登録日:2012/01/07(土) 12:54:37
更新日:2025/04/07 Mon 14:09:23
所要時間:約 16 分で読めます
キングカメハメハとは、
日本の元
競走馬、種牡馬である。
NHKマイルカップと東京優駿(日本ダービー)の双方を制した史上初の「変則二冠馬」であり、種牡馬としても大成した。
【データ】
生誕:2001年3月8日
死没:2019年8月9日(18歳没)
父:Kingmambo
母:マンファス
母父:Last Tycoon
生産者:ノーザンファーム
馬主:金子真人
調教師:松田国英(栗東)
主戦騎手:安藤勝己
生涯成績:8戦7勝[7-0-1-0]
獲得賞金:4億2973万3000円
主な勝鞍:'04年NHKマイルカップ、'04年東京優駿
主な表彰歴:JRA賞最優秀3歳牡馬、JRA顕彰馬
【誕生】
キングカメハメハは母馬が妊娠した状態で日本へ輸入され、日本国内で出産された「持込馬」として生まれた。
ちなみに日本で活躍した持込馬としては古くは
マルゼンスキーが、キングカメハメハ以降だと
エイシンフラッシュが有名である。
当時の日本ではまだ馴染みの薄いミスタープロスペクター系であり、
サンデーサイレンスの血も持っていなかったため、
後述の事情もあって生まれたときからすでに種牡馬としての活躍まで期待されていたという。
セレクトセールに上場され、8190万円で
日本最強の個人馬主こと金子真人氏が落札。
預託先は松田国英厩舎が選ばれた。
松田国英師は競走馬に対し
繁殖としての生活まで意識した管理を行うことで有名であり、同師の元に預けられたことがキングカメハメハの運命を大きく左右することとなる。
【デビュー】
秋の京都競馬場でデビューし、新馬戦を快勝。その後のエリカ賞も勝利し、競走馬として上々のスタートを切る。
しかし、好事魔多し。
年明け初戦の京成杯(G3)ではマイネルマクロスの逃げを捉えられず、フォーカルポイントにも置いてけぼりにされるという屈辱的な敗北を喫してしまう。
この結果を受け、陣営はキングカメハメハに中山競馬場は向かないと認識。
厳しい調教を開始するとともに、春からの路線変更を決断する。
【路線変更】
ここからは少々ディープな話になる。
日本の競馬は中長距離……すなわち2000m以上のレースを重視しており、クラシックと言われる3歳牡馬の王道路線は
すべて2000m以上の距離に設定されている。
特に東京優駿(日本ダービー)は世代頂上決戦・競馬に携わる人間すべての夢・競馬の祭典とまで言われるレースであり、
ある程度期待されている馬ならとりあえずクラシック路線を進むのが一般的である。
3歳馬には裏街道としてNHKマイルカップを中心としたマイル路線もあるのだが、明らかな短距離馬でもなければ積極的にこちらを選ぶ理由はなく、
クラシックに出られない負け組集団と揶揄する向きも未だ根強い。
さて、春のクラシックは中山2000mの皐月賞、そして東京2400mの東京優駿である。
前述したとおり、キングカメハメハに中山競馬場は向かない。つまり皐月賞は諦めるということになる。
一方で、キングカメハメハはKingmanboの血を引いている。Kingmanboは欧州のマイルG1を3勝しており、
キングカメハメハも本質的には短距離向きの馬であると予想される。
東京1600mで行われるNHKマイルカップに出走すれば、好結果を出すことは疑いない。
中山以外のステップレースを使って東京優駿に挑むか、潔くマイル路線に切り替えるか。
しかし、そこは競走馬の繁殖生活まで意識した管理を行う松田国英師である。
キングカメハメハが種牡馬として成功できるよう、最大限の配慮をもって春からの方針を決定した。
………(゜Д゜)
マイルのG1と
中距離王道路線のG1。その両方を勝てば、確かに種牡馬としての評価は圧倒的に高まるだろう。
しかしどう考えても無茶である。
