ふしぎ電車

登録日:2022/03/28 (月曜日) 07:45:00
更新日:2024/12/15 Sun 16:05:40
所要時間:所要時間?それはオマエが決めればいい (約25分で読めます)




~夢ト現(ウツツ)ト幻ヲ、濡レタ車輪ガ、ガタゴト運ブ。
無限ニ続ク欲望ヲ適エテミセマス、ミセマセウ~


ふしぎ電車 とは2003年3月28日に発売されたWindows98~XP対応のアダルトゲームである。
発売はドリームキャストやプレステ2にも移植された「不確定世界の探偵紳士」(Windows版の)と同じデジアニメ・コーポレイション
ホームページやパッケージの側面には無限ループ アドベンチャー ゲエムと書かれている。


パッケージの表面はシャボン玉を吹いている少女車掌の立ち絵、裏面はエロゲーらしくゲーム中のエッチなイベントCGの数々が掲載され冒頭の一文が書かれているがゲームのストーリー紹介のようなものは一切書かれていない。
表面の雰囲気から「きっと電車に乗って可愛らしい車掌さんとともに不思議な世界を旅しながらエッチなことが起こるんだろうな~」とか期待した人もいたかもしれないが、実際は終ノ空や、さよならを教えてジサツのための101の方法 などの電波ゲーの有名作品に負けず劣らずな電波っぷりが特徴的な怪作だったりする。

シナリオはさよならを教えてのシナリオや原画を手掛けた長岡建蔵氏。この時点で「あっ……」と察した人も少なからずいたのかも?


●起きてあらすじを書きに行かないと…あらすじ…? あらすじって…何だっけな?

混乱する記憶。主人公であるあなたは、ベッドでないところで寝ているのに気づく。
「そう言えば、昨夜は酷く飲んで、酔っぱらってしまったような気がするな… 起きよう… 起きて会社に行かないと…会社…? 会社って何だっけな?」
そして、おもむろに目を開くと、そこには見知らぬ町の風景が広がっている。ベッドもなく、玄関先でもなく、路上で寝ていたのだ。

「飲み過ぎたとはいえ… こんな事、初めてだな… いや、前にもあったような気がするな…。 しかし、どうにも思い出せない。ここは、どこだ?
狭い通りに、単線の路面電車が曳かれている。見たこともない町だが、妙に懐かしい匂いのする町だ。」

ただ懐かしだけではなく、前にも何度か来たことがあるようなそんな気持ちにさせるふしぎな町。
何かを思い出そうとしても思い出せず、あなたはやがて聞いたこともない地名が記された路面電車の停留所を見付ける。
この見知らぬ町からどうやって会社に行けばいいのか? 再び周囲を見れば、奇妙なことに気付く。

この町には、誰も居ないのだ。

時計を見れば、出社時間だ。慌てたあなたのもとに、古めかしい電車がやってくる。
行き先は、これまた見知らぬ町。会社のある町は? 家のある町は? 何も思い出せないまま、あなたは電車に乗ることにする。

「お客さん、どちらまで?この路線は、この電車だけ。一日一本の片道運行だ。どうする? 乗る? 最終電車だぞ。」

迎えたのは、ぶっきらぼうな口調で淡々と話す少女車掌。何処へ行ったらいいかも判らないまま、行き先を決めていないなら、と意を決したあなたは、電車に乗り込んだ。

電車には、酔っぱらった水商売風の女が乗っていた。乗客は、その女と俺のふたりだけだ。
「あたしの名前は、コナツ。あんた、何て言うの?」
「あれ…? 俺の名前は、何だっけ?」
飲みすぎたとはいえ、自分の名前を忘れてしまうなんて…!!
「名前、忘れちゃったんだあ? ま、良くあることよねえ。でも、名前がないと不便よねぇ。そうだ、私があんたの名前をつけてあげるよ。」

奇妙な町を走るふしぎな電車に乗り込んだあなた。そこで出会う、ことごとくふしぎな人間たち。
そこで展開される物語とは・・・?

