乳牛

登録日:2021/07/19 Tue 0:30:04
更新日:2023/12/28 Thu 18:08:47
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乳牛とは、牛乳を出せるでは無く、

牛乳を出す為に生み出された牛である。


概要

動物界 
脊索動物門 
脊椎動物亜門 
哺乳綱 
偶蹄目
ウシ科 
オーロックス属
(ホルスタイン種)

この記事を読むアニヲタ諸兄は、牧場での乳しぼり体験などに行ったことがあるだろうか?
人類が乳製品という食料を得るため、長い時間をかけて品種改良してきた家畜の一種、それが乳牛である。
日本では主に白黒の体色のホルスタインが有名で他にはジャージー種などが知られている。お茶の間で牛と言ったら多くの人はこれをイメージするだろう。

よく勘違いされているが、乳牛という常にミルクを出す牛がいるわけでは無い。牛も哺乳類である為当然妊娠しないと母乳を出せないのだ。
従って乳牛の役目を帯びた雌牛達は常に人工授精や場合によっては交尾などによる望まない強制孕ませにより、常に妊娠を強要されるのである。これは人間では言う少女時代から始められるのである。

孕ませられた牛は乳絞りを終えると出産を行うが、難産になることもありロープを子牛の足に括り付けて綱引きで牧場主の人達が引っ張る様がテレビで放送されることがある。

無理やり妊娠させられ「ムウウン」「ハアアン」などと喘ぎ声を上げながら難産に苦しみ胎盤を垂らしながら出産するメス牛の様を幼少期に見てしまい興奮を覚えた方々も多いであろう。いねえよ!そんなやつ!

出産を無事に終えた母牛は授乳が終わると子牛を取り上げられ、その子牛は雌であれば新たな乳牛にされ雄牛であれば食肉にされる未来が待っている。そして母牛は休む間も無くまた妊娠させられ死ぬまでこのサイクルを繰り返すのである。

その後は乳も出なくなり衰えた乳牛を飼育し続けるほど牧場もバカでは無いので用済みとなった乳牛は食肉工場に送られて肉にされ波乱の生涯を終えるのである。

言うなれば乳牛は常時「くっ殺」状態なのである。

品種


◆ホルスタイン(ホルスタイン・フリーシアン)種
乳牛といえば真っ先に思い浮かべるであろう、白黒の斑のアレ。
オランダからドイツが原産で日本で飼われる乳牛の9割以上を占める。育種も盛んで、黒地の部分が少なくほとんど真っ白な毛並みの系統も作出されているとか。
性格は穏和で、乳牛の中では最も大きな体でたくさんの乳を出すポピュラーな種類。ただし体はそんなに強健ではない。
寒さに強く暑さに弱い。そのためか冷涼な高原地帯や北海道でよく飼われるが、近年の全国的な夏の猛暑に困っている。

◆ジャージー種
イギリス原産で、淡い茶色の毛色の品種。性格はホルスタインよりも少し神経質で、体格も小柄。乳量も少ない。
しかしホルスタインよりかは暑さに強く、質が良く脂肪分が多い濃厚な乳を出すのでクリームなど乳製品によく利用される。
日本では少数だが、ホルスタインの次に多く飼われている。

◆エアーシャー種
スコットランド原産種。見た目はホルスタインの黒毛の部分を赤茶色に変えて一回り小柄にした感じ。
骨太剛健で、粗食に耐えるたくましさを持ちつつ、繁殖力と乳量もそこそこある。

◆ブラウンスイス種
暗い茶色や灰色の毛並みの、その名の通りスイス原産の品種。山岳に相応しく足腰が強く、山中の放牧に適している。

◆ゼブー種
南アジア原産の品種。肩に盛り上がった肉のこぶが特徴のため、こぶ牛とも言う。
産まれが南アジアだからか、乳牛の中ではトップクラスの暑さ耐性を持つ。
ヒンドゥー教で神聖視されており、古代から現代まで大切に飼われ続けている。農耕荷役や乳用には普通に使われ、糞さえも燃料として使われる。しかし殺したり肉にするのは御法度。
肉にして食べたのが信仰が厚い地域だと過激派の信仰者からリンチされかねないので、乳だけを頂こう。
実は肉もなかなか美味しいらしい。特に肉こぶの部分が。ヒンドゥー教があまり普及してない地域では普通に肉用にもされているので、どうしても肉も食べたい人は行ってみよう


