マスタークラウン(星のカービィ)

登録日:2012/02/12 Sun 23:37:50
更新日:2025/04/25 Fri 02:30:14
所要時間:約 4 分で読めます







要注意!この項目には、
星のカービィWiiのネタバレ&考察を含んでいるヨォ!












マスタークラウンとは、『星のカービィWii』に登場したアイテム。
なお、某FEに同名のものがあるがそれとは無関係なのであしからず。


概要

ハルカンドラに伝わる伝説の秘宝。
黄金でできた冠の形をしており、中央には蒼い宝石が付いている。
一見ただの綺麗な王冠に見えるが、実は無限の力を秘めている危険な代物。
そのため、守護神であるランディアの手によって守られていた。

ことの始まりは、マホロアがマスタークラウンを手に入れようと企んだことから。
まずマホロアは古代ハルカンドラ人の遺産である天かける船ローアをデンジャラスディナーで発掘・改造してランディアに攻撃を仕掛けた。
しかし返り討ちに遭ってしまい、ポップスターへ逃亡。不時着の際にローアが故障したことで、偶然出会ったカービィ達にパーツを集めさせた。

カービィ達の活躍でパーツは集まり、ローアも航行できるようになったためハルカンドラへ帰還。しかしそこをランディアに襲撃され、またも不時着する。
ランディアからしてみれば、マホロアが再びマスタークラウンを奪いに来たと思った上での迎撃であり、道理と言えよう。
二度も同じ手は通用しないと考えたマホロアは、連れてきたカービィ達を騙してランディアと戦うよう仕向ける。

マホロアの目論見は見事成功し、何も知らないカービィ達はランディアを倒す。
そしてランディアの頭からマスタークラウンが転げ落ちたことで、遂にマホロアはそれを手にする。
マスタークラウンを頭に乗せた瞬間、マホロアの姿は禍々しいものへと変貌。
マスタークラウンの形状もランディアが被っていたときのような神々しい姿から変化し、目玉のような装飾が付き、宝石も緑色に変色すると奇妙な変形を見せる。
かくして無限の力を手に入れたマホロアは、宇宙征服の手始めとしてポップスター侵攻を宣言。異空間ロードへ逃げ込む。

しかし全ての真相を知り、ランディアの協力を得たカービィ達がその後を追ってきた。
マホロアは闇に染まったローアを召喚するも撃墜され、いよいよクラウンの力を得た自身の手でカービィ達を迎え撃つ。
マスタークラウンの力で得た様々な魔法でカービィ達を苦しめるも、スーパー能力を得たカービィのウルトラソードの滅多切りによって敗北する……。

そしてその時、マスタークラウンの力が暴走。
マスタークラウンの力がマホロアを飲み込み、彼は異形の怪物へと変貌。被っていたマスタークラウンも最早原型をとどめていないものと化す。
(エクストラモードでは「マホロアソウル」という名称になっており、さらに禍々しいカラーリングになっている)

自我すら失くし、クラウンそのものと化したマホロアの魂は憎悪と執念のままにカービィ達に襲い掛かる。
死闘の末、マホロアはカービィ達に再び敗北。
マスタークラウンは砕け散り、マホロアも元の姿へ戻るも、まるで成仏するかのように消えていった……。

その後のマホロア

マスタークラウンの力に呑まれて消えた彼の生死はゲーム内では触れられなかったが、『デデデ大王のデデデでデンZ』発売後の熊崎Dのコメントによると、

「彼はカービィWiiのクライマックスに消息不明となりますが、こうしてアトラクションの中で元気な姿を見るに、時空を越えるあの異空間で迷いながらも、ひょっこりどこかの出口から脱出できたのでしょうか。」
「カービィ達が元の世界に帰って来たあの後に、マホロアもまた世界を旅しながら、本作のような攻略しがいのあるユニークなテーマパークを、様々な世界で作っているのかもしれませんね。」

とのこと。
海外版『20周年スペシャルコレクション』で登場した際も『Wii』の後日談と取れる台詞が用意されている。

なお、その後の作品では、「ランディアがマスタークラウンの力に飲まれた」というIFの存在『アナザーランディア』が登場している。


考察

上記の概要を読めばわかるように、確実にヤバいこと以外何もわからないアイテムであり、マスタークラウンの考察は今も行われている。

最終決戦での第2形態(及びマホロアソウル)では、マホロアの口の中に大きな紅い目玉が存在している。これは歴代のシリーズに登場したダークマター族と同じ特徴。
このことから、「マスタークラウン自体がダークマター族なのでは?」という考察はよくされる。
となると、マホロアもかつてのデデデ大王同様ダークマターに身体を乗っ取られたことになる……が、上述のアナザーランディアにはそれらしき目玉は出現していない。
余りにも象徴的なモチーフであるため偶然似たような姿になっただけとも考えにくく、「マスタークラウンとダークマターには何らかの関わりがある」ことは間違いないと思われるが、真相は今のところ不明。
メタ的に考えればデザインが被っただけなら修正するだろうし

