銀平飯科帳

登録日:2021/11/28 (日曜日) 03:26:54
更新日:2024/04/05 Fri 14:04:03
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『銀平飯科帳』(ぎんぺいはんかちょう)とはビッグコミックスペリオールにて連載されていた河合単によるグルメ漫画である。
同作者の作品にはラーメンハゲこと芹沢達也が登場するラーメン発見伝シリーズがあり、アニヲタwiki視聴者層にはこちらのほうが有名かもしれない(ただしあちらは原作つき)。
タイトルの由来は名作時代劇である鬼平犯科帳
2015年第5号から連載を開始して現在単行本は11巻まで出ており、まだ完結していないものの作者がラーメン発見伝シリーズの新作である『らーめん再遊記』を始めることになったために2020年3号にていったん休止となっている。
本来、再遊記はあくまで「ドラマ版才遊記の宣伝のための短期集中連載」であり、その後はこちらが連載再開される予定だったのだが、あまりに人気が出すぎてしまったため予定を大幅に越えて連載続行*1。その結果、こちらはあおりを受けて再開時期未定と言う事になっている。

ラーメンについてのリアルな考察と描写で話題を博したラーメン発見伝と同じ作者だけあって、タイムワープというファンタジックな要素こそあるものの料理描写は現実的であり、丁寧な取材のもとに江戸時代にはどんな料理があったのかが学べる内容となっている。
一方、飲食店経営の厳しさや主人公の敗北・苦悩ラーメンハゲの毒舌のようなシビアな描写も見られたラーメン発見伝に比べると、シリアスさはほとんどなく平和的でゆったりした作風となっている。


概要

主人公である武藤 銀次(むとう ぎんじ)は現代の東京・神田にて『居酒屋 銀次』を経営する料理人。
居酒屋経営に行き詰って悩んでいたところ、ひょんなことから神社の井戸を通して、江戸時代(第十一代将軍徳川家斉の時代)の東京(江戸)にワープしてしまう。
そそこで江戸城の膳奉行(江戸城で旗本や将軍に出す料理を管理する奉行)である長谷川 平蔵(はせがわ・へいぞう)と出会い、紆余曲折あって長谷川平蔵の飯科帳(はんかちょう。ようは美味しい料理屋のリスト表)作りを手伝うことになる。
最初は面倒だと思っていた銀次だったが、飯科帳作りに協力すれば無料で江戸時代の美味しい料理を食べることができ、なおかつ行き詰っていた居酒屋の創作料理に応用できることに気が付き、積極的に手伝うようになる。
以降、銀次は現代と江戸時代の東京を行き来しつつ、飯科帳作りを手伝っては、そこで学んだ江戸時代の料理の知識を応用した創作料理を居酒屋で出すことで、傾きかけていた居酒屋の経営を好転させていく。

一話完結方式で、現代の居酒屋で出す新作料理のことで悩んだ銀次が江戸時代に行ってそのヒントになりそうな江戸時代の料理を長谷川平蔵に紹介してもらい、それを現代の食材でアレンジして江戸風創作料理として居酒屋に出すというのが基本的な流れ。
江戸時代の料理や料理技法について紹介する歴史漫画的な内容であり、作者の他作品のような派手な料理勝負はほとんどない。
日常系マンガのような平和的でのんびりした雰囲気で、最初はシリアスな展開になりそうな伏線もあったものの、作者が雰囲気にそぐわないと思ったのかすぐに解決してしまってそれ以降はシリアスな空気はほぼ皆無となっている。

【主な登場人物】

現代の東京の人々

  • 武藤 銀次(むとう ぎんじ)
本作の主人公。30歳男性。
東京・神田で『居酒屋 銀次』を経営する。
ずば抜けた料理のセンスと優れた味覚を持つものの、根気がなく努力が苦手な性格。
大学受験を投げ出してバックパッカーをするが旅が辛くて辞める、料理人になるために日本料理の名店に修行に行ったものの辛い修行に耐えられず数年で逃げ出す、その後様々な料理屋に修行に行くもどこも長続きせずすぐ辞める……という逃げてばかりのいい加減な人生を歩んでいた。
このため、料理の技量自体は悪くないが色々と中途半端であり、料理を突き詰めようとせず、客が自分の店にどういう料理を求めているのかといった視点が欠けている。親友の平賀からは「他人の料理はきちんと分析できるのに自分の料理を客観的に見れない」と評されている。