※ホームページのSTORYより

●見ての通りのゲーム概要(ゲームの概要)

泥酔し気がついたら見知らぬ町で目を覚ましそれまでの記憶を無くした主人公は宛もないため路面電車に乗り込むことに。
会社に電話を掛けるために様々な町を訪れては、母親のUFOを無断で操縦したために勘当され道端で首輪に繋がれていた女子校生と出会ったり、投獄されたと思ったら牢屋の中で出会ったゲリラの女戦士と協力して脱獄したり、
頭痛を治すために頭をキノコ頭に変える手術をしたと思ったらピエロの女の子とともに主人公の下半身に備わった筆を使って青空というキャンバスにお花や虹を描いたり
……そんな不思議で不条理な体験をしながら公衆電話を探す、そんなゲーム。
何を言っているのかわからないって?うん、でも大体こんな感じのゲーム。

ゲーム自体はオーソドックスなテキストアドベンチャーゲーム。選択肢は全て2択となっている。
路面電車に乗って様々な町を訪れるという内容のため主なイベントは停留所を降りた先の町の中で起こる。

始発駅と終着駅を除くと5つの停留所と町が存在する。
電波な住人が多くUFOを信仰している不条理の町、紛争の続く戦争の町、甘くねっとりした空気の充満する花畑の中にあるサイケデリックの町……と、各町は特徴がそれぞれ異なりその町の特徴にあった一癖も二癖もある住人たちと出会うことになる。

各停留所に着くたびに降りるか電車の中で過ごすかを聞かれる。
前者を選ぶと電車の発車時間まで町の中を探索することになる。会社に電話を掛けるためにまずは公衆電話を探すことになるのだがどういうわけか見当たらず探しているうちに前述のような不条理な展開に巻き込まれることに。

散々な目に合うことも多いがうまく事を運べば出会ったヒロインたちとエッチな展開になることも。が、その内容もどこかぶっ飛んだ物も多い。
どの町でもしばらく話を進めると電車の発車時刻が近くなったと告げられる。すると主人公はその町での記憶を全て失い電車に戻る。そして電車が再び動き出し次の停留所へと向かっていく。

停留所で降りなかった場合は発車時刻まで車内で過ごすことになる。この場合も2択の選択肢があるがどちらを選んでもコナツや少女車掌、あるいは他に乗客がいる場合はその乗客とのエッチシーンとなる。
いずれも終わったあとは再び電車は動き出し次の停留所へと向かっていく。この繰り返しでゲームは進んでいく。

終点にたどり着いた主人公は路面電車から降り帰宅するために電車の駅を探すことになる。
すぐに駅は見つかるが無情にも最終電車が出たあと。仕方なく主人公は近くにあった酒場で翌朝の始発を待つことになる。お酒を飲むうちに気持ちよくなりそのまま寝入ってしまうが……









……目を覚ますとそこは見知らぬ町。初めて訪れたはずなのに何度も訪れたことがあるような?何かを思い出そうとしても思い出せない。目の前には聞いたことも無い名前の路面電車の停留所。そしてそんな主人公の前に路面電車がやってきて……

少女車掌「お客さん、どちらまで?」

主人公はそれまでの記憶を失い、目が覚めると最初の停留所へと戻っていたのだった。
最後の停留所で降りてもそこでゲームは終わらずスタート地点である最初の停留所に戻り再び始まる……という流れになっておりキャッチコピーの無限ループもそんなゲームを表したものになっている。

主人公はループ前の記憶を失っており先ほどと全く同じように物語は進んでいくのだけど中には2周目以降など特定の条件を満たすと分岐するイベントも多く存在する。
ループを重ね多くの選択を試すことで出会ったヒロインたちともより親密な関係を築けるようにもなっていく。

エンディングは1種類のみ。ループを重ねながら特定の条件を満たすと迎えることができる。バッドエンドなども無い。
ふしぎな電車に揺られながら様々な町を訪れ不条理な目に会いながら多くの人と出会い別れる……そんな旅の終わりに主人公が見たものは?


