ルミナーラ・アンドゥリ

登録日:2022/05/26 Thu 11:24:11
更新日:2024/10/02 Wed 19:33:13
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目が霞んでいようとドゥークー伯爵の太刀筋は読めています。
お前は彼の模造品。


ルミナーラ・アンドゥリ(Luminara Unduli)とは、STAR WARSシリーズ(映画)に登場する銀河共和国時代のジェダイの一人である。
映画本編ではEP2冒頭のパルパティーンとジェダイの会議のシーンにて初登場し、その後正史分類のCGアニメ『クローン・ウォーズ』で台詞・戦闘シーン共に掘り下げが行われた。
今となっては弟子のバリス・オフィーの方が悪い意味で有名になってしまっているが、ルミナーラもまた要所要所で強い存在感を放っている。
というより、当時のジェダイの在り方を考える上ではバリスと同等以上に重要なキャラと言っても過言ではない。


概要

惑星ミリアンに住むミリアラン種族の出身で、緑色の肌が目を引く。
ちなみに弟子のバリスもミリアランであり、ミリアランのパダワンは必ず同族のジェダイから修行を受けるという取り決めがあるとか。
年齢は不明だが、同族であるバリスと見比べる限りでは(高齢ではないにせよ)それなりに歳を重ねていると思われる。
時には色っぽく描かれることもあるシャアク・ティアイラ・セキュラらと比べると色気が強調されることはほぼ無く、アバヤ(イスラム圏の女性が着るアレ)を思わせる露出度の低い黒い装束も相まって、敬虔な信仰者のような印象を受ける。
というより実際にミリアラン自体が信仰心の強い種族とされており、ルミナーラはまさしくその代表例としてデザインされたキャラクターといえよう。

人物

一言で言えば極めて模範的だがそれゆえに達観しすぎてもいるジェダイ
その容姿から想像できる通り、フォースに殉ずる覚悟を備えた極めて冷静沈着な人物であり、帝国時代にはジェダイの生き残りであるケイナン・ジャラスは彼女のことを「偉大なジェダイ・マスター」「勇敢で、慈悲にあふれ、信頼できる」と述懐している。元スリで規律を軽んじがちな弟子エズラの指導もルミナーラなら上手くやれると考えていたとか。

さて、先ほど特徴として述べた「フォースに殉ずる」「冷静沈着」な姿勢は一見全てのジェダイが遵守しているもののように思えるが、これは「なるべくそうあるべき」という理想像に近く、実際は(アナキンは極端な例としても)本当に執着を手放し喪失への恐れを克服したジェダイなどというものは極めて稀であり、ルミナーラはその数少ない該当者と言える。他だとヨーダくらいか。
そしてそれは裏を返せば、ルミナーラと同じように振る舞えるジェダイがほとんどおらず、彼女が模範と称賛されること自体が当時のジェダイの抱えていた歪みであると言い換えることもできる。
幾度も言及されるように「恐れは暗黒面に通じる」のは間違いではなく、なおかつその素振りを微塵も見せないルミナーラが優れたジェダイであることも確かなことであるが、
あるエピソードにて弟子バリスがアソーカと共に救出困難な状態になった際、ルミナーラは悲しみながらもバリスが助からなかったならばそれもまたフォースの意思による運命だと受け入れている。
無論ルミナーラも諦めていたわけではなく、万が一の時に備えて覚悟を固めなければならないというアナキンへの助言に近いものではあったのだが、結果的に一時アナキンの反感を買っている。(メタ的には、EP3にてヨーダからほぼ同じことを言われたアナキンがそれを受け入れられず苦悩を深めるシーンへの布石ともなっている。)
時にルミナーラは冷静沈着を通り越して、冷淡・人間味に欠けていると同僚にすら思われることがあったようだ。 

また、アサージのことを「剣技の訓練も受けていない殺し屋」呼ばわりし、一人で十分だと単身追跡するなど、ある種の慢心も見られる。(ただ、それに見合うだけの実力はある他、アソーカをその場に残すという判断自体も後の展開を見るに間違いとは言い切れない面もある。)

総じて、ルミナーラはジェダイの「正しさ」を突き詰めたような人物であるが、その「正しさ」の限界がバリスやアナキンの転落、ひいてはジェダイの滅亡により示されているとも言えるだろう。
そういった事情もあってか、優秀かつ頼もしい人物として描かれてはいるものの登場エピソードでは任務失敗や判断ミスの描写がしばしば付き纏っている。

