フォークイン(ウマ娘 シンデレラグレイ)

登録日:2023/09/25 Mon 06:51:53
更新日:2025/03/20 Thu 09:36:46
所要時間:約 ? 分で読めます




フォークインは、『ウマ娘 シンデレラグレイ』の登場キャラクター。
史実で活躍した「とある競走馬」をモチーフとしたオリジナルウマ娘

+ 目次

◆プロフィール


戦績:31戦14勝
身長:150cm
誕生日:10月7日
好きなこと:健康に良いこと
嫌いなこと:一人になること
モデル:ホーリックス(1983年10月7日~2011年8月24日 ♀)?

躍り出ろ。
お前を知らない者達の、隙をついて躍り出ろ。
「世界を変えるのに3分もいらない。」

ワールドレコード「2分22秒2」という事件。
そのウマ娘の名は、「フォークイン」。

世界がくる。

2012年 URA CM 「The WINNER」 ジャパンカップ編

◆概要


作中2回目のジャパンカップに出場した海外ウマ娘の一人。ニュージーランド出身のウマ娘。
実は第二章のエピローグで後ろ姿だけ登場していた。
単行本14巻の表紙担当。

癖のあるロングヘアで、左耳には同郷の先輩エラズリープライドのものとよく似た飾り*1を着用。後ろ髪にリボンを付け、首には革ベルトのチョーカーを巻いている。
体格はオグリキャップより大分小柄で、両眼の色が微妙に異なる。あと巨乳
エラズリープライドとはたいへん仲が良く、彼女のことを「姉様」と呼び慕っている。

健康オタクで温泉巡りが趣味。
マイルCSの疲れを癒すべく健康ランド*2を訪れたオグリの前に現れ、成り行きから岩盤浴の作法を伝授。
入浴後にアイスを奢った事でオグリのハートをがっちり掴み、「健康ランド師匠」の名をめでたく頂戴する。
自らの立場には思うところがあるらしく、故郷を懐かしむオグリの言葉に「貴方は貴方として愛されているのね」とこぼす一幕もあった。

……そして、ジャパンカップ直前の共同記者会見。
彼女は再びオグリの目の前に現れ、自分がニュージーランド代表のウマ娘であることを明かしたのだった。

◆作中の活躍


Who's The Fastest of Them All?

ファンの期待を一身に背負い、ひとり日本を訪れたフォークイン。
ホテルで過ごす彼女のもとに、祖国の英雄から連絡が届いた。

だから大丈夫だって!子供扱いしないで!
だが… 一人で外国なんて初めてだろう?

ニュージーランドの前代表ウマ娘、エラズリープライド。
彼女にとってフォークインは実の妹のような存在であり、異国の地で無事に過ごせているか不安で仕方がなかったのだ。
子供を心配する母親を彷彿とさせる口ぶりに、フォークインは苛立ちを募らせる。

アタシはもう立派なレディよ 一人でだって平気!
そのデッカイ鏡が無いと眠れないのにか?
う… うるさい!

フォークインのベッドに立て掛けられた、私物の全身鏡。
寂しがり屋の少女が講じた精一杯の「対策」に、エラズリープライドが深い溜息を漏らす。
慌てたフォークインが強引に回線を切断したことで、姉妹の会話は終わりを迎えた。

机に突っ伏し、姉と同じように溜息を漏らすフォークイン。
そんな彼女に、ひとりのウマ娘が声をかける。

よかったの? 突然切って
いいのよ 姉様は心配し過ぎ!

それだけ愛してくれてるってことよ
嫌いだわ その言葉
フフ… 知ってる
…でしょうね

エラズリープライドと同様にフォークインのことを想い、優しい言葉をかける少女。
しかし、彼女がいるのはフォークインの傍らではなく―――全身鏡の向こうにある世界だった。*3


だってアンタは

私だもの


ねえ… フォーク…
ねえ… クイン…


世界で一番強い

ウマ娘はだぁれ?



