを迎え撃つが、鎧袖一触でボタンを飛ばされ敗北。
CV:富田麻帆
99期生首席。舞台俳優とプリマドンナを両親に持つ
サラブレッド。
まひる同様、国内最高の劇団である新国立第一歌劇団を卒業後の進路としている。
「皆殺しのレヴュー」では、唯一ななの刃を受け止めてボタンを飛ばされることを免れ、舞台装置の「死」の演出を看破するなど相変わらずの強さを見せる。
しかし、彼女もまたななとキリンが見せた未来においては「死体」になっており…。
CV:相羽あいな
99期生次席。日本人とフランス人のハーフ。
第100回聖翔祭がきっかけでフランスの一流劇団「テアトル・ドゥ・フランメ」にスカウトを受けており、本人もフランスに帰国しフランメで活動する意向を固めている。
「皆殺しのレヴュー」では真矢とともにななと対峙。
自身の疑問を無視するななに対し激高して斬りかかるも、先に倒れた4人と同じく鎧袖一触で敗北。
その後は「なぜ真矢だけがレヴューから生き残ったのか」を考えた末、第101回聖翔祭の決起集会に参加した真矢と同級生たちを見て一つの答えにたどり着く。
CV:佐藤日向
メガネっ娘の学級委員長。
9人の中では唯一「大学進学」という進路を選んでおり、演劇系の大学に進んで経験を積むことで天才たちとの差を埋めようとしている。
「皆殺しのレヴュー」ではまひると同じく、鎧袖一触でボタンを飛ばされ敗北。
その後はななに「舞台少女の死」の光景を見せられるも、それを見て覚悟を決めた他の6人と違い、
ななの変貌、そして1年越しのワイルドスクリーンバロックの開催に戸惑いを隠しきれておらず、覚悟を決めきれないままワイルドスクリーンバロックに参戦する。
CV:小泉萌香
バナナ型の
ツーサイドアップがトレードマークの、純那のルームメイト。
役者の道・裏方の道のどちらにも魅力を感じており、進路を決めかねている。
本作では、『ロンド・ロンド・ロンド』のラストで描かれた「舞台少女の死」は、彼女が再演を繰り返す中で見た未来の光景だったことが明かされる。
自身を含めた9人の「舞台少女の死」を見たななはその未来を覆すべく、半ばキリンと結託する形でワイルドスクリーンバロックに参戦。
「皆殺しのレヴュー」では、彼女たちを焚きつけるためにあえて力の差を見せつけてレヴュータイトル通りに「皆殺し」にしてみせ、
キリンとともに「舞台少女の死」の光景を6人に見せてワイルドスクリーンバロックへの覚悟を促した。
同時に、自身の未来を思い描けないでいる華恋に再生産を促すべく、東京タワーに送り出している。
今作では、「再演」を繰り返していた頃を思わせる冷徹な振る舞いが増えている。
そこには、親友である純那が密接に関わっているようで…。
CV:伊藤彩沙
日舞の家元「千華流」の孫娘。はんなりとした京都弁で話す双葉の幼馴染。
進路は、「千華流」の継承。
密かに1年前のレヴューオーディションで逃したトップスタァの座に執着しており、すでにオーディションを「過去の出来事」として受け入れつつあった周囲の面々と違ってオーディションの再開催を待ち望んでいた。
そのことが原因で周囲との温度差を感じて距離を取っていたが、その最中にワイルドスクリーンバロックが開演。
オーディションの再開催に心を躍らせるも、ななからは「これはオーディションに非ず」と一刀両断された上に、真っ先にボタンを飛ばされ敗北してしまう。
CV:生田輝
男勝りでぶっきらぼうな口調で話す香子の幼馴染。
TV版では、「約束のレヴュー」において「香子のそばで彼女のキラめきを見る」と宣言していたが、進路は香子と違い、新国立第一歌劇団への挑戦を志望している。
「皆殺しのレヴュー」では香子の次にボタンを飛ばされ敗北。
CV:
津田健次郎
レヴューオーディションを主宰していた、喋るキリン。
半ばななと結託する形でワイルドスクリーンバロックを開催、今回も各人のレヴューを観戦する。
また、所々で野菜・果物によって構成された異形の姿に変化しているが、これの元ネタは実在の芸術家「ジュゼッペ・アルチンボルド」。
