登録日:2022/09/25 Sun 19:32:01
更新日:2025/02/19 Wed 10:51:34
所要時間:約 12 分で読めま~す!
電車ってすごいよね!
たくさんの人が乗れるんだよね!
運転してみたいなぁ~!
ちびっこ電車に乗れば、電車の運転を覚えられるよ!
大きくなったら、運転士さんになれるかもね!
『ちびっこ電車 ドアがひらきま~す』とは2004年より遊具製造メーカーのホープより発売された業務用電動遊具(キディライド)である。
正式名称で言われてもピンと来ないかもしれないが、ゲーセンや遊園地でたまに見かける「わんぱく線」と書かれた電車の遊具と言えば伝わるだろうか。正式名称が筐体には書かれていないこともあり、この遊具は「わんぱく線」と呼ばれることが多い。むしろ正式名称を知る人の方が少ないと思う。
概要
『ちびっこ交通(バス)』と『ちびっこワゴン(ホンダ ステップワゴン)』に次ぐホープのリアル系キディライド第三弾。
上述の通り電車の遊具であり、指定された金額分100円玉を投入することで一定時間ライドが揺れたりサウンドが流れたりし、電車の運転士になりきって遊ぶことが出来る。主にゲームセンターや遊園地のゲームコーナーに設置されている。それなりの数製造され、日本各地に設置されたが2022年現在から見て稼働開始から18年は経過しており、その上開発元のホープが2017年に倒産しているため現在は最盛期と比べ見かける機会は減っている。
それでも後述するように従来のキディライドには無い多くの特徴から未だに人気は根強い。
仕様
メーカー |
ホープ |
サイズ |
横幅1084mm×高さ1757mm×奥行き1755mm |
重量 |
245kg |
電圧/消費電力 |
100V/220W |
乗車定員 |
4人(運転士役2人、乗客役2人) |
外装
遊具として多少デフォルメされているが、その外見は205系そのもの。
デフォルメされているといっても「シルバーの車体」・「
アシンメトリーな前面窓」・「丸い前照灯と尾灯」・「路線を示す帯」と205系の特徴をしっかり掴んでおり、本物の205系を見たことがある人なら一目見て同じ車両であると分かるだろう。
そのため、(前述のバスとワゴンもだが)
キディライドとしては非常にクオリティが高いのである。
あまり注目されないからか他社及びホープの過去の製品ではコスト削減等のためのっぺりとした造形になったり省略されたりしがちであった台車周りや乗務員扉、屋根上のクーラー、妻面に連結器周りといった点も抜かりなく作り込まれており、後述の内装も含め決して子供だましに留めないという開発者の熱意が伝わる。
数少ない造形ミス(?)は戸袋周りと妻面で、
本来205系には存在しない戸袋窓と妻面の窓が存在するという実車との大きな相違点が存在してしまっている。まぁ普通に遊ぶ分には気にならないが。
また、行先表示器(方向幕)には「わんぱく線」と書かれており、運行番号表示器には「205」と表示されている。
JRの許諾を得ているため、前面と側面にはちゃんと「JR」のロゴがある。
詳細は205系の項目に譲るが、205系とはかつて日本国有鉄道(国鉄)が首都圏と京阪神地区向けに開発し
JR東日本と
JR西日本に継承された通勤型電車で、今でこそ第一線を退き活躍の場は減っているも、本製品が作られた2000年代前半では首都圏の通勤電車を代表する存在であった。通勤型電車とは他のキディライドのモチーフとして主流だった新幹線や
蒸気機関車と比べ華の無い存在であるも、日常生活に強く結び付いた身近な存在であるため205系がキディライドのモチーフとして選ばれたのであろう。
カラーバリエーションも存在し、帯の色は
山手線カラーの
ウグイス色、
京浜東北線カラーの
スカイブルー、
京葉線カラーの
ワインレッドの三種類が発売。違いは外見だけであり、サウンドやギミック等の性能的な違いは無い。
ドアの右下には「クハ205-○○」と車両番号が書かれているのだが、これらは全て実在した車両であり、その上基本的にその車両が運用されていた路線のカラーときちんと一致しているのだ。
クハ205-10を含む編成(ヤテ10編成)は製造時より山手線で運用されていたが2004年に当時の新型車両E231系500番台への置き換えで
武蔵野線へ転属(ヤテ10→ケヨM17)。2020年には武蔵野線での運用を終え、その後はインドネシア ジャカルタの鉄道事業者である
