ビアン・ゾルダーク

登録日:2022/06/06(月) 14:28:49
更新日:2023/12/09 Sat 20:13:27
所要時間:約 6 分で読めます






人類に逃げ場なし。




CV:飯塚昭三
年齢:44歳
所属:テスラ・ライヒ研究所→EOTI機関→ディバイン・クルセイダーズ(DC)
登場機:ヴァルシオン
戦闘曲:ヴァルシオン


□概要

DCを立ち上げた初代総帥にして、稀代の超天才人物である。あらゆる分野に精通しており、科学者としてもパイロットとしても他を寄せ付けない超絶的な才能を誇る。
ただ流石に娘リューネのような人の領域を超えたような身体能力は持っていないようである。

その明晰な頭脳は、当時眉唾物だった異星人の襲来をあらかじめ予期して、その危険に対する備えも完璧に用意するほど。
カリスマにも優れ、様々な勢力を取り入り、挙句、人に束縛されることを嫌うあのシュウを従える程である。(特にシュウはビアンと共に居た当時はヴォルクルスに支配されていた最も危険な状態)
その圧倒的な天武の才に劣等感や嫉妬を抱き、ビアンを憎む者も少なからずいる。しかしそんな連中も、ビアン存命時に反旗を翻せなかった(先手打たれて失敗した者もいる)ことから、いかに彼の手腕が優れているか分かる。

科学者としては自身の乗機にしてDCのフラグシップである究極ロボ「ヴァルシオン」、その支援用にして機動性を重視した(あと親バカ)目的で作った「ヴァルシオーネ」、極秘裏に設計した「DGGシリーズ」等、多岐に渉る。

上記に挙げた機体は技術が進んで、新しい機体が地球、異星共に開発される中、それでもそれらの新機体を凌駕する程の性能がある。
中でもヴァルシオンはその圧倒的な性能ながら、量産を見越した構造もあるという文字通りビアンの技術の集大成である。(最もこれが逆に仇となり後述するDCの残党にいいように使われる羽目にもなる)

特にOGシリーズの量産型はリオンシリーズや量産型ヒュッケバインが主流でコストパフォーマンスの問題から、OGMDで登場したモガミ重工がソウルセイバーを開発するまで、特機クラスの量産ロボットは出てなかった。(一応、量産試作機としてグルンガスト弐式が作られたが、コスト面をクリア出来ずに、ロールアウト出来たのは数機のみ。)
そんな中で、初めから量産を目処にして、スーパーロボットであるヴァルシオンを作り上げたビアンはこの時点で、他の科学者と一線を隔していると分かる。

あと特筆できる点としてできて当然と言わんばかりにラ・ギアスの錬金術系統の技術を習得している
一応シュウからの技術提供があったようなのだが*1、これにより見た事があるのかも怪しいサイフラッシュを研究して、サイコブラスターとして完コピしてヴァルシオーネに搭載したりする。*2
そもそもサイフラッシュは開発者のウェンディもかなり調整に苦心した代物でたまに故障するが、サイコブラスターが故障したという話は出てこない*3ので完成度が上の可能性も有り得なくはない。
また、ヴァルシオーネは後にリューネが本格的に錬金術系統の技術を取り入れて改造しているが、その改造に普通に対応できるようになっていたわけで…ホントなんでもありだな、この人。

ただそんな彼にも欠点がある。それは力による解決を第一とすること。力が全てと語る程、傲慢ではないが、一番重要視しているのは力である点がある。
異星人に対する襲来の防止や打開策、なによりも地球を守る大義としてDCを設立したが、その急激な戦力拡大と世界のバランスを崩す危険性から連邦と全面対決することになった。

保身を優先して異星人への降伏を秘密裏に進めていたEOT特別審議会や当時の連邦政府高官に一番の問題があったのは間違いない。
しかしそれで連邦と足並みを揃えずに、自分たちこそが「地球圏の守護者である」と主張して、地球統一宣言を宣告し全面戦争まで至ったのは、確かに傲慢と言われても仕方ない部分がある。
特に娘のリューネから、この性格と考えが問題視され、ビアンの主義主張が受け入れられずに、彼女が離れて行ってしまった経緯がある。
その代わり自身が力での解決を選んだ以上、別の力で破られることも考慮しており「自身とDCが別の勢力に敗れたのなら、その勝者である勢力が地球圏を守ればいい」として、
自らにも弱肉強食の掟を当てはめ権力には固執しない、ある意味潔さも持ち合わせている。