深く考えずに作った適当な料理ばかり出していたために経営が傾いていたところ、ひょんなことから江戸時代と現代を行き来できるようになり、江戸時代で知り合った長谷川平蔵とともに江戸時代の様々な料理の研究をすることになる。

性格は良くも悪くも脳天気で単純。その分裏表がなくて明るく、悩むこと自体は多いがくよくよと深く悩み続けることはなく前向きに解決しようとする。
上記の通り、逃げ癖のあるダメ人間だが、窮地に陥った際の咄嗟の機転も優れているなど地頭は悪くはない。
根は友達想いの善人であり、困った人は積極的に助けるため人から好かれることが多く、幼馴染の平賀や葉瑠、江戸時代で出会った平蔵や家斉たちなど、親しい付き合いのある相手には信頼されている。
行動力やコミュニケーション能力はずば抜けており、初対面の相手ともすぐに仲良くなれるなど、調理よりは接客に向いたタイプ。一方で女性関係は奥手のようで葉瑠に恋心をよせているものの緊張のあまり上手くアプローチできない。
また、自分がダメ人間であるという自覚は持っており、「俺みたいに30歳までなにも積み上げてこなかったダメ人間は真面目に努力してる人を見ると辛くなるんだよ」とこぼしたこともある。

最初はいい加減なところが目立っていたものの、江戸時代の料理人たちの努力を目の当たりにしたり親友の平賀からの叱責を受けたりしているうちに反省し、だんだんと真剣に料理に向き合っていく。
普段は根気の無さのせいでいまいちな料理を作りがちだが、本気で作った料理は味にうるさい人間をも唸らせるほど。

  • 平賀(ひらが)
銀次の幼馴染の親友。平賀は苗字で下の名前は不明。眼鏡をかけている。
創業180年*2の老舗蕎麦屋の後継ぎ息子。
実家を継ぐために大学卒業後はまず銀行に就職して金銭感覚を養い、銀行を退職してからよその蕎麦屋で蕎麦打ちの修行を積んでから実家に戻ってきた過去を持つ。
一本気で頑固で怒りっぽく、責任感が強い努力家という典型的な職人風の性格。
自分に厳しい性格で日々努力しているために蕎麦職人としては一流であり、経営者としても優れた見識を持つ。
真面目すぎて手を抜くことを知らず、努力のしすぎで過労で倒れたこともあるほど。
伝統を守りつつさらに美味しいお蕎麦を出すにはどうすればいいのか日々悩んでおり、時には銀次の江戸前の伝統を踏まえつつも斬新なアイデアを込めた創作料理に感心してそれを取り入れようとすることもある。

日頃からよく銀次に対して厳しい指摘や叱責を行うが、それは親友である銀次を心配してのこと。
内心では銀次のことを深く信頼しており、料理の才能やセンスについても高く評価している。それだけに銀次の手抜き癖を残念に思っておりつい厳しい口調となってしまう。
なので銀次が優れた料理を作ると素直に美味いと評価する。
銀次のほうも平賀の厳しい物言いは自分を心配してのことと理解しているためにその場では思わず反発はするものの内心では素直に受け入れて自分の料理を改善しようとする。
老舗の蕎麦屋の後継ぎだけあって江戸時代の料理文化にも詳しく、銀次が江戸時代の知識を仕入れてきてもすでに知っていることも多い。

平賀が銀次の雑な料理を叱責
→反発した銀次が平賀を見返すために江戸時代で料理の知識を学ぶ
→それを元に江戸風創作料理を開発
→平賀がその見事さに驚きつつ「どうやってこんな江戸時代の料理技法を勉強したんだ?」と質問
→銀次が適当に誤魔化す
……というのが銀平飯科帳の定番の流れ。

連載中盤は叱責の度合が強くなり過ぎて嫌味になっている時期があったが、その時期の最後の方で、「叱責シーンを1コマに圧縮して江戸に移動」と言う話があり、その後は叱責シーンが少なくなっている。
作者もまずいと思ったのだろうか。