同じ東京競馬場開催のレースとはいえ、
走る距離は800mも違う。求められる適性も異なる。
しかも、
それぞれの路線の頂点を狙い、必勝を期してメイチの仕上げで臨んでくるライバルたちを相手に、自分だけ中2週というハードなスケジュールで挑まねばならないのだ。
実際松田厩舎からはかつて
クロフネがNHKマイルカップを手土産にダービーに向かうも5着に沈み、
皐月賞→マイルカップ→ダービーというもっとハードな日程を組んだ
タニノギムレットは3着・3着・1着という結果だった。
【最強の大王】
敗戦から1ヶ月間を空け、阪神開催のすみれS(OP)と毎日杯(G3)を連勝。(なお、回避した皐月賞を制したのはダイワメジャー)
予定通りNHKマイルカップに出走する。
当日は水を含んだ馬場だったがまるで意に介さず激走し、2着コスモサンビームに5馬身差の圧勝。
高いスピード能力を示すとともに、「こいつやっぱりマイラーじゃね?」との評価を得る。
そして迎えた東京優駿。
NHKマイルカップの勝ちっぷりから2400mへの適性を疑問視する声もあり、最終的には2倍台の1番人気となった。
レースでは因縁のマイネルマクロスがまたも爆走。
前半1000mを57秒台という殺人的なラップを刻んだが、キングカメハメハは動じることなく後方に待機。
直線で外に持ち出し、坂の入口で早くも先頭に立つ。
最後は最後方から追い込んできた
ハーツクライを1.5馬身差で退け、
レコードタイムでの勝利。
「今、最強の大王が降臨した!キングカメハメハ強し!
今、最強の大王が府中のターフに舞い降りました!」
松田国英師のプランを完遂するとともに、鞍上のアンカツこと安藤勝己にダービージョッキーの称号をプレゼントした。
安藤騎手は今でもこの馬にはかなり思い入れがあるようで、とあるインタビューでは歴代最強馬は何かと聞かれてキングカメハメハと答えており、本人のX(旧Twitter)アカウントのヘッダー画像もキングカメハメハである。
マイルと中距離のG1…それも世代頂上決戦たるダービーを、ともに圧倒的なパフォーマンスで制覇。
まさしく世代の頂点に座すに相応しい最強の大王である。
天皇賞(秋)へ向けてまずは神戸新聞杯(G2)を快勝したが、直後に屈腱炎を発症。
古馬戦を迎えることなく競走馬を引退し、種牡馬入りすることとなった。やっぱり松国タイマーからは逃れられなかったよ…
この超高速決着となったダービーは、4着キョウワスプレンダ・11着フォーカルポイント・12着コスモサンビーム・13着マイネルデュプレが故障で長期離脱(コスモサンビームは後に心臓麻痺で急死)、16着マイネルマクロスが屈腱炎を発症し引退、マイネルブルックは最後の直線で脱臼して競走中止・予後不良、3着ハイアーゲームもこれ以降一気に成績が低迷という死屍累々の様相を呈しており、勝ったキングカメハメハすらもこの結果となってしまったことから、「死のダービー」と呼ばれることとなった。
ちなみに出走馬のうち6着のダイワメジャーは重度の喘鳴症を患って「ダメジャー」と揶揄される低迷期に入るも、手術の結果引退までG1を5勝する奇跡の復活を遂げ、
2着の
ハーツクライもその後3歳の終わりまで、掲示板に乗ったのがG2で3着が1回のみ低迷するも、こちらは単に馬が晩成型だけであり、4歳になってからG1で何度か馬券に絡むようになり復調。4歳終わりの有馬記念であの
ディープインパクトを打ち破るジャイアントキリングを成し遂げ、翌年はドバイSCを勝利。
この2頭は競走馬引退後も種牡馬としてG1ホースを何頭も送り出した。
他には5着のスズカマンボが4歳時に天皇賞(春)を制し、種牡馬としても中央重賞勝ち馬が僅か3頭ながらその3頭全てがG1を制するという面白い成績を挙げている。
結局、キングカメハメハの最終成績は8戦7勝、唯一敗れた1戦も馬券から外れることはなかった。