また彼が力による解決を尊ぶのは「どのような脅威が迫ろうとも力を以て打ち払う」という考えが根底にあるためである。
事実、α世界の宇宙怪獣やOG世界のルイーナなどはどう見ても降伏という手段が通用しない敵性集団であり、抗戦による撃退が達成されているため、ビアンの主張にも大いに理があることが分かる。

最終的にほとんどの作品で、その過激な思想から自軍と対立。雌雄を決して敗北、戦死するという流れである。また彼に介錯をするのはマサキというのが公式の流れ。
ただビアンのカリスマと手腕が高すぎる故に、ビアン存命まで派手に動けなかった俗物が、DC残党となり世界の平和に仇名すという流れが出来る。
また私利私欲ではないものの、ビアンの主義主張を拡大解釈して、連邦に敵対するという構図もある。
実際には、ビアンは自身を葬る程の強者が出て来たら、その時点で彼らに後を託して舞台から退き、DCも解散させる考えだったようである。

家族には、上記に挙げた一人娘のリューネがいる。リューネ自身、ビアンの主義には賛同出来ないものの、父としては慕っていた。
ビアンはリューネのお転婆に手を焼きつつも、ヴァルシオンを「ダサい」と言い切った彼女のためにヴァルシオーネを開発する程の親バカである。

だが、只の親バカではない。実はリューネはヴァルシオンの正規パイロットとして、ビアンに幼少の頃から猛特訓を受けた経緯がある。
それこそ虐待まがいの特訓内容だが、幸か不幸かリューネはこの特訓に文句や挫折どころか、完璧以上に熟す程の素質と才能があった。

結果、訓練を終えたリューネは人外染みた身体能力を手に入れることになったのである。(具体的には、両腕に片方5kgのパワーリストを普段から身に着け、チタン製のそれで銃弾を弾き、挙句にヴォルクルス教団暗殺者だったガエンに「化け物」と言わしめる程)
このような経緯からか、お転婆になったリューネにもある程度寛容で親バカ、頭が上がらないのである。(もしくは、単純に怪物クラスの力がある娘が怖かったか…)

□各作品の活躍

●旧シリーズ

第2次スーパーロボット大戦が初登場作品。第2次から人物が登場するようになったので、彼がスパロボシリーズの元祖ラスボスといっても良いだろう。
上記にも挙げたが、異星人の脅威に備えるため、DCを設立。自軍と敵対する。これが後に「DC戦争」とも呼ばれる戦乱である。

しかしDCのメンツはザビ家にカロッゾ、シロッコ、挙句にDrヘルがいる等、文字通りのごった煮である。ビアンが生きていた時は手綱を握っていた*4が、彼が戦死したことで、一気に瓦解。
様々な勢力に分かれて、DC残党として暗躍。これが最後のF完結編まで、尾を引くことになる。
実は第2次では敵はこのDCしかおらず、その後の旧シリーズでも、長きに渡ってDC残党が暗躍する事になる。

●αシリーズ

本作でも地球の総力を結集しての防衛準備を提案している。ただ他のシリーズと一番違う点は、ビアンの主張がマクロスという動かぬ証拠により連邦政府に受け入れられたため、連邦に敵対しない。
DCは地球連邦の下部組織という設定である。その後はリューネと共に木星へと向かうが、途中に事故が起こり、行方不明となる。

リューネと違い、αシリーズは設定だけで登場しないと思われたが、第3次α終盤のワンシーンにサプライズ出演。旧シリーズでビアンを知るプレイヤーを驚かせた。そもそも、αシリーズでは外伝以降「魔装機神」も登場していないのでなおのこと。
旧作と違い、割と温厚な物腰だが、心中で呟いた「若者達よ…その手で未来をつかみとれ…そう…力尽くでだ…」という発言から、力を重要視している点は、良くも悪くも変わっていないようである。

最後まで生還する形にはなったが、生き別れになってしまったリューネはラ・ギアスに旅立ったまま帰ってこない可能性が高いのでその辺りはちょっと可哀想ではある。

●OGシリーズ

主な設定は第2次をベースにしている。今作はマイヤー・V・ブランシュタイン率いるコロニー統合軍(ビアンとマイヤーの思想に共鳴し、反旗を翻した地球連邦の宇宙軍)と結託。
地上はビアン率いるDC、宇宙はマイヤー率いる統合軍との戦いとなる。

当初は新兵器AM(アーマードモジュール)を用いた電撃作戦により地球連邦軍を圧倒していた。しかし特に重要な拠点は軍事がわかる者なら一目で不自然とわかるほどに放置しており、そのことに加え物量で上回る連邦軍を押し切ることが出来ず、硬直状態になる。
最後は降下してくるコロニー統合軍と協力して、連邦政府を落とそうと画策するが、DC本拠地であるアウドネウス島にハガネが単艦での奇襲、同時に宇宙でも降下前にヒリュウ改が統合軍に攻め込んで来る。