Queen of Bravely

ニュージーランドの田園地帯、マタマタ。
日本から遠く9000キロの南に、1人の真っ直ぐで頑張り屋の少女がいた。

重賞勝ちこそないが、先日のG1では国民的大スター、エラズリープライドの2着。
いずれはニュージーランドの頂点に立ちうる「第二のエラズリー」として、メディアの評価も急上昇。
ほんの少しの胸の痛みとともに、少女は英雄の背中を追いかけていた。

迎えた新緑の季節。*4
エラズリープライドはオセアニア代表として日本に遠征し、現地の国際招待G1―――ジャパンカップに挑んだ。
他の州と競える機会が少ないニュージーランドのウマ娘にとって、ジャパンカップは自らの実力を示す最高の舞台。
相手は世界中から集った選りすぐりのウマ娘たちだが、エラズリープライドならきっとやってくれる。
悲願達成の期待を胸に、少女は国際中継のレース映像を見つめた。
だが……

勝ったのはアメリカ代表オベイユアマスター!!
ニュージーランドの希望エラズリープライドは8着に敗れました!!

ニュージーランドのウマ娘誰もが憧れる大スター、国内のG1を5勝もしているエラズリープライドが、掲示板にすら入れない*5という絶望。
彼女で無理なら、ニュージーランドの悲願は誰が叶えられる? 誰ならエラズリープライドの仇を取れる?
皆の期待と願いのすべては、「第二のエラズリー」に向かった。

そして1年後。
「ニュージーランド最後の希望」として、少女はジャパンカップに出走することとなった。
勝算を尋ねる雑誌記者*6に対し、担当トレーナーが悲壮な決意を口にする。

私のすべてを懸けるつもりです

彼女でダメなら 二度とジャパンカップには挑戦しません

年端もいかない少女が背負うには、あまりにも重すぎる期待。
日々酷くなる胸の痛みと、襲ってくる悪心。
鏡の中の自分を見つめ、大粒の涙をこぼしながら、少女が言葉を絞り出す。

(アタシ)は 誰…?

鏡の中にいるのは、強くて格好良くて完璧な「アタシ」。
けれど、「私」は完璧ではない。ならば、「私」はいったい「誰」なのか?

私は第二のエラズリープライド
違う… 私は… 姉様じゃない… 
けど みんな期待してる
やめて!!

第二のエラズリー!? ニュージーランドの悲願!?
勝手に背負わせないで!!

誰も私を 視てくれなかったクセに!!

…じゃあ

貴方は誰?

「私」は…

「アタシ」は…

誰かの代わりではない。
誰かの夢でもない。
他の何者でもない彼女自身として、少女は心の叫びを上げた。

(アタシ)は フォークインだ!!!

自己を確立したフォークインは限界を超え、その先にある「領域」―――ANTI CYCLONE*7へと突入。
直線逃げ潰れたイブビンティとシーフクローをかわし、そのまま先頭へと躍り出る。
スタンドから驚愕の声が上がる中、フォークインは歯を食いしばり、鬱積した感情を爆発させた。

調子良く騒ぐな 都合良く目を向けるな
誰も「私」に期待してなかったクセに…
誰も「アタシ」を視てなかったクセに…*8

身勝手な周囲への怒りと不満。
負の感情を推進力に換え、ニュージーランドの風が府中のターフを猛進する。
だが……


フォークイン!!!

フォークインの後方から、彼女の名を呼ぶ声が響いた。
声の主はもうひとりの芦毛ウマ娘―――オグリキャップ
スタンドからの声援を推進力に換え、日本の怪物が猛然と加速する。

……実のところ、フォークインはオグリキャップのことを来日前から知っていた。
最強を倒し、最強を押し付けられたウマ娘。
自分と同じ、背負わされたウマ娘。
同じ立場にある者として、分かり合えるかもと思っていた。だが、それはまったくの見当違いだった。
身勝手な夢を押し付けられて、なぜ彼女は真っ直ぐでいられるのか? なぜ笑顔でいられるのか?

…なんだ
アタシ…アンタの事が

羨ましかったんだ

身勝手な期待も、押し付けられた夢も、嫌な顔ひとつせず素直に受け入れる。
そんな理想的な偶像(アイドル)に、きっと自分もなるべきだったのだろう。
だが、それなら猶更負けるわけにはいかない。
なるべきだった理想、それを否定するために自分は日本に来たのだから。

オグリキャップ!!!

ライバルの名を叫び、余力を振り絞るようにしてフォークインが前に出る。
勝利を掴むために。自分を証明するために。
芦毛のウマ娘2人による壮絶な叩き合い。互いのすべてを懸けた勝負は、僅かクビ差で決着した。

僅か! 僅かに内!!
勝ったのは彼女!!
2分22秒2という驚異の記録で!! ジャパンカップを制しました!!!

フォークインが!! 世界レコードで優勝です!!!