この馬がダービーを制した翌年に同レースを制したのは、同馬主のディープインパクト。このときの勝ちタイムは2分23秒3。キングカメハメハと全く同じであり、その後は勢いそのままに、無敗の
クラシック三冠を達成することとなる。この2頭の直接対決が見られなかったのは、非常に惜しい話である。
【種牡馬として】
種牡馬入りにあたっては
実績と血統が非常に高く評価され、社台グループの未来を背負うエースとして迎えられた。
当時の社台グループは
サンデーサイレンス亡き後の競馬界を担う非サンデー系種牡馬の確保を急務としており、そのための切り札であった
エルコンドルパサーやエンドスウィープは早逝し、ウォーエンブレムは
栗毛フェチのロリもといミニコン特殊性癖でまるで役に立たずといった具合であったため、彼は新たな切り札として最高級の待遇で迎えられ、良質な繁殖牝馬を多く回された。
初年度はあまり大物を出せず、短距離での小銭稼ぎをメインとしていた時期もあったのだが、育成ノウハウが確立されてからは一変。
後述するがアパパネ、
ロードカナロア、
ドゥラメンテなどのG1馬を含む多くの重賞馬を輩出し、押しも押されもせぬ超一流種牡馬となった。
産駒はどちらかと言うと短距離に強い傾向があるが、ジャパンカップ馬を1頭、天皇賞(秋)馬を2頭出すなど中距離に対応出来ないわけでもない。
長距離戦線は流石に適正外と言わざるを得なかったが、直系の孫世代からは長距離GIを勝つような馬も何頭か出始めており、また直子にも長距離重賞で連対できる馬が出現し始めるなど、全くの可能性が無かった訳でもない。
また芝・ダート適性に関してはどちらでも活躍馬を出し、世代によっては後者の勝利が上回ることも。
ちなみに
サンデーサイレンス以降のリーディングサイアーで
サンデーサイレンスの血を引いていない種牡馬は現在のところ彼だけである。
所謂コルトサイアー、フィリーサイアー
というわけでもなく、牡馬にも牝馬にも代表と言える活躍馬を多数輩出しており、それ故か後継にもかなり恵まれている。
母父としても優秀で2017年以降毎年のようにG1で勝つ馬が現れており(2021年現在)、2020年には14年連続でBMSリーディングトップに君臨していたおなじみのサンデーサイレンスからその地位を奪取した。
日本の血統表から直系、牝系問わずその名が消えることはまず無いだろう。
しかし、酷使に次ぐ酷使のためか体調はみるみるうちに悪化し、後年は種付頭数を制限せざるを得なくなった。
2019年には種付けを見送られ、そのまま惜しまれつつ種牡馬を引退。2022年クラシック世代がラストクロップとなった。
この頃には病状がかなり進行していたようで、同年8月9日に息を引き取った。
その遺骨は、同年に急逝したディープインパクトの隣に埋葬されている。
既に孫たちも種牡馬入りし始めており、今後は最強の大王の血を受け継ぐ子孫たちの活躍に期待したいところである。
これらの活躍により2024年に
コントレイル共々
顕彰馬に選出された。
【代表的な産駒】
2年目産駒にして
代表産駒その1。産駒初のG1馬にして7年ぶり史上3頭目の
三冠牝馬であり、勝利した重賞全てがG1という生粋のG1ハンター。
阪神ジュベナイルフィリーズを制しており、2歳G1から続けて牝馬三冠を達成しているのは現状アパパネと
リバティアイランドのみ。
ヴィクトリアマイルでも前世代の最強馬ブエナビスタを破っており、エリザベス女王杯を勝てば牝馬限定G1完全制覇と王手を掛けていた。
しかし、2年連続で欧州の刺客スノーフェアリーの
すんごい脚に手も足も出ず3着に敗れ、翌年に屈腱炎を発症したために無念の引退となった。
繁殖牝馬としては
ディープインパクト、ディープの死後は彼の兄ブラックタイドと交配しており、ディープとの間にもうけた4頭の仔はすべて勝ち上がり、その中から4番仔