  • 土方 葉瑠(ひじかた はる)
銀次と平賀と同じ歳の幼馴染。
小学校の教師をしている可愛らしい女性。作中でも年齢の割りに若々しい美人として描かれている。
見た目はラーメン発見伝の佐倉さんに似ている。
明るくて天真爛漫だが気が強くて怒る時は激しく怒る。
銀次と平賀とは少なくとも小学生以来の付き合いがあるようで3人ともとても仲が良い。
銀次は彼女に恋をしておりたびたびアプローチをするものの彼女が鈍感なのか銀次が緊張のあまり素直に好意を口に出せないためか、銀次の自分への想いに全く気が付いていない。
平賀は銀次の彼女への想いに気が付いているがそれに全く気が付かない葉瑠の鈍感さに呆れている。
食いしん坊で美味しいものを食べることが大好きであり、銀次の料理の腕前も高く評価している。しかし手抜き料理に対しては優しい言い方ではあるが遠慮せずに欠点を指摘する。

職場では真面目に振る舞っているようだが幼馴染である銀次や平賀の前では素が出るらしく、銀次に対して子供じみた我儘を言い出すことが多い。
彼女が銀次の店に来て「○○が食べたい!」あるいは「知り合いが料理関係で困ってるから銀次!助けてあげて!」と言い出して銀次が苦労するというのもこのマンガの定番の流れの1つ。
と言っても別に我儘とか性格が悪いというわけではなくて信頼している銀次相手だからこそそういう気安い発言がでるようである。

……と言いつつ、平賀と同じく中盤では、女ジャイアンと言われるくらい言動が過激になっていたが。
(あちらは原作付きだが)ラーメン発見伝に登場した葉月に通ずる所があるので、作者がこういうキャラが好きなのかもしれない。
平賀と同じく、程なくしてその態度は改められたが、そのまま出番も少なくなってしまった。


  • 設楽(したら)
『居酒屋 銀次』の常連の1人。白髪と豊かな白いあごひげを持つ壮年の男性。
温厚で親切な好人物で、実は若いころに不思議な井戸の存在を知り江戸時代に行っていた。
銀次以外で不思議な井戸について知る数少ない人物。
若いころは美大生でその当時の友人2人と江戸時代に行き、写楽を名乗って絵を描いていた。
本作では史実の江戸時代の画家『写楽』は設楽たち3人という設定。
しかしその3人の人間関係のトラブルで江戸時代で犯罪者の濡れ衣をかぶせられてしまい、江戸時代に行けなくなってしまった。
銀次の様子から銀次が自分と同じく江戸時代と現代を行き来していることに気が付いた他、うっかり江戸時代から現代に迷い込んでしまった人を「これは夢だ」と言い聞かせつつ江戸時代に送り返すということもしていた。

江戸時代の人々

  • 長谷川 平蔵 宣茂(はせがわ へいぞう のぶもち)
女性。20台前半。本作のヒロイン。銀次からは平蔵さんと呼ばれている。
江戸城勤めの旗本であり膳奉行。膳奉行とは主に将軍に出す食事の献立を決めたり江戸城での行事の際の料理の手配をする仕事であるため料理や食材について豊富な知識を持っており、料理人としても優れた技量を持つ。
女性であるが本来の膳奉行であった双子の兄・長谷川 主税(はせがわ ちから)が病気によって味覚障害になって家禄を取り上げられる危機に陥ったため、男装をして覆面をかぶり兄のふりをして膳奉行を務めている。(江戸時代では病気で顔が崩れたという理由で覆面をする人は珍しくなかったためバレなかったと思われる)
有名な鬼平犯科帳に出てくる長谷川平蔵は彼女の祖父。

凛々しい顔立ちの美女で男装の麗人。生真面目で正義感が強く、男装をしている都合で男性的に振る舞うことも多いが基本的には穏やかで人当たりがいい性格。
最初は銀次のことを不審に思って気を許していなかったが銀次と交流するうちに銀次の料理への真摯な想い(これには誤解も多分に混じっているが)や人助けを好む裏表のない明るい人柄に心惹かれていく。
最初は銀次のことを信頼していなかったことと、上述の理由で男の振りをして気を張っていたためにぶっきらぼうで怒りっぽかったが銀次に気を許すようになってからは本来の温厚で心優しい性格が表にでるようになった。
恋バナや恋愛物語にときめいたり、男装生活になる前に来ていた女物の着物の美しさを銀次に褒められて照れたりするなど乙女チックな部分もある。
その美貌は町ですれ違った女性に見惚れられたり、歌舞伎座の稽古係に褒め称えられたりするほど。
銀次から自分は300年ほど未来の東京から来たと告白されたが全く信じておらず、料理のセンスは優れているのに冗談のセンスは全く無いと面白がっている。