一方で、2022年に刊行されたノベライズ版では、マスタークラウンを被っていたランディアが闇に呑まれなかったことから鑑みて、「ローア同様、持ち主の心に影響を受けるアイテムではないか」メタナイトは推測している。
また、カービィは「口の中にある目はマホロアのものじゃない」と感じ取っていた。

ちなみに、エクストラモードではマホロアの口から、これまでのシリーズに登場した夢の泉ギャラクティック・ノヴァも、マスタークラウンと同じく古代ハルカンドラ人が創り出したものであるという事実が明かされる。
熊崎D曰く「嘘つきの発言なので真実かどうか怪しい」とのことだが、もし真実だとすれば、彼等の創り出した物が毎回事件の火種になっているのはなんとも因果なものである。
そして同作のステージにて、それらを創り上げた彼らの故郷は荒廃し、今や誰もいないことが分かる。

マスタークラウンの力に呑まれたマホロアのように、彼等も力に溺れて滅びたのかもしれない……。


『スターアライズ』では

+ 『星のカービィ スターアライズ』のネタバレ注意
星のカービィ スターアライズ』に登場する魔神官ハイネス
彼らの一族は魔力を司り、高度な科学力を持つ一族と共に銀河を脅かす悪夢を倒し発展を遂げていたと語る。
しかし、科学の一族は闇の物質を信奉する魔力の一族を狂っていると見做し、歴史から抹消し銀河の彼方に封印したという。
こちらも「狂人の発言なので真実かは怪しい」と公式から暈されているが、カービィ世界で高度な科学力を持つ一族と聞けばノヴァやローアを造ったハルカンドラ人がいやでも思い当たる。

さらにハイネスが蘇らせたは、これまでに登場したダークマター族、及び彼らとの関係が疑われる存在を想起させる特徴を多く持っているのだが、第三形態ではまんまマスタークラウンの形状をした光の塊を作り出している。
さらにボスラッシュモードでは、まさにマスタークラウンそのものと言っていい王冠を実体化させており、エンデ・ニルを介してダークマターとの関連をさらに強調させるものとなっている。


『Wii デラックス』にて

2023年2月に発売された『星のカービィ Wii』のリメイク、『星のカービィ Wii デラックス』では、追加モード「マホロアエピローグ 異空をかける旅人」によってこのマスタークラウンに関してもさらなる事実が明らかになった。

+ ネタバレ注意!!
カービィたちに敗れたマホロアは、力を失い異空のドンゾコに落下。エレメントボスと戦いながら、果実のカケラや魔力を集めることでその力を集め、力を取り戻していく。
そして全ての果実のカケラを集めたマホロアの前に現れたのは、あの戦いで砕け散ったはずのマスタークラウンの力を宿したクラウンドローパーだった。合体した果実「グランドジェムリンゴ」を取り込み、これまで戦ってきたボスの技を操る黒き翼の覇者を退けたマホロア。

しかし、マスタークラウンのカケラは果実を取り囲み……



赤き実の宿り木となり よみがえった 支配の冠、
マスタークラウン。 力と ともに 手にした者の
心にひそむ闇をも ぞうふくさせ、憎悪にそめる
という。 数多の国や 世界を巡り続け、ついには
滅亡をよぶ、王なき樹冠と… 化したのだ!


突然、背景が炎に包まれ隕石が降り注ぐ荒れ果てた都市のような場所に変化。崩壊したエッガーエンジンズにも見える。
そしてそこに現れたマスタークラウンは、なんと巨大な樹の姿に変貌していた。
葉はマホロアを完全に取り込んだ際に顕れた翼と同じ形を成し、その幹にはエンデ・ニルのような鋭い隻眼を浮かび上がらせた異形の大樹であり、樹のバケモノとしか言いようがない見た目。
マホロアと違い意思を持たないジェムリンゴを取り込み、完全にクラウン自体の独立した意思でマホロアに襲い掛かる。

