滝川剛/タイガーセブン

登録日:2022/01/01 Sat 00:40:54
更新日:2023/11/23 Thu 19:02:46
所要時間:約 10 分で読めます






本当に強い人というのは、正しいと信じる事を勇気を持って実行する人なんだ。
誰にどんな事を言われても、絶対に挫けない人の事を言うんだ!


滝川剛とは、特撮番組『鉄人タイガーセブン』の登場人物。演じたのは南城竜也。


【概要】

本作の主人公。有能なオートレーサーであり、数多くの記録を叩き出していた。
考古学者である滝川博士の息子であったが、父の反対を押してオートレーサーになるために家出したため、確執があった。
そして父が探検隊を率いてサハラ砂漠へムー一族の墓を探しに行く*1ことを知り、それを「馬鹿げた事」だと考えて止めるべくその後を追うが、ムー原人の一人・砂原人スナウラミによって重傷を負わされる。

しかし、滝川博士がミイラ蘇生用に持参していた「人工心臓SP」を移植されたことによって蘇生。
さらに「タイガーセブンのお守り」と呼ばれるペンダントを託されるが、その直後に探検隊はムー原人によって全滅し、
滝川博士もムー一族の幹部・ギル大使によって、自身の目の前でナイフで刺し殺されてしまう。
自身も狙われるが、父に言われたとおりにペンダントを額にかざすと、その不思議な力により辛くも脱出し、さらには鉄人「タイガーセブン」への変身能力を会得した。


父さん、貴方は僕にタイガーセブンの命を下さりました。
これからは命ある限りムー一族と戦い、父さんの仇をきっと討ちます!
どうか、見ていてください!

そして彼は、滝川研究所の生き残りである高井戸博士ら高井戸グループと合流。
ムー一族の謎を世間にさらし、父の仇を討つためにムー原人を追っていくことになるが、彼を待ち受けているのは孤独な戦いと、ムー原人の存在を世間や警察に信じてもらえないという厳しい現実であった…。


【人物】

基本的には明るい好青年。一人称は「俺」だが、稀に「僕」を使うこともある。タイガーセブン変身時は「私」。
滝川家の養子である青木ジュン&次郎の姉弟からは兄のように慕われ、それぞれ「剛兄さん」「剛兄ちゃん」と呼ばれている。
一方で高井戸博士の助手である北川史郎からは普段は仲間として扱われているものの、第2話で初めて会った際は、滝川博士に反発していたことを知っていたため「『ムー一族の墓を探すなんて、馬鹿げたことだ』と考えていました」と話す剛に激怒し、「こいつは二度*2までも自分の親父を見捨てた」と殴りかかられている。その後も辛く当たられることが度々あった。
後に第8話から石原人に殺された高校時代の後輩・池田美波の形見のスカーフを巻くようになる。謎の三連ブースター付きのスズキGT750に搭乗する。
第7話によると、寅年の生まれであるらしい。

一方で、誰かへの配慮ができていない部分もあり、第13話では次郎の様子がおかしいと言ってきたジュンの話もろくに聞かずにムー原人絡みの調査に向かった結果、次郎がガマ原人ガマツブラに襲われて気絶し、そのまま雪の寒さで熱を出してしまった際は、ジュンと北川から糾弾された他、
第17話では地震原人の起こした海底地震の影響で行方不明になった父の安否が気になって伊豆半島に向かった北川と合流し、彼の気持ちも考慮せずに周辺の調査をしようと呼びかけた結果反感を買われたりした。

さらに独断で行動してしまう事も多く、第14話ではろくろビールスの治療法を知って仲間にも告げずに単身サハラ砂漠へ行った結果、留守中の仲間から誤解されることになった他、
第23話では変身しようとオートバイからジャンプした際に乗っていたオートバイが子供を撥ねてしまうという前代未聞の大惨事を犯してしまっていた*3