将軍家斉から飯科帳作りを命じられたもののどう進めるべきか悩んでいたところ、兄の主税に銀次とともに作るように指示され、銀次と交流することとなった。
銀次は彼女が女性であることに気が付いておらず、時折彼女の美しさに見惚れたり理想の女性を思い浮かべようとして葉瑠ではなく平蔵を連想してしまい、「いやいや、平蔵さんは男だぞ」と悩んだりしている。

銀次が現代で料理について悩んで江戸時代に行き、平蔵にヒントになりそうな料理について質問し、その料理を2人で食べに行くというのがエピソードの基本の流れ。
時には銀次とともに料理関係のトラブルの解決をしたりもする。

  • 長谷川 主税(はせがわ ちから)
平蔵の双子の兄。平蔵以上の料理の見識の持ち主だったが病気で味覚を失ったために平蔵に自分の代わりに膳奉行を務めてもらっている。
常に覆面で顔を隠しているものの目元がすっきりしており素顔は平蔵とよく似た美男子だったようだ。
穏やかで思慮深く、妹の平蔵からは深く敬愛されている。
人を見る目が優れており、状況からは不審者にしか見えなかった初対面の銀次が悪い人間ではないこと、優れた舌と料理の知識があることを見抜き、平蔵の飯科帳作りの助手に付けた。
重要な人物だが出番はあまりない。

  • 徳川 家斉(とくがわ いえなり)
徳川幕府第十一代将軍。年齢は不明ながら描写から恐らく40台前後。
平蔵の仕事の都合で江戸城に入り込んだ銀次とひょんなことから出会い、家斉のことを将軍だと気付いていなかった銀次に美味しい料理の話をしてもらったことで庶民料理に憧れ、お忍びで町に出て銀次とともに食べ歩きをするようになった。
銀次と平蔵の食べ歩きの日に平蔵を適当な雑事で登城させてから留守番中の銀次を食べ歩きに誘うというのが定番の流れの1つ。
銀次には家さんと呼ばれている。
最初は銀次に自分が将軍であることを隠していたが途中でバレた。

史実においては色々と問題があったとされる将軍だが、本作においては茶目っ気のある好人物として描かれている。
将軍にもかかわらず身分をカサに着たり高慢に振る舞うことなどは全く無く、穏やかで鷹揚。
時折政務のストレスで癇癪を起こしたり美味しいものが食べられなくて本気ですねるなど子供じみたところがある一方で、思慮深く物事の本質を見抜く優れた目を持ち、不用意に強権を振るうことを嫌い、失敗した家臣や困っている庶民に情け深い配慮を示すなど人の上に立つ器を持つ大人物でもある。
お忍び中に江戸城勤めの旗本に無礼な暴言を吐かれても「これもお忍びの醍醐味じゃ」と特に気にしなかったり、個人的に気に食わない家臣に対しても仕事ぶりを客観的に評価するなど公私をきちんと区別する。

高貴な家で生まれ育ったために対等な友達ができないことを気にしており、銀次のことを初めてできた対等の友達と慕う。そのため銀次に将軍だとバレた時はもう二度と友達としての付き合いはできないと悲しんだが銀次が(現代人なので)そのことを全く気にせずそれまでと変わらない馴れ馴れしい態度を取ったために銀次をとてつもなく器の大きい人間だと思い込んでますます惚れこんでしまう。

食いしん坊で美味しい食べ物を食べることを無邪気に楽しみ、庶民料理に対しても素直に美味いと喜ぶ。一方で江戸城の料理は高級ではあるものの毒見の都合で冷めてしまうために不満に思っている。

オットセイ将軍と異名を持つほどの女好きで多数の側室を迎え入れている一方で正妻の近衛寔子(このえ ただこ)のことも深く愛しており、家斉と寔子の仲にフォーカスが当てられたエピソードも複数ある。

