貞子DX(映画)

登録日:2022/11/05(土) 20:17:11
更新日:2024/09/08 Sun 01:33:28
所要時間:約 35 分で読めます







この呪いは、変異して、拡散する。





「貞子DX」(さだこでぃーえっくす)は2022年10月28日に公開された日本のホラー映画。
鈴木光司原作のホラー映画シリーズ「リング」シリーズの第9作目となる作品である。

タイトルの「DX(ディーエックス)」は「デジタルトランスフォーメーション」の略語で
デジタル技術によって生活や技術を変革していくことを意味する言葉である。
「マツコ「貞子デラックス」とは言わないので注意。



概要

前作「貞子」から3年ぶりに製作された作品。IQ200の天才女子大生が呪いのビデオの謎に迫っていく一方でビデオを見てしまった周囲の人間たちが貞子の怪異に翻弄されていく内容。
貞子3D」以降、原点回帰路線の「貞子」を除けば娯楽性に比重を置いたシリーズが続いていたリングシリーズであるが、今回は原作・ドラマシリーズが持ち合わせていたミステリー・科学要素にこれまでになかったコメディ要素を兼ね合わせた異色の作品として製作されている。(詳細は後述。)

監督は「ATARU」や「民王」、「99.9 -刑事専門弁護士-」などコメディテイストの作品を多く手掛けてきた木村ひさし。脚本には「仮面ライダー」シリーズや「エイトレンジャー」シリーズの高橋悠也、音楽は「土竜の唄 FINAL」や「大怪獣のあとしまつ」の遠藤浩二が担当している。
キャストはかつて実写版「魔女の宅急便」で主演を務めた小芝風花、ダンス&ボーカルユニット「THE RAMPAGE from EXILE TRIBE」のメンバーである川村壱馬、舞台やミュージカルで主に活躍する黒羽麻璃央と若手をメインに池内博之、八木優希、西田尚美といった俳優陣たちが出演している。おぞねせいこも小曽根叶乃という芸名に改名して今回も出てるよ!

また、2022年5月3日に亡くなった渡辺裕之氏も死去以前に本作の撮影に参加しており、本作が遺作の一つとなった。

クロスオーバーである「貞子VS伽椰子」を除けば本作はシリーズ初の原作小説の映像化ではない映画オリジナルの作品で*1、原作者の鈴木光司は「貞子VS伽椰子」のときと同様、世界観監修という形で参加している。

過去作品との繋がりに関しては1作目の「リング」から20数年後という設定。
らせん」あるいは「リング2」以降の時系列の出来事があったかどうかは作中で一切触れられないため不明である。(直近の時代の出来事である「貞子3D」以降の一連の作品は繋がってるなら何かしら触れられるはずなので少なくともそのあたりのシリーズとは別の世界観と思われる。)

上述した通り、本作は科学要素が絡んだ作品ではあるが、「らせん」やそれ以外の過去のシリーズとは違って「どうすれば死なずに済むのか」という点だけに主観を置いて物語を展開しているのが特徴。そのため貞子に関してはこれまで散々描きまくったからかほぼ掘り下げられることが無く、(ある種肝心なところともいうべき)ビデオを見ると呪われる仕組みについても触れられない。(まぁこれに関してはどうやっても荒唐無稽になるのと根本的に話の方向が変わってしまうのであえて触れなかったと思われるが)
現状と細菌の生態ロジックを参考に呪いの仕組みを全体を通して解き明かしていくという、さながらサイエンス怪奇ミステリーともいうべきものであり、原作シリーズやTVSP/連続ドラマ版のテイストに立ち返っているともいえるだろう。

そして演出面はかなりエンタメに全振りしているのが特徴。ここ数年、作品・宣伝両面で貞子はもはや親しまれるキャラクターへと変化してしまっており、恐るべき怨霊という存在で扱うには限界が来ていた面は否定できない。本作の作風はその状況を考慮した結果の開き直り方向転換だったのかもしれない。
「恐怖と笑いは紙一重」がテーマのようで、「行き過ぎた笑いが返って恐怖になってくる」という面を利用した、ホラーとユーモアが双方程々の塩梅で混じったシーンが多々出てくる。