【苦悩の戦い、その果てに…】


ムー原人の存在は基本的に誰にも信じてもらえず、第6話では次郎と行ったウェスタン村にてエレキ原人による電撃殺人が起きた際、犯人だと間違われて取り調べを受ける羽目になってしまう。

第15話にて、ガス原人の毒ガスで心停止になった地熱発電所建設現場の事務所の所員・佐山を助けようとするも、その治療法(詳細後述)からその妹と弟に逆に襲っているものと誤解されてしまい、
さらに北川と三平がガス原人たちの攻撃で負傷してしまった際、世間や警察にもムー原人を信じてもらえず、キチガイ扱いされる現状に不満を爆発させる北川から「お前は親父を殺されてるからムー原人と戦うのは当前」「自分と三平には何の関係もない」と八つ当たりされたことで、一時は自分がタイガーセブンになって戦う理由を見失いかけたが、「あの姉弟の疑惑を解くため、二度とこの悲劇を繰り返さないため」にも戦い続けることを選ぶ。

また、自分がタイガーセブンである事は自分だけの秘密であり、それ故に第19話では変身するために姿を消した様子を、偶然にも目撃した北川から「命が惜しくなって逃げ出した卑怯者」のレッテルを貼られてしまった事もあった。
さらに同回では剛がタイガーセブンだと偶然にも知った、ムー原人を追うルポライターの黒沢から、証拠写真*4と引き換えにムー原人に関する資料を渡すよう迫られるも、断固として拒否した。
負けを悟った黒沢は、以下の言葉を剛に投げかける。


君は、北川君に卑怯者と言われたそうだね。
自分の正体を言えないために仲間にまで罵られる。
辛いだろうなぁ…。
しかし、それが君の宿命かもしれないな。

陰の男・タイガーセブンは常に一人か…。

前述したように、第23話にて、自分が焦るあまりオートバイで子供を引いてしまった際は、「苦しみを忘れられるなら、このまま死んでも良い」と、戦闘員から無抵抗で一方的に攻撃されるほどに精神が追い詰められてしまっていた。
しかし、高井戸博士から「我々が死ぬ時は他人の苦しみを救う時だけだ」と叱責を受けたことと、かつて父が言っていた言葉を思い出したことで、自分の為でなく多くの人々の為に戦い続けることを選ぶ。

だが、その決意は続く第24話にて早速ぐらついてしまう。
移動したムー一族を追ってグランスパー長島温泉へ向かうも、父を失った孤独に耐えられなくなり伊豆半島から訪ねてきた北川の妹の美穂から「兄を返して」と頼まれ、高井戸博士にも相談するものの、
北川からは突っぱねられた挙句、「お前自身が臆病風に吹かれて、研究所を辞めたいのか?」「自分がこれ以上ムー原人と戦うのが怖くなったんだ!」「自分が本当は逃げ出したいんだ!」などと言いがかりをつけられてしまう。
これをきっかけに戦う事の意味に対する疑念を抱くようになるのだった。
以下の台詞は、自分にわがままを言ってしまったことを謝りに来た美穂に対して言った言葉である。


美穂さん。
北川さんの言った通りかもしれない…。
俺は自分が分からないんだ…。

今まで俺は、どんなに辛くても苦しくても、ムー原人と戦ってきた。
これでいいんだ、これが俺の道なんだって信じられた。

でも今は違う!!

怖くなったんじゃない!臆病になったんじゃない!

今の俺はもう信じられないんだ!!

今の自分は、自分自身が分からない―――そう苦悩しながらも、植物原人と戦いこれを倒す剛。
だが続く第25話にて、長島温泉内の喫茶店にて高井戸博士がムー一族の本拠地について話していた時…


先生。

何?

俺…分からなくなってきたんです。

何が?

俺達は一体…何のために戦うのか!