●お客さん、どちらまで?(各停留所と町の紹介)



夢無止(むなどまり)

主人公が目を覚ました町。昭和レトロな商店街を思わせる町並みで電柱や建物にはアザヒビールやキ乳石鹸などの看板がかかっている。どういうわけか人っ子一人おらず、仕方なく主人公はやってきた路面電車に乗ることに。

◆路面電車

町ではないが一緒に紹介。古めかしい電車で車体は紫色。車体正面には"さゆり"と書かれている。
少女車掌以外に乗務員の姿はない。彼女が言うには「サイコ波動方式のフルオートマティック車両」とのこと。

神屋崎
~不条理の町~

最初の停留所のある町。年代物の木造家屋が立ち並びその背後にはスペースシャトルや太陽の塔など近未来的(?)な建物がひしめくようにそびえているどこかちぐはぐとした雰囲気の町。
町の雰囲気通り住人もどこかちぐはぐとした掴みどころのない人が目立つ。町の奥には聖なる山がありそこにすむUFO「パラジリヤ様」を信仰している。

人見谷(ひとみだに)
~戦争の町~

2つ目の停留所のある石やレンガ造りの建物が並び火薬と硝煙の匂いが漂う物騒な雰囲気の町。軍事独裁政治で町を支配している町長率いる町民軍とそれに対抗するゲリラ組織革命軍との間で戦争が起こっている。
治安は悪くメインストリートには麻薬の売人や売春窟の勧誘の姿も。
町民軍はいい加減な取締をしてはゲリラの疑いのある逮捕者を死刑や強制収容所送りにしていたりと腐敗しきっており革命軍の総攻撃が近づいている。

幻言原(げんごんばら)
~サイケデリックの町~

3つ目の停留所のある毒々しいまでに鮮やかな花々が咲き乱れる花畑に囲まれた町。花畑の中には肉屋や病院があり、ピエロの少女が空に絵を描こうとしている。文字通りサイケデリックな雰囲気の町で神屋崎と並んで今作の電波っぷりが現れている町かも。

井無部(いなしべ)
~SMの町~

4つ目の停留所のある町。とりたてて変わった様子もないがどこか禍々しい雰囲気と妖しい誘惑を感じる町。それもそのはず住人は皆SMが好き。
停留所の前には女王への謁見を待つ男の行列が出来ているが1日に1人しか会うことができず、50音順で呼ばれる上あとから並んでも読み方が先なら優先されるため後ろの方の名前の男に至っては1年も並んでいることも。
それって相川とか相沢という名前なら他の人を差し置いて毎日謁見が出来てしまうような……

想ヶ浜(おもいがはま)
~思い出の町~

5つ目の停留所のある海辺の片田舎という雰囲気の町。主人公の思い出の中の町で学生時代を過ごした故郷が当時のままに広がっている。
仲の良かった悪友、口うるさい母親、密かに思いを寄せていた幼馴染の少女といった主人公の思い出の中の人たちと出会う。懐かしい思い出。忘れかけていた思い出。それを思い出した主人公の取った行動とは……?


現康町(げんこうちょう)

終点。現康町駅前公園という公園が広がっており近くには現康町駅という駅と小さな酒場がある。ここから電車に乗れば自宅へ帰れるはずだが?
酒場は明るくなるまで開いており終電を逃した人にとっては時間を潰せるありがたい場所。いろいろなお酒を多く揃えており最近手に入ったのはロシアの珍しいお酒だとか。

●でも、私は、知っている。オマエが出会う人たちの名前も知っている(登場人物紹介)

路面電車の車掌と乗客

最初から路面電車に乗っていた車掌と乗客。展開次第では主人公と彼女たち以外は誰も乗ってこないため終点までの長い時間を共に過ごすことになる。
条件次第でエッチなイベントも起こる。

少女車掌 CV:神埼ちひろ

年齢:不詳 職業:車掌
「全ての夢が適った時、人間は死ぬのだ。存在する意義を失って死ぬのだ」

主人公の元へやってきた古めかしい路面電車に乗っていた車掌。名前は不明で自ら少女車掌と名乗る。車掌なだけあり乗車券の販売、次の停留所のアナウンスなどを行っている。
薄い紫色の髪をお団子と細いツインテールのようにしている。

電車の走行中に主人公に様々な話題を振ってくるが幼く見える見た目とは裏腹に哲学的な内容も多い。
主人公の妻の名前を知っている、私の夫は浮気をしている……などのセリフの意味するところは?
落ち着いた口調で淡々と職務をこなすが時折主人公にジョークを言ってみせたりする姿も。
また、声のトーンが終点に近づくごとに低くなっていく。

