アンダーグ帝国

登録日:2023/09/24 Sun 00:25:47
更新日:2024/12/21 Sat 05:03:26
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アンダーグ帝国とは、『ひろがるスカイ!プリキュア』の敵勢力である。

●目次

概要

カバトン曰く「暗黒の世界」であり、その風景は薄暗い空間に無数の岩が並んだだけという文字通りの殺風景なものとなっている。
弱い者は必要ない、存在することすら許されないと言われる程完全な実力主義の世界らしい。
ましろの祖母でスカイランドの博学者であるヨヨすらその存在を知らなかったという。

第16話にてスカイランドとは『光』と『影』という正反対の関係であり、大昔に争った後は長い間交わることが無かったことが、ヨヨの調べで明らかになっている。

構成員は総じてスカイランドのプリンセスエルを狙っていたが、それ以上の事は未だに謎に包まれており、何故今になって再び動き出したのか、そして何故エルを狙っていたのか、現在に至るまでその真の目的が明かされていない。
エルがキュアマジェスティに覚醒した第32話からは、エル諸共プリキュアを殲滅する方向に転換しており、さらに謎が増える一方である。

前作の敵勢力が追加の一人を除いて全員人間だったこともあってか、今回はほぼ全員が人外で構成されている。しかしあまりにもモチーフがバラバラなので視聴者に「適当過ぎないか」とツッコまれている。

構成員

王族

第45話によると、カイザー親子とスキアヘッドはアンダーグ・エナジーの海から生まれた存在であるらしい。

カイゼリン・アンダーグ



役立たずめ…どれだけ私をガッカリさせるつもりだ?

CV:本田貴子、内田真礼(少女時代)
現代のアンダーグ帝国の支配者たる女帝。
第5話と第11話にて声のみ登場していたが、バッタモンダーが前線に投入されてからは長らく登場しておらず、やがて第31話にて久々に登場し、同時に名前が明かされた。
姿については第32話にて口元のみが初めて描写された後、第44話にて全身が判明した。
その容姿は人間の女性そのもので、金のメッシュが入った赤く長い髪をしている。最初はドレスを纏っていたが、プリキュアと対峙して以降は動きやすいパンクな服装に変化している。

紫色の異空間からコンタクトを図り、雷を落とす能力を持っているらしく、その威力は直撃したアンテナが原型を留めない位折れ曲がる程。
さらに指を鳴らすことで数えきれない量のランボーグを召喚することが可能らしい。

エルを手中に収めていないカバトンを「役立たず」「価値がない」と高圧的に罵ったり、第12話では敗北したカバトンを粛正するべく雷を放つ等、典型的なブラック上司。
一方で腹心の部下であるスキアヘッドのことは「頼れるのはやはりお前だけ」と信頼を置いている。

長いことエルを狙っており、第31話ではスキアヘッドによって一度はエルをその手中に収めるも、エルがキュアマジェスティに覚醒したことで逃げられてしまう。

続く第32話からはそのことを受けて、エルとプリキュアの殲滅に方向転換している。

やがて第44話にて、スカイランド王都の東の草原に出現したトンネルの調査に向かった青の護衛隊のアリリ副隊長と隊員数人をトンネルからの攻撃で一蹴したのち、その知らせを受けてスカイランドへやってきたソラ達と草原の丘で対峙。
スカイの対話にも応じず、プリキュア達が放ったマジェスティックハレーションを自らが放ったアンダーグ・エナジーの光線で跳ね返して変身解除へと追い込んだ。

300年前の出来事から「スカイランドのプリンセス」を恨んでいるらしく、エルを狙っていたのはこれが関係している様子。

だが一方で、300年前の少女時代は現在とは違ってどこか気弱であり、父がスカイランド王都を蹂躙していることに対し「戦いが生むのは涙だけ」と口にするほど争いごとを嫌う優しい心の持ち主であった。
それがどうして現在のような冷酷な女帝へと変わってしまったのだろうか……?

第30話までは情報の殆どがハッキリしておらず、作中最初に接触した際近くに居合わせたおでん屋のオヤジの発言から他に呼びようがないのもあって「パワハラ上司」というあだ名が付いてしまったお人。

なお「カイゼリン(Kaiserin)」とはドイツ語で女帝・皇后の意で、皇帝を意味する「カイザー(Kaiser)」の女性形。


カイザー・アンダーグ



フフフ…我が名はカイザー・アンダーグ。
アンダーグ帝国の支配者!