今回のキリンと同じ、野菜・果物によって構成された奇妙な肖像画を手掛けたことで知られている。
CV:広瀬さや / 篠宮あすか
B組(舞台創造科)所属の3年生。それぞれ脚本・演出を担当。
今作では、彼女たちもまたA組と進む道は違えど、志は同じ「舞台少女」そのものであることがクローズアップされる。
用語
キリンが一年越しに開催する、新たなレヴュー。
ななが6人に宣言したように今回は「オーディション」ではなく、純粋に9人が競い合うだけの内容となっている。
「ワイルド」はまんま「野生」の意で、この「野生」というキーワードは本作において重要なものとして、登場人物の口から多々語られる。
元ネタはSFのいちジャンル「ワイドスクリーン・バロック」。
イギリスのSF作家、ブライアン・オールディスが提唱したもので、人によって解釈が分かれるものの、とても大雑把に言えば
「大量のアイディアを詰め込み、架空の理論や設定をもっともらしくでっち上げた、巨大なスケールのSF」
といった内容の作品がワイドスクリーン・バロックと認識されることが多い。
『ロンド・ロンド・ロンド』のラストでななが再演の果てに見た、自身を含む9人の舞台少女が死体となって倒れている光景。
9人に命の危険が迫っている…
というわけではなく、「舞台少女としての死」…すなわち、現状に妥協・満足し、前進することをやめてしまった状態を「死」に例えたもの。
一見、進路をしっかりと決めた多くの舞台少女を見ると杞憂にも思えるが、ななはこれを覆すべく行動しており、前述のようにキリンと結託する形でワイルドスクリーンバロックを開催、これに参戦した。
本作の象徴として、作品各所に登場するアイテム。
何かの比喩とかではなく、文字通り果物のトマト。
列車と並んで身近なアイテムを象徴に選んだ理由として、監督は
「見てくれた人の日常に食い込みたいと思っているんです」「これから先、トマトを食べるたびに、あるいは地下鉄に乗るたびにこの作品のことを思い出してほしい」
と語っている。
第1に、本作でのトマトは「舞台少女の命」として扱われている。
冒頭の華恋が吹き飛び、トマトが弾けるシーンは「愛城華恋が舞台少女として『死んだ』」ことを表している。
その後も、自身の「舞台少女としての死」を見た舞台少女たちが覚悟を決めるシーンなどで登場するが、これ以降のトマトの扱いについては
- あるシーンでトマトがキリンから生じた→彼女たちのレヴューに熱狂する観客のエネルギーだよ説
- トマトの花言葉の一つは「完成美」→トマトをかじるという行為は「完成」というゴールの否定、すなわち再び「不完全(≒完成を追い求めて前進する)」な舞台少女に再生したということを描いているよ説
- 各種神話における「エデンの果実」は一説にはトマトと言われている→トマトをかじるという行為は「妥協・完成という『楽園』」から降りる行為だよ、
または「欲望(常に次の舞台を追い求める)という罪」を受け入れる覚悟を決めたんだよ説
など、様々な考察がなされている。
聖翔音楽学園における
文化祭的行事。99期生の最後の「スタァライト」の公演となる。
「名演」と謳われた第100回聖翔祭のスタァライトという高いハードルを前に99期生はA組・B組ともに苦戦しており、特にB組の詩音は精神的にギリギリまで追い詰められていた。
今回も既存の「スタァライト」の脚本をアレンジし、「星積みの塔から降りること」がキーワードとなっている。
この「第101回聖翔祭の『スタァライト』」は、中盤において7人の舞台少女が新たな覚悟へと至る転機となっている。
追記・修正は、生のトマトをかじって色々と覚悟を決めてからお願いします。
ななに「未来における自身の『舞台少女としての死』」を告げられた6人は、今一度自身と向き合い、ワイルドスクリーンバロックへの覚悟を決める。
安寧を、妥協を否定し、今一度舞台少女として生まれ変わるために、彼女たちはそれぞれの舞台へと向かっていく。
なんで…なんで…なんで!なんでわかってくれないんだよ!!
毎日駄菓子買って!寝かしつけて!送り迎えしてやったじゃん!!
ずるい!ずるい!ずるい!!