ヒロインたちの中でも特に小柄。主人公によると中○生くらいにしか見えないとか。
でも、エッチシーンはしっかりあるよ。このゲームの登場人物はみんな18歳以上だし夢とも現ともわからない不思議な世界だから問題なしw


コナツ CV:三島由紀

年齢:不詳 職業:キャバクラ嬢
「あはは、何、おもしろいこと言ってんの?
 名前になんて、意味あるはずないじゃない」

主人公が乗り込んだ路面電車に乗っていた唯一の乗客。ネグリジェのようなシースルーの肌着と下着だけを身に付けた水商売風の女性。常にタバコをくわえている。気だるそうな表情をしており電車内でも寝ているかぼーっと窓の外を眺めている。
名前を思い出せない主人公に対し吉田周一という名前をつける。本人曰く名前なんて人を区別する記号でしか無いとのこと。
主人公を誘惑しているようなところがあり各停留所で降りなかった場合は車内でエッチな行為に及ぶことに。




今作の主人公。妻帯者のサラリーマン。前日酷く酔っぱらい目が覚めたら見知らぬ町の路上にいた。
名前が思い出せず吉田周一、山田、相田政夫、高橋 など出会った人に名付けられた名前をとりあえず名乗っていく。30代くらいでオジサマと呼ばれることもしばしば。
一人称がコロコロ変わったり、急に弱気になったり激昂したりと性格もどこか安定していない。
また、その場の流れや勢いで変態や強○魔、サディストな処刑人、IQ300の真理の探求者 などどんな役割にでもなりきってしまう。

何故か自分のことを知っている様子の少女車掌を始めヒロインたちと接していくうちに断片的に自分の姿を思い出していく。
自分は優秀な営業マンで趣味はジャズとドライブ。女の子好みの最新レストランやちょっと渋いバーなんかにも詳しい、そんな男のはずだと思っていたはずだが……?


各町で出会うヒロイン

各停留所で下車した場合に出会うヒロイン。女子校生、ゲリラの女戦士、SMの女王様……など様々だが電波で不条理なストーリーなのもあってかアクの強いキャラもちらほら。
選択肢によって全く異なる出会い方をすることも。彼女たちにとって幸せといえるような展開になることもあればそうでない結末になることも……。

各町で出会わなかった場合は1つ先の停留所でコナツと入れ替わりに乗車し2つ先の停留所で下車していく。路面電車で出会った場合もエッチなイベントが起こる。

チヒロ CV:紫苑みやび

年齢:18歳 職業:女子学生
「もちろん、そうです。私、乗りたかったんです。お母様の買った、新型UFO、ギガスター924」

神屋崎で出会った女子校生。ジャンパースカートの制服(?)を着ている。主人公を警戒する様子はなくオジサマと呼んで親しく接してくる。
母親のUFOを無断で操縦してしまい勘当され電柱に首輪で繋がれていた。主人公はチヒロの首輪を外すために彼女の母親に会いに行くが……?
主人公は彼女を助けるために変態あるいは強○魔になることに。町の住人同様パラジリヤ様を信仰しており彼女が願うことで演技でもなんでもなく主人公は本物の変態や強○魔になってしまう。

仲を深めれば一緒にニューヨークしたり結婚を申し込んだり、目の前でう……をしてもらうこともできる。
少女車掌を除くとヒロインの中でも胸が小さめで本人も気にしている。

神屋崎で出会わなかった場合は人見谷で乗車し幻言原で下車する。戦争の続く町に普通の女子校生がいるのはなかなかシュール。



チエ CV:伊藤瞳子

年齢:21歳 職業:女ゲリラ
「笑うのはいいことだ。心の底から笑っていると、暖かい気持ちになる」

人見谷で出会った革命軍の女戦士。革命軍第一ゲリラ部隊所属で名前は偉大な革命家のチエ・ゲバラからもらったとのこと。一人称は俺で主人公を同士と呼ぶ。
後述の彼氏の名前と合わせて元ネタはキューバ革命の指導者チェ・ゲバラだろう。
ベレー帽を被り上はノースリーブの黒いシャツのみと軽装。結構な巨乳で肌着を着ていないのか乳首が浮き出ている。
町民軍に捕まっており同じく捕まった主人公に脱獄を持ちかける。一緒に逃げ出しゲリラとなってチエと共に町民軍に抵抗するも、彼女を信じず町民軍につくも主人公次第。


人見谷で出会わなかった場合は幻言原で乗車し井無部で下車する。町民軍を撃破しても自分に笑いは戻らないと悟ったように話すチエ。はっぴ~☆な住人ばかりの町で何を思ったのだろうか……?



