Alien:Blackout

登録日:2022/08/24 Wed 20:24:09
更新日:2023/08/11 Fri 04:51:11
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…電力が尽きてしまう前に 君は生き残れるか?

『Alien:Blackout』とは2019年に制作されたスマホアプリ。
対応プラットフォームはAndroidとiOS。開発はFoxNext、配信元は「D3 Go!」。日本語翻訳は字幕のみ。
価格は税込600円で買い切り型。120円でセールしている時もある。追加課金要素はない。
超人気作である映画エイリアンを題材にしたサバイバルホラーで、設定的には1と2の間に相当する。
Alien: Isolation』の後日談でもあり、セバストポリで起きた事件の話など前作を知っているプレイヤーはニヤリとするだろう。
もっとも前作を知らなくてもゲームとして遊ぶ分には特に問題はない。


概要


本作の特徴は「ブラックアウト」…すなわち電源喪失が迫る廃ステーションで、如何に残りの電力を駆使するかがメインとなる。
電力を使い過ぎれば文字通りブラックアウトし、迫りくるエイリアンから身を守る術を失う。制限時間は1ステージたったの8分。
プレイヤーは管理室ダクト奥に閉じ込められたアマンダとして、運悪くステーションに辿り着いたクルー達をエイリアンから守り脱出を目指す。
ただしエイリアンが襲うのはクルー達だけではなく、アマンダもその標的の一人である。

ゲームの特徴

クルー達を無事にマップ内のチェックポイントへと導くことがクリア条件。操作はリアルタイムストラテジー(RTS)に近い。
指示を与えたいクルーをマップ上で選んで、向かうべきチェックポイントをタップしたり、スワイプで移動ルートを示したりといった形で行う。
ステージに参加するクルーが生存していれば、複数のクルーに異なる移動ルートを指示する事も可能。
チェックポイントが複数ある場合、異なるチェックポイントにクルーを並行して向かわせることもできる。
また一人が囮になり、走る音でエイリアンを引き寄せて安全地帯に引き籠るなどもできる。

アマンダが死ぬかクルーが全滅するとゲームオーバー。
制限時間が過ぎても即ゲームオーバーではないが、ブラックアウト後はほぼ全滅が確定するので同じ。
クルーが死んだとしても全滅しない限りはゲームオーバーにならず、死んだ状態で次のステージに続く。
しかし後半になると目標も増え同時進行が必要なため、クルーの数が減った状態では難易度が上がる。
ただし制限時間内に最終チェックポイントに生存者が全員到達しなければならないため、指示するクルーが多いほど管理は難しくなる。
全7階層のステージでパーツを集め船を修理し、エイリアンとユタニ社の陰謀から逃れればエンディングとなる。
尚、生存者が減るごとにシナリオは短くなり、このステーションで起きた事件の真相からは遠ざかる。

また、本作では特に『音』に注意しなければならない。
クルーのリアクションを聞いていれば、近くにエイリアンがいそうかどうかが分かる。
耳を凝らして自分のいるダクト内のエイリアンの音が近づいてきていたら、即座にコンソールから目を離して自分の近くのダクトを見張る。
こうして目と耳を最大限に活かして、常にエイリアンの位置を察知する事が求められる。よって可能な限りヘッドホンかイヤホンでのプレイ推奨。
尚、会話は次の目的を知る為にも重要。英語が分からず字幕頼りなプレイヤーには厳しい仕様。
やる事やストーリーを理解しようと字幕を追って、エイリアンの挙動を見落とさないように。

ちなみにチュートリアルやコマンドの説明はほぼないので、ゲームをやりながら覚えるしかない。
(一応オプションから一枚絵の簡素な操作方法が見れる)

ストーリー

時代は前作『Alien: Isolation』から引き続き2137年12月頃。
舞台となるのはウェイランド・ユタニ社が所有する破損した宇宙ステーション、『メンデル研究ステーション』。
アマンダ・リプリーはステーション内部にある管理パネルから、救難信号と警告メッセージを発信していた。
そこへUSCSSの宇宙船がドッキングし、その乗員クルー達がステーション内に入ってくる。
アマンダは自分の救難と警告を受け取った救助隊だと思ったが、彼らは船が破損した為に立ち寄っただけだった。
話をしていると突然クルー達の目の前にエイリアンがダクトから降りてきて襲い掛かる。
だが間一髪、アマンダが隔壁を閉めて救助に成功。化け物を見て事態を理解したクルー達はアマンダに協力を申し出る。
クルー達は船さえ修理出来たら一緒に乗せてくれると約束し、アマンダは彼らと協力して脱出を図る。