他にも世界中にたくさんの品種がいる。



乳牛の容姿

一言目茶苦茶可愛い。つぶらな瞳にお腹にあるでっかい丸出しのおっぱいさらにムチムチのふとももと堪らない容姿でさらに雌の子牛ともなるとその可愛さは形容しがたい。

迷子防止の為に鈴を首に付けさらに飼い主の趣味でリボンなんか付けた日にはもう・・・。さらに人懐っこく好奇心旺盛なので人を見ると寄って来る。

一度乳牛と触れ合うと焼肉が食えなくなること請け合いである。

なお、乳牛の雄牛は雌に比べてデカイ。
ほとんどが去勢後に肉用として肥育される雄牛であるが、圧倒されるガチムチ巨体である。
また、各牧場の雌に子種を供給する種雄牛となると、デカイだけでなく正直怖い。
一般に乳用種は肉用種に比べ体が大きくかつ穏和な性格とされるが、それでも未去勢の雄牛は群れを守り雌を勝ち取る本能のため、気性が荒くなる。

こんな1トン超えの肉の塊が交尾や採精時に興奮して人間に迫ってこられたら、本気で生命の危機を感じること間違いない。
雌牛がロリから人妻熟女と幅広く可愛い巨乳娘と例えるなら、種雄牛は範馬勇次郎とかクレイトスさんとかだろうか。


牛乳

読んで字のごとく牛の乳から出る母乳である、ヤギの乳と違い臭みが無く美味しいのが特徴だが、販売されている牛乳はキチンと殺菌されて加工された代物である。

雑菌もあるので初物はともかく生で飲むのはお勧めしない。たまに牧場で牛の乳首から直に乳を吸う猛者もいるが、誤解もされるのでやらないように。

また季節や品種によって成分、風味が変動するので味覚に自信のある牛乳ソムリエの諸兄は確かめてみよう。
日本にいる大半の乳牛は暑さに弱いので、夏は脂肪分が少なくあっさりした風味で生産量も少なくなり、冬は逆に脂肪分が多い濃厚な風味になるらしい。


人間との関係

牧場の人々は基本利用する為とは言えいい乳を作る為にも大事に接してくれる。愛着も沸くので運がよければペットとして飼育されることもある。また学生らの野外活動の一つで乳牛の世話をするという活動も行われている。
よく懐いた個体は名前を呼ぶとの様に走り寄って、なでなでやブラッシングを要求したりもする。

大抵の乳牛はブラッシングが大好きで、やってあげるとマッサージされている様にうっとりとしている。定期的に体の汚れや抜け毛を取ってあげるのは牛のストレス解消と健康維持にも繋がり、人間との信頼関係も強化されるので是非やってあげよう。
大規模な牧場では大きなブラシが自動で回る自動ブラッシングマシンなるものを牛のストレス解消用に設置している所もあり、牛たちが集まってブラッシングの順番待ちをしている何とも人間臭い光景が見られることもある。

イベントの一つとして定期的に行われる直腸検査があり、これはメス牛の肛門に手を突っ込んで異常が無いかチェックするものであるが、牛の為にもなるし凄く気持ちいいので機会がある方は是非やってみて欲しい。癖になるよ。
ただし検査中でも牛は大及び小を催してしまうことがあるので、それを覚悟の上で行おう。汚れても良い服装で挑むこと。


搾乳

乳牛の名物は搾乳であるが、最近は搾乳機なんてのもあるが邪道であり、牛のオッパイを素手で揉み揉みしながら優しく丁寧に揉んで搾乳するのが正しいやり方である。

強く乳首を摘まむと牛も痛いので優しくやるように。コツは親指と人差し指の輪で乳首の根元を挟み、それから中指、薬指、小指と乳頭へ向かって滑らかに握っていく感じだろうか。牧場などに行くと「牛の乳絞り体験」と称した体験コーナーがあるので興味のある人はやってみよう。