登場人物も現実離れした者たちが多く、端末の通知音がうるさい女子大生、なにかと喚いていたり痛々しい言動をとる青年、いかにもインチキ臭そうな霊能力者、顔と声を隠した正体不明のキーパーソン、怪異に対して緊張感のない反応しかしない主人公の母...と、これまでのシリーズのイメージとは無縁そうなメンツが揃っている。柏田清司?常盤経蔵?なんのことやら
彼らのやり取りにおいてもどこか緊張感のない軽快なノリが繰り広げられる。同じく怪奇とコメディが合わさっている「TRICK」を想起させるという声も。*2

これらの要素があって過去のシリーズにはない独特な雰囲気を醸し出している。原典回帰を目指した前作と真逆の方向を行った、何かと個性派揃いの近年のシリーズにおいても際立つ異色作である。
まず正統派なホラー映画を期待すると肩透かしを喰らうことになるだろう。しかし呪いのビデオに着眼し深掘りした内容や二転三転する展開は前作とは違った形で原典をリスペクトしたものとなっており、その先にある意外な結末も新型コロナウイルスが蔓延した今の時代、同じくウイルスを扱った「リング」というメディアコンテンツ、そして「貞子」というキャラクターをフィーチャーした、ある意味で「リング」らしい結末であるという見方もできる。
原作シリーズが毎回テイストを変えていったように本作もまたタイトルの「DX」になぞらえ、「貞子」をホラーだけではない様々な可能性を秘めた一つのジャンルに変革していく宣言なのかもしれない。貞子の呪いに一つの答え・結末を示した作品としては一見の価値ある一本である。

主題歌は三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEの「REPLAY」。本作のブラックユーモアな世界観にマッチした曲になっている。

公開前には前作のノベライズを担当した牧野修によるノベライズ版が角川ホラー文庫から発売されている。






あらすじ

かつて存在した「見ると7日後に死ぬ呪いのビデオ」。その都市伝説は見ると24時間後に死ぬという内容に変化しそれによると思わしき数十件の変死事件が相次いでいた。
IQ200の天才女子大生・一条文華は呪いのビデオを特集する都市伝説番組にゲスト出演し、同じくゲスト出演している呪いを信じる霊媒師・Kenshinと呪いの存在の有無を巡って対立する。文華は収録終了後、Kenshinからビデオのコピーを渡されて謎を解き明かしてみるよう告げられる。ビデオを自宅に持ち帰るが妹の双葉がそれを見てしまう。
双葉の前には白い服に白い肌をした親戚が見えるようになり、事情を知った文華は手がかりを求めてKenshinのサロンへ向かう。
そこで彼女はビデオを見てしまいKenshinに縋っていた青年・前田王司と出会い、彼に対するKenshinのお祓いに立ち会う。
呪いが解けたと思っているKenshinと王司だったが、文華は信じず半信半疑になった王司と共に行動することになり、喫茶店、王司の自宅と場所を移して生存方法を探す。その最中で王司のタイムリミットが来てしまうのだが、どういうわけか彼は死亡しなかった。
理由を模索する中、文華がSNSでフォローしているハッカー感電ロイドの助言から「死なないためにはビデオを複数人で見る」という結論を出した文華は急いでそれを双葉に伝え助けることに成功する。
生存方法をSNSで拡散させ事件を解決したと思っていた文華だったが、それは大きな思い違いだった…。




登場人物

■一条文華(いちじょうあやか)
演:小芝風花
主人公でIQ200の天才女子大生。
呪いなどの類は一切信じずあらゆることは全て科学で解明できると信じる現実主義者。
様々な知識を持ち合わせている他、洞察力も鋭く相手の細かい行動から答えをすぐに導き出したりすることができる。
集中力を要する際は親指で耳の後ろを押す動作を行う。(耳裏のリンパを刺激するツボがあり、ここ押すことで集中力を高めることができる。決して一休さんを真似てるわけではない。)
スマホやiPadの通知音がやけにバカでかく双葉や前田からツッこまれている。
都市伝説番組で呪いのビデオの実態に関してKenshinと対立したことをきっかけにビデオの事件に巻き込まれることになる。
ビデオを見てしまった双葉を救うために奔走、生存方法を導き出し解決した…はずだったが…。
+ ネタバレ
共にビデオを見たKenshinの死亡、そして双葉の姿をした貞子を目撃したことで自説が間違っており生還したわけではないことに気づいて王司と共に真相を追い求める。
ビデオの出所である天流神社に手掛かりを求めて向かい、捜索する中彼女はビデオをもう一度見ればタイムリミットがリセットされることに気づき、神社に双葉と智恵子を呼んで全員で神社の前でビデオを再生する。タイムリミットギリギリであったために貞子に井戸に引き込まれそうになるがなんとか(一応)ビデオを最後まで視聴したため生還する。
その後は一日一回ビデオを見る習慣をせざるを得なくなり家族、王司、ロイドと共にチャットで同時視聴するなど日常ごとのようにしている。





