マンハッタンカフェ(競走馬)

登録日:2021/12/19 Sun 04:32:27
更新日:2025/04/10 Thu 02:36:59
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ロンシャンに架けた夢 ターフにそびえた摩天楼

週刊100名馬 EX5 表紙より


マンハッタンカフェ(Manhattan Cafe)とは、日本の元競走馬


【データ】

生誕:1998年3月5日
死没:2015年8月13日
享年:17歳
父:サンデーサイレンス
母:サトルチェンジ
母父:Law Society
調教師:小島太
馬主:西川清
生産者:社台ファーム
産地:千歳市
セリ取引価格:1億3,650万円
獲得賞金:5億2,283万円
通算成績:12戦6勝
主な勝鞍:01'菊花賞・有馬記念、02'天皇賞(春)

【誕生】

1998年3月5日生まれの牡馬。父はサンデーサイレンス、母はドイツの名門牝系の血を引くサトルチェンジ。母父Law Societyはアイリッシュダービーを制しているなど良血。
なお兄弟には母が日本に来る前に産んだ外国産馬の半兄エアスマップ(主な勝鞍:2001年オールカマー)がいる。
マンハッタンカフェ号は故・西川清氏(冠名カフェ)と社台ファーム代表の吉田照哉氏との共同所有であり、主戦騎手は蛯名正義。調教師は「サクラ軍団」の鞍上を任されてきた小島太。
特に共同所有者2人と調教師との関係が後に重要になってくることを頭にとどめて読み進めていただきたい。

出生当初から心身の弱さが見られたが奥手、即ち晩成型の馬であることは関係者の間で一致していた。
また「ダービーという夢を描いていた馬であり、託す期待が重圧になっていった」と小島師は後に述べている。

【戦歴】

デビュー戦は2001年1月。東京競馬場の芝2000mのレースで2番人気に支持されるも3着で、初勝利を挙げたのは2戦目の芝1800m。
次走となる弥生賞には馬体重を20kg減らした状態で挑むもアグネスタキオンの前に4着、続くアザレア賞ではそこからさらに16kgも落としたが11着惨敗。
体の弱さもあり、春のクラシック戦線には参加できず休養に入ることになる。

休養明けレースに選ばれたのは富良野特別。放牧を挟んでいたとはいえ、なんとアザレア賞から馬体重を46kgも大幅に増やした状態ながらも1番人気に推され、その人気に応える形で勝利。
次いで阿寒湖特別では古馬相手にも勝利し、「夏の上がり馬」として菊花賞に名乗りを上げることになる。
トライアルのセントライト記念では4着に敗れ(鞍上二本柳壮騎手)、菊花賞本番ではジャングルポケットなどクラシック戦線を率いてきた有力馬の存在もあり6番人気に甘んじる。しかし、スローペースの中で蛯名騎手ともども落ち着いた走りを見せ3角から仕掛けると、逃げるマイネルデスポットをゴール直前で差し切り、重賞及びG1初勝利となった。
余談だが2着に粘ったマイネルデスポットは11番人気の大穴馬で、馬連が4万馬券に大化けする大荒れの展開となった。

続く有馬記念にも出走。
昨年から主要G1を総なめにしてきた「世紀末覇王」テイエムオペラオーと「最強の二番手」メイショウドトウも出走していたが、天皇賞(秋)はアグネスデジタルの2着、ジャパンカップではジャングルポケットの2着に敗れるなど、テイエム王朝が傾きかけていたところに引導を渡すかの如く、
上がり3Fを33秒9という当時の中山2500mにおける最速タイムを叩き出す豪脚を見せ、先行勢を大外から撫で切って勝利。テイエムオペラオーは5着に敗れたことで、ついにテイエム王朝は崩壊したのである。
なお2着に入ったのは最低人気だったアメリカンボス。こちらの馬連は菊花賞以上の配当となった。
「マンハッタン」「アメリカン」でいわゆる9・11米同時多発テロを思い出したファンもいたというが、偶然です!

G1を2勝したものの、最優秀3歳牡馬と年度代表馬の座は日本ダービーとジャパンカップを制したジャングルポケットが選出され、JRA賞の受賞には至らなかった。

古馬になった2002年は有馬記念と同条件のG2・日経賞から始動。しかし元々悪かった蹄の状態やトウ骨に問題を抱えた状態で出走したのが祟ったのか6着。
幸先の悪いスタートにはなったが、次走の天皇賞(春)ではジャングルポケットやナリタトップロードと共に3強対決と言われていた。
本番では幸先良すぎたスタートで行きたがるもなんとか抑え4・5番手につけスローな進行。ジャンポケ、トップロードからはマークを受けて仕掛け自体は彼らより遅れたが、落ち着いた対応で4角直線から鋭い足を延ばして勝利した。
この勝利、実は「皇帝」シンボリルドルフ以来となる「菊花賞、3歳時の有馬記念、4歳時の天皇賞(春)」を制した歴史的快挙で、今日に至るまでこの条件を達成したのはこの2頭だけである。