彼女が苛立っていた理由は去年のオーディションだけではなく、自分とともに花道を歩んでいくと決めたはずの双葉が自分に黙って新国立第一歌劇団へと進路を定めたこと、
そしてそれが自分ではなくクロディーヌからのアドバイスによるものだったことを一方的に恨んでのことだった。
「これは香子のためだ」と叫ぶ双葉の説得にも耳を貸さず、彼女は双葉をセクシー本堂自身の舞台装置に取り込んで一方的に恨み節をぶつけ糾弾。
最後は、縁切りを宣言するが…。
キラめく香子をただ見ているだけの存在になるのが嫌で、自身の実力をより高めるために新国立第一歌劇団への挑戦を決めるが、その選択を香子に反対されることを恐れ、直前まで香子に知らせていなかった。
その負い目から黙って香子の糾弾を受け続けるも、まるで双葉の人生を決めようとするような香子の物言いに、彼女も秘めていた「怨み」を、そして本音を爆発させる。
どうして演技しないの?舞台の上なのに。
舞台の上で演技しないなら、何も言えないよね。
Revue song: MEDAL SUZDAL PANIC◎〇●
キリンに導かれるようにして日本のレヴュー会場に移動したひかりだったが、そこに待ち受けていたのはスタジアムを模した舞台装置と、観客を模したスズダルキャットの大群、そしてレヴュー衣装に着替えたまひるだった。
わけも分からぬまま、まひるとのレヴューに突入するひかりだったが、まともに舞台と向き合っていないひかりが覚悟を決めたまひるにかなうはずもなく、あっさりとボタンを飛ばされてしまう。
ひかりを迎え撃ち、あっさりと勝利。
未だに事情を飲み込めず、目の前のまひるに向き合わないひかりを、彼女は「あれだけ華恋との運命を語っておきながら、華恋から逃げ出した(※要約)」と糾弾、ボタンが飛んで負けたはずのひかりを容赦なく追い詰めていく。
このときのまひるの、というか岩田陽葵女史の凄まじいドスの利いた演技は必聴。
私の邪魔をするというのなら、あなたを捕らえるわ。この「狩りのレヴュー」で!
覚悟を決めきれないまま、ななとのレヴューに突入するが、直後にななの舞台装置に取り込まれて切腹を強要され介錯として斬首されかける。
舞台少女としての純那を否定するななを前に戸惑いながらも、ななの本気を悟った純那は自身の舞台装置にななを取り込み、
いつも自身の背を押してくれた偉人たちの言葉で自身を奮い立たせて戦いを優勢に進め、巨大な矢でトドメを刺そうとする。
…が、ななのキラめきは純那のそれを上回っていた。
飛んできた巨大な矢を一刀両断すると、純那の舞台装置を完膚なきまでに破壊し、皆殺しのレヴューと同じように完勝。
「進学する」という決断をした彼女のことを「醜い」と断じ、「かつての君は美しかった」と過去形で彼女のキラめきを語り現在の純那を否定、心を折った。
そして彼女の武器「翡翠弓」に嵌められた翠玉を一刀のもとに砕くと、彼女に刀を渡しもう一度割腹を迫るが…。
彼女が飲み込み、忘れかけていた心残り…それは、「天堂真矢との決着」だった。
レヴューが始まるや悪魔に扮し、真矢に「今までに見たことのないキラめきを見せ、アンタの魂をいただく」と宣言。
まひるにも劣らぬ杖術と舞台装置による幻惑を駆使し真矢に迫る。
「魂をいただく」と迫るクロディーヌに対し、「究極の舞台人」の姿勢を語る真矢。
「自身はあらゆる主役を映し出す空っぽの器」と語り、
「器である自身に魂などない(≒悪魔に勝ち目はない)」と彼女の言葉を真っ向から否定すると形勢逆転、クロディーヌのボタンを飛ばす。
だが、勝利宣言をしようと床に突き立てた剣は舞台装置に阻まれる…。
ワイルドスクリーンバロックを経て、舞台少女たちが再びの「アタシ再生産」を果たしていたその頃、華恋は辿り着いた東京タワーでひかりと対面していた。
ひかりが手にしていたのは、燃え尽きたキリンが遺したトマト。
彼女もまた、舞台少女としての「再生産」を果たしたのだった。
再びのひかりとの対面、そしてワイルドスクリーンバロックの中で、華恋が果たす「再生産」とは…。
実は今では明るい華恋だが、ひかりと出会う前の5歳くらいの時は携帯ゲーム機で遊ぶ少し引っ込み思案な普通の子供であった。友達は携帯ゲーム機の中の女の子だけだった。そんなときひかりと出会ったのだった。
交流の中で、華恋はひかりに徐々に心を開いてゆく。ひかりは、華恋が他の子供と一緒に携帯ゲーム機で遊んでいる姿を見て、演劇のチケットを渡す。そこで見た舞台「スタァライト」、そう...テレビアニメ1話でひかりと華恋が見ていたあのスタァライトだったのだ。