■前田王司(まえだおうじ)
演:川村壱馬
呪いのビデオ事件に関わったことをきっかけに文華と一方的に行動を共にすることになった青年で今回の相棒枠。そしてシリーズ始まって以来のコメディリリーフ。
カッコつけで人差し指を鼻の下から耳の後ろまでスライドさせ、決め台詞のごとく臭い一言を言うのが嘘だと思いたいが癖。
また女性を初対面だろうが人の母親だろうがちゃん付けで呼び、距離感も過度に近い。さらに危険な事態になるとことあるごとに大声で驚いたり情けなく喚いたりするヘタレでもあり、冷静で頭脳明晰な文華にとっては真逆の存在で彼女を度々困惑・ドン引きさせたりすることになる。ある意味この映画で一番怖い存在。
ネットで「占いの王子様・前田王司」というキャラで人生相談の活動をする中、ビデオを見てしまった女性・愛から助けを求められ応じていたが、何の力にもなれず死なれてしまう結果に。相談を受ける中で自身もビデオを見てしまったこともありKenshinのサロンに相談に来たがすぐに会えない状況であり、愛を救えなかった後悔もあってヤケを起こし、サロンのバルコニーから飛び降りて自殺しようとしていたが文華から「飛び降りても痛いだけ」(意訳)と告げられ思い直す。
Kenshinのお祓いを受けて一度は呪いが解けたと思っていたが、文華の言動から半信半疑になり生存方法を探り続ける彼女に頼る形で行動を共にすることになる。
文華が考察を続ける中ビデオを見た時間を迎えてしまうが、死亡することはなく生存する。Kenshin、文華と共にビデオを見たことによって助かったと思われたが...。
+ ネタバレ
死ななかったのはビデオKenshinによるお祓いでもなければ文華・Kenshinと共にビデオを見たことによるものでもなく、タイムリミットが来るまでにKenshinのお祓いの際にビデオをもう一度見たことでタイムリミットがリセットされたためであった。
タイムリミットが迫る中天流神社で再三ビデオを見たことにより生存する。
その後は「占いの王子様」業をしつつ定期的に一条家、ロイドと共にチャットでビデオの同時視聴をしていたが、抜けた性格故にビデオの視聴をド忘れしていて気づいた途端に女性からの相談を一方的に切ったりビデオを巻き戻していなかったりと相変わらずのポンコツムーブを発揮していた。



■“感電ロイド”
演:黒羽麻璃央
文華がSNSでフォローしている茶とらくん正体不明の青年ハッカー。
身バレするのを避けるため、ビデオチャットする際は顔を茶とら猫の頭部の3Dモデルで隠しボイスチェンジャーで声を加工して話す。
退屈しのぎとして呪いのビデオの事件について調べており文華に助言したり映像や写真を送って手助けをする。
世の中が汚れていると感じ自宅の自室に引きこもっており、母親の用意した食事にも手をつけずにレトルト食品を食べて過ごしている。こうした生活故に健康状態も良いとはいえず時折内服薬を飲んでおり、そうした生活に文華からも「一歩踏み出せるといいですね。」と気遣われた。
+ ネタバレ
終盤、文華の言った「一歩踏み出す」ことを実践することも兼ねて外に踏み出し、身バレと「汚れ」対策で頭にはウィッグ、顔はガスマスクとゴーグル、全身は白い防護服を着た状態で天流神社で文華と王司の前に姿を現す。その見た目故に王司からは貞子と間違われた。
タイムリミットがパソコンを使って手掛かりを探すがそんな中いつものように内服薬を飲んだ行動が本当の生存方法を見つけ出す鍵となった。
クライマックスで文華たちがビデオを見ている中迫ってきた貞子に襲われてテレビから体を背けてしまっていた際には、唯一ビデオをまだ見ていなかったために何ともなく彼らの体をテレビに向けさせて助けた。
ラストでは引きこもり生活をやめて母親の用意した食事にも手をつけ「ありがとう」と感謝の言葉を述べた。一条家・王司とのビデオチャットでは「隠すことに飽きた」と素顔を見せた。