その後は休養を挟み、秋に凱旋門賞への参加を決める。
この決定には吉田氏の「世界で強い馬を走らせたい」という意向もあり小島師もそれに同調。もう一人の馬主である西川氏は反対するも、「2対1じゃあ仕方ない」と最後は同意。
そして迎えた凱旋門賞。5番人気に支持され、道中も調子が良かったのだが直線で失速、13着と惨敗に終わってしまう。
しかもレース後には屈腱炎を発症していたことが判明、そのまま引退し種牡馬入りすることになった。
通算戦績は12戦6勝、勝利した重賞は全てG1で、しかも新馬戦を除いた勝ち鞍は全て2500m以上の長距離レースという異様な戦績となった。
しかし天皇賞(春)を勝利した功績を踏まえてか、JRA賞最優秀4歳以上牡馬に選出された。

【引退後】

引退後は種牡馬入り。
種牡馬としては、天皇賞(春)を制したヒルノダムール、2冠馬ブエナビスタと争い秋華賞を制したレッドディザイア、NHKマイルカップ馬ジョーカプチーノ、フェブラリーSを制したグレープブランデー、エリザベス女王杯を制したキタサンブラックの正妻クイーンズリングなどが代表。父譲りの中長距離のみならず短距離やダートといった幅広い適正の産駒を輩出した。
2009年にはアグネスタキオンに次ぐサンデーサイレンス産駒2頭目のリーディングサイアーとなり、その後キングカメハメハディープインパクトの躍進により順位は下がるも、最後までサイアーランキング一桁順位内に留まり続けた。
サンデーサイレンスの特徴でもあった「相手の長所を引き出す和合性」を持つ数少ない存在であったが、2015年の夏から体調が著しく悪化し、8月13日に腹腔内腫瘍のため死亡。享年17歳。タキオン然りカフェ然りディープ然りどうしてSS後継種牡馬は早逝してしまうのか……
なお他界から2年後の2017年にラストクロップ世代の一頭メイショウテッコンが小倉競馬場での新馬戦で勝利した事で、マンハッタンカフェはJRA史上18頭目の「産駒総計1000勝種牡馬」となっている。
その後ヒルノダムール・シンザン記念等を勝利したガルボ・ジョーカプチーノ等が後継種牡馬になっており、ヒルノダムールが数年で引退する等サイアーラインが継続できるかは微妙だが、ジョーカプチーノ産駒から2頭重賞馬が生まれている。
繁殖牝馬も多数輩出しており、母父マンハッタンカフェとしては、2021年帝王賞とチャンピオンズカップ、2022年JBCクラシックのダートGⅠ級3勝をあげた2021年JRA賞最優秀ダートホースのテーオーケインズ、2022年2023年に帝王賞で史上初の連覇*1と2023年かしわ記念に加えて2025年川崎記念を8歳にして勝利したメイショウハリオ、2023年日本ダービーを勝利したタスティエーラ、2024年フェブラリーステークスを勝利したペプチドナイル、メイショウハリオの半弟で2024年天皇賞(春)を勝利したテーオーロイヤル、2024年マイルチャンピオンシップでGⅠ初制覇して2025年にはドバイターフで国際GⅠ10勝の香港の強豪ロマンチックウォリアーを破って7歳にして海外GⅠ初制覇となったソウルラッシュがいる。

【創作作品での登場】

  • 『運命の出会い サラブレッドにかけた夢』
容姿が父親であるサンデーサイレンスにそっくりということもあり、引退後の2004年には社台ファームの創業者、吉田善哉氏とサンデーサイレンスの出会いを描いたドラマにサンデーサイレンス役で出演している。
こういう仕事が来るのは大体気性の大人しい馬であるが、実際マンハッタンカフェは神経質にイラつくこともあったというがSS産駒では珍しく人間に従順で故に操縦性が高かったと言われてる。
牝馬にも優しかったらしい。だから種牡馬成績もよかったんだな

上述の逸話から、山ほどいるSS産駒ウマ娘の中でもサンデーサイレンスを想起させるネタが特別多い。あと名前からコーヒー愛好家。
当初のキャラ紹介では、トレーナー(=プレイヤー)への執着心は人一倍強いちょっとしたストーカー気質で、レースの道に入らなければ何らかの罪を犯していたとかかなり危険な気質(魂の父の悪影響だったりして)をうかがわせていたが、作品で実際に描かれる前に設定が一新。
変更後の設定では、目に見えぬ「誰か」が見ることができ、特にその中でも特別な存在で走るのも速い「お友だち」の影を追っているというオカルト属性のキャラになった。
「お友だち」は容姿が彼女にそっくりであるという描写があり、サンデーサイレンスかあるいは……?という風に描かれている。
アプリ内での性能面で、ゲームバランス上かなり珍しい「長距離適性がAだが中距離はB」であったり成長補正がスタミナ1本だったりと、作中でも一際ステイヤー色の強い設定になっているのも特徴。


追記・修正は父親に瓜二つなほどそっくりな方がお願いします。

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最終更新:2025年04月10日 02:36

*1 帝王賞2勝ならチャンピオンスター(1988年1991年)、フリオーソ(2008年2010年)、ホッコータルマエ(2013年2015年)がいる