自分達は一体、何のために、誰のために戦うのか―――そんな疑念を高井戸博士に対し口にするも*5、近くで聞いていた北川からは「今さらふざけたことを言うな!」*6と一蹴されるだけだった。
やがて、そんな自分に追い打ちをかけるかのように悲劇が起こる。
マリオネット原人や黒仮面と戦っていた際、前回自分が助けたサーカス団の少女・冬子が、自分が避けた黒仮面の剣が命中して死んでしまったのだ。
さらにその冬子と心を通わせてしまったマリオネット原人が黒仮面によって殺されるのを見た事で、怒りに任せて黒仮面を倒すものの心身ともに限界を迎え、「もうこんな思いは沢山だ!」と叫び、オートバイに乗って戦いから逃げ出してしまうのだった。


どこへ行くんだ剛!?
戻れ!高井戸グループに戻るんだ!!


嫌だ!俺の道を行かしてくれ!

嫌だッ!!

【戦いから逃げ出した孤独な虎の結末】


+ 最終回のネタバレ注意

許してください先生。
自分勝手なことは分かっています。
でも、何のために誰のために戦うのか分からなくなった今の僕には、
もう隊員としての資格はありません。

先生、貴方はもうお分かりになったでしょう。
その通りです。俺はもうこれ以上、宿命を背負って生きるのには耐えられないんです。

俺はオートレーサーに戻ります。
俺は父の影からもムー原人からも解放され自由となるために、サーキットを突っ走りたいんです。
それが今の俺に残されたただ一つの道なんです。

高井戸先生、北川さん、三平、そしてジュン、次郎、さようなら。

続く最終回では、父の影からもムー原人からも解放され自由となるために元のオートレーサーに戻り、自身のことが好きだったと告白するジュンの涙ながらの説得にも応えなかった。
サーキットにムー帝国最後の原人・水牛原人が現れてもなお、タイガーセブンに変身しようともせずに逃げ回った。


俺はもう貴様達とは戦いたくないんだ!


そんな中、剛が抜けたことを受けて研究所を閉鎖し、高井戸グループをも解散した高井戸博士が、ムー大帝の脳を取り込んでパワーアップしたギル太子に単身挑んで惨殺されてしまう。
高井戸博士の死は剛が遠因であったため、北川からは(高井戸博士は)お前が殺したも同じなんだ!」と糾弾され、一方的に殴られまくった末に突き飛ばされてしまった。

そして川辺にて、北川に殴られた個所を冷やしていると、ジュンから高井戸博士が遺したテープを渡される。それを長島温泉のホテルの一室で聞いてみると…


剛君、君は今人工心臓の力で生きているのだ。
そして私は君の命の残り少ないことを知っていた。

だから自由になりたい、解放されたいと言って、
望み通りレーサーに戻った君を私は責められなかった。

しかし君は自分自身から逃げるためにサーキットを選んだ。
違うかね剛君?

君の人工心臓は2日とは持つまい。
滝川博士が息子の君に望んでいたのは決して今の君の姿ではない。

剛君、残り少ない命を自分の思い通り生きるんだ。
しかしどんなことがあっても自分から逃げてはいけない。
悩み苦しみ、それが生きている人間の姿だ。

思い通り生きるんだ、剛君。

しかし、逃げようとはするな。

…そう記録されていた。
このテープで自身の人工心臓SPの寿命があと二日であることを知らされ、「思い通り生きろ、しかし逃げようとはするな」と告げられると、もう一度戦うことを決意する。


残された命ある限り、俺は戦う!父さん、高井戸博士!


水牛原人やギル太子と最後の戦いに挑み、辛くも勝利したのだった。

戦いを終えた剛は、仲間たちの前で正体を明かした。
北川はタイガーセブンが剛だったことを知って驚きつつも「どうして俺たちにまで隠したんだ?」と首を傾げる。
剛は何も答えず、ただ怒りの眼差しで北川を見つめていた。

そして…


ジュン、俺は君の愛にまで背を向けて去って行かなければならない。
野生のゾウが自分の死に場所を探すように。

剛さん…

さよなら、ジュン…

ジュンを見つめながらそう心中でつぶやくと一礼し、走り出す。
やがて彼はオートバイに乗って*7何処かへと去っていったが、それからどうなったのかは誰も知らない……



タイガーセブン



タイガー・スパーク!