登場人物(生存者)

Amanda Ripley(アマンダ・リプリー)

ゲーム中での表記は「AMANDA」
前作で救助されたかと思ったら、突然何の説明もなく宇宙ステーションに閉じ込められてた我らが主人公。
主人公だがアマンダに出来ることはステーション内の動体探知機、監視カメラのチェック、扉の開閉、NPCへの指示のみ。
それも「止まれ」「隠れろ(⇔出てこい)」「急げ(⇔こっそりと)」という漠然とした指示しかできない。

彼女以外に宇宙ステーションに生存者はおらず、ステーションの制御管理室で救助を待ちわびていた。
劇中ではダクトから入れるメンテナンス用のアクセスポイントに陣取っている。
アクセスポイントに吊り下げられていた小さいコンソールでステーション内を操作しているが、それ以外何も持ち物がない。
尚、アクセスポイントのシャッターを閉めるとエイリアンから身を守れるが、全ての接続が切れてしまうので閉めっぱなしにはできない。
ステージが進むごとに繋がっているダクトの数が増えていき、最後の方はどこから襲ってくるのかもはや運ゲーの域。

クルーが死ぬと大体全責任を負わされ、怒りの矛先を向けられる。当然と言えば当然だがつらい。
エイリアンから逃れ、シャトルで脱出した後はコロニーに向かったが、地球に行きたいと願っている。

Naoko Yutani(ナオコ・ユタニ)

ゲーム中での表記は「YUTANI」
USCSSハルディン号に乗っていたユタニ社のエグゼクティブディレクター(常務取締役)。
アマンダの救難信号を受けてステーションにやって来たのではなく、船が破損したので修理する為に立ち寄っただけ。
湯谷の姓を名乗っているが、現ユタニ社のCEO*1の2番目の従兄弟であり、そこまで偉くはないとのこと。
実際エイリアンの存在も知らず、前作の宇宙ステーションの出来事の真相も知らされていない。
多くの責任を負う強力な名前である事を理解した上で、その名を利用して有利に立ち回ったりもしている。
部下思いであり、冷静な女性。ソーンクロフトの事は今世紀最大の頭脳と絶賛している。

Miwa Saito(サイトウ)

ゲーム中での表記は「SAITO」。本名、ミワ・サイトウ。USCSSハルディン号のパイロット。
帽子をかぶった元海兵隊で、悲惨な状況でも前向きでいようとする自信に満ちた勇気のある女性。
パルスライフルも使えるらしいが、ステーションの警備隊の死体を見て何の役にも立たないと推測した。

Dougal Studwick(スタッドウィック)

ゲーム中での表記は「STUDWICK」。本名、ドゥーガル・スタッドウィック。ハゲのエンジニア。
チーフエンジニアになることもできたが事務処理が嫌で、汚い職場の方がマシと言っている。
サイトウとは付き合いが長いのか、お互いの事は「ミワ」「ドゥーガル」と下の名前で呼び合っている。
うまくゲームが理解できてないと、こいつかサイトウが最初の被害者になる。
ちなみに彼らは船の乗組員で、ナオコと下記のソーンクロフトは客員。
両親はカンパニーのせいで有毒の廃棄物の中に埋め込まれたと愚痴っていた。

Andrew Thorncroft(ソーンクロフト)

ゲーム中での表記は「THORNCROFT」。本名、アンドリュー・ソーンクロフト。
ウェイランド・ユタニ社の科学研究者で、16歳の時からユタニ社で働いている。
彼から見てもこの研究ステーションの設備は素晴らしいとのこと。冷静で口数が少ない。

非登場人物

GREG(グレッグ)

メンデルステーションに元々いた人物で、工学ベイにあった予備のCO2吸着装置を回収した。
わざわざそのことをメモに書いて残しているので、回収したのはパニックの前だったのかもしれない。
ゲーム中で数少ない、クルー以外に名前の判明している人間。