ひかりと華恋はここで約束をし、東京タワーは2人の約束の象徴となった。
その後、ひかりの所属する劇団アネモネに入団するが、ひかりはロンドンに引っ越し離れ離れに。置き去りにされた華恋は、その約束だけを胸に芝居に打ち込み児童演劇で主役を務めるなどの活躍を残す。
約束が最優先であり、そのために一般的な生徒達が放課後にだらだらと過ごす時間は犠牲にした。他人からはストイックでカッコよく見られた華恋だが、ひかり本人からの連絡はないため、ひかりがどのように過ごしているか分からない。
レヴューに戻り、
劇場版の冒頭で、ひかりが逃げた理由は、まひるとのレヴューの中でひかりの口から語られる。「ファンになってしまうのが怖かったから」と。この台詞は、ファン=好きになる=
ライバルで居られなくなる、という意味である。そして、ひかりは保身に走って華恋から逃げた。
取り残された華恋は行き先を見失う。皆が進路を決める時期に進路希望は白紙のまま。列車に乗り、運命の赤い糸に手繰り寄せられ砂漠の東京タワーに辿り着く。
一方、ひかりもロンドン地下鉄から、運命の赤い糸に手繰り寄せられ、まひるとのレヴューを終えて砂漠の東京タワーに辿り着く。
未来をかけて向き合う2人。演者としての自信に満ち溢れているドヤ顔のひかりに対し、不安顔の華恋。幼少期に観た2人だけの約束のスタァライトの再演。しかし、突き放すように戦いを挑むひかりを前に、舞台の重圧で潰れて死んでしまう華恋。
東京タワーから落下しポジゼロ人形化した華恋は列車に乗せられ、過去とひかりからの手紙を燃やし尽くして再生産され生き返る。やっと言えた最後の台詞は、「私もひかりに負けたくない」
そして...離れ離れでありながら、狛犬の様に一対の存在であったひかりと華恋。とくに華恋はこれまでひかりにすがって生きて来た。その共依存を断ち切り、真剣勝負の
ライバルとして未来を開けたのだった。
- 公式でネタバレが解禁されてますが、一応レヴューの決着とか最終盤とかのネタバレは伏せてます -- 記事主 (2021-06-25 20:45:10)
- ここまでしっかり書けるってことはいっぱい見たんだろうな羨ましい。コロナじゃなければな。円盤出たら10回くらい見て自分の中で咀嚼するつもり -- 名無しさん (2021-06-25 22:34:26)
- くっそ名作 -- 名無しさん (2021-06-25 22:35:44)
- なんと言うか色々と凄い作品で見てた人あっけにとられてたな因みに近い時期にななの中の人同じなし -- 名無しさん (2021-06-25 23:00:19)
- 訂正時期が近かったから、栞子のはっちゃけっぷりでなな思い出したは、今更だけどラブライブの虹で演劇部部長って華恋なのね -- 名無しさん (2021-06-25 23:05:19)
- かなりアバンギャルドな映像表現のはずなのに、作中の人物がどういう考えで行動してるか大まかに理解した瞬間、一気に表現の全てが意味を持ってくると思わせてくれる怪作 -- 名無しさん (2021-06-26 01:21:57)
- 映像は前衛的ではあるけど、基本本音しか言ってないセリフあってのメタファーだから、めちゃくちゃわかりやすいよな -- 名無しさん (2021-06-26 21:01:31)
- すみませんもうレビューの決着と、最終盤を追記しても良いでしょうか? -- 名無しさん (2021-09-19 22:01:08)
- 個人的には…正確性を期するならブルーレイとか配信の解禁を待ったほうがいいかと思います -- 記事主 (2021-09-20 19:05:17)
- ブルーレイが解禁されたのでレビューの決着と、最終盤を追記しても良いでしょうか? -- 名無しさん (2022-01-03 17:44:06)
- 私は異論ありません。 -- 記事主 (2022-01-03 19:14:42)
- 普段ブシロ作品を毛嫌いしている人やどうせブシロじゃんって食わず嫌いしてた人たちですら、公開されて話題になる→観た人からの猛烈なプッシュでアニメ本編を見る→見事ぶん殴られて映画館へ直行っていう流れでリピーターになっていく様子をめちゃくちゃ見た。舞台観に行く人も出てきたし新規層獲得にめちゃくちゃ貢献した映画だと思う -- 名無しさん (2023-02-28 14:36:25)
- 「なんかよく分からないけどすごいものを見た気がする」という感想。 -- 名無しさん (2023-11-21 21:56:20)
最終更新:2025年04月09日 00:26