古代エジプトに伝わる正義の鉄人。「タイガー・スパーク!」のかけ声とともに剛が変身する。ペンダントを無くすと変身できなくなる。
白い稲妻の衣装が胸に刻まれた青いコスチュームを着用し、名前の通り虎の顔をしている。
セブンの由来については、額、眼、耳、牙、爪、手、足の7箇所にそれぞれ超能力を持っていることに起因するらしい。

アイテム・戦力


  • ファイトグローブ
黄色い稲妻の意匠がある黒いグローブ。右腕に装着することで、パワーが2倍になる。主に必殺技を放つ際に使用する。

  • スパーク号
第6話から登場*8。タイガーセブンが搭乗するオートバイ。カウルは鳥の頭を模している。
空を飛べるほか、念力操作で遠隔操縦することも可能。最高時速500キロ。
オートレーダーがセットしてあり、タイガーセブンの目が見えなくても自動的に敵を追撃することが可能。
さらにサハラ砂漠から東京へひとっ飛びすることも可能。
本編での出所は不明だが、テレビマガジンデラックス「スーパーヒーローベスト100超百科」によれば、滝川博士製らしい。

主な必殺技


多数あるので、主に複数回使用した技を記載する。

  • タイガーカッター
ファイトグローブを装着し、手刀で切り裂く。
グローブ自体を発射する「タイガーグローブカッター」*9、すれ違いざまに切り裂く「タイガークロスカッター」というバリエーションもある。

  • タイガーヘッドビーム
額のタイガーポイントに太陽光を溜め、それを光線にして発射する。連射も可能だが、太陽が隠れると使用できないという欠点があり、第20話の鼠原人戦ではそれで窮地に陥った。

  • タイガーホーク
ファイトグローブを装着し、手刀貫手突きで貫く。第14話ではファイトグローブ無しで使用している。

  • タイガーエネルギー
タイガーセブンの牙を通して一定の時間に相手に注入されるエネルギー。
心停止になった者の首筋に噛みつき、そのエネルギーで心臓を刺激することで蘇生させる。
しかし、噛みついている都合上、事情を知らない者からすれば逆に襲っているようにしか見えず、
前述したように、作中ではガス原人のガスにやられて瀕死になった佐山に使用するも、逆に兄を襲っているものと誤解したその妹と弟*10に妨害され、蘇生に失敗してしまう。
次の回では兄同様に瀕死の重体となった弟に使用したことで誤解を解くことができた。


【余談】





俺…分からなくなってきたんです。俺達は一体…何のために追記修正するのか!



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最終更新:2023年11月23日 19:02

*1 新聞には、『キチガイ博士、砂漠に蜃気楼を追う』と書かれていた模様。

*2 オートレーサーになるために家出した事と、父親を殺されるのを見ながら自分だけは逃げた事

*3 一応第5話でも、パトロール中に謎の少女・亜矢子(実はへび原人の人間態)を轢いてしまったことはあった。

*4 流星原人と戦うタイガーセブンを撮影したつもりだったが、現像した写真には剛と無数のヒトデしか映っていなかった。

*5 そして皮肉にもこれが、剛が生前の高井戸博士と交わした最後の言葉となってしまう。

*6 皮肉にも第15話で、戦いに嫌気がさした北川に「今さらそんなこと言ったって…!」と言った事への逆のパターンとなった。

*7 しかもこのシーンではなぜかヘルメットを被っていなかった。

*8 第2話では普通のオートバイに乗っていた。

*9 ただし、第9話で使った際はこの技も「タイガーカッター」と呼ばれた

*10 働いている兄の元へ弁当を届けに来たが、仕事場についた際にその様子を目の当たりにしてしまった。