能力

精神性もさることながら、戦闘能力の面でも作中上位に入る実力者であり、戦闘シーンは多くないものの活躍には恵まれている。
ジオノーシスの戦いでは弟子のバリス共々20人の生き残りに入る奮闘を見せたほか、
『クローン・ウォーズ』では片目を負傷した状態でアサージ・ヴェントレスと交戦し、フォースの押し合いは互角・剣技でも一進一退の攻防を繰り広げる力量を見せた。
流石に結果は惜敗であり、先んじて片目を負傷させたアサージの作戦勝ちと言ってしまえばそれまでだが、両者万全の状態での戦いだったならば結果は違っていたかもしれない。
また、オーダー66を生きて突破したことが明かされている数少ないジェダイの一人でもあることからもその実力は脇役ジェダイ達の中でも屈指のもの。
なお、資料集などによると得意とした剣術フォームは防御重視のソレス。

ただ、人格・実力ともに非常に優れた人物でありながら評議会に属していた時期は存在しない。
性格上地位を拒んで辞退したか、あるいは達観しすぎていて対話の類は意外と不得手だった可能性もあり得る。(後述)


来歴

◇共和国時代

EP2

ヨーダメイス・ウィンドゥキ=アディ=ムンディプロ・クーンが座っている後ろで、同じく実力者として知られるキット・フィストーと共に初登場。
フィストー共々椅子が無かったが、おそらく両者とも評議員ではなかったからだと思われる。(逆に言うと評議員ではないのにこの場に呼ばれていることからフィストーとルミナーラは優秀なジェダイであると『クローン・ウォーズ』製作陣が解釈したのかもしれない。)
また、勉強のため同行させたのかルミナーラのさらに後ろにはバリスも控えている。

終盤の第一次ジオノーシスの戦いでも駆け付けた200人のジェダイ軍団の一人としてバリスと共に参戦し、師弟揃って生き残る実力の高さを見せた。
アナキン以外のパダワンでこの戦いを生き残ったのはバリスのみであり、ルミナーラはライトセーバーの指導においても優れていたことが窺える。

『クローン・ウォーズ』

  • シーズン1
ヌート・ガンレイ護送任務のエピソードにて指揮官として登場。
アソーカ・タノとの共同任務であり、バリスと別行動している数少ないエピソードである。
ガンレイ救出のため襲撃してきたアサージ・ヴェントレスと交戦し、先述の通りアサージが近くの配管を攻撃したことで噴き出した蒸気により片目を負傷させられつつも冷静さを保ち互角の勝負を展開。
激闘の果てに追い詰められたものの、アソーカが援護に現れたことで事なきを得る。
しかしアソーカが離れて手薄になった瞬間を見計らって衛兵の一人*1が裏切ってガンレイを逃してしまい、さらに2対1で追い詰められたかに見えたアサージも爆弾を用いてその場を離脱。
アサージとガンレイの逃亡を許す結果となってしまった。

その次の回でも、ガンレイを追うキット・フィストーと連絡を取るために冒頭少しだけ登場する。

  • シーズン2
シーズン2最大の激戦にして見所である第二次ジオノーシスの戦いのエピソードでも数話に渡って登場。
一時戦線離脱したオビ=ワン・ケノービ、キ=アディ=ムンディと交代する形でアナキンと共闘する。
アナキンとルミナーラが陽動をしている間にアソーカとバリスが別ルートで侵入してドロイド工場を陥落させる作戦を展開し、作戦自体は無事成功したもののアソーカとバリスが瓦礫の底に取り残される事態が発生。
先述の通りルミナーラは弟子の死を受け入れる覚悟を常に持っており、焦るアナキンにも万が一の時は覚悟を決めるよう促していたが、アナキンらの懸命な救助活動の甲斐あって二人は無事救出された。