アカイトリノムスメが2021年にクイーンカップで産駒初の重賞制覇、続けて秋華賞で産駒初のG1制覇を達成。繁殖牝馬としても成功を収めた。
2年目産駒。女帝
エアグルーヴを母に持つ超良血であり、ハイレベル世代・2010年クラシック世代の一角。
とにかく出遅れが多かったゲート難であり、勝って負けてを綺麗に繰り返す「オセロ」とも揶揄される戦績を積み立てた個性派。それでも善戦や勝利してきたため、そのポテンシャルは高かったといえる。
5歳で香港のクイーンエリザベスⅡ世カップを勝利し、晴れてG1ホースとなった。
またその年には、天皇賞(秋)・ジャパンカップ・有馬記念と秋古馬三冠レースで3連続3着というミホシンザン以来の史上2頭目の珍記録も。
特にラストランとなった有馬記念で
ゲートオープンと同時に思いっきり立ち上がったことは、今も語り草となっている。
それでも
白い方のシップと違ってしっかり馬券に食い込んできたのだから大したものである。
種牡馬としては、
出遅れ癖やアクの強い一面をしっかり受け継ぎ7歳まで走り続けた菊花賞馬
あっキセキぃ♡キセキや、コーフィールドカップ(豪)を勝ち、種牡馬としてトルコに渡った
事で5代連続で違う国のG1獲得の珍記録に王手をかけたメールドグラース、2024年にマイルCSを制し、翌年には当時最強の芝馬と呼び声が高かったロマンチックウォリアーを相手にドバイターフを制した
ソウルラッシュなどを輩出している。
2年目産駒。10年クラシック世代の一角で、繁殖牝馬「ローザネイ」から始まり代々薔薇の名を冠する
G1善戦マンの牝系「
薔薇一族」出身。
2歳で朝日杯フューチュリティステークスを勝利し、薔薇一族初のG1勝利を獲得と、デビューからいきなり快調な滑り出し。
クラシック三冠も敗れたものの好走を見せ、ジャパンカップではブエナビスタの斜行で不利を受けるものの、何とか2着入線。その後、ブエナビスタの降着が認められたことにより繰り上がりで優勝となった。
しかしそこで燃え尽きてしまったのか、古馬になってからは時折善戦もするものの惨敗続きに。
6歳の新潟大賞典で11着に沈んだのを最後にターフを去った。
その後ブリーダーズスタリオンステーションにて種牡馬として繋養されていたが、2018年に頭を強く打ち麻痺が残るという事故に見舞われ、そのまま種牡馬を引退。
引退後は功労馬としてヴェルサイユファームで繋養され、2002年ダービー馬の
タニノギムレットたちと
彼の柵破壊芸にビビりながらも仲良くやっている様子。
3年目産駒にして
代表産駒その2。ロードホースクラブの代表馬でもある。
あの三冠馬
オルフェーヴルの同期にして、
サクラバクシンオーと双璧をなす日本最強スプリンター。2021年現在でもスプリンターズステークスのレコードホルダーである。
デビューが2歳の12月と遅めで3歳までは下積みの日々であったが、当時からその実力は示しつつあった。
迎えた4歳、高松宮記念こそ同厩の
嫁先輩のカレンチャンの3着に敗れた(翌年はしっかりリベンジした)が、主戦騎手が福永祐一から岩田康誠に交代すると快進撃が始まる。
なんとスプリンターズステークスと香港スプリントを連覇してしまったのである。
特に香港スプリントはそれまで日本の一流スプリンターが挑んでは尽く跳ね返されてきたため、日本馬として初制覇どころかいきなり連覇までしたのはとんでもない快挙である。
特に引退レースとなった2年目の香港スプリントでは
着差が付きづらいスプリントで5馬身差で圧勝というもう規格外としか言いようのない走りを見せた。
おまけに春のマイル王決定戦こと安田記念でも、マイラーたちを差し置いて優勝している。
2013年には
オルフェを差し置いて年度代表馬に選出され、2018年にはついにJRA
顕彰馬となった。
界隈が三冠馬
オルフェーヴルに沸く裏で、誰も疑わないスプリントの絶対王者として君臨した。
種牡馬としても、初年度からあの