CV:武虎
300年前のアンダーグ帝国の支配者で、カイゼリンの父。
屈強極まりない体躯を持つ大男で、カイゼル髭と怒髪天を衝くが如き長い真紅のモヒカンが特徴。どことなくスパルタ兵っぽい衣装に身を包んでいる。

「弱き者は強き者に踏みにじられるのが定め」「力こそすべて」を信条とし、強大なアンダーグエナジーで生み出したランボーグを使役し当時のスカイランド王都を蹂躙した。
当時カイゼリンの教育係だったスキアヘッドの事を「役立たず」とあしらっているほか、娘に対し「戦場に出るな」と釘を刺している様子も見受けられるが…。



刺客

カイゼリンの命によりエルを狙う帝国民たちで、「アンダーグ・エナジー」という闇のエネルギーを用いる。

カバトン



オレ様の名はカバトン!
ハッピーバースデー、プリンセスエル

CV:間宮康弘
最初に現れた豚のような姿をしたアンダーグ帝国第一の刺客で、パンクなファッションに身を包んでいる。
一人称は「オレ」「オレ様」。語尾に「~(な)のねん」をつけて喋るほか、「オレ、TUEEEEE!」「お前、YOEEEEE!」といったコミカルな言葉をよく発している。
目的は不明だがエルの力を狙っており、彼女の誕生日にスカイランドを襲撃して誘拐した。

額の水晶に「カバトントン!」という呪文を唱えることで、アンダーグ・エナジーを用いた魔法を使うことが出来、兵士たちを吹き飛ばしたり、ワープホールを広げるなど非常に幅広い能力を持っている。
別の姿に変身することも可能であるらしく、エルを拐った時も豚のぬいぐるみに化けていた。また、とっておきの技としておなら攻撃を持っており、これがかなり臭いらしい。
弱いものはいじめ倒す性格で、ソラの手帳を拾った時には「力のない奴はガタガタ震えて、メソメソ泣いていればいいのねん!!」と吐き捨てつつ手帳を破り捨てるほどの悪人。

一方で「常に強いこと、優勢であること」に拘っており、強い者に歯向かう弱い者や、侮っていた相手が自分以上に強くなることを酷く嫌っているようで…?
突如覚醒したキュアスカイの存在には驚きを隠せず、そのままランボーグを浄化されて以降はエルに加えて彼女にも執拗に迫っている。

プリキュアたちが変身などのブレイクスルーを引き起こすきっかけには全てこいつの煽りが関わっており、アンダーグ帝国にとっての最大の戦犯
…が、スキアヘッドが登場するまでは仕返しや信念等の私情を挟んで本来の目的をすっぽかしがちな後の刺客達と比べ、(褒美目当てとはいえ)彼が一番組織の目的に忠実に動いていたのも事実だったりする。

詳しい顛末は個別記事を参照。


バッタモンダー


苦しかったよね?寂しかったよね?
もう頑張らなくていいんだよ。

君を傷つけるこんな世界、ボクが壊してあげるから。

CV:KENN
第14話より登場した、アンダーグ帝国第二の刺客。
一人称は「ボク」で、額にバッタのような触覚が生えた人間の男性の姿をしており、目元には道化師のようなメイクが施されている。ビジュアル系を思わせるファッションをしている。

額の水晶に「バッタモンモン!」という呪文を唱えることで魔法を使うことができ、これで国王たちに眠りの呪いをかけたことも。
普段は冷静かつ理知的だが、一度冷静さを欠くと粗暴な本性を現し、口調も荒くなって一人称が「オレ」になる。基本的に力押しだったカバトンとは逆に頭脳派。

「弱い者には手を出さない優しい男」を自称しているが、実際はただ見下しているだけなのが透けて見えており、帝国民らしい弱肉強食思考の持ち主。
一方で、ランボーグがプリキュアに浄化されるたびに癇癪を起こしたり、本気で激怒したスカイに凄まれただけで怖気付いて撤退していることから、メンタルはさほど強くない模様。

詳しい顛末は個別記事を参照。


ミノトン


この時をどれ程待ちわびた事か…。
ようやく我が戦うに相応しい相手が現れた。

フン…いざ刃を交えようぞ、プリキュア!

