登録日:2023/09/05 Tue 04:34:22
更新日:2025/03/18 Tue 15:49:57
所要時間:約 12 分で読めます
◆プロフィール
- 戦績:23戦3勝
- 身長:182cm
- モデル:ペイザバトラー(1984年2月20日~1991年