星のカービィ 天駆ける船と虚言の魔術師

登録日:2022/05/24 Tue 23:17:10
更新日:2025/07/18 Fri 17:32:46
所要時間:約 15 分で読めます






すべてのカービィファンに贈る、絶対的名作『星のカービィ Wii』小説!



星のカービィ 天駆ける船と虚言の魔術師』とは、2022年4月27日にKADOKAWAから出版された小説単行本。
作:高瀬美恵
絵:苅野タウ・ぽと(※姉妹イラストレーター)
定価:1200円



概要

星のカービィシリーズのメディアミックスであるノベライズ作品により、すっかりカービィ界で名を馳せた高瀬美恵&苅野タウ・ぽとチームが贈る、カービィ30周年記念も兼ねた『星のカービィWii』のノベライズ。
従来のつばさ文庫のシリーズとは別枠扱いで、それらに比べて本のサイズは大きく漢字も多い。
巻末には、原作のゲーム開発にてディレクターを務めている熊崎信也によるコメントも収録。

キャラ付け自体はつばさカービィに近いものの、つばさの時系列では『Wii』に当たる時点では戦えないはずのワドルディがヤリを持っているなど、本作独自の世界と見るのが妥当。

全体的に原作にかなり忠実である一方で、miiverse*1などその後の展開を踏まえた内容はほぼなく、本当に『星のカービィ Wii』をノベライズした作品となっている。そのため、『WiiDX』で新判明した設定とは食い違う部分もある。

巻末にはゼネラルディレクターの熊崎信也による解説と、作者の高瀬美恵、挿絵担当の苅野タウ・ぽとによるコメントが掲載されている。
前者では本作の感想や『Wii』開発当時の思い出、さらには各種メディア展開に関連する話や、原作のあるつばさ文庫の作品にHAL研究所がどう関わっているかなどを語る。


あらすじ

あくびが出るほど平和な、プププランドの昼下がり。
ショートケーキを持って仲良くピクニックをしようとしていたカービィ、デデデ大王、バンダナワドルディそしてメタナイトの目の前で、晴れた青い空を切り裂いて、突如、巨大な船が落ちてきた。
ふしぎな光につつまれた、その船の名は――ローア。
すでに滅びた超古代文明ハルカンドラが生み出した、奇跡の船。
カービィたちは、船の持ち主だという旅人マホロアに助けを求められ、墜落とともに失われてしまった、船のパーツを探すことになった。
遺跡や海の底に雪の中…そして異空間をかけめぐる、大冒険が始まる!

(裏表紙より引用)


登場人物

これ以降は一部ストーリーの核心に触れる記述があるので注意。


メインキャラ



食いしん坊で元気いっぱい。
吸い込んだ相手の能力をコピーして使える。

「よーし、競争しようよ! ぼくが一番たくさん、歯車を集めるぞ!」

お馴染みのピンクだま。普段のつばさ文庫本のカービィと大差はなく、レーズンルインズという地名を聞いて食べ物の話に脱線したり、ハルカンドラに行きたい目的の一つがハルカンドラを食べ物の楽園と勘違いしていたことだったりと言った面も健在。

ローアと同じような光を放つ敵を吸い込むことでスーパー能力に目覚める。

自分勝手でわがままな、自称プププランドの王様。

「ハルカンドラの火山からあふれ出るのは、スパイシーなステーキソース! 火山が噴火(ふんか)するたびに、星じゅうがデラックス・ステーキ祭りになるのだ!」

つばさカービィに比べて、わがままな部分がかなり鳴りを潜め、ゲームに近い頼もしさが存分に発揮されている。
とはいえカービィ共々ハルカンドラを食べ物の楽園だと思い込んだり、オニオンオーシャンでパーツ探しを忘れてバカンスしたりするような面も。
他の3人に比べてダメージを受ける描写が多いが、実際に原作でもデデデ大王は体が大きいためダメージを受けやすい。

デデデ大王の部下で、カービィの友だち。

「船から出ようとしたとき、だれかの声が、聞こえた気がしたんです」

つばさ本編ではカビファイ2編で初めて戦えるようになったバンダナワドルディだが、本作では最初から戦える。また、カービィプリンター事件も起こっていないので彼一人のみ。
性格はつばさから変わらず、細かいことにも気が利く。そんな性格故か、物語中盤からローアのこころの声のようなものが聞こえるようになる。