CV:酒井敬幸
第25話より登場した、ミノタロウスの姿をしたアンダーグ帝国第三の刺客である獣人で、青い道着のファッションに身を包んでいる。
一人称は「我」

これまでの刺客とは違い正々堂々とした戦いを好む武人気質な性格をしており、自身と戦うに相応しい強者であるプリキュアと戦うことを待ち望んでいた。第41話の回想シーンによると、かつては帝国の教官だったらしく、カバトンとバッタモンダーを鍛えている様子が描かれている。
真夏の砂浜の走り込みやトレーニングジムのベンチプレス500kgのような鍛錬には事欠かない。
帝国の方針としてエルを手に入れるのが本来の最優先事項のはずなのだが、この性格ゆえに非力なエルを強引に奪うのではなく、まずプリキュアを倒し勝ちを得た上で手中に収めるのが本人の行動原理となっている。
カイゼリンから手段と目的が逆になっていることを指摘された際には「我は陛下の忠実な駒。ですが同時に、強さを追い求めずにはいられぬ愚かな武人ゆえ」と真っ向から反論するほどに実直*2

またカバトンやバッタモンダーと違いわざと騒ぎを起こして誘き寄せるといった事も好まないのか、近場に獣人姿のまま陣取ってやってくるのを待ったり、前話での反省からか真夏にもかかわらずトレンチコートと帽子で変装し、迷子のお知らせでプリキュアを呼び寄せたりと妙に律儀な手段で接触を図っている。
仮に人の多い場に居合わせてしまっても「巻き込まれたくなければさっさと逃げろ!」と一喝してまず一般人の退避させ、誰もなくなって暴れられる環境を整えてから戦うという悪の組織の一員とは思えない行動をする斬新なキャラ。
さらに上記の通りエルを狙ってはいるものの、力尽くではなくあくまでプリキュアに勝ってから手に入れることを信条としており、配下のランボーグが騒動で逃げ出してしまったウサギを庇ったエルに向かってきた際は自らランボーグを受け止め投げ飛ばしたほどである。

一方で武人肌のキャラらしく思い込みが激しく杓子定規気味であり、空港にプリキュア達がいる→自分を恐れて飛行機で逃げる算段→ランボーグで乱気流を起こして飛行機を飛べなくする→無関係な乗客も飛行機が使えなくなるという発想の飛躍によって二次被害が発生する等、本人の意図しない所でプリキュア以外の迷惑になる事も。
ただし、この回では飛行機を飛べなくしても乗客や空港の一般人を人質にするようなことは一切しなかったため、やはり一般人を巻き込まない方針は徹底している。

額の水晶に「ミノトントン!」という呪文を唱えることで魔法を使うことができるが、現状は撤退時しか使っていない。

カバトンと名前の響きや容姿*3が若干似ているが、彼との血縁関係があるのは不明。
しかし、「カバトンのお兄さん?」と発言したましろに対し同列に語られた事に激昂し、カバトンを「武人の風上にも置けない下品で下劣な愚か者」と軽蔑して話題に出されることすら嫌っている様子。


スキアヘッド


私の名はスキアヘッド。

帝国の支配者『カイゼリン・アンダーグ』様の命により、
プリンセスエルを頂いた。

CV:宮本充
第31話より登場した、アンダーグ帝国第四の刺客にしてカイゼリンの側近。
他にも帝国内の幹部の人材育成でスパルタ指導をしていたり、第44話において300年前はカイゼリンの教育係であったことが明かされている。
姿こそ人間とほぼ同じだが頭頂部には短い二本の角が生え、片眼鏡を右目にかけている。

一人称は「私」
これまでの刺客たちとは一線を画す冷静沈着にして冷酷なリアリストで、考えがまるで読めないほどの無感情。
アンダーグ帝国の弱肉強食思想を身をもって体現している人物でもあり、失敗続きの者や見限った者への対応は非常に酷薄「力の無い者に存在する価値は無い」と公言して弱者の生きる価値そのものを否定し、躊躇いなく処刑しようとするためとことん人情味がない。
自身の頭脳を「知識の宮殿」と称する癖があり、何か重要な情報を得ると「知識の宮殿に記録しておこう」と呟くのがお約束。

カイゼリンの右腕だけあってその実力は折り紙付きで、初登場時は一度はエルを捕らえて帝国へと送り込み、さらにプリキュアを終始圧倒したほど。

詳しい顛末は個別記事を参照。


ランボーグ



いでよ、

カモン!

来たれ!

アンダーグ・エナジー!


