オセロ/リバーシ

登録日:2023/01/06 Fri 11:54:35
更新日:2025/05/12 Mon 19:08:52
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「オセロ」または「リバーシ」とは、表裏を白黒で塗った石を使って2人でプレイするボードゲームの一種。


●概要○


対戦用のボードは現在は8×8のマス目。一般的なデザインは緑地に黒の罫線である。

勝負の駒となるのはオセロ石というオモテが白、ウラが黒の円盤。1つでマス1つを丁度埋められる大きさを持つ。ボード下には収納できる引き出しや溝があることが多い。

まず対戦者同士がじゃんけんやコイントスなどの方法で黒白どちらの側に付くかを決め、場の中央に位置する4つのマスに左上と右下に白石を、右上と左下に黒石を置いてゲームが開始される。プレイヤーに実力差がある場合や接待プレイ等の場合はハンデとして盤面の隅に相手の色の石を置く場合もある。
先手は黒となっている。

勝負は互いに順に空いたマスに石を配置していき、相手側の石を自身の石で縦、横、斜めに隙間無く挟むようにして自身の色にする。両者とも石を置けなくなった時点で表に見える石の色が多い方が勝者となる。盤面を一色にして勝利した場合は「パーフェクト勝利」となる。数が同じ場合は引き分けとなるが、大会などの引き分けでは不都合のある対局では黒番・白番の決定時に「終局時に石の数が同数だった場合に勝者となる権利」を得ていた側の勝ちとなるルールがある。
勝者となる権利の選ばれ方は基本的に、

  • 一方のプレイヤーに白黒を決める権利を付与し、代わりに相手型には引き分け時に勝利できる権利を付与する

などの方法がとられる。

ルール自体はいたってシンプルで覚えやすいものの、プレイヤーが知恵を絞って多彩な戦術が日々繰り広げられており、「覚えるのに一分、極めるのに一生」がキャッチフレーズとなっている。

うっかりミスやルールの勘違いで石を裏返し忘れてしまうこともあり、これを「不正着手」と言う。大会などでこれが起きた場合は対局時計のボタンを押して相手に手番を戻したうえで、不正の内容を告げて相手に訂正を求めることができる。
なお、日本オセロ連盟によると不正着手は他にも「自分の打つ石色の間違い、手番の間違い、相手の石を1つも取れない場所への着手、返しすぎ、打てる箇所があるのにパス」と定義している。

●歴史○


ゲーム自体は日本オセロ連盟元会長の長谷川五郎が1970年頃に東京都で完成させた。
その後、ゲーム会社のツクダに持ち込んで1973年に、オセロという名称で発売された。

なお「オセロ」という名前は、同名のシェイクスピアの戯曲で彼の四大悲劇の一つにも数えられるOthello(オセロー)に由来する。
“黒人の将軍であるオセロと白人の人妻であるデズデモーナを中心に、敵味方がめまぐるしく寝返る”というストーリーを彷彿とさせるゲームだ、
と長谷川五郎の父で英文学者でもあった長谷川四郎が命名したという。

ちなみに、現在「オセロ」という名称は登録商標であり、商標権は「株式会社メガハウス」が所持している。
このため商標に引っかかる恐れがあることから、ゲームなどで収録される場合は一般的に「リバーシ」の名称が使用されるケースも多い。

ルーツについては、

  • ジョン・モレットとルイス・ウォーターマンが1870年にイギリスのロンドンで考案したアネクゼイションやリバーシというゲームがオセロの原型である。

  • 1945年に中学生時代の長谷川本人がリバーシとは独立に茨城県水戸市で考案した挟み碁というゲームがオセロの原型である。

という2つの説があるが、いかんせん長谷川本人の説明が二転三転しており、はっきりと分かっていない。

前者の説では1870年にオセロの原型であるアネクゼイションがジョン・モレットによって作られ、1883年に同じくロンドンのルイス・ウォーターマンがアネクゼイションの盤面をチェッカー盤に改良し、1886年にロンドンのサタデー・レビュー紙に掲載され、世に知られることになった。
1888年には商品化されたが、F・H・エアーズがアネクゼイションの改良版として「Annex a Game of Reverses」という名前でリバーシとほぼ同一のゲームを販売したため、商標をめぐって訴訟となったが、裁判所により商標権は認められず、お互いに販売ができることになった。