PEMBROKE(ペンブローク)

メンデルステーションに元々いた人物で、IDはMDL37231。すでに死んでいる。
彼の遺体袋からステーション内の設備クルーIDを回収することで、クルー用のアクセス権限が手に入る。

登場非人物

エイリアン

シリーズを代表するモンスター。Alien: Isolationのアセットを利用しているので見た目は同じ。
どこから来たのか不明だが、アマンダが閉じ込められた宇宙ステーションの住人を皆殺しにしてなお徘徊中。
もっとも全滅したのはこいつ一匹のせいではなく、パニックが主な原因らしい。
初っ端から入り口付近におり、やってきたクルー達に説明不要の脅威を伝える。
本作ではクルー達を襲うのはもちろんの事、ダクトを通って管理室で指示するアマンダの事も襲ってくる。
そのため指示に専念してたらダクトからこんにちわされて死亡、などという事も日常茶飯事。
しかもこのゲームのシステム上、エイリアンの位置は常に特定できない。
住人を皆殺しにしている辺り、アイソレーションゼノモーフとは違いエッグを作ったりはしないらしい。
ダクトから通路に出てくるのにも手間取りがちなので、ダクト内にいるならクルー達を走らせるのも手。
とはいえ動き自体は俊敏であり、もちろんクルーが捕まれば即死。火炎放射器もないので隠れてやり過ごす以外の対処法はない。

システム・マシン

USCSSハルディン

ウェイランド・ユタニが所有、運営するSクラスの商用貨物船シャトル。
事故で損傷を受けており、内部の酸素もわずかで新品のCO2吸着装置をつけても半日ももたない状態。
この船を修理して脱出する為にステーション内を探索しパーツを集める。
修理後に脱出、生産コロニーKOI-125.01を目指す。ちなみにコロニーまでの距離は約3日。

メンデル研究ステーション

ウェイランド・ユタニ社が所有する研究を目的とした宇宙ステーション。
移民居住用に作られたものではないため、そこまで広くはなく、施設や設備も研究用のものが多い。
エイリアンに襲われた生存者達が撃ちまくった弾で電気系統が破損し、電力不足になっている。
外部ソーラーパネルで電力をぎりぎり維持しているが、7分ごとに再チャージが必要な状況。
内部では研究中の何かが漏れ出したのか、菌糸類で覆い尽くされてしまったエリアもある。

ステーションマップ

ゲームのメイン画面ともいえる二次元方式のリアルタイムマップ。そのステージ全体を表示する。
アマンダの主観視点の状態からは、視界にあるコンソールをタップするとこの画面に移れる。
逆にコンソールからアマンダの視点へ変更する場合は、マップ画面下をタップする。
監視カメラの画面からマップに変更する場合はミニマップをタップする。

ダクト内にいる黄色いがアマンダ、白い○はクルー。クルーの○の周りに赤いサインが出たら、その方向にエイリアンがいる。
エイリアンが近くのダクト内で動いていれば、その付近のクルーには音で大体の位置分かるので動きが読みやすい。
複数クルーがいるならダクト付近で隠れて待機させれば、カメラや探知機の範囲外でのエイリアンの動きを把握しやすい。
…もちろんエイリアンの近くに待機するわけで、監視役のクルーには死の危険が付きまとうが*3

基本的にクルー達はステージ目的に従って動くが、マップ上でタップし目的地を選んだりスワイプで移動ルートを指定する事もできる。
またクルー達はバイタルサインで生命状態が表示されているが、エイリアンに捕まれば即死なので特に意味はない。
クルーの名前の横にあるパネルから「止まれ」「隠れろ」「急げ」という指示を出せる*4
  • 止まれ:その場に留まる。進行方向にエイリアンがいる場合に使う。
  • 隠れろ:その近くにある遮蔽物に隠れる。遮蔽物がない場合…お察しください。
  • 急げ:元々目指していた方向、もしくは指示した方向に走る。死亡フラグ。
「少し戻って隠れろ」みたいな細かい指示が出せないので、隠れようとしてエイリアンのいる方に行ってしまう事もある。
またエイリアンに発見されたクルーはパニック状態になり、指示する場合も一度のタップでは反応しない事も多く、咄嗟の対応が難しい。
ステージが進むとアマンダもダクトから出て室内から指示を出すようになるが、侵入口が増えるため当然危険度も上がる。
エイリアンとクルーの位置が離れている時は、むしろ急いで走らせた方がいい場合もある。