アンダーグ・エナジー、召喚。


CV:相馬康一
本作の怪物枠。
刺客たちがアンダーグ・エナジーを物体に注ぎ込む事により誕生し、その名の通り乱暴に暴れ回って街を破壊する。
目の周りが黒い四角で囲まれていて、左目の辺りに傷が入ったようなデザインが大きな特徴。「ラン、ボーグ!」という鳴き声を発する。
本作では、どこにでもある何もエピソードに絡んでない物体が無差別に対象とされる。

召喚者のパワー及び摂取したカロリーを消費して誕生した個体は通常よりパワーアップすることも出来る他、召喚者本人の実力に応じてより強い個体が生み出せるらしい。
ただし、これまでの怪物枠の強化の様に名前や見た目等の視覚的な変化等はなく、後者はミノトンの召喚した個体が単体技であるウイングアタックで浄化できたことから、パワーはともかく耐久面は必ずしも強化される訳ではない模様。

浄化されると「スミキッター…」と言い残して消滅し、エナジーを注がれた物体も元に戻る。
なお、ランボーグ自体はプリキュア以外でも倒せるが、アンダーグ・エナジーの浄化までできるのはプリキュアだけであり、それ以外の場合はアンダーグ・エナジーが霧散する様に消滅し、付近に残留してしまう。

第15話ではバッタモンダーはこれを利用し、10体ものランボーグを定期的に差し向け、プリキュアであるソラを除く青の護衛隊に退治された個体からスカイランドに残留したアンダーグ・エナジーを結集させることで超巨大ランボーグを生み出している。

やがて第42話にて、ツバサの研究の末にキラキラエナジーを使った武器ならプリキュア以外でも浄化が可能であることが判明。
そして第46話でその武器が護衛隊に配備されたことが語られ、第48話にてついに浄化に成功した。

第44話では300年前の世界においてカイザーが使役しており、第45話と第47話ではスキアヘッドも使役していた。

名前の由来は「乱暴」と「サイボーグ」と思われる。

キョーボーグ


アンダーグ・エナジー、召喚。

CV:相馬康一
第34話より登場した、スキアヘッドがアンダーグ・エナジーを物体に注ぎ込んで誕生する怪物。
ランボーグとは異なり2つの物体に同時に注ぎ込み、その物体が合体した様な容姿となり、目元も黒い四角からマスカレードの仮面の様な黒い模様に変わっており、声もランボーグより低いものとなっている。
ランボーグ同様に「キョーボーグ!」「キョキョキョキョ!」という自身の名称と同じ鳴き声を発する。
2つの物体を用い、他の刺客とは頭一つ抜けたスキアヘッドが召喚するだけあって戦闘能力はランボーグとは比べ物にならず、フルパワーの一撃はマジェスティすら圧倒する程。
浄化されると「スミキッター…」と言い残して消滅し、エナジーを注がれた物体も元に戻るのは変わらない。
第42話を最後に登場していない。

名前の由来は「凶暴」と「サイボーグ」と思われる。

余談

  • 名称の由来は地下を意味する英語「アンダーグラウンド(underground)」から。
  • 「帝国」と付く名称の敵組織は実に『ハピネスチャージプリキュア!』の幻影帝国以来である。
  • 放送開始前から組織名は明かされていたが、本編では第9話にて初めてカバトンの発言によって言及され、やがて第12話でもプリキュア達がその存在を知ることとなった。
  • 今作ではこれまでのシリーズでは必ずあった悪役会議が前半では描かれておらず(カイゼリンがカバトンやミノトンに接触すること自体はあったが)、後半に差し掛かった第32話で初めて描かれている。これは「悪役側の事情を描いても子供は喜ばないから、プリキュアの出番を多くする」*5という制作側の意向によるもの。


追記修正はプリンセスエルを手中に収めた者にお願いします。


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  • ※日曜朝8時30分です。
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最終更新:2024年12月21日 05:03

*1 この傷は、300年経った現在も、完全には回復しきれていないという。

*2 これが後述する彼自身の退場に繋がってしまい、更にはエルがマジェスティへと覚醒する遠因ともなってしまった。

*3 カバトン同様豚鼻であり、角がなければ茶色い豚(牙がある為正確にはイノシシ)に近い。

*4 22話でバッタモンダーがシャララ隊長に行ったのとまったく同じ方法だったので当然ソラは激昂した。

*5 https://nlab.itmedia.co.jp/nl/amp/2305/25/news039.html