またこの時代のリバーシは現在と少しルールが違っており、

  • 盤面には何も置かずにゲームを開始し、初手から4手目まで交互に中央4マスのうち好きな位置に石を打ち込むことで、初期配置を決めた。
    なお、この時には相手の石を挟まなくても良かった。

  • 32手までしか打てず(つまり、ゲーム開始時に各々の手元に32個の石が配布される) 相手のパスによって自分が連続して打った結果石が無くなってしまった場合、それ以降の自分の番がすべてパスになる。

特に後者のルールはパスを連発しての遅延行為が行われる可能性があるためすぐにこのルールは廃止され、1907年には現在とほぼ同じルールになった。

後者の説では長谷川本人が第二次世界大戦が終わって間もない1945年の夏に茨城県水戸市で囲碁を使った「挟み囲碁」である。
当時の長谷川や彼の同級生たちは相手の石を囲んだら取れるという囲碁のルールがよく分からず、彼の考案により挟んだら取れるという簡易的なルールで遊んでいた。

その後高校・大学でもこのゲームを楽しんでいたが、大学卒業によって遊ぶ機会がなくなり、挟み囲碁は一旦姿を消すことになる。

その後長谷川は東京都で中外製薬に就職し、営業担当として仕事をしていた。
その時に同僚の女子社員たちから何かゲームを教えて欲しいと頼まれ、最初は囲碁を教えていたものの、難しすぎるとのことで上手く行かず、その時に挟み囲碁を思い出し、自宅で牛乳瓶の蓋を集めて石を自作し、それを女子社員に見せたところ、彼女らが昼休みにこのゲームを楽しむようになった。
さらに営業先の病院でも紹介したところ、入院患者の暇潰しやリハビリに使えると好評を博し、手応えを覚えた長谷川が仲間たちと共に研究を繰り返し、このゲームをさらに改良することにした。最初は8×9の盤面を使っていたが、1970年10月に当時の西ドイツの製薬会社からチェスセットが贈られると8×8マスに修正され、当時は間接挟みでも裏返すという複雑なルールだったが、後に直接挟みのみに簡略化され、これにより現在のオセロと呼ばれるボードゲームが誕生した。
また囲碁の石を変えるのが面倒だということで表裏が白黒の現在に近いオセロ石もこの時期に作られた。
最初の名称は当時ブームを引き起こしていた上野動物園のカンカンとランランにちなんでランラン・カンカンと名付けられたが、長谷川の父親でで旧制水戸高等学校の英国文学教授であった四郎の提案によりオセロに変更された*1
1972年10月に長谷川が玩具メーカーのツクダに持ち込んだところ認められ、商品化されるとブームが発生し、1977年にはアメリカでも売られたちまち100万個売れたという。これと同時に世界オセロ選手権 (World Othello Championship) が始まり、2005年には女子部門、2016年からはユース部門(15歳以下)が新設された。2020年と21年はコロナにより開催が中止されたが、22年に開催が再開した。
2004年には身体が不自由な人向けの石を紛失する心配がない一体オセロが開発され、さらに2022年にはビタミンオレンジ・インディゴブルー・パールブラックの3色からなるカラーオセロが発売された。
現在の世界プレイ人口は約6億人と推計されており、36カ国に連盟が設置されている。

●オセロとコンピュータ○


オセロはその単純なルールからプログラムしやすいためか、プログラミングの教材あるいはコンピュータゲームの製品として、これまでに数々のコンピュータ・プログラムが開発されている。現在ではフリーソフトも数多く存在している。
嘗ては人工知能研究が盛んな欧米とオセロが盛んな日本の間で交渉が少なく、世界チャンピオンと人工知能の試合が実現した時には既に実力差が開いてしまい一方的な試合となってしまったとか。
株式会社AVILENのCTOである吉田拓真氏は「最弱オセロ」なるまさに最弱なAIを開発しており、その弱さからネタにされた挙げ句この最弱オセロにどうやって負けるのかというパワーワードまで作られて研究されている。その戦績は約160万戦の内勝利が1%にも満たないという圧倒的な弱さを誇る。
ただし彼は強いAIも開発しており、こちらは2019年10月時点で約46万戦で勝利は90%超え、敗北率(つまりクリア率)は0.78%と凄まじい数値を叩き出している。