KRLジャボタベックに譲渡され現在はそこで活躍している。
つまり本製品は丁度山手線の205系の置き換えが進行している時期に発売されていたのである。
クハ205-104を含む編成(ウラ1編成)は製造時より京浜東北線で運用されていたが1993年に京浜東北線から撤退。撤退後は武蔵野線へ転属(ウラ1→トタE39)。2004年には京葉車両センターへ異動(トタE39→ケヨM1)し2019年まで運用された。その後はインドネシアへ譲渡された。
205系の京浜東北線からの撤退はかなり早く、本製品発売前の1996年には京浜東北線用205系全編成が京浜東北線での運用を終了している。
尚京浜東北線用の205系はスカート(排障器)を装備していなかったが本製品では金型の都合上スカートが付いている。
クハ205-14を含む編成(ヤテ14編成)は元々は山手線用編成だったが、2005年に武蔵野線へ転属(トウ14→ケヨM32)。こちらも2019年の引退後はインドネシアに譲渡された。
武蔵野線の車両が京葉線に乗り入れる運用もあるので確かにこの車両を含む編成は京葉線で運用されたことがあるのだが、実はこの車両がワインレッドになったことは一度も無い。
最初に京葉線に投入された205系は京葉線用に新造された前面形状が異なるタイプで、2002年からは基本タイプのものが山手線や中央・総武緩行線からの転入で京葉線にも投入されている。何故これだけ実際の塗装と番号が一致していないのかは不明。
なので今となっては実車を見たければ日本を飛び出しインドネシアに行くしかない。
これまで特定の編成を「ヤテ10」などと表記したが、この片仮名は車両の配属場所や運用路線を示している。具体的な意味は以下の通り。
- ヤテ…山手電車区(現:東京総合車両センター)
- ケヨM…京葉車両センター(武蔵野線用車両)
- ウラ…浦和電車区(現:さいたま車両センター)
- トタE…豊田電車区(武蔵野線用車両)(現:豊田車両センター)
- ケヨ…京葉車両センター(京葉線用車両)
- トウ…東京総合車両センター
内装
外見のクオリティ同様、内部も徹底的に作り込まれている。
運転席は二人がけで、詳細は後述するが運転台にはマスコンやブレーキハンドルが存在し、乗務中にはそれらで遊べる。
また、本製品の副題にもある通り、ドアが開閉するというギミックがあるのだ。これは従来のキディライドには無かった画期的なもので、よりリアルな鉄道体験の実現に貢献している。「プシュー」というドアエンジン特有の空気音もしっかり再現されている。但しこの開閉するドアは透明なプラスチック板に挟まれた飾りである。そのためドアに挟まれたり引き込まれたりという事故が起こることはないので安心。
車両後方には客室があり、ロングシートを縮めた一人がけシートが向かい合わせに設置されている。両親もここから列車を運転する子供を見守ることが出来る。
遊び方
わんぱく線の乗務員となったプレイヤーはマスコンやブレーキハンドルを操作し「おかのうえタウン駅」から「ワクワクこうげん駅」まで乗務することになる。
コインを投入すると車掌によるアナウンスが始まり、発車メロディーが流れた後ドアを閉めて発車。ライドが揺れ始める。
操作が出来ると言っても子供向けということもあり
これみたいに正確な操作が無いと進行出来ないのではなく、操作に応じてサウンドが流れたり計器が作動したりするのみであり適当に操作していても全く問題は無い。時間経過で車内放送が流れて行き、やがて終点に着いて終了となる。対象年齢的に
「触って反応のあるギミックが搭載されていること」に大きな意味があるのだ。
運転台は子供向け遊具ということもあり実車と比べ各種スイッチや機器はかなり省略・簡略化されているが、それでもキディライドとしては多すぎるギミック量であり、子供であれば十分楽しめる良アレンジである。
実車同様運転台は緑色。
運転台には左からマスコン・けいてきボタン・ATS等のスイッチ・ブレーキハンドル・運行ボタン・ドアボタン・表示ランプ等のスイッチ・受話器が存在し、乗務中はそれぞれ自由に操作出来る。効果は以下の通り。
また、子供向けだが一部を除き計器やスイッチ、装置の名称はほぼ実車に寄せた漢字表記である。
列車の速度を上げる。