アーモンドアイに、親子2代で香港スプリント(と高松宮記念)制覇のダノンスマッシュ、マイルCS馬ステルヴィオを輩出し、
2年目も皐月賞馬サートゥルナーリアにJBCスプリント馬レッドルゼル、3年目にはドバイターフとサウジカップという海外で芝とダート双方のG1を制した
パンサラッサ、5年目にNHKマイルC馬ダノンスコーピオンと、後述の
ドゥラメンテの夭逝も相まり後継種牡馬としての地位を確固たるものとしている。
種牡馬としては全体的にスプリンターの排出が多いものの、アーモンドアイやサートゥルナーリア、パンサラッサ、ベラジオオペラのような中距離馬も輩出できているあたり、父同様距離の守備範囲も繁殖牝馬次第ではかなり効く模様。
“大王”を継ぐのは
“龍王”ということか。
詳細は項目参照。
3年目産駒。産駒として中央ダートG1一番乗りを果たした。
当時G1でなかったホープフルSに勝ちクラシックでも期待されたが、カナロアと同じ年ということはつまりオルフェがいた
というわけで……でもダービー3着になるあたり意地は示した。
4歳になってノド鳴りや骨折、繋靭帯炎などに悩まされて長期休養。5歳に復帰してダート路線に移ると下記のホッコータルマエ含むGI級勝ち馬9頭がそろうジャパンカップダートに勝利した。
翌年はドバイワールドカップにタルマエと一緒に挑戦したが大敗し、肢も限界を迎え引退。体の弱さがなんだかもったいない馬であった。
種牡馬としてはやはりダートがメイン。
4年目産駒。実はキンカメ産駒の賞金王である。
Jpn1で7勝、G1で3勝。1つ下の
コパノリッキーと共に当時のダート路線を支配した。
3歳時は重賞勝利はあれど善戦マンだったが4歳時に地方交流路線にも目を向けると交流GⅠ級4勝を挙げた。その後も東京大賞典を連覇したりチャンピオンズカップを制したりと、ダートを
荒らし回った。
7歳で史上初のG1級競走10勝を達成。翌年にコパノリッキーの11勝に抜かれたものの、史上屈指の強世代と名高い
2012年クラシック世代はダートでも強かったのである。
ドバイWCには3年連続で出走しており、2回目は5着と好走を見せたが、他は残念ながら振るわず。
引退して種牡馬入りした後は地方競馬で活躍する産駒が主。ダートの子はダートということか。
また、2022年にはウマ娘化を果たし、同作品に初めて登場するキングカメハメハ産駒となった。
ウマ娘としての彼女は
個別記事を参照。
4年目産駒。上記ホッコータルマエの同期のダート馬。
3歳時はジャパンダートダービーに勝利するなどタルマエより先にG1級の栄光を手にした。翌年も川崎記念に勝利。12年クラシック世代はダートでも(以下略)
しかしJBCクラシックにて屈腱炎を患い4歳で引退。種牡馬入りは静養で時間がかかった。
一時は同格くらいであったタルマエの活躍に比べると空気な気はする。
5年目産駒。金子氏の所有馬「
ポップコーンジャズ」との子で、やはりこの馬も金子真人HDが馬主となっている。
全弟に重賞3勝GⅡGⅢで2着8回のボッケリーニがいる。
4歳まではいまいち勝ちきれない脇役止まりだったが、5歳になるといきなり中山金杯・京都記念を連勝。
そしてあの「
120億円事件」で有名な宝塚記念でついに悲願のG1獲得。
勢いそのままに京都大賞典、そして2つ目のG1である天皇賞(秋)と怒涛の勝ちっぷりを見せる。
その後のジャパンカップと有馬記念でも好走し、この年の最優秀4歳以上牡馬に選出。善戦マンから一転して大躍進の年となった。
6歳でさらなる飛躍が期待されたが、流石にモーリスや
キタサンブラックなどに
世代交代を余儀なくされ、引退となった。
全弟のボッケリーニは2024年現在8歳にして現役であり、G1に手が届いていないものの、中長距離の重賞で3勝2着8回と安定した成績を残す息の長い馬として活躍している。
7年目産駒にして