筆者は牧場で乳絞りの体験の最中に我慢出来なくなり周りに誰も居ないことを確認してから牛に●●したことがある。牛も満足しており喜んでいたが、●●は牛にやっていい事だがなるべく人の見てない所でやるようにしよう。あらぬ誤解を受けてしまうので。

ただ、現実で一般的なホルスタイン等の搾乳を全て手絞りでやろうとするととんでもない時間と労力がかかる。
(通常、栄養十分で健康なホルスタイン一頭の乳量は1日40リットル以上)
また、乳首はデリケートなものであり、手絞りより機械を使ったほうが乳の病気になりにくいとも。
手絞りのロマンを味わいたいならイベント体験やお試しだけで満足しておこう。
とはいえあまり乳量がない牛を飼う所や途上国などは、まだ手絞りを主流にしている場所も多い。


乳牛は大抵自分から進んで搾乳されようとする。これは搾乳されなければ乳房が張って痛くなり、最悪病気になってしまうから。仮に産んだ子牛に乳を飲ませても、子牛一頭には余りある乳量なのだ。
乳生産に特化した乳牛の宿命である。

放牧している所では朝夕に自然と集まって人間の通勤の様に行列になり、搾乳所にやってくる牛たちが見られる。

牛との結婚

乳牛は美形揃いで心優しく常にオッパイを出している為、ついムラムラして交尾に及んでしまった男性が牛と結婚させられた事例もある。仕方ないね。

インドネシアジュンブラナ県のある村の無職の少年18歳は牛のあまりの可愛さに性行為に及んでしまい穢れを払う儀式の為にその雌牛と結婚させられた。

しかし牛のほうはに投げ込まれ溺死させられたというあんまりな話である。

乳牛が登場する話、作品


◆北欧神話
アウズンブラという原初の雌牛が登場する。乳首から出る乳は4本の川となって巨人ユミルの糧となり、しょっぱい氷(岩塩?)を舐めて中にいた祖神ブーリを出したという。

銀の匙 Silver Spoon、百姓貴族
荒川弘漫画。銀の匙は架空の農業高校が舞台の青春物語で、百姓貴族は作者が実体験をもとにしたエッセイ漫画。作者の実家は北海道の酪農家であり、自身も農業高校卒のため現実の酪農がリアルに描かれている。

ゼルダの伝説シリーズ
時のオカリナから登場。乳牛にエポナの歌を聞かせたり、特殊なアクションをすることで回復アイテムのミルクを貰える。ムジュラの仮面では特別なミルクを出すロマーニ種という品種も登場する。

他、Minecraftや牧場物語シリーズなど畜産を体験できるゲームでは大体乳牛が出てくる。


少女革命ウテナ
あ…ありのまま16話で起こった事を話すぜ!
『人間の美少女令嬢がカウベルをつけたらリアル乳牛になった』
な…何を言っているのかわからねーと思うがおれも何をされたのかわからなかった…頭がどうにかなりそうだった…
牛娘だとかデフォルメマスコットだとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえ
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…


乳牛モチーフのキャラクターについては牛娘(属性)の項目等を参照してほしい。

乳牛の生涯

少女時代に当たる多感な時期に競りに掛けられ男達に買われる

男達に無理やり強制妊娠させられ孕ませられ乳を搾られる(くっ殺)

出産させられ授乳が終わると我が子を取り上げられ再度強制妊娠

衰えて使えなくなり遂にくっ殺され用済みとして肉にされみんなのオカズにされる




もう少しまじめに書くと


ほとんどの子牛は生まれて1時間前後で大地に立ち、その後2、3時間で初乳という母牛からの免疫成分が含まれた特別な母乳を飲んだのを確認された後、数時間~数日で母親と引き離される。
赤ちゃんをママと引き離すのは可哀想に見えるが、これは小さく動きも鈍い子牛が成牛の巨体で踏まれたり潰されたりする可能性があり、子牛の怪我を防ぐためである。また、免疫と体力がまだ弱い子牛に病原菌を移さないためでもある。

まあ母牛も離された直後は心配そうな素振りを見せることもあるが、数時間から数日後には子牛よりも餌の方に執着して我が子の認識は薄れていく。
ベテラン母牛になると、そもそも子と離されても気にかけない様な牛も珍しくないとか。