手前に引くことが可能で、速度計もそれに応じて作動する。しかもこの速度計、針が物理的に動くタイプである。後述するようにATS装備なのにATC用速度計なのは気にしてはいけない。
実車同様120km/hが最大値。
警笛が鳴る。
鳴らしたいだけ鳴らしてどうぞ。
このボタンは電車ごっこにとって主要なギミックであるからか「警笛」ではなく「けいてき」と平仮名表記。
ちなみに実車の場合ここにはATSの確認ボタンが存在しており、警笛は足元のペダルで鳴らす。
前灯・パンタグラフ・
ATS・電源確認のスイッチ。
ONにすると上部の対応したランプが点灯する。
列車を減速させる。
操作するとそれに応じてブレーキ圧のメーターも作動する。最大15kPa。
列車の種別に応じたアナウンスが流れる。
種別は
各停と
快速の二つ。
停車駅については後述。
しかしコイン投入時点で種別は快速で固定であり、押しても上記のボイスが流れるのみで
普通列車としてのアナウンスは流れない。というか普通列車になったら所要時間伸びちゃうしね。
開閉用のドアを作動させる。
ドアの開閉音もきっちり再現されている。
これはガチャガチャ触れるだけ。
列車内の連絡用の電話機。
途中で車掌から連絡が入る。
といっても受話器自体はダミーで音声はスピーカーから出る。
ワイヤーで固定されているも長期の稼働による劣化で外れて無くなっている個体も珍しくない。
他にもステッカーによる装飾で、ダミーであるも電圧計や
車内放送用のマイクや消火器等も再現されてる。
余談だが過去のホープ製品の運転台は
電車だろうが自動車だろうがモンスターボールを正面から見たようなデザインのハンドル(勿論ダミーであり回せるだけ)が人数分付いているだけというものが殆んどだったため、これらと比べるといかに本製品のギミックが凝っているか分かるだろう。
わんぱく線
●停車
┃通過
駅名 |
各 停 |
快 速 |
おかのうえタウン |
● |
● |
なかよしパーク |
● |
┃ |
にこにこタワー |
● |
● |
ちびっこくうこう |
● |
┃ |
ワクワクこうげん |
● |
● |
快速列車は二駅通過。前述の通り各停には出来ないのでなかよしパークとちびっこくうこうの発着アナウンスは聞けず、実際に発着アナウンスが聞ける途中駅はにこにこタワーのみである。
優等列車が空港を飛ばすとはほぼ罠である。
また、高原と呼ばれる地区まで行けるためどちらかと言うと近郊路線だろうか。
なお、運転台に電光式路線図が設置されているが、モチーフは京葉線車両の運転台に設置されていた、停車駅通過防止装置だろうか。
総評
ちびっこ電車というキディライドは、様々な意味で以降のホープのキディライドとして最末期までも強い影響を与えていた製品だろう。
ちびっこ電車(と、その前に発売されたちびっこ交通・ワゴン)のシステムを発展させ採用した製品としては、キディライドにゲーム性を持たせたちびっこ路線バスや機動歩兵 K-021 アレスなどと、多数の製品がある。
子供だましと妥協せずにリアルさを追及し、それでも子供向けらしい工夫を施したホープが生み出した傑作、それがちびっこ電車 ドアがひらきま~すである。
余談
205系は様々な路線で運用されていた上に路線による主な違いが帯の色(と方向幕)のみなのでアレンジも比較的気軽なためか帯にリペイントを施している店舗もあり、非公式に
埼京線や
横浜線などのカラーも存在する。
更に発展し全く別の形式に塗り替えてしまう店舗も。
アニヲタWiki(仮)ってすごいよね!
たくさんの人が見れるんだよね!
追記・修正してみたいなぁ~!
- 今日撮って来た写真かいw ドア周りもなんとか見えて良いね -- 名無しさん (2022-09-25 22:54:02)
- この項目作成者この遊具好きすぎだろJK… -- 名無しさん (2022-09-26 18:20:04)
- 東武50000系に改造されたのもあるとか。 -- 名無しさん (2022-09-26 22:47:19)
- 愛と熱意を感じる項目だ… -- 名無しさん (2022-09-27 02:59:53)
- 優等列車って呼称を初めて知った。普通列車以外の物を指す呼称なんだね -- 名無しさん (2022-09-27 14:32:00)
- 快速が空港に止まらないとかとんでもねぇな! -- 名無しさん (2022-09-27 22:25:48)
最終更新:2025年02月19日 10:51