代表産駒その3。アドマイヤグルーヴとの間に生まれた、現代日本競馬の結晶とも言える良血中の良血。
そして、圧倒的な力で二冠を達成しながらも怪我に泣かされ続けた。
名前に違わぬ荒々しい気性で不安視されながらも、他の馬を子供扱いするかの如き勝ちっぷりで皐月賞とダービーを制覇。
だが、骨折が発覚したためにその後のクラシックを棒に振ることとなり、三冠の夢は幻となってしまった。
翌年のドバイシーマクラシックでは暴れたために蹄鉄を付けないまま走り、結果2着という何気にとんでもないことをしでかしている。
帰国後の宝塚記念では重馬場ゆえに苦戦し2着、さらにはレース後に躓き故障。競走能力喪失と診断され、そのまま引退。
あの
キタサンブラックには一度として先着を許しておらず、一時は
凱旋門賞への挑戦も視野に入るほどだったが、まるで父親のように未完の大器としてターフを去っていった。
ならば種牡馬として夢の続きをと期待されていたが、父親の死から僅か2年後の2021年8月に急性大腸炎を発症し、わずか9歳で急逝。5世代の産駒を残すのみとなった。
素晴らしい力を持ちながら、とことん運命に翻弄され続けた馬生であった……。
それでも初年度から
菊花賞馬かつ春古馬二冠馬
タイトルホルダーを輩出。2年目には
スターズオンアースが牝馬二冠を、そして、3年目の産駒である
リバティアイランドが
牝馬三冠を達成しドゥレッツァが菊花賞を勝利、2023年にはJRAでリーディングサイアーの座を獲得。種牡馬としても大成と言っていい実績を残した。
産駒が目覚ましい活躍を見せている時、ドゥラメンテ自身は既にこの世を去っていたというのは、心底惜しまれる話である。
また、「
ウマ娘 プリティーダービー Season 3」にて、ホッコータルマエに続きウマ娘化。現在、同作品に登場しているキングカメハメハ産駒はこの2頭(2人)のみである。
詳しくは
項目参照。
7年目産駒。こんな名前だが
牝馬である。
桜花賞を4馬身差で圧勝し、早くも期待を持たれていた。……が、そこからは善戦はするもののあと一歩が届かないシルバーコレクターに。
7歳まで中央・地方・海外と色々な場所で走り続けたが、とにかくあと一歩が届かない。
結局最後の勝鞍は5歳の京都牝馬ステークスであり、通算成績はまさかの36戦3勝。
それでも合計5億以上稼いでおり、その名前や長く走り続けた活躍、競馬記事やパドックでの妙にかわいい姿もあって、愛された存在であった。香港に同行したお姉様もとい姉貴分のスマートレイアーとの
キマシ仲良さそうな写真は多くのファンを虜にしたとか。
引退後は
イギリスへ渡り、ガリレオ・フランケル親子と交配。その2年後、ガリレオとの第1子と一緒に、フランケルとの第2子を身籠った状態で帰国した。
7年目産駒。金子氏が所有する白毛馬「
シラユキヒメ」の第9子で、一応白毛扱いだがその名の通り
ダルメシアンの様なブチの毛並みを持つレア過ぎる馬。ちなみに全妹ブッチーニもブチ柄だったり。
成績自体は16戦4勝(重賞未勝利)と微妙だったが、ゲートを
ブチ抜いて暴走し目の怪我で競走除外・ゲートをすり抜けてラチに
脚をブチ当て競走除外、
最後は
ゲートをブチコわし一応大外に枠変更されて完走するもゲート難が酷すぎて引退と、ブチはブチでも
ぶち壊す方に縁がある馬だった。
そして引退後繁殖牝馬となり、2018年に第1子
ソダシ(これも金子氏の所有馬
クロフネが父親)が誕生。2歳で阪神JFを、3歳で桜花賞を制し、世界初の白毛のG1馬となった。
第2子ママコチャもクロフネの産駒。キンカメの毛並みが隔世遺伝したのかこちらは鹿毛だが、競走能力は姉に劣らぬ物を持っており、2023年にスプリンターズSを勝利。姉妹でG1ホースの称号を手にすることとなった。
ちなみに2021年の「アイドルホースオーディション」のSTEP1で見事10位にランクインしたものの、いざSTEP2へという段階で毛色の再現が困難という理由で除外されてしまい話題になった。