監視カメラ

ステーション内に点在している固定の監視カメラ。画面は暗く非常に見づらい。一部は首振りしているものもある。
動体探知エリアがない場所では、この監視カメラによる目視でしかエイリアンの動向は確認できない。
もしもエイリアンがダクトに入ったのが見えたら…クルーより自分の心配をした方がいいかも。
監視カメラ使用中もミニマップが表示されるが、カメラの死角も多く物陰の向こうは見えない。
また、ミニマップから他のカメラに直接変更する事も出来ない。(一度上記の全体マップにしてから)
クルーの姿を追いかけるより、クルーの行く先のカメラをチェックするのが鉄則。
ちなみに何らかの磁場や放射線を発しているのか、エイリアンが近づくと画面がチラつく事がある。

モーショントラッカー

ステーション内の一部に設置されている動体探知機。作動させるのに電力を必要とする。
感知できるのは動体探知エリア(MAP表示中の黄色いエリア)だけ。ダクト内は探知できない。
ちなみに探知していた動体が立ち止まったとしても表示が消えたりはしない。
エリア内にエイリアンが侵入するとマップ上に赤い●で表示される。
探知機にもカメラにもエイリアンを確認できないのであれば、その両方の探知エリア外にいるという事。
…今すぐ目の前のダクトを警戒しろーッ!

隔壁扉

ステーション内の隔壁扉。扉の開閉でエイリアンを〆だす事ができる。
エイリアンが扉をぶっ壊してきたりはしない。当然、これを操作するのにも電力が必要。
扉の開閉音にエイリアンが反応することがあるので、電力の余裕があるならクルーを助ける為に気を惹く事もできる。
ダクトのない部屋にエイリアンを閉じ込められれば安全に探索できるが…。
後で閉じ込めた部屋に目的の物があったとかになると絶望しかない。

モーショントラッカーと隔壁扉は、5つに割り振ることができる共通の電力で作動している。
これを使い切るとステージの明かりまで消え、音で探知するエイリアンにとって格好の狩り場と化す。
基本的にモーショントラッカーを維持しながら、隔壁扉は必要最低限の操作で済まさなければクリアは難しい。
後半は不必要になった区画のトラッカーを切ったりして、音とクルーからの情報を頼りにしなければならない。

余談

ジョシュ・オースティンは本作をエイリアン:コヴェナントでのラストシーンにインスパイアを受けて作ったと話している。
「デヴィッドが隔壁を閉めてエイリアンを閉じ込めるシーンを知っていますか?私は思った、これは非常に楽しいメカニズムになるだろう」

公式発表時に「Alien: Isolation」のファンから、続編がアプリゲームである事から不平不満が続出していた。
D3 Go!の公式YouTubeチャンネルのPVにもその様子が見て取れる。
あまりに発表時の評判が悪かったため、FoxNext社は本作はアイソレーションの直接の続編ではなく、あれから数日後に発生した事件というテイに変更している*5
実際に正式ストーリーはなく、あくまでも番外編であるとされている。

追記・編集は今度こそ無事に故郷に帰れたらお願いします。

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最終更新:2023年08月11日 04:51

*1 ナオコは「彼女」と呼んでいるので、この時の現CEOは女性だったのだろう

*2 アマンダによると「(ユタニ社により)ここ(ステーション)で問題なく生まれた」と語っているのでエッグやフェイスハガーの可能性もあるが、前作の状況から考えればそもそもアマンダの至近距離にいた「アイツ」しか残っていない。

*3 しかもミッションは生存クルー全員が指定のチェックポイントに到達するのがクリア条件。よってこのテクニックを使うと、監視役クルーは最後に残って一人だけで、カメラや探知機の範囲外からのスタートになる。がんばれ。

*4 尚、非常に確認しづらいがパネルの記号がそのクルーの状況を表している。例えば「>」ならこっそり歩いている、「≫」なら急いで走っているなど。

*5 元々は前作から二年後に起きた事件にする予定だったらしい