■Kenshin/天道顕真(てんどうけんしん)
演:池内博之
本やテレビ番組など様々な形で活躍している人気霊媒師。
無論呪いの類を信じており都市伝説番組で文華と共演し彼女と呪いのビデオの信憑性について対立、どこで手に入れたのかビデオのコピーを文華に渡して謎を解けるなら解いてみるよう挑戦状を突きつける。
自分のサロンへやってきた王司をビデオを見たということで先約多数の中優先的に出迎え、ビデオを再生した状態でお祓いの儀式を行う。呪いを解いたと語ったが文華によって「ビデオを複数人で見れば死なない」という答えをSNSで出され敗北、自身の評価も下がってしまった。しかしそれを見ても不気味に笑っており...?
+ ネタバレ
実は今回の事件のそもそもの元凶。
呪いのビデオはかつて先代の霊媒師であった父・流真がある一家から預かったものであり、流真が神主を務める天流神社に長年納められていたところを後年になって見つけ出して大量にコピー、それを世間にバラまいて騒動を起こすことで自分の活動の糧にしていたのである。こういった行為を平気で行うことからも分かる通り、呪いの類も一切信じていなかった。
ロイドのメッセージから真相を知った文華と王司に問い詰められても「これはエンターテイメントなんだ」と開き直って平然としていたが貞子が現れて呪いによって死亡する。彼の死亡により導き出した生存方法は間違っていることが発覚することになった。




■一条双葉(いちじょうふたば)
演:八木優希
文華の妹の女子高生。
文華が持ち帰った呪いのビデオのコピーを興味本位で見たことで残り24時間の命となってまい、近くに太平おじさんや祥子の姿をした貞子を目撃するように。
タイムリミットギリギリのところで「ビデオを複数人で見れば死なない」の推論を立てた文華から連絡が入りなんとか死を回避、助かったと思われたが...。
作中ではとにかく霊現象に疎い反応をする母・智恵子に手を焼くことになる。
+ ネタバレ
王司同様、彼女も実際は「タイムリミットまでにビデオをもう一度見た」ことでタイムリミットがリセットされただけであった。終盤、文華たちに呼ばれて智恵子と共に天流神社へ急ぎ時間切れギリギリの中ビデオを見て生存した。




■一条智恵子(いちじょうちえこ)
演:西田尚美
文華・双葉の母親。未亡人。コメディリリーフその2。
夫に先立たれてもめげずに二人の娘と平穏に過ごす優しき母。
霊現象には疎く怪現象に対して慌てふためく双葉の言葉を受けても使ってる家電が突然動かなくなったぐらいの感覚でその内容に困惑しているだけであった。
文華の推論を受けて双葉と共に呪いのビデオを見たことで双葉の呪いからの回避に成功するが...。
+ ネタバレ
呪いが解けていないことが分かり文華の連絡で双葉を連れて車で天流神社へ向かう。運転中に亡くなった夫の姿をした貞子を目撃した際は前方そっちのけで夫の存在に釘付けになっていた。なんとか文華たちと合流し時間切れギリギリの中ビデオを見て生存する。
ラストシーンでは日常的に見えるようになった義行の姿をした貞子を義行本人だと思っており怖がることなくお茶を出してもてなしていた。




■成瀬愛(なるせあい)
演:円井わん
呪いのビデオを見てしまい王司に相談をしていた女性。王司にビデオを見てもらい、「全身全霊で守る」と言われてずっと一緒に行動を共にしていたものの、そんなことに効果があるわけもなくタイムリミットが来てしまい、何かを目撃した直後首を絞められたような様子で一回転して倒れ死亡する。
死の間際には何の役に立たなかった王司を責め立てており、こうしたこともあってか王司も彼女を助けられなかったことを度々悔やんでいる。
死亡前後の様子は生還した場合のために王子によって撮影されていたようで、このときの彼女の様子がその後貞子の怪異の伏線になっている。
なお、終盤でビデオを見たのは最初の一回だけで王司が最初にビデオを見たときは顔を布団で隠して見ていなかったということがわかるのだが、これがきっかけの一つとして本当の答え」に繋がることになる。