南半球のウマ娘として初のジャパンカップ制覇。タイムは堂々の世界レコード*9
ニュージーランドの悲願を達成し、エラズリープライドの無念をも晴らすという、まさに歴史的な勝利だった。

レース後は心配して駆けつけたエラズリープライドに労いの言葉をかけられ、ボロボロと涙をこぼす。
背負わされた使命から逃げることなく闘い、勝利を掴み取った「勇気のウマ娘」。
フォークインは自ら涙を拭うと、力強い足取りで表彰式に向かったのだった。

……そして、帰国前には再びオグリキャップと邂逅。
自分の本心に気づかせてくれたことへの感謝を口にするとともに、「アタシのようにはならないでね」との
言葉を残し、帰国の途に就いた。
周囲から期待され、背負わされ続けるウマ娘。オグリキャップの「これから」は、果たして……?

◆余談


モチーフ馬

モチーフはおそらく1989年第9回ジャパンカップの勝ち馬『ホーリックス』。
「オグリキャップが恋した女」として知られる牝馬で、来日した彼女がオグリキャップの馬房前を横切った際、
普段なら最優先でこなすはずの食事を中断して首を上げたという逸話が残っている。
劇中におけるオグリのデレた態度はこの逸話を恐らく再現したもの。*10
史実において結局2頭の交配は叶わなかったものの、妹であるハルクザヘラルドが日本に輸入され、オグリとの間にモルトグレイスという牝馬を設けている。

大衆の女王

彼女の名は「folk」+「queen」で、「大衆の女王」といった意味合いになる。
ニュージーランドの人々の夢を背負って走り、見事勝利を勝ち取った名馬に相応しい変名と言えるだろう。
……しかし、フォークイン自身は「大衆の期待と夢を背負って走る」ことを最後まで受け入れられず、
そんな立場に自分を追い込んだ周囲の人々に内心憎悪すら抱いていた。
勝利の決め手になったのも「理想の自分を体現してるやつに負けるわけにはいかない」というルサンチマンの爆発であり、
作品内でも極めて珍しい「負の感情」を原動力とするウマ娘であった。
総じてオグリキャップの裏返しになるようデザインされたキャラともいえ、今後オグリを襲うだろう苦難に思いを馳せた読者も多かったようである。


追記・修正は世界を3分弱で変えた人がお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • フォークイン
  • ウマ娘
  • 小柄
  • 巨乳
  • 世界で1番強いウマ娘
  • ウマ娘 シンデレラグレイ
  • オリジナルウマ娘
  • 海外ウマ娘
  • ホーリックス
  • 主人公に勝ったキャラ
  • ニュージーランド
  • ジャパンカップ
  • オッドアイ
  • 健康ランド師匠
  • 第二のエラズリー
  • ニュージーランド最後の希望
  • ANTI CYCLONE
  • 勇気のウマ娘
  • オグリキャップが恋した女
  • 漫画オリジナルキャラクター
  • オリジナルキャラクター
  • 二重人格
  • 白雪姫
  • 世界を変えるのに3分もいらない
  • 2.22.2
  • 久住太陽
  • 世界がくる。
  • 大衆の女王
  • Folkqueen
  • ニュージーランド人
最終更新:2025年03月20日 09:36

*1 二人の耳飾りを繋げると、馬の頭骨の顎部分に類似する

*2 おそらくは東京ドーム併設のスパ施設「ラクーア」がモデル。

*3 史実のホーリックス号はとても心優しい性格だった反面、臆病で夜が苦手な寂しがり屋だった。そこで厩務員が馬房の中に鏡を設置し仲間だと思わせたことがエピソードの由来。

*4 ニュージーランドは南半球の国なので、日本とは四季が逆になる。

*5 作中で触れられている通り、ボーンクラッシャーはこの前年のジャパンカップを体調不良で諦めている。出走時点ですでに競走馬としてはピークアウトしていた可能性が高く、全盛期に挑戦できなかった不運を嘆く声も多く聞かれる。

*6 どう見ても雛見沢で時報やってるアイツです、本当にありがとうございました。

*7 「高気圧」の意。由来は騎乗していたランス・オサリバン騎手が得意とする「風車鞭」か。

*8 作中のレース実況を見直すと分かるが、「抜け出す瞬間まで観客どころかレース実況すらフォークインの名前を呼んでいない」

*9 東京競馬場の改修がなされるまで残り続けたため、事実上永遠のレコードとなった。タイム自体も10年間更新されず、コースレコードとしては実に16年もの間残り続けている。

*10 是非コミックで確認頂きたし、破壊力が半端ない