ナミダ CV:金光由花

年齢:19歳 職業:ピエロ
「じゃあ、オジサマでいいよね。それとも、オオジサマがいいかしらぁ?」

幻言原の花畑の中で出会った少女。星の描かれた赤いシャツとタイトスカートという外見だがサーカスのピエロなのだとか。
花畑で空に絵を描こうとやってきたところを主人公と出会う。科学を信じておらず神様が空に雲や星を描いたように自分も空に絵を描けると信じている。そして実際にハートやさくらんぼを描いてしまう。
サイケデリックな町ということもあり電波な展開だが、子供のように純粋な気持ちで不思議なものを追い求める姿に主人公も遠い昔においてきた大切な気持ちを思い出していた。

エッチなことに対しても抵抗感が無いのか主人公にエッチな要求をされても行為自体を嫌がる様子はない。
幻言原で出会わなかった場合は井無部で乗車し想ヶ浜で下車する。



ジュン CV:紫苑みやび

年齢:19歳 職業:フリーター
「多分、アナタは、忘れたいことが多いのよ。ヤなこと全部忘れたら、思い出すかもよ?」

井無部にある館に執事とともに住んでいる女王。女王は女王でもボンデージファッションのSMの女王様。1日1回謁見を望む男を館に招き入れSMプレイをしている。
謁見を望む男たちに対しては非常に強気なサド。主人公に対しても様々な罵倒を行う。
その罵倒はただの悪口なのか、それとも主人公の忘れていた自分自身の醜い内面を示しているのか……?

井無部で出会わなかった場合は想ヶ浜で乗車し終点現康町で下車する。
主人公が何も覚えていないことに対し「忘れたいことが多い」「ヤなこと全部忘れたら思い出すかもよ?」と答える。
歯に衣着せぬ物言いで主人公を罵倒し隠していた自分の惨めな部分を思い起こさせた毒舌女王様が主人公の想い出の町から乗車するのがどこか印象的かも。



モモコ CV:カンザキカナリ


年齢:18歳 職業:女子学生
「うふふふ、じゃあ、私をその…昔、好きだった女の子だと思って、楽しんで下さい」

想ヶ浜の浜辺にいたセーラー服を着た少女。ピンク色の髪をポニーテールにし結び目に黄色いリボンをつけている。主人公の学生時代のクラスメートで幼馴染だった。主人公の悪友曰く「学校一の美少女」
主人公は好意を抱いていたのだが学生時代は疎遠になっていた。
想ヶ浜で出会わなかった場合は、現康町で電車を降りたあと公園内で出会う。




各町で出会う住人たち

ヒロイン以外のキャラはRPGのモブキャラクターのように3種類のキャラグラフィックが使い回されている。
一見手抜きのようだが特徴的な外観も相まって不思議さ電波さが現れている。
以下、名称は仮称。

黒子姿の男
黒子のような格好をした男性。どの町でも最初に出会う第一町人として登場する。全体的に主人公に対しては親しげ。



狐のお面の女

狐のお面を被った着物姿の女性。ねじ式を彷彿するところも。ヒロインの母親、老婆、女医と様々だが全体的に年齢は高めで主人公に対しても強気なキャラが多い。



鞄の男

旧日本兵のような軍服を着た男性だがなぜか頭が鞄になっている。警官、軍人など身体的にも精神的にも屈強なキャラが多い。
ヘッドロックをかけられて気絶させられているあたり一応人間らしい。



その他の登場人物

パラジリヤ様

神屋崎の町の人が信仰するUFO。チヒロの母曰く「遥か、アンドロメダの彼方からやって来て、山の頂に住む、尊き、我らが指導者」。いかにもテンプレ的な円盤型のUFOの見た目をしている。
「心と心でセックスすることが大切でその契りを結んだもの同士が結婚できる」という教えで結婚を望む男女に魂と魂で交わることを結婚の儀式としている。

主人公の妻

少女車掌に言われて思い出した主人公の妻。名前は思い出せないが80%の確率でサユリ、15%の可能性でユミコ、5%の可能性でサロメとのこと。
なぜ初めて出会ったはずの彼女が主人公の妻の名前を知っているのだろうか?また、彼女の乗る路面電車の車体の正面には「さゆり」と書かれているようだが?



