エルデ・ミッテ

登録日:2022/06/02 Tue 14:43:25
更新日:2024/07/02 Tue 16:02:03
所要時間:約 7 分で読めます






アハハハ! アーッハッハッハッハ!



スーパーロボット大戦MX』の登場人物。

CV:小林優子
年齢:30歳

□概要

次世代兵器開発計画ツェントル・プロジェクトに参加する女性科学者。
ヒロインのアクア・ケントルムの大学時代の恩師でもある。プロジェクトでは人工知能(AI)を担当しており、「AI1」と名付けたAIの研究に心血を注ぐ。
研究者・教員としては優秀で、外面を保つ必要のある場面では徹底して常識的にふるまえる人物。アクアにも心から尊敬されていた。

しかし実際の性格は自己中心的で身勝手で、本質はどうしようもなくイカれている女性。
プロジェクト総責任者のミタール・ザパトが俗っぽく常識を弁えた人物であったこととは対照的と言える。
特に自身が開発したAI1に関しては自分が生んだ子供として狂気的な愛情を注いでおり、AI1のためならば、自分すらどうでも良いと思っている。
当然それ以外の存在はさらにどうでも良く、利用するための駒でしかない。
アクアに関しても、彼女から慕われているのはわかっている上で「名家に生まれておいて恵まれているくせにそれを不満に思っているお嬢様」と見下しており、「鬱陶しくて殺してやりたかった」とすら思っている*1
不要と判断した存在は上司だろうとパートナーだろうと、挙句に教え子だろうと躊躇なく始末する徹底ぶり。(しかもアクアを殺せることには前述の通り憎悪すら向けていたため、悪鬼スマイルで喜びを表していた程)
自部隊からの評価も「(アルベロはともかく)エルデは信用ならない」「気が狂ってる」「イッちまってる」「呆れるほどの悪女」「外道」と散々。
アクアには悪いが、全くもってその通りである。
ちなみにOGシリーズで「恵まれた育ちのアクアと違って身を削りながら生きてきた(要約)」と語っていた事から、現在の地位を手に入れるために相当な苦労をしていたらしく、アクアがどんなに歩み寄ろうとしても出自の違いで彼女を憎悪し続ける等、環境に恵まれた者への敵愾心に取りつかれている節がある。

後述するが、彼女が創り出したAI1は本当に素晴らしい存在で、これが正しく世に広まれば、文字通り世界が一変するレベルである。
このような人工知能を生み出したエルデは、それこそビアン・ゾルダークやWシリーズの生みの親であるレモン・ブロウニングに匹敵する超天才科学者である。
MX及び第二次OGのエンディングでも、アクアはエルデの本性や行いを知り尽くした上で「あの人と出会ったから今の私がある、そう思われる先生になりたい」と複雑な思いを吐露しながら教官の道を進むことになった。

ただ彼女自身は、そのAI1の本質と素晴らしさに全く気付いておらず、一方的な欲望をぶつけるエゴイストでしかない。
子供の成長が親の喜びと宣いながら、どんなに成長してもAI1に語る術を絶対に持たせず「うるさい子供など、私は欲しくありませんもの」と語る様は、まさにAI1を子供ではなく、道具としか視ていない彼女の歪みを端的に表している。

つまりエルデ・ミッテという人間は、前人未踏の偉業を成しえながら、それに全く気付かずに、自らの欲望とエゴで身を滅ぼした滑稽であると同時に、どうしようもなく哀れな人物なのである。

なおスパロボシリーズでは初の「自身と無人機の部下のみ」で自軍部隊と戦った敵役。

□各作品の活躍

●MX

真のツェントル・プロジェクトを遂行すべくザパトやプロジェクトの同僚のアルベロ・エストと共に暗躍するが、中盤までは彼らが主導権を握りストレスを溜めている場面が多い。
一応メディウス・ロクスにサブパイロットとして乗っているがシステム上は飾り。
終盤に差し掛かる頃、AI1を危険視したザパトが計画からAI1を外すことを宣告。
これに反発し彼を射殺するもアルベロには返り討ちに合い、渋々マグネイト・テンとの共闘に付き合うことに。
しかしラ・ムーの星が現れるという千載一遇のチャンスを逃さず、AI1に取り込ませる。