激戦の果てにハガネ部隊によってDCは劣勢に陥り、最終的に総帥ビアンがマサキの手により戦死することになった。同時に宇宙の方の統合軍もヒリュウ改に敗北、マイヤーは死亡。
これによりDC戦争は終わりを迎えたが、ビアン本人のDC戦争の目的である「来るべき異星人への対抗手段」としては、連邦軍の重要拠点とDC戦力の温存、
L5戦役にて「地球圏対異星人」の構図になるほどに統合が成功、PT、AM両シリーズの生産ラインの確保や製造、操縦技術の進歩など、自身の敗北という無念を残しつつも成功した。
ただし残されたDC残党は、負け戦も見込んでいたなどとは(ほとんどが)思ってもおらず、L5戦役前に当然のごとく残党が雪辱戦を挑んでくる。
そのころにはビアン不在でタガが外れ、私利私欲に走った私兵集団の面も強くなり、そのまま崩壊。
尤も、自身の死後にタガが外れる事はきっちり想定しており、DCのアジトの情報をヴァルシオーネに仕込んでいた。
インスペクター事件前には比較的ビアン博士の思想に忠実だったバン・バ・チュンによりノイエDCが再結成されることにもなったが、やはり不穏な動機を持っていた者も多く、
組織内ではむしろ穏健派だったバンはインスペクターと内通したシャドウミラーの暗躍によって抹殺され、残った勢力も一部はハガネ・ヒリュウ改に合流し、当時の最大勢力だったアースクレイドルの一派はクロガネ部隊により掃討され、
その後も残った者達が何度かゲリラ的な戦いを連邦に仕掛けていくが、結局崩壊の一路を辿ることとなる。

後にヴァルシオーネだけでなく、DGGシリーズもビアンが開発したと発覚。
しかもジ・インスペクターでは、ダイゼンガーのDMLがまさかのwiiリモコン、長年疑問だったトロンべ(アウセンザイター)驚きの変形機構、最終話でヴァルシオーネのクロスマッシャー使用時にリューネが脱ぐといった偉業(?)から「ビアンは(いい意味で)アホだな」「いや世紀の天才だろ」「さすが博士、ロマンが分かってる」「総帥GJ」等の評価をプレイヤーや視聴者から頂くことになった。
そして第二次OGでイティイティ島の秘密基地設計にも携わっていたことが判明して、宿敵だったリュウセイやマサキにすら「あのオッサンの好きそうなこと」という評価を貰うことになった。

□余談

最新作のスパロボ30では、主要人物兼指揮官であるミツバ・グレイヴァレーが「地球統一」を掲げて、「必要なら世界征服をすることになっても構わない」とビアンと似たような思想を連邦軍に所属しながら考えている。

ただ彼女の場合、ビアン程の優秀さも覚悟もない。しかしそれが功を奏し、自分に足りないものは、他者に求めて相談する聡明さを持ち合わせている。
尚且つ何事も懸命に取り組む様が信頼を得て、結果的に多くの仲間が彼女の下に集う。(まあ実戦経験のない一軍人の彼女がいきなり指揮官となり、建前とはいえ「地球統一」を掲げるのは、十分おかしいことではあるが…)

また武力も「地球統一」も平和を手にするまでの過程であり、力で「平和」を維持しようという程、傲慢ではない。ある意味、ビアンがマイルドになったような好例である。
コンバトラーVの四ッ谷博士と彼女の会話は、まさに平和を手にするまでに必要なことと、それを維持するにはどうすれば良いかのビアンと似て非なる「彼女の答え」が聞ける場面である。



「だ、だが‥‥いいか、これだけは忘れるな‥‥。たとえ、どんな記事でも、追記、修正のときは必ずやってくる‥‥‥やがて来る脅威に立ち向かうのは、お前たちの若い力だ。」

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最終更新:2023年12月09日 20:13

*1 この設定ですら明かされたのは近年で、それまでは完全独力と思われていた。怖い。

*2 完全独力だと怖いとしたのは、サイフラッシュの実物を見てからサイコブラスターを完成させてヴァルシオーネに搭載するまでの時間的余裕は殆どないであろうと見られていたため。

*3 それどころかF完ではサイフラッシュの修理にサイコブラスター用のスペアパーツが使われた

*4 シロッコは下剋上を狙っていたが見抜かれており失敗。