●このゲームの評価なんて、元々、人が勝手に決めたものだ。
オマエが決めるのに、不都合はない(このゲームの魅力や気になる点など)

惹かれる人には惹かれるストーリーやテキスト

電波なストーリー通り、訪れる町はそれぞれ特徴が異なり方向性こそ異なるが不条理な出来事が次々と起こる。
その方向性も異なるため次はどんな出来事が起こるのかと楽しみになってくる部分も。
不条理で理解の及ばないセリフや展開も多いが少女車掌の禅問答のようなやりとりをはじめ、 どこか哲学的だったり胸を締め付けるようなセリフが光る。

夢の中にいるような雰囲気がよくでている

路面電車内など一部を除いて背景は写真を取り込み絵の具で塗ったみたいにぼけたような描かれ方がされている。
木造の家屋とスペースシャトルが一緒に写るちぐはぐとした雰囲気の神屋崎、薄くモヤがかかり空も波打つように歪んでいる幻言原、上下逆さまに描写されている(でもキャラは普通に立っている)想ヶ浜の主人公の教室 などなど見ていてどこか不安になるような背景だが電波なストーリーや夢の中にいるような不思議な雰囲気によく合っている。

町中を探索するような展開もないためもありシナリオの展開が早めで場面が切り替わるとすぐに次のイベントが始まる。
そこに向かうまでの間の描写などはかなり薄いが、逆に見ている間は動画のように流れているようでも目覚めると印象に残るところだけ断片的に覚えているだけという夢のような雰囲気が表れている。
紐を引いたら月夜になったり、各町の滞在時間も1時間から1時間半のはずなのに明らかにそれよりも長くなっているように見えたり、時間の流れが曖昧なのも印象的。

ゲーム中は背景を中心に既存の画像などを加工あるいは似せたりしたと思われ、何処かで見たことがあるようなものも結構映る。
神屋崎の太陽の塔、幻言原のボウルを逆さまにしたようなような形状の民家、主人公の自室に飾られているモズラなどの古い映画のポスターが特に顕著。
ネタ元ほぼそのままなので悪く取るとやや安直、手抜きだが自分の見たものが次々と脳裏をよぎる夢の中ようなゲームの雰囲気に合っている。

雰囲気を盛り上げるBGM

数は少ないがBGMは各シーンの雰囲気を盛り上げてくれる。
ゲームを起動するとシャボン玉を吹く少女車掌の描かれたタイトル画面が表示されるがチンドンでよく演奏される竹に雀をイメージした「竹と雀」がBGMとして流れる。
エロゲのタイトル画面とは思えないような曲でゲーム開始直後からどこか怪しげな雰囲気が伝わってくる。
ゲーム中各町を訪れた際にはアレンジバージョンがBGMに使われるがアップテンポなアレンジが印象的で「この町ではどんな出来事が待ち受けているのか?」と盛り上げてくれる。

主にエッチシーンでかかることの多い白銀の月は切なくも何処か美しく、主にヒロインと結ばれたときに流れるが逆にかなりのグロ要素のあるシーンでも流れる。
不釣り合いに思えるが逆に不条理さや切なさやるせなさが強くでてるところも。

不条理なゲームにあったぶっ飛んだエッチシーン

エッチの内容はヒロインと仲を深める純愛っぽいもの以外にも様々な内容があるが、夢の中のような不思議で不条理なストーリーなだけありぶっ飛んだ内容が多い。


人を選ぶ内容

不条理や電波な面が強くでており、理解できない及ばないような展開が多い。メインではないもののグロ要素もちょこちょこあり。
また、井無部のジュンの罵倒、想ヶ浜で分かる主人公の過去などは耐性の無い人にはきついかもしれない。
エッチもス○ルフ○ック、スカトロ、ハードSM など好みの分かれる内容も多い。