■三浦祥子
演:吉田怜香
双葉の同級生で友人。
太平おじさんの姿をした貞子を目撃し恐怖する双葉に困惑する。



■一条義行
演:村上航
物語開始の数年前に亡くなった文華・双葉の父で智恵子の夫。
生前、文華と将棋を指す中で彼女に将来について助言しており、双葉とは彼女の幼少期に一緒に空飛ぶ亀の映画のビデオを見ていた。将棋は日課だったのか仏壇には歩兵の駒が置かれている。



■天道流真(てんどうりゅうま)
演:渡辺裕之
Kenshinの父にして天流神社の神主。故人。Kenshinが行っている霊媒師業の先代でもある。
+ ネタバレ
霊媒師業は信憑性皆無のインチキで使っている神札も子ども用の印刷機を使った代物であり依頼によるお祓いによって大金を受け取っていた。少年時代のKenshinはこうした父の行動から世の中は需要と供給であると学ぶのだが、それは「人は信じたいものであれば嘘でも金を払う」という歪んだ考えに繋がることになってしまうことに。



■ロイドの母
演:とよた真帆
ロイドの母。引きこもってる息子の部屋の前に毎日食事を運んでいるが手を付けてもらえず下げるのが日課となってしまっている。



■高坂泉(たかさかいずみ)
演:田中道子
Kenshinのサロンの受付の女性。サロンを訪れた文華からKenshinとの面会を求められるが、予約が混みあっていることに加えアポ無しで来ていたためにやや強引な態度で断る。



■間宮瑞江
演:小曽根叶乃
Kenshinのマネージャーでお祓いの際には太鼓を叩く巫女のような役割も務める女性。
儀式なのか突然王司に対して大声で何かを叫ぶなど怖い。
王司のお祓いの儀式の際は太鼓に顔を向けていたためビデオは見ていなかったと思われる。
他の時系列でも似た顔の人物が複数いるが無関係。



■ワイドショーの司会者
演:なだぎ武
呪いのビデオを特集する都市伝説番組の司会。



■文華のフォロワーたち
物語の端々で登場するSNSを日常的に利用する文華のフォロワーたち。
今時な女子高生、一児の母親、若い会社員、2ちゃんねらーっぽい中年男性の計4人が登場し、文華たちの行動によって進んでいく呪いのビデオの状況に関心を寄せる。



■ホヤぼーや
宮城県気仙沼市のマスコットキャラ。
序盤で着ぐるみがテレビ局で何度も文華と遭遇し彼女をビビらせる。
監督の木村ひさしの地元が気仙沼市であり、その縁と復興応援で登場したようだ。
なお「99.9」など他の木村監督の作品にも登場していたりする。
彼の登場で今作の作風が読めた人は多いはず。



■ふわたん
演:藤野真梨亜
テレビ局にいた某女性芸人そっくりな女性芸能人。
序盤で文華に馴れ馴れしく接し一方的に彼女と自撮りツーショットをした。
彼女の登場で(ry



■貞子(さだこ)
演:森麻里百
20数年の時を越え再び呪いのビデオで世間を騒がしている怨霊。
ビデオを見た人間のタイムリミットが迫るとその人間に近しい人物を模した姿で現れ、その度に次第に距離を詰めていき、タイムリミット目前になると髪の毛を伸ばして相手を包み込み命を落とした伊豆山中の井戸に連行、その後本来の姿で現れ髪の毛で相手の首を絞めて井戸に叩き落し殺害する...というプロセスを踏んでいる。なお、これらのプロセスは文華曰く呪いに感染した人間にしか見えない幻覚であるとのこと。
遮蔽物間を移動する際は部屋の天井から染み出てくるようにして現れる形で移動する。
途中で人物が変わる理由ははっきりしないが、双葉の場合が親戚から友人、王司の場合が元彼女から文華になったのを考えると最初は距離感が遠い人間でタイムリミットが迫ると一番近しい人間になると考えられる。
一応1作目の「リング」に登場した山村貞子と同一人物ではあるが、今回は「貞子VS伽椰子」のときと同様、名字や人物面に関しては全く語られず単なる都市伝説の怨霊ぐらいにしか扱われない。

●貞子のバリエーション

  • 貞子(太平おじさんの姿)
演:友松栄
双葉に見える姿その1。コメディリリーフその3。
不気味な見た目とぎこちない動きもあって幽霊というより不審者っぽい。
なお本物の太平おじさんは足を骨折して入院しており後に退院した。