ジオノーシスの地下寺院へ姿を消した大公ポグル・ザ・レッサー追跡のエピソードにも引き続き登場。
砂嵐の中ポグルを追跡し寺院に到達したもののジオノーシアンの女王カリーナ・ザ・グレートと彼女の生み出す寄生虫ブレイン・ワームにより操られる不死身の軍団*2に数で押されてトルーパーは全滅しルミナーラ自身も捕らえられてしまう。
カリーナはジェダイを寄生虫で操ることで強力な手駒を作ろうと試みていたが、ルミナーラに寄生虫を植え込む直前にアナキン&オビ=ワン率いる部隊が追いつき、ルミナーラは無事救出されてポグルの確保にも成功。カリーナも寺院崩落に巻き込まれて死亡した。
オビ=ワンが寄生虫の分析のためギリギリまで助けようとしないのを割と本気で嫌がっており、視聴者に[[シリアスな笑い]]を提供した。

こうして『クローン・ウォーズ』序盤に、良くも悪くもジェダイらしさを突き詰めた、達観した高潔な実力者としてのキャラを確立したルミナーラであるが……?


  • シーズン5
『クローン・ウォーズ』中盤、ここで事件が起こる。




弟子のバリス・オフィーが首謀したジェダイ聖堂爆破事件である。



ルミナーラの高潔さの反動であるかのようにバリスは戦争により歪んでいくジェダイを糾弾するばかりか、警鐘を鳴らす名目でそれ以上の悪質な手を使ってしまうダークジェダイと化してしまったのだ。*3
しかしここで特筆すべきは弟子のダークジェダイ化という一大事にもかかわらず師匠であるルミナーラの登場シーンは一切無いことであろう。
バリスとアナキンの対決の後はアソーカがジェダイを去るという重要シーンが控えていた作劇上の都合もあるが、彼女がバリスの転落をどう受け止めたのかについては未だ明らかとなっていない。

  • シーズン7
それ以降の出番はないと思われていたが、アソーカの再登場とマンダロア包囲戦の前日談を描くマルテス姉妹編において、ルミナーラとバリスについてある不穏なエピソードが仄めかされている。
姉妹の姉であるラファ・マルテスが自分達の過去をアソーカに語るシーンにて、
彼女らの両親の死因がシーズン1におけるズィロ・ザ・ハット脱獄の際ジェダイ陣営によって撃墜された船が墜落してきたことであることや、それについてジェダイが「他に手が無く、苦渋の判断だった。」「フォースと共にあれ。」とだけ言い残してそれ以降何の支援も無かったことからラファがジェダイを嫌っていることが明かされるのだが、ラファ曰くそのジェダイは黒いローブを身につけた緑の肌の女性であったというのだ。
この特徴に合致するのはミリアランを置いて他にはいない。すなわち既存のジェダイではルミナーラとバリス(そして強いて言うなら当時ジェダイだったであろうセブンス・シスター)くらいしか該当者がいないのである。
他者の死についてドライと取られても仕方のない描写のあるルミナーラや、その弟子であるバリスは当然視聴者の間でも有力候補と見られており、ラファがジェダイの特徴を語った瞬間にアソーカが動揺する意味深なカットが挟まれているのもその仮説を補強する形となっている。*4

これが『クローン・ウォーズ』における最後の言及(らしきもの)であり、ルミナーラとバリスは師弟で形は違えども揃ってジェダイの歪みを体現するキャラクターとなってしまったのは間違いない。
ルミナーラ自身は規律と実力を備えた優れた人格者であるが、当時のジェダイの在り方をハイレベルに体現した彼女だからこそ末期のジェダイの負の面も顕著に現れやすい人物でもあるのだろう。

EP3

そして時はクローン戦争最後の年。
バリスの悲劇もあったもののルミナーラはジェダイに在籍し続け、銀河の平和のため戦っていた。
劇中ではヨーダと共にキャッシークに出向いているのが確認でき、おそらくはそのままオーダー66に直面したと思われるが、ルミナーラはその絶望的な状況から生還したことが明らかとなっており、ここでも実力の高さが示されている。
これはウーキーというオーダー66とは関係の無い友軍が存在したことも大きかったと思われる。(ヨーダもウーキーの助力を得て脱出している。)
なお、描写的にヨーダとははぐれたかあるいはそもそも合流できなかった模様。

◆帝国時代

しかし、オーダー66を切り抜けた後も帝国のジェダイ狩りは苛烈そのものであった。
ダース・ヴェイダー尋問官らの手でジェダイの生き残りは次々と殺害されていき、ルミナーラも時期は不明だが生け捕りにされスティジョン・プライムの監獄に収監されてしまう。