★作業感が強い

ループゲーということもあり同じような内容を2周、3周と続けることになる。2周目以降選べる選択肢や起こるイベントもあるが数は多くもなく、展開そのものは大きく変わらない。
また、エンディングの条件を満たすと終点の後にループせず必ずエンディングへと進んでしまう。
その場合終点でセーブしてしまうと見ていないイベントを見るために途中の町で他の選択肢を試したりすることが出来ず他にデータがなければ最初からやり直す必要があるのがおまけモードのCGを集めたりする際にやや不便なところも。



●お客さん。次は終点だ。最後に、少しばかり話でもしないか? (余談など)


  • 発売時はループものの人気が下火になりつつあったことや、他の電波ゲーの影に隠れがちなところもありあまり目立たない一作で1000~2000円前後位の中古価格で売られていた。
    ただ元々品数が少なめなのと2010年代中盤くらいからその独特の雰囲気に惹かれたユーザーのネットでの紹介記事や紹介動画なんかも見られるようになった影響もあってか、2022年現在では中古価格が2、3万超えとプレミア価格になっていることも多い。
    ダウンロード販売もされており現在も購入可能なので現在プレイするのならダウンロード版のほうがおすすめ。

    安価だった中古価格がいきなり跳ね上がるのはさよならを教えてに近い。
    ただダウンロード版発売で中古価格が落ち着いた(それでも十分プレミア価格だけど)さよならを教えてと違って、ダウンロード版発売が早かった割に後年中古価格が上がったという違いがある。

◆ゲーム中の背景を始めグラフィック関連
  • 前述のようにゲーム中の背景などのCGは既存の画像を加工あるいは参照にしたようなものが多い。主人公が乗り込む路面電車は阪堺電気軌道の161形電車にそっくり。
    運行当時の茶色い塗装であるモ166が特に似ている。車体の色をそのまま紫色に置き換えた感じ。
    ただ車体の上部、行き先案内と同じ高さに白いラインが引かれており、緑色の車体に白いラインの入ったモ172の標準塗装車を思わせる。ワンマンカーのプレートが掛かっているあたりにさゆりと書かれている。

  • 想ヶ浜の主人公の自室には「…いハシカチ」「モズラ」など何処かで見たような映画のポスターが貼られている。後者は言わずもがなだが、前者は石原裕次郎主演の映画赤いハンカチと思われる。
    こちらもネタ元のポスターほぼそのままだったりする。モズラの赤いロゴの横には小美人の姿も。
    自室に古いポスターがあるのがいかにも過去の思い出という雰囲気が出ている。
    ただ、ネタ元の赤いハンカチは1963年、モスラは1961年公開である。主人公は一応30代のようだがモスラはゲーム発売当時でも公開は40年以上も前だったりする。一体いくつだよ主人公……。

  • 終点で路面電車を降りて見つかった現康町駅もどこかレトロなデザインの駅舎が特徴的。主人公によるとJ○の駅らしい。
    エンディングではここから電車に乗って家路につくことになるのでレトロな見た目の路面電車を始めループの中=過去、ループの外=現実、現在 …という対比になっておりループの出口にふさわしい見た目なのかもしれない。

    現康町駅も見た目は2001年に廃線となった名鉄揖斐線の本揖斐駅にそっくり。
    2005年に駅舎が解体されてしまったが、レトロな三角屋根の駅舎入口や脇にあるポストも往年の本揖斐駅と同じ。ウィキペデアの本揖斐駅のページを見ると一目瞭然。
    現康町の駅名看板には名鉄の駅舎にかかっている駅名看板と同じく駅名の上に水色のラインが描かれておりこれも本揖斐駅と同じ。
    名鉄に乗ったことのあるプレイヤーは「これ名鉄?」と感じた人もいたかもしれない。
    また、「路面電車の終点の近く」、「公園が近い」、「レトロな駅舎」などの点では阪堺電気軌道の浜寺駅前の近くにある南海本線の浜寺公園駅を彷彿するところも。


追記修正は路面電車に乗って不思議な町をめぐりながらお願いします

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最終更新:2024年12月15日 16:05