つくづく競走中止に縁のある馬である。
8年目産駒。オークス馬
シーザリオの息子であり、半兄に菊花賞・ジャパンカップ馬エピファネイア、半弟(父ロードカナロア)にホープフルステークス・皐月賞馬サートゥルナーリアがいる。
キャリア2戦目で朝日杯フューチュリティステークスに挑み、かつて自分の母が倒した馬(
エアメサイア)の息子でかつ同じキングカメハメハ産駒でもある重賞馬エアスピネルを倒して世代初かつ史上最短キャリアG1勝利タイ記録でG1馬に輝くも、
その後弥生賞2着・皐月賞はエアスピネルの走行を妨害したとして4位入線から降着で5着・日本ダービーもあえなく5着と三連敗し、そのまま神戸新聞杯前に浅屈腱炎発症で引退した。
種牡馬としては重賞馬を複数出すも地味目だったが、2024年に初年度産駒の
テーオーロイヤルが6歳で天皇賞(春)を制覇。翌年にはミュージアムマイルが皐月賞を制し、後継種牡馬となれそうな産駒も増えてきている。
8年目産駒。ミッキー軍団の代表馬の1頭。
重賞勝利は地道に重ねていたが、皐月賞・菊花賞・大阪杯・宝塚記念・天皇賞(秋)と大舞台ではコンスタントに出走するもなかなか勝てず。
だが、5歳で天皇賞(春)を9番人気から4着に食い込むと、
宝塚記念では7番人気から香港馬ワーザーから逃げ切り、ついにG1勝利。
これは鞍上の和田竜二にとっても、
テイエムオペラオー以来の17年ぶりとなるG1勝利であった。
その後は天皇賞(秋)5着、有馬記念4着。次の年も現役続行の意向を見せていたが、脚部不安を発症しそのまま引退、種牡馬となった。
9年目産駒。母の父が
シンボリクリスエス・母の母がディープインパクトの半姉レディブロンドという血統を持つ。
ホープフルステークスで勝利、皐月賞では5着に敗れるもダービーでは後の大阪杯馬スワーヴリチャードを退け見事勝利。鞍上の
クリストフ・ルメールはこれが日本ダービー初制覇であり、定年退職が近付く名門・
藤沢和雄厩舎に悲願のタイトルを捧げた。
その後も順調に重賞を勝ち、ジャパンカップでも
シュヴァルグランの2着ではあったが古馬を相手に健闘した。
次の年はドバイシーマクラシックで4着も、天皇賞(秋)で2勝目のG1勝利を上げ、有馬記念でも2着となった。
しかし迎えた5歳、2度目のドバイシーマクラシックで6着に敗れるとそのまま燃え尽きてしまったかのように凡走を繰り返し、有馬記念7着を最後に引退となった。
種牡馬としては、ロードカナロア産駒の短距離傾向が顕著になってきていることや、良血ながら
サンデーサイレンスの血が入っていないので繁殖牝馬の選択肢がある程度広いこと、ディープインパクト系の牝馬とウインドハーヘアのクロスを試せるという事もあり、クラシックホースを輩出するための後継として期待が寄せられていた。
だが初年度産駒の勝ち上がり率は肌馬の質を考えると物足りない数字、とくに牝馬の勝ち上がり率が芳しくない
…どころか馬体の問題で3歳になってもデビューもあまりできていない状況でかなり厳しい状況。
初年度産駒の不振ぶりから2024年度の種付け数の動向が注目されたが、700万→500万に値下げされたにもかかわらず前年の149頭から39頭への大幅な減少となった。
高齢化などで減る事例・安価な種牡馬で大幅な減少はあるものの、まだ種牡馬入りして5年目でこの価格帯でのこの数値はあまりにも異例。
しかも社台SSという国内で最高の環境・肌馬が与えられたにもかかわらずこの結果、ブリーダーズSSなど他所に移動しても牝馬問題が付きまとうため来年以降彼がどうなるかが未知数である。
2025年に初年度産駒のサンライズアースが阪神大賞典を勝利し、ようやく重賞馬が誕生。2年目の産駒であるウォーターガーベラがチューリップ賞で2着と、牝馬からも活躍馬が出始めている。ここから巻き返せるだろうか?