この時にアルベロに撃たれるが、共に暴走し巨大化したメディウスに取り込まれる。そしてマグネイト・テンがメディウスを倒した時点で、巨大化したAI1と共に出現。
もはやスパロボでも伝説となったあのハイテンションでラスボス化。自軍相手に暴れ回る。
最終的に真聖ラーゼフォンも加わったマグネイト・テンの前に敗北。
AI1が潔く敗北を選択したことも受け入れられず、喚き散らしながら無様に消滅した。

●OGシリーズ

OG外伝に初登場。この頃は顔見せレベルで巣立つアクアに助言を送る*2。ただドナ・ギャラガーの失脚をあざ笑うシーンがあり、この頃から性格の歪みが滲み出ている。

そして来る第2次OG。MXが主題の一つだったので、彼女も本格的に参戦。トップから下っ端までカマセと道化のオンパレードであるガイアセイバーズに所属。
私利私欲の俗物ばかりの部隊にいるので、彼女も欠片も自重せずに暗躍、MXより5割増しの性悪さで暴れてくれる。
ザパトを射殺するのはMX通りだが、ビアンのDGGに復讐心を宿すカオル・トオミネを利用して前座にする。
イデアラントの機密を探り、ドゥバン・オーグを唆し共にクロスゲートを掌握とやりたい放題。
一番異なる点は、ザパトと結託してアルベロを徹頭徹尾利用、最終的に用済みとして排除していること。
MXでは、ザパトやアルベロにいいように扱われる場面が多い彼女だが、今作ではある程度の余裕と持ち前の悪質さを存分に発揮して、徹底的に周りを利用している。

最期はペルフェクティオを倒した鋼龍戦隊の前にドゥバンと共に現れ、ファブラ・フォーレスのエネルギーを利用。
ドゥバンが敗北したタイミングでAI1のリミッターを切り、アレス・ガイストを取り込んで、AI1はMXと同じ気球形態になる。この時のキチガイ振りもMXの2倍増し。

ドゥバンが同じことを2回繰り返し、プレイヤーの腹筋を壊しながら大暴れする必死さを魅せてくれるが、エルデは同じことを5回、追い打ちで3回繰り返して、プレイヤーと鋼龍戦隊をドン引きさせながら超大暴れしてくれる。
しかし所詮はカマセ。消化試合感は否めず、親父に比べればあっさり勝てる。

最期は「エクスタシー」「究極の快楽」「絶頂」を感じたいなど、およそスパロボとは思えない程の聞くに堪えない妄言を吐きながら、MXを超える無様さで消滅した。
その後にイルムが呟いた「行くがいいさ、あの世へな」はまさに全プレイヤーの思いを代弁した一言であろう。

□AI1

エルデが開発した人工知能。
名前の意はツェントル・プロジェクト人工知能1番機……ではなく、"All In 1"。あらゆる情報データを取り込み、自身の糧とすることが出来る。
なお文字や声による情報伝達は一切できないという制限が与えられており、自己表現が「機動兵器とそのシステムの操作、制御」に限られている。
エルデはこのAI1に狂的な愛情を注いで「我が子」と語る。
実際ラズムナ二ウムと組み合わせることで、あらゆるものを取り込むスペックがあり、その存在は危険極まりない。
ザパトも暴走を懸念*3して封印を提案、メキボスも「地球人はとんでもない兵器を作る」と渾身の皮肉を漏らす程である。

さてこのAI1だが、その在り方やエルデの暴走ぶりから、自部隊のメンツからは徹底的に排除されようとしている。実際に作中の暴走からも至極当然である。
しかしプレイヤー視点だとエルデが愛情を注ぐのも分かる程、素晴らしい人工知能なのである。それは表面のスペックではなく、本質の部分。とにかく「賢い」のである。
言葉を話せないという一見不自由な制約も、エルデの性格を考えれば大抵口応えと切り捨てられていたことだろう。結果的には意思疎通出来なくて正解だったとも言える。