連載が進むにつれてどんどん耳が大きくなっていった。

  • 平山 堅衛門(ひらやま かたえもん)
男性。19歳→20歳。
江戸城勤めの賄頭(まかないがしら。江戸城に食材を調達する部署の責任者)。
若いながらとても真面目で仕事ぶりは堅実かつ倹約家で周囲からの評価は高い。
反面、融通がきかず、頭が固くて新しいものを嫌う前例主義者。
何か新しいことを提案されると前例がないからダメだと拒否してしまう。
というのは表向きで本来は皮肉っぽい斜に構えた性格で別に真面目でもなく遊び好きだし頭も固くない。大名から献上された食材を将軍に出すのは前例がないと言って賄い方で山分けしたりなどかなりちゃっかりしてもいる。
頭の固い前例主義者という姿は公務で失敗をしないように処世術で演じているだけ。
「武士社会なんていくら良い仕事をしても評価されず、ちょっとした失敗で重大な罰を与えられる。それなら頭が固い振りして失敗しそうなことは全部前例がないと拒否したほうがいい」と銀次とお忍び中の家斉に酒に酔った勢いで愚痴ったことがあるがこれが本音である。
定時まで勤めを果たした後は城下町で食べ歩いたりお酒を飲んだりするのが趣味。
酔っ払うと「我は賄頭、平山堅衛門であるぞ!待たすでない!」と高慢な物言いをするなど酒癖はあまり良くない。

幕府に対してかなり批判的で、幕府がいずれ滅びることを知った時はショックを受けるどころか大笑いして「あんな偉ぶってるやつらが路頭に迷うとは実に愉快だ!」と大喜びしていた。
一方で家族想いで母親を大事にしていたり初対面の女の子を下心なく助けるなど根は悪い人間ではない。
本音では真面目に仕事や勉強をするなど馬鹿らしいと思っている一方で、武士社会を生き抜くために勉強も仕事も真面目にこなしてきたために頭脳明晰で教養も深い。
達筆で字や文章が芸術的に上手いほか、茶道、華道も高いレベルでマスターしているなどかなりハイスペックな人物でもある。
しかし武芸に関してはイマイチなようで目付きの悪い男にすごまれた時はすぐにビビッて刀を抜くこともなく逃げ出してしまった。

作中では主に江戸城にて平蔵の提案を前例がないと拒否してトラブルになったり、銀次と家斉が食べ歩きをしてるところに酔っ払った堅衛門が絡んできて一緒に食べるという登場の仕方をする。


  • 水野 忠成(みずの ただあきら)
家斉が最も信頼する側近。真面目かつ有能で家斉への忠誠は厚く、家斉からも深く信頼されているがその分家斉の我儘やお忍びなどの際の辻褄合わせなど面倒ごとを押し付けられる苦労人でもある。
時代劇で言うところのじいやに相当するキャラクターと言えば分かりやすいか。
作中では出羽守(でわのかみ)と呼ばれることが多い。
家斉がお忍びに出る際はちゃんとこの人が御庭番の忍者などを派遣して陰から身を守らせている。

  • 近衛 寔子(このえ ただこ)
家斉の正室。
上品で慎み深く穏やかな女性。
家斉とは深く愛し合っており、お互いに同格の友達も作れず母親のぬくもりを知らないもの同士と深く共感しあっている。
しかし(むしろだからこそ)家斉が新しい側室を迎え入れるたびに不機嫌になる(それは子孫を残さないといけない将軍の責務だということも理解しているが)。
今作では彼女と家斉の仲を描いたエピソードも多い。

  • 島津 重豪(しまづ しげひで)
薩摩の有力な大名。近衛寔子の実父であり将軍家斉の義父でもある。
色の浅黒いがっしりした壮年男性。
開化的な考えの持ち主で積極的に外国の文化や情報を取り入れており、オランダ語の会話や専門書の読み書きもできるほど。
海外から歴史や科学技術などの多岐にわたる専門書を取り寄せており、そのために出羽守には海外の軍略や兵器を取り入れて幕府への謀反を企んでいるのではないかと疑われていた。
また、大の麺料理マニアで自分でうどんやそばを打つだけでなく海外の麺料理も調査し、ついには水戸黄門(史実では日本で初めてラーメンを食べた人物と言われている)の真似をしてラーメン作りに手を出し、自作の豚骨ラーメンを開発してしまったほど。
そして自分のラーメンが本当に美味しいのかを証明するために江戸に滞在中、お忍びで城下町で屋台を引いてラーメン販売をおこなっており、その際に銀次とお忍び中の家斉と出会ってしまう。
そのラーメンは欠点も多少はあったものの現代人の銀次ですら感心するほど美味しいものだった。