10年目産駒。チュウワ軍団の代表馬。従兄妹にダートGI4勝の同期ルヴァンスレーヴやリアルダビスタで知られるシュシュブリーズがいる。
同期には東京大賞典4連覇のオメガパフュームがおり、2つ下のテーオーケインズも含めてこの時代のダートの一角を占める存在。
デビューは3歳からと遅めだったがダートで掲示板を外さない活躍をし、4歳のJBCクラシックでGI級を初制覇。翌年にはチャンピオンズカップで中央GIも制した。
2021年には昨年コロナ禍で中止になった海外遠征にも挑戦。サウジカップは初めて掲示板を外す大敗だったが、ベルシャザールもタルマエも苦戦したドバイWCでは先行からしぶとく粘り2着入線した。
その後も帝王賞で着外になった以外は健闘を続け、川崎記念を圧勝してから挑んだ2度目のドバイWCでは追い込みで3着に飛び込んだ。
だが2022年帝王賞では当時のダート王者テーオーケインズは降したものの伏兵メイショウハリオに勝利を阻まれ2着なんかシルコレ化してない?となり、その後JBCを前に繋靱帯炎で無念の引退。優駿SSで種牡馬入りとなった。
12年目産駒。母母母にエアグルーヴ・母父にリオンディーズの母父でもある
スペシャルウィークを持つ血筋。
…なのだが、5歳半ばまでは芝路線で低迷を続け、夏にダート路線に転向したら
覚醒。重賞含む2連勝から朝日杯FSに続く2回目・そしてダートG1としては初参戦となる2022年チャンピオンシップを制した。
しかし6歳期にはサウジカップ・ドバイワールドカップと転戦するも振るわず、帝王賞7着を最後に引退。優駿SSで種牡馬入りとなった。
14年目産駒で、キングカメハメハのラストクロップ世代の一頭。薔薇一族の一頭でローズキングダムの姪にあたる。
2歳期は5戦1勝と微妙だったが、3歳期フラワーカップを勝ちキングカメハメハ産駒全14世代全てでの重賞馬樹立を達成。
続くオークスではドゥラメンテの娘スターズオンアースの前に2着だったものの、秋に紫苑ステークスを手土産に秋華賞へ挑み見事勝利。坂井瑠星騎手に初G1を捧げたが、その後は左前脚の腱周囲炎による長期離脱もあって不振が続いていた。
24年エリザベス女王杯では短期免許のクリスチャン・デムーロ騎手と初コンビで参戦してこれを勝利。秋華賞以来、2年間の低迷を晴らす復活のGⅠ2勝目を飾った。
鞍上にとっても2年ぶりの来日で22年ジェラルディーナと同じエリザベス女王杯制覇した時以来のJRAGⅠ勝利にもなった。
このエリザベス女王杯勝利で産駒JRA牝馬限定GI完全制覇、サンデーサイレンス・ディープインパクトに次ぐ史上三頭目の快挙を成し遂げた。
その後ラストランとして有馬記念に出走。勝利こそならなかったがスターズオンアースには先着している。
今、最強の項目が降臨した!
追記、修正も良し!
今、最強の項目がアニヲタWikiに舞い降りました!
- 誰が乗っても、勝てる馬だった……バルジュー以外は -- 名無しさん (2020-10-11 08:52:04)
- もしも引退せずディープインパクトと対戦していたらどっちが勝っていたかな? -- 名無しさん (2021-07-25 18:00:55)
- それは分からない。個人的にはキングカメハメハの不戦敗ということで。 -- 名無しさん (2021-09-04 19:56:17)
- 東京2000……つまり秋天のような舞台ならキンカメはディープに勝てたと思う。2400以上の舞台だと、ディープの長距離経験や春天で見せたような末脚と呼ぶにはあまりにも長いロングスパートで押し切るイメージ湧く -- 名無しさん (2021-09-10 10:31:23)
- 現役時代の担当厩務員や引退後の社台の関係者曰く「めっちゃ大人しくて絵に描いたような優等生って感じの子」だったそうな -- 名無しさん (2022-12-17 19:59:53)
- 同じ変則2冠達成したディープスカイが種馬として振るわなかったのはサンデー系飽和の宿命なのか、肌馬の質が良くなかったのか、両方?(母系が今ひとつだったとか別の理由も?) -- 名無しさん (2022-12-17 21:34:09)
- ついに馬主から許可が下りたのか、ディープインパクトと共にゼンノロブロイのストーリーで存在を示唆されたな。 -- 名無しさん (2022-12-17 22:12:17)
- 項目名に(競走馬)を付けることを提案します -- 名無しさん (2024-06-29 07:54:49)
- リーディグサイアー表見た時はディープキンカメでワンツーフィニッシュ決めてる年が何年も並び続けるのに度胆抜かれた。……そしてハーツクライやダイワメジャー辺りと3~5位にチラチラ顔出してるステイゴールド -- 名無しさん (2024-07-17 07:32:53)
- ふと思ったんだがキングカメハメハって名前付ける時にアメリカ大使館辺りに許可貰ったのかね? -- 名無しさん (2024-12-22 20:46:52)
最終更新:2025年04月07日 14:09