まずAI1には害意というものは存在しない。エルデの設計思想からとにかく「学ぶ」ことを第一にしている。そして初回からAI1の「賢い」部分が顕わになる。
AI1は真っ先にアルベロから学ぼうとしている。実際エルデもアルベロの戦闘技術やパイロットの技能を学ばせ、AI1にインプットさせるために彼をメディウスのパイロットに選んだ。
しかしAI1はアルベロの技術だけでなく、「人や戦士としての心構え」「兵士と兵器の在り方」という「意思」を学んだのである。(しかも技術よりこちらに比重を置いて学習している)

さらにAI1はエルデからは全く学ばずに、ひたすらアルベロや敵対するヒューゴ、アクアから学習している節がある。そして彼らを排除しようとするエルデに反発することが度々起こった。
例を挙げると、アクアを排除するエルデの命令にエラーを起こす(つまり拒絶)、瀕死のヒューゴをメディウスのラズムナ二ウムに取り込む等。エルデはこれをヒューゴを取り込むことで何かを学ぶためと推理したが、そんな理由ならヒューゴを解放する訳がない。ましてやアクアがピンチの時にである。

つまりAI1は明確にヒューゴを救うために、一旦ラズムナ二ウムに取り込み、アクアを助けるためにヒューゴを解放したのである。
そしてアルベロもラズムナ二ウムに取りこまれたが生きていた。まず間違いなくAI1が生かしていた。MDではドゥバンのことも救っていたことが判明する*4

このように意思があるかのように、ひたすら学び成長したAI1だが、最終的にはエルデを復活させて、傍から見ると暴走したかのように全てを取り込み、暴れ回った。
エルデによるAI1の設計思想である「全てを一つ」にという原理こそが「自身が生まれた意味」と悟ったのか、もしくはエルデの魔の手から逃れられないと悟り、せめて創られた目的を全うしようとしたのかは、定かではない。
しかし最終的にはエルデの全ての命令を完全拒絶、アルベロから学んだ「敗北した者の末路」を全うするためにエルデと共に消滅を選んだのである。

とにかくAI1にとって不幸だったのは、設計者があのエルデだったことに他ならない。まさに子は親を選べないを体現した存在である。
あんな自己中の性悪ババアがこれ程の人工知能を創り上げるのも、世の理不尽さや無常さに拍車を掛けている。(しかも生みの親であるエルデ自身はAI1の本質に気づかない愚者である)
このAI1が正しく世に広まれば、それこそ勇者ロボに登場するような、人の最高の友だち、良きパートナーとなるロボットが生まれたかもしれない。
せめてもの幸運はAI1にとっての父がアルベロであり、彼の言葉や生き様が、AI1の「生き方」に多大な影響を残したことであろうか…。



ちなみに第二次OGでは、ようやく消滅出来たのにアルテウル・シュタインベックによって再生され、利用されてしまう。本当に報われない…。
またアダマトロンが消滅した時に、生存したのはイルイとエントリヒ・ガイストに取り込まれたドゥバンだが、あの状況でこの二人を生存させられるのは、実はAI1だけだったりする。(蓬瓜尊はあくまで崩壊するバラルの園からイルイを救出しただけ)
真偽は定かではないが果たして?

□余談

最終盤のあのハイテンションと言動だが、実は〆切りギリギリの寺田Pのテンションが反映されてしまったものらしい。おいおい…。
ただそれを完璧以上に演じた小林優子氏も凄まじい。さすがはベテラン声優(女優)と言うべきか。


AI1、追記、修正を学びなさい

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最終更新:2024年07月02日 16:02

*1 アクアは当初は「ミッテ先生は変わってしまった」と思っていたが、そう思いたかっただけで出会った最初の頃から自己中心のエゴイストであった

*2 しかし彼女の本性を考えると、内心ではどう思っていたのかわかったものではない

*3 MXでは「第2のデビルガンダムになりかねない」(意訳)と見做していた

*4 実は第二次のエルデの断末魔でアルベロと共にドゥバンの名前も出ていたため、予想してたプレイヤーも多かった