  • 貞子(祥子の姿)
双葉に見える姿その2。公園で太平おじさんの姿から変化する形で登場。
公園から自宅まで双葉の跡をつけていき、彼女を追い詰めるがギリギリで双葉が文華が導き出した生存方法を実行したことで消える。しかし再び現れ彼女を追い詰める。

  • 貞子(流真の姿)
Kenshinに見えた姿。文華と王司に真相を語った彼の前に現れた。

  • 貞子(大野莉奈の姿)
演:奥村佳代
王司に見えた姿その1。Kenshinの死後、王司の元彼女の姿で現れ文華の自説が間違っていることが確信に向かうことに。元彼女の姿に見えたあたり王司が未練タラタラなのがうかがえる。

  • 貞子(文華の姿)
王司に見えた姿その2。タイミリットが迫る中現れ、王司が文華に気があるのが丸分かりに。ことを知った本物からは案の定引かれた。

  • 貞子(智恵子の姿)
文華に見えた姿その1。王司が元カノの姿の貞子を見た直後、文華も母の姿の貞子を目撃することに。

  • 貞子(双葉の姿)
文華に見えた姿その2。タイムリミットが迫る中出現。

  • 貞子(義行の姿)
智恵子に見えた姿。コメディリリーフその4
車を運転中の智恵子が目撃し釘付けさせており、「最後まで」夫扱いされていた。
車のバックドアガラスに張り付くなど他の貞子に比べてアグレッシブ。






登場する用語・場所


■呪いのビデオ
貞子が生み出し20年程前に連続変死事件を起こした映像とそれを記録したVHSテープ。
当時の噂では伊豆にあった絶滅寸前の天然痘と貞子の呪いが合わさったもののようで、見ると7日後に死亡し、助かるにはコピーして他の人に見せれば助かるということだった。
そして現在になって再び各地で事件を引き起こしており時間は24時間に短縮されているといった「変異」を起こしている。
映像も全く異なったものとなり、井戸を何者かが這い上がる様子がその人物の視点と思わしきアングルで映しだされ、しばらくして井戸を這い上がりきるとリアルタイムでビデオを見ている人間がいる建物...というよりはビデオを見ている人物を遠くから写した様子が映し出され、少しずつ近づいていく途中で映像が終了する...という内容になっている。
何者かがコピーしたものを闇サイトで商品の一つとして出品しており、劇中では文華がKenshinから渡されたコピーと王司が愛から受け取ったコピー、ロイドが闇サイトから購入していたコピー、そして中盤で登場、20年前から存在している古びていて一部が歪んでいるオリジナルのテープの合計4つが登場した。
なお劇場パンフレットはこのオリジナルテープの見た目を模しているのだが背ラベル部分には「copy」と書かれており、オリジナルとしているこのテープもコピーの一つに過ぎないことがうかがえる。
天然痘の関与の噂から呪いの正体はウイルスで呪いの変化も時代に合わせたものであると文華に推測され、ビデオを見て死んだ愛と生存した王司の相違点が「ビデオを複数人で見た」ことからウイルスが分散して致死レベルが下がったとして「ビデオを複数人で見れば死なない」という説が立てられ、SNSで拡散される。しかし事態はこれで完了せず...
+ ネタバレ
ビデオはかつての事件が起きていた頃にある一家からKenshinの実家である天流神社に渡って納められていたものであり、現在になりKenshinによって大量にコピーされ闇サイトでバラまかれたというのが現代に復活した経緯であった。
映像の内容やタイムリミットの変化もこのコピーの過程で起きたものと思われる。
さらに、複数人でビデオを見ていたKenshinの死亡から上記の説は間違っていたことが発覚したうえ、その説を信じて安心してしまったのかビデオの映像もネットで拡散されてしまっていた。
本当の生存方法を探す文華たちは終盤、合流したロイドの内服薬を定期的に飲む習慣からある人体のメカニズムを思い出し、さらにビデオを見てタイムリミットを過ぎて死んだ愛・Kenshinと生存した王司・双葉の相違点に気づき、「本当の死の回避回避方法」を導き出すことになる。

+ 本当の生存方法
愛・Kenshinと王司・双葉のビデオに対する行動の相違点は「タイムリミットが来るまでにビデオをもう一度見ていた」ことの有無であった。
そして対ウイルス治療法には少しずつウイルスを体に取り入れて免疫を作っていき体に慣らしていく方法があり、これらを組み合わせた結果、「タイムリミットが来るまでにビデオをもう一度見る」ことが導き出されることになる。王司と双葉が生存したのはもう一度ビデオを見たからであり、再び貞子が見えるようになったのも次のタイムリミットが迫っていることを意味していたのだ。文華、王司のタイムリミットがそれぞれが最初にビデオを見た時刻から最後にビデオを見た時刻になっていることからタイムリミットは最後に見た時刻に変わるようである。