『反乱者たち』

シーズン1にてルミナーラ収監の情報を聞きつけたケイナン&エズラ師弟が救出のためスティジョン・プライムに潜入しルミナーラの元に辿り着いたが……
どういうわけかルミナーラは一言も話さず、それどころか面識があるはずのケイナンとも目を合わせすらしない。
さらには突然壁に向かって歩き始め……

次の瞬間2人の目に入ってきたのは、冷凍保存され痩せ細ったルミナーラの亡骸であった。

先程までケイナンとエズラが見ていたのは記録映像のホログラムであり、ルミナーラ本人はとっくに処刑されていたのだ。
大尋問官が彼女の死亡を伏せた上で、収監されていることだけを噂として流すことでジェダイを誘き寄せる罠を作り上げていたのである。
ケイナンとエズラはなんとか大尋問官の猛追を振り切ってスペクターズと共に撤退したもののこれは大尋問官との戦いの始まりに過ぎず、自分達はいつルミナーラと同じ末路を辿ってもおかしくないことを痛感する。
そして同時にケイナンはエズラをルミナーラに任せようとしたのが逃げや甘えであることを自覚し、自分が命をかけてエズラを守り、導き、一人前に育て上げることを決意するのであった。

どこかほのぼのとした空気が続いていた『反乱者たち』序盤に突如差し込まれたルミナーラの亡骸の描写は劇中屈指のホラーシーンとして名高く、『反乱者たち』が単なる子供向けスピンオフアニメではないという事実を視聴者に知らしめたのは言うまでもない。

◇新共和国時代以降

EP9

クライマックス、レイがレイアから教わっていた技術を開花させてジェダイの先人達の意思と力を宿すシーンにて声のみだがまさかの登場。
他のジェダイ達と共に激励の言葉を送り力を貸した。
霊体化を身に付けている面々以外では、ルミナーラのほかアソーカ、ケイナン、メイス・ウィンドゥ、アイラ・セキュラ、アディ・ガリアの声が確認されている。男女比を意識した結果なのか、なんとも不思議な人選である

余談

2Dアニメ『クローン大戦』での活躍

今は非正史分類となっているが、こちらでもバリスと共に登場。
クローン戦争の最初の年に、(現行設定とは細部が異なるものの)クリスタルを手にしてライトセーバーを組み立てるギャザリングの儀式らしきものをバリスと執り行っており、そこへ襲撃してきたドロイドの軍勢にたった二人で応戦。
多勢に無勢ながら奮戦していたものの爆破により天井を崩され、瓦礫の底に生き埋めになってしまうが、ヨーダが駆けつけたことで無事救出される。
第二次ジオノーシスの戦いでバリスとアソーカが瓦礫に埋もれるのもこの展開を意識してのことかもしれない。

演者

映画の方は実は途中で演者が変わっており、EP2ではメアリー・オヤヤ、EP3ではフェイ・デイビッドがそれぞれ演じている。(尤もどちらもセリフは無い上にローブで隠れる部分が多く顔も特殊メイクであり、しかもEP3ではものすごい遠景で映るだけなので見分けられるレベルではない。)
声優は『クローン・ウォーズ』およびEP9のカメオ出演ではオリヴィア・ダボ、『クローン大戦』ではクリー・サマーが担当。
日本語吹き替えは田中晶子が担当。

素顔

終始黒いローブを纏っているため顔と手以外は常に隠れているが、『反乱者たち』におけるホログラムでのみ囚人服に着替えさせられているため髪型や体格が分かるほか、作風の変化に伴い目が大きめに描かれているため瞳の色が青であることも分かりやすくなっている。


追記・修正は弟子と別れる準備を済ませてからお願いします。

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最終更新:2024年10月02日 19:33

*1 セネト・ガードのアーガイアスという男。クローンではない。いかにもなことを言ってアソーカを援護に行かせた。

*2 寄生虫が死なない限りは死体だろうと無理矢理動かし続ける。ゾンビ化に近い。

*3 アナキンに本気で斬りかかるのみならず没シーンではテンプル・ガード数名を斬殺している。

*4 ジェダイの発言内容が語られるのはその後であり、アソーカはジェダイの発言内容より先に容姿について聞いた段階で動揺しているのである。親友であったバリスやその師匠ルミナーラのことを思い出していた可能性は大いにあるだろう。