オセロはルール上運要素やループ要素が全くないため、理論上先攻・後攻ともに完璧な最善手を打った場合、ゲームは「先手必勝」「後手必勝」「引き分け」のいずれかに完全に定まる。
とは言え、パターン自体はかなりの数になるため解析には時間がかかっていたが、2023年に「引き分け」になることが確認された。
これは最強のCPU同士が対戦したら必ず引き分けになる、つまり「先手、後手ともに、相手がどう打ってきても勝てる必勝法は存在しない」ことを意味する。
最善手を外した場合までは解析が進んでいないため、適当な途中の盤面をAIに見せて「ここから相手がどう打っても絶対に勝てる必勝法ある?」と聞いて答えを貰うことはまだ出来ない状態である。

なお、「後手必勝」という話を見たことのある人もいるかと思われるが、これは6×6に縮小したオセロの話であり、一般的な8×8のオセロとは異なる。
ただし、8×8の場合も含めて一般的にオセロは後手有利の傾向であることは間違いなく、人間同士での勝率は基本的に後手の方が高い。

●収録・関連作品○


ドラえもん

『細く長い友だち』や『勝利をよぶチアガール手ぶくろ』などのエピソードに登場。
『チアガール手ぶくろ』の回ではスネ夫に対し道具の力を利用して盤面を真っ黒にして勝利している。

東大王

「難問オセロ」というステージで赤と青の石を利用した6×6のオセロが登場。
非常に難読な漢字等を読み、オセロの要領で東大王を相手に勝利を目指す。

アソビ大全

無印から『世界のアソビ大全』まで全てのシリーズに収録。上述の通り商標権の問題でリバーシ名義で登場。
世界のアソビ大全51では、ふつう、つよい、すごい、やばいの4つの難易度からなりやばいCPUに勝つとトロフィーがもらえるが、将棋チェスが全体的にポンコツなのに対しリバーシの「やばい」AIは作中のボードゲームではなかなか手強く、一歩手前の「すごい」でもつまづく人が多数いる。

ごく普通の鹿のゲーム DEEEER Simulator

ゲーム内にオセロを基にしたミニゲームリバウシ」が収録。リバーシではなくリバウシ。
ルールそのものは通常のオセロと同様。
ところが、このリバウシは白黒の石を使うのではなく白黒ブチのホルスタインっぽい牛真っ黒の和牛っぽい牛の2種類を使って行うバカゲーなのだ。
当然牛は生きているので配置した途端に好き勝手に動き始めてしまい、プレイが長引くうちどこのマスにどの牛がいたかまったくわからなくなり、
最終的に「なんかよくわからんが勝った(or負けた)」という状況になる。*2
ちなみにDEEEER Simulatorは始まりから終わりまで完全なるバカゲーなので、このミニゲームだけが笑いに走っているわけではない。むしろコレは初級レベルのギャグ。

逆転オセロニア

2016年2月4日よりサービスが開始されたAndroid・iOS用のゲームアプリ。
オセロがベースのバトルゲームで、相手の駒をひっくり返すことによりダメージを与えて、先にHPを0にした側が勝利となる。
最大16個のキャラクター駒から成るデッキを組み、キャラクター駒にはそれぞれ攻撃力やスキルが設定されており、カードゲームのような要素も混ざっている。

●余談○

ルールが極めてシンプル、かつ「平らなボード」と「片面を黒く塗ったコマ」さえ用意できればすぐに作成できることからか、『竜殺しの過ごす日々』等異世界モノ作品においては日本出身の主人公が異世界に持ち込んで広めるゲームの定番となっている面がある。
大抵はリバーシ名義だがたまにオセロとして持ち込まれて販売されている。異世界なので著作権とか気にしてはいけない


追記・修正は64マスを全て一色で埋めてからお願いします

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最終更新:2025年05月12日 19:08

*1 名前の由来は、ウィリアム・シェイクスピアの戯曲『オセロ』

*2 一応牛を置くたびに取得した列の牛だけ元配置に戻るが、すぐ動き出す