答えを導き出して実行し、タイムリミットを生き抜いた文華たち。SNSで改めて拡散され、ビデオを見た人間たちは呪いへの免疫が完全につくか、あるいは永遠にか、一日一回呪いのビデオを見る習慣を余儀なくされることになる。ある者はビデオチャットで一緒に、ある者はネットに拡散されてしまったものを見て...。
近縁者の姿をした貞子と過ごすことになるその日常はまさに貞子との共存と化していた...。
...とはいっても数十秒の映像を一日一回見れば良いだけなので、人々にとってはすっかり呪いのビデオや貞子の存在は日常の一部となっており恐怖に震える存在ではなくなっていた。
しかしビデオは時代に合わせて変異していたのでこれから先も同じ方法が通用するとは限らず、映像やデジタルの技術がさらに進歩すればさらなる変異を引き起こしてしまう可能性もある。そういう点においても原作とは違った形で「貞子による人類の支配」が完遂されてしまったといえる。



■Kenshinのサロン
Kenshinが運営しているサロン。
ロビーには本当なのかどうかいかがわしい彼の経歴が大量に描かれたボードが置かれ、オフィスには彼が作った商品や受賞したトロフィー・賞状が置かれている。
奥にお祓いの儀式をするための部屋がある。



■OUT NET MALL
呪いのビデオのコピーが売られている闇サイト
それ以外にも拳銃などが売られている。
サイトのマークデザインはある人物の紋章に酷似しており...?
+ ネタバレ
サイトのマークはKenshinが使っている剣やサロンにあった経歴ボードに描かれていたものと同じであり、サイトはKenshinが運営していたものであった。(Kenshinはバレたときにどうするつもりだったのだろうか...?)
ここからビデオの事件にはKenshinが絡んでいることが判明することになる。



■リサイクルショップ プリンス
王司の自宅である中古雑貨店。本人曰く引っ越しの際に不要なった物を売っているらしいがたぶん嘘と思われる。
二階は生活空間であると同時に王子の「占いの王子様」としての部屋となっており、動画を撮るためのセットや占い経営本、カレンダーやシャツといったグッズ類の在庫が置かれている。狭い部屋にこれらの物に加えて生活用品も置いてあるので部屋は物だらけになっている。



■天流神社
ロイドが文華に手掛かりとしてSNSで送った呪いのビデオの出所である神社。
文華はその情景に見覚えが...。
+ ネタバレ
Kenshinのサロンの経歴ボードに同じ情景の写真が掲載されており、彼の出身であったことが判明した。
終盤、事件の始まりの場所であることから最後の手掛かりとして文華たち登場人物たちが集合しすることになる。
現在は立入禁止区域となって廃墟と化していたが、一室はKenshinの隠れ家となっており、発電機やビデオをコピーするのに使ったと思われるテレビモニターとビデオデッキ数台が置かれていた。



■井戸・伊豆山中
おなじみ貞子が死んだ場所である井戸とそれがある伊豆山中。ビデオを見た人間が死の直前に見る幻影として登場。
ビデオの映像では貞子の視点で這い上がる様子が映されている。
+ ネタバレ
ビデオを見た人間の死亡時刻直前になると迫ってきた貞子の髪の毛に包み込まれる形で伊豆山中の井戸の場所に連れていかれ、井戸から出てきた貞子によって中に引きずりこまれてしまう。
愛が死んだ際に前転して倒れたのは井戸に引きずり込まれることによるものであった。