常に仮面をつけていて、すべてが謎につつまれた剣士。

「これは……まさか、古代文字……?」

つばさの博識な面が目立ち、ハルカンドラの存在について知っていた。カービィたちの頭脳担当として活躍。一方でその知識欲故に危機に陥ることも。マホロアがカービィのことを以前から知っていたことが判明すると、そのことを隠して近づいてきた事に不信感を覚えるようになる。
流石につばさ版のバーサーカー気質は鳴りを潜めている

ハルカンドラからやってきたという旅人。

「プププランド?ソウ……ボク……ナントカ、逃げ切れたンダ……」

なんと、ハルカンドラで天駆ける船ローアを発見するシーンから独自解釈で描写されている。
その後、それに乗って旅をしていたが、途中でランディアに襲われてプププランドに墜落。船が壊れてしまったのでその修理をカービィ達に依頼し、直ったら故郷のハルカンドラに連れていくとの約束も交わす。

その一方で、カービィたちがいない間はカービィたちの心に語りかけるローアに悪態をついたり、カービィの評判を知りながらそのことを隠して接近していたりと徐々に怪しい面が見え隠れし始め……




サブキャラクター



原作のクッキーカントリーにあたるシーンで登場。北の森にローアのパーツが落ちてきた事をカービィたちに伝える。カービィがいくつエナジースフィアを拾ったか勝負と言い出したことで触発され、あっという間にパーツは集まった。ウィスピーウッズはもう取り逃しがない事と、砂漠と海にパーツが落ちたことを教えてくれる。


  • ウォーターガルボ、ウィッピィ、ウォーターガルボロス

レーズンルインズに住み着いたならず者。オヤブンであるミスター・ダウターへの道を阻む。降ってきたパーツを神聖なつばさと呼んで守っていた。


  • 光るブレイドナイトのような戦士

レーズンルインズでカービィが遭遇。メタナイトにも劣らぬ剣技を持つ。カービィがコピーしてウルトラソードとなる。

  • ミスター・ダウター

遺跡のオヤブン。カービィとメタナイトが戦った。ローアのパーツを天からの恵みと思っていた。

  • ファッティバッファー

オニオンオーシャン海底の屋敷に住まう海の支配者。陸の支配者を名乗るデデデ大王と張り合い、激突する。戦い終盤のバンダナワドルディの言動は必見。

  • スフィアローパー

3つのパーツを集めてきたカービィたちにマホロアが注意喚起する中で名前が登場。エナジースフィアを好物とする。

  • 光るチリーに似た生き物

ホワイトウェハースにおり、カービィが吸い込むことでスノーボウルとなる。メタナイトは光る敵達はローアの影響で異空間からこちらの世界へ流れ込んでいると推測した。

  • ゴライアス

ホワイトウェハースの屋敷に住んでいた。

  • グランドローパー

ナッツヌーンの頂上でパーツをめぐって戦うことに。

  • ランディア
ハルカンドラに住む暴れ者のドラゴン。マホロアのローアを墜落させた。なお、この用語の流れで察しが付くだろうが、メタルジェネラルは戦う理由が不明瞭過ぎた+尺の都合なのか描写されなかった。


  • 操られた住民
グランドローパーと真の敵がスーパー能力パートで使う、ザコ敵を生み出すあの技。本作では敵に操られて虚ろな状態で召喚されたものとされている。スーパー能力持ちが出てくるのは、そこにローアの介入が入り、助けてくれているという解釈。

その他

  • ハルカンドラ
かつて栄えた超古代文明及びそれがあった星。現在では見る影もない荒れ果てた土地になっている。

  • ローア
マホロアが所有する船。ハルカンドラの地下に埋まっているのを掘り出した。異空間ロードを通って遠くまで移動できるが、プププランドに墜落した時にはパーツを失っていたためその力がなかった。物語中盤からバンダナワドルディがローアの心の声を聴けるようになるが、周りは疑心暗鬼であった。


  • 異空間ロード、アナザーディメンション
呼び名が違うだけで同一のもの。遠い宇宙を繋ぐ異空間の道。

ハルカンドラ文明の遺物。無限の力を持つといわれる。





追記・修正は死んだと思われたがひょっこり帰ってきてお願いします。
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最終更新:2025年07月18日 17:32

*1 閉鎖していたため、見れなくなっていたのもあるかもしれないが。