デラックス版の解説ページにて遂に明かされたマスタークラウンの正体とは、戴いた者に無限の魔力を与える「支配者の冠」などではなく、
無限の魔力をもって戴いた者を支配した挙句、心の闇を増幅して憎悪に染め上げる「冠の支配者」と呼べる恐るべき呪物だったのである。
この事実を鑑みてこれを被ったマホロアを見ると、確かに王冠を被っているというより王冠にわし掴みにされているようにも見えるし、マホロアが被った後はまるでクラウンそのものに意思があるかのように蠢いてもいたので、納得の設定と言える。

またマホロアが嘘つきな性分なのは元々だが、Wiiデラックスで語られた彼の元々の夢は「全宇宙のみんなが楽しめるようなテーマパークを作り、そこの支配人になる」という悪辣とは言えない願いだった。
それがクラウンを被った直後に「この星の支配者」ひいては「全宇宙の支配者」という巨大かつ危険な願いに変貌している辺り、悪意の増幅効果は相当なもの。
……とは言えマホロアはエクストラモードにて「きっと、セカイをシハイできるような、モ〜ットスゴイアイテムもあるハズ!」とも発言しており、「世界の支配者」までは素のマホロアの願いだったのかも知れないが。*1

また、マホロアはローアを見つけるまではハルカンドラに関する書物の内容をでたらめだと思って信じていなかったため、このマスタークラウンの本性に関しては知らなかった可能性が高い。
こんなシャレにならない呪物を頭にいただいておきながら洗脳されず暴走もしていないランディアはマジもんの守護竜である。
しかし別時空のIFではクラウンの魔力に飲み込まれ闇に落ちてしまった姿も見せているため、さしもの守護竜とはいえ永劫に渡って外敵から冠を守り、そして冠の魔力に抗い続けることは不可能だったのだろう。
実際カービィ達に敗北した上、結果的にとは言えマホロアにクラウンを強奪されている。

だがクラウンの性質上、どこかに捨て置いたとしても自律駆動して暴れまわる危険性すらあるため、ランディアはこれを被り続けてクラウンを求める者からこれを守護し、大小さまざまな悪意をもった者をクラウンから遠ざける役目を遂行するよりほかになかったのだろう。
カービィ達がクラウンを打ち砕いたことは、彼らにとっても救いだったのかもしれない。
しかし「マホロアエピローグ」よりも後の時系列と思われる「わいわいマホロアランド」に遊びに来るランディアを見てみると普通にクラウンを被っている。レプリカだとは信じたいが、果たして……

ところで、『トリプルデラックス』以降の作品ではキャラクター毎にセリフのフォントが変わるという法則がある。
例えばハルトマンを乗っ取った星の夢のように、セリフのフォントが変わることで別人格に変化したことが分かる演出が取られている。逆に、レオンガルフとフェクト・フォルガのように、2体のキャラクターでフォントを同じものにすることで同じ人格が喋っていることを表現していたりなど、細かく設定されている。
それを踏まえてマホロアが裏切るシーンを見ると、マスタークラウンを被り姿が変わった時点でセリフのフォントが切り替わっている。これはリメイク前も同様。
これらを踏まえると、クラウンを被った時点でマホロアの意思がクラウンに乗っ取られていた可能性もある。

戦闘

戦闘におけるマスタークラウンはディメンションホールから何かしら召喚するのが主な攻撃手段。本体は基本画面奥におり、ディメンションホールを通じて伸ばしてくる「異空の根」が弱点。
時間経過で膨らんで爆発するリンゴ「禁断のマルスプミラ」*2や、葉を飛ばす双葉(もろは)の舞」*3、地面を焼き爆発を起こすガード不能のレーザー「ダフネの絶叫」*4など多彩な攻撃を用いてくる。

後半に突入すると、エンデ・ニルがマスタークラウンを顕現させて攻撃する「巨悪と執念の冠」に酷似したガード不能のレーザー攻撃「憎悪と執念のミストルティン」を行う。
当然他の攻撃も強化されており、「禁断のマルスプミラ」は巨大化し「禁断のグラン・マルスプミラ」に、「双葉の舞」は数が増え、八枚の「双葉乱舞」、十六枚になったうえ上空から追撃してくる「双葉円舞」になっている。
加えてラーパやリーパといった異空間に住まう生物を呼び出すこともあり、攻撃チャンスはなかなか少ない。
地面に影が見えたらジャンププレス「王亡き帰還」。影の範囲外にも、ワンテンポ置いて地割れを起こしてくるためプレスを避けたらすぐに空中に避難しないとダメージを受ける。
幸い、攻撃チャンスが少ない分体力は低めに設定されている*5

戦いの中で背景にあった近未来的な都市は崩れていくが、この中にエッガーエンジンズにあるものとよく似た建物がある。先述したハルカンドラ滅亡の原因がマスタークラウンにあるということを示唆しているのかもしれない。

かつていくつもの世界を滅ぼしたのも納得の大技揃いだが、マホロアも負けてはおらずついにマスタークラウンを追い込む。怯んだマスタークラウンを前に、マホロアは近くに落ちていた剣を拾い上げ、それに全魔力を注ぐ。


支配の じゅ縛から あの樹を 解きはなち、
この滅亡の れんさを 断ち切るには…
自らの悪事ケジメを つけるには…
コレしかない! 手にした剣に 全魔力をそそぎ、
一・刀・両・断… Pay For One's Sin!