引き離された子牛は子牛専用の房またはカーフハッチという牛小屋に個別に入れられ、人間に育てられる。
この頃の子牛は人間の赤ちゃんの様に、何でも舐めたり吸い付いてじゃれつこうとしたりとてもかわいい。目の前に指を出すと本能なのかちゅぱちゅぱ一生懸命吸いつこうとしてくる。(防疫上はよくない行動なので、実際に吸わせるのは止めよう)


最初は乳や液体の飼料を与えられ、それから徐々にペレット、乾草、サイレージ、穀類などの固形物に移っていく。
3か月もすると完全に離乳が可能で、ほぼ大人と同じような餌を食べられるようになるまで成長する。この頃になると同じ位の若牛たちと同じ群れで育てられるようになる。
さながらモーモー幼稚園~女子校といったところか。

また、角を根元から抉り取る処置を行う(除角)。もし角をそのまま伸ばしておくと、他の牛の体を傷つけたり、人間に対して大ダメージを与える恐れがある。
ただでさえ巨体なのにそれに角が加われば鬼に金棒、人間などひとたまりもない。


そして、(放牧やパドックなどの群れ単位で行動させる飼育の場合)生後半年頃以降からいよいよ大人の群れにデビューできる。
が、大人たちから小突かれたり追われたりと、群れのカーストを巡る洗礼を受けることも多い。
これは例え親姉妹の間柄であっても仁義もとい牛義なき闘争、キャットファイトならぬカウファイトが起きる。(とはいえ、命に関わる程の争いはまずない)
経済動物関係なく、牛同士の社会も甘くはないのだ。

そんな牛世間の荒波に揉まれながら、生後1年頃に初めての発情を迎え、その後約20日周期で発情するようになる。
そして牛の発育具合を見ながら、人間の技術による人工授精が試みられるようになる。
移動時のコストや防疫の観点からお婿さんとなる種雄牛と直接顔合わせて交尾に及ぶことは今ではあまりなく、希釈した冷凍精液による人工授精か体外授精→受精卵移植が大半である。
時々だが両親共に黒毛和牛などの肉用種の受精卵を移植されることがある。これは産まれてきた子牛が肉質の良い肉用種なので雌雄問わず同じ位の利益が出るのと、
基本体格が肉牛<<乳牛なので乳牛の母牛にとって小さい子が産まれる=安産になりやすいという利点がある。

そして妊娠280日後、生後2年頃には初めてのお産を経験し、今度は自身が乳を出す本当の意味での乳牛となるのだ。お前もママになるんだよ!

なお、何度種を付けても妊娠しない、途中で流産してしまうなど繁殖に問題がある牛は早々に肥育に回され肉用にされる。繁殖を経て乳を出してこそ乳牛なのだ。経済動物の世界は厳しい。


そして出産後約1、2か月で次の子を妊娠可能になる。その間も毎日乳を出し続けるが量は段々減っていき、出産後300日頃に搾乳を一回止める。この頃になると搾乳を止めても問題なく、その後は次の出産と乳生産まで、体と乳房を休ませる。

こんな感じで基本一年に一産周期で乳牛は運用される。
現在日本の乳牛は平均して3、4産目の頃、つまり大体5~6才位が寿命(廃用までのリミット)ではないかと言われている。
昔はもっと長かったようなのだが、近年は乳生産量増加による牛の体の負担が大きくなったのか、若いのに病気になったり繁殖が上手くいかなかったりと廃用が早まり乳牛としての寿命が短くなる傾向もあり問題となっている。


なおここまでは乳を出す雌牛の生涯であり、乳を出さない雄の牛は全く別の道を辿る。
まず血統の優秀さや遺伝病因子の有無等の厳しい審査をクリアした雄だけが子をなし、何年も生きることができる。
それ以外のそもそも血統が最初から劣っているのがわかっていて審査すら受けさせない雄、審査をクリアできなかった雄は去勢され、肥育、肉用となる。
種雄牛として生きられる雄牛は極一握りの生まれながらのスーパーエリートたちなのだ。




牛さんと牧場の人々には感謝を忘れずに牛乳や肉を食そう。

乳牛の授乳出産乳絞りの場面が大好きな人は追記・修正。

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最終更新:2023年12月28日 18:08