余談


●様々な宣伝がされた。
  • 製作発表から間もない3月にコナミの鬼ごっこアーケードゲーム「チェイスチェイスジョーカーズ」にゲスト出演。(ただし厳密には「貞子DX」ではなく1キャラクターの「貞子」としての参加)このゲームはヒトフェイズとオニフェイズに分かれているが、その際のキャラクターは基本どちらとも同一人物となっている。だが貞子は特別であり、首塚ツバキがヒトフェイズ、貞子がオニフェイズを担当。詳しくは当該項目参照。SDとはいえ貞子が全力疾走して女子高生を追いかけるという衝撃的な映像が見られる。なおフルボイスゲーなのに貞子のみボイスがない。一応チャットは打てるが妙に礼儀正しい文脈となっている
  • 10月に都内で貞子仕様のタクシーを呼び出して乗車する「貞子タクシー」を実施。タクシーアプリ「S.RIDE」を通じて指定配車し、車内設置のサイネージで特別映像を視聴したりスマートフォンを使ったAR体験ができた。
  • 主演の小芝がCMキャラクターを務めているSMBCモビットとのコラボが実施。渋谷のゼロベース渋谷に「SMBCモビット×『貞子DX』コラボカフェ」がオープンし「貞子の黒髪モンブラン」といったメニューが提供された。
  • 奈良県の下北山村で村おこしを兼ねた凸版印刷協力によるARコンテンツ「貞子の村巡り 下北山村でさだキャン」が実施。スマホのAR機能を使うと村の様々な風景に貞子が映し出され写真も撮れる。110メートルの池原ダムに映る巨大な貞子はインパクト大。
  • なお今回は「貞子3D」の頃から恒例だった始球式イベントは実施されなかった。

●監督の木村ひさしはホラー作品の経験は無かったため自身がオファーを受けた際は「本当に自分でいいのだろうか」と困惑したそうで、貞子を扱うことに関しても有名キャラクターの作品ということでプレッシャーを感じていたようだ。

●相方枠である王司のおバカキャラは文華が冷静で理論的故に冷たい印象を持たれてしまうことを避けるための設定だったようで、これにより痛い人物である王司の印象も文華の真面目キャラによって緩和される作りになっている。

●概要にもある通り「恐怖と笑いは紙一重」を意識したシーンが色々出てくる本作であるがそのバランスは難しかったようで、太平おじさんの貞子の初登場シーンは物語における初の恐怖シーンでこれが観客の印象を左右するため細心の注意を払われて撮影された。

●双葉が父とかつて見たビデオの映画は本編を見ても分かる通り、同じKADOKAWAが権利を保有しているコンテンツの作品である「ガメラ2 レギオン襲来」で、劇中の登場したソフトは実際に当時発売されていたものである。 「ガメラ2」である理由は監督の木村ひさしは「ガメラ2」で助監督として参加している他、市役所の車の運転手役を担当していたためと思われる。

●映像ソフトはいくつか存在。
BD:本編BDと特典DVDの二枚組でアウターケース仕様の特装版。本編BDには小芝風花と川村壱馬によるオーディオコメンタリーが、特典DVDにはメイキング、イベント映像集、予告編集を収録。封入特典としてパンフレットを再編したブックレットが収録されている。
通常版BDは発売されていない。

DVD:本編のみ収録で特典は無し。

上記それぞれAmazon限定版が存在し、追加特典として公開時に関係者用に作られていたプレスがついてくる。内容自体はパンフorブックレットの内容を少し簡素したもの*3なのでパンフレットを持っていたり特装版を購入する場合はコレクターアイテムとして考えるのが妥当である。



その謎は「リング」で始まる。
PREVIOUS リング





24時間以内に呪いのビデオを複数人で見る人は追記・修正をお願いします。
























































閲覧者、あと

24時間00分00秒







この記事を一日一回閲覧している人は追記・修正をお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 映画
  • 邦画
  • ホラー映画
  • ホラー
  • リング
  • 鈴木光司
  • 木村ひさし
  • 高橋悠也
  • 遠藤浩二
  • 小芝風花
  • 川村壱馬
  • 黒羽麻璃央
  • 池内博之
  • 八木優希
  • 西田尚美
  • おぞねせいこ
  • 小曽根叶乃
  • 渡辺裕之
  • 貞子
  • 呪いのビデオ
  • 異色作
  • コメディ
  • ミステリー
  • 意外な結末
  • 所要時間30分以上の項目
  • KADOKAWA
  • 森麻里百
最終更新:2024年09月08日 01:33

*1 海外も含めれば「ザ・リング2」が初の原作不在の映画。「リング2」も映画オリジナルストーリーではあるが、あちらは一応「リング」を原作としている。

*2 ちなみに監督の木村ひさしは「TRICK」で助監督を務めていたことがある。

*3 情報に関してはイントロダクション、ストーリー、キャスト&スタッフ一覧、プロダクションノートは全く同じ内容でこれ以外の情報は未収録。