次の瞬間、マホロアはウルトラソードを手にし、マスタークラウンに斬りかかる。
マホロアの全てをかけた一撃により、マスタークラウンは樹共々真っ二つに両断された


戦いの余韻が残るフィールドに、ディメンションホールが開く。
マホロアはクラウンの支配から逃れた赤い果実、ジェムリンゴと共にとある王国へと飛び立っていくのだった。


専用BGMは「王亡き樹冠のミストルティン」。
樹冠とは樹木の上部の枝葉の集まった部分、ミストルティンとは北欧神話に登場するヤドリギのことを言う。
実に的を射た曲名だが、そのミストルティンには「バルドルが死ぬ夢を見た母フリッグは、万物に対してバルドルを傷つけぬよう誓いを立てさせた。しかし、新芽であったヤドリギ(ミストルティン)だけは非力だったため脅威にならないだろうと誓わせなかったところ、それを知ったロキがバルドルの盲目の弟ヘズを騙してヤドリギを投げさせ、矢の形に変わったミストルティンによりバルドルは貫かれ、ラグナロクを引き起こした」というエピソードが存在する。
「弱者だと舐め腐った相手に討たれる」「他者を騙し利用したところ最悪の結末を招く」といった部分にはマホロアに通じるものがあり、なんとも皮肉な曲名といえる。
曲としては、「すくえキングダム!しれんクエスト」をベースとした荘厳な前半パート、「CROWNED」をベースとした明るい曲調の中盤パート、再び「すくえキングダム〜」をベースとした勇ましいメロディの後半パートの3つに分けられる。
アレンジにあたって二つの曲をリミックスし、途中でベースにする曲が入れ替わるのは、カービィハンターズシリーズのキングD・マインド戦のBGMと同様の構成になっており、そういう意味でも繋がりを感じる一曲。


また、「マホロアエピローグ」以外にも「真 格闘王への道」でも20戦目の相手として登場。
マホロア以外の操作キャラで対峙するのはここが唯一となり、更に事前に19戦もこなしているためカービィ等を使った練習がしづらく、おみやげアイテムを使わない限り体力的にもかなりカツカツなタイミングで相手することとなるのでかなりの苦戦を強いられる。
おまけにこの次の最終戦の相手はシリーズでも屈指の難関ボスとも言われるほどの強敵なので、休憩所のトマトに余裕がない限り無駄な消耗は許されない。
タイムアタックで記録に挑む際もあからさまにこちら側の攻撃の機会が限られるタイプのボスであるため、根をフィールド上に出現させた時にいかに多く体力を削れるかがタイム短縮の鍵を握る。

ついでに、ランディアのシューティング面で登場するラーパ達が能力を持たないスカキャラであることがこの戦いで10年越しに判明した。






クックク…
コレでボクは コノ項目の…

いや!
全Wikiの 支配者とナルのダ!

そう、まずハ
手ハジメにキミらのWiki…

アニヲタWikiから 追記・修正してアゲルヨォ!


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最終更新:2025年04月25日 02:30

*1 ただし、ストーリーモードをクリア後解放のモード=プレイヤー視点では裏切ることが分かっている状況での発言なので、どちらを正史と捉えるかでマホロアの本音は変わってくることは注意。

*2 マルスプミラはリンゴの学名。神話においても「創世記」の禁断の果実にリンゴが当てはめられることもあるなど、伝承には事欠かせない果実である。なお、本モードのメインテーマの曲名にも「断罪のマルスプミラ」としてその名が用いられている。

*3 京都の賀茂神社の葵祭で用いる冠帽の装飾であるフタバアオイの別名「両葉(もろは)草」からか。葉の形も共にハート型である。

*4 ダフネはギリシャ神話の女神であり、アポロンに求愛され続けたダフネは自身の身を変えることを父親に望み、それを受け月桂樹に変わった。それを悲しんだアポロンはダフネの月桂樹から月桂冠を作り、被り続けたという物語がある。それと共にダフネはギリシャ語で月桂樹のことを指す。

*5 これは他のエレメントボスにも共通する