  • 写楽(しゃらく)
江戸にいる町人でかの有名な浮世絵師「東洲斎写楽」その人。
その正体は井戸を通って来た現代人「写野(まの)」であり、かつて美大時代の学友の設楽と百合の三人で井戸を通って江戸に来て3人の連名で写楽と名乗って活動していた。
思いを寄せていた百合が設楽に惹かれていることに嫉妬して彼女を現代に戻れないように監禁するも、近所で偶然起きた火災で彼女を死なせてしまい自身も現代に戻れなくなってしまう。
その罪を反省するどころか逃れるために一人だけ現代にいた設楽を放火犯と通報して江戸に来れないようにした過去を持つこの作品では珍しい明確な極悪人。
脚気が江戸で流行った際にはそれに乗じて法外な値段で治療薬を売りつけて稼ごうとするも、銀次が糠が効くことを広めてしまったため失敗。
その仕返しとして銀次を一晩泊るよう誘って現代に戻れないようにしようと企むも、一緒にいた家斉が写楽を不審に思って帰るように強く言ったためにまたも失敗。怒って家斉に襲い掛かろうとしたところを忠成に叩きのめされて気絶した。
その後は休載に至るまで登場していないが、史実での写楽の正体とされる人物の没年がこの漫画の舞台の1820年であるため最終的に命を落とすか社会的に死ぬ構想があったのかもしれない。

  • 東郷 政宗(とうごう まさむね)
新任の膳奉行。剣豪のような雰囲気を纏う隻眼(厳しい料理修行のさ中で失ったらしい)の偉丈夫。
かつては京都の料亭で料理修行をしたり長崎で外国の料理を学んだりと厳しい料理修行を積んできた料理の名人。
江戸城内での影響力拡大を狙う老中「大久保加賀守忠真」に推挙されたことで、筆頭膳奉行の座をかけて長谷川平蔵と料理対決に挑むことになる。
権力争いの中心に巻き込まれたものの本人はストイックな性格で権力や権勢にはほとんど興味はない様子。出世を望むのも収入を増やして病気の妻に良い薬を買いたいがため。
息子がおり、料理の指南をおこなっている。
南蛮や唐の料理技法にも精通しており、知識と発想力は平蔵以上といえる。
くわえて膨大な調味料を1つ1つ試していくなど地道な研究を欠かさない努力家でもある。

  • 平賀 源内(ひらが げんない)
江戸城下町にてウナギ屋を経営する老人。とても長生きで90歳すぎだがかくしゃくとしており背筋も伸びて頭も足腰もしっかりしている。
エレキテルを発明した発明家の平賀源内その人だが表向きは処刑されたということになっているためにバレバレながらも自分は平賀源内ではないと主張している。
偏屈な性格で目付きが悪く笑い方が不気味なので悪役っぽいが別に悪人ではない。
長年ウナギ屋を経営してきただけあってウナギの調理技術は名人の域であり、本人もそれに強いプライドを持っている。
関東式のウナギの裂き方をしており、京都式のウナギ料理の名人と一緒にウナギを調理することになった時はワシの江戸裂き包丁は京裂き包丁には負けぬとライバル心を燃え上がらせていた。
現代日本の平賀と顔が似ており、銀次は平賀のご先祖様じゃないかと疑っている。
銀次にウナギの裂き方を教授した。

  • 遠山 景元(とおやま かげもと)
遊び人の金さんを自称する若い男。時代劇で有名な『遠山の金さん』その人である。
堅苦しい格式を嫌う小粋な遊び人で江戸の町人文化に疎い銀次やお忍び中の家斉に江戸の庶民料理をご馳走した。ただし家斉の正体には気が付いていない。
正義感が強くて困っている人を助けたり悪党を懲らしめたりもして活躍しており火盗改め(江戸時代の警察のようなもの)の役人からも信頼されている。


追記修正は江戸時代と現代を行き来しながら居酒屋を経営している方にお願い致します。

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最終更新:2024年04月05日 14:04

*1 河合単のツイート より

*2 第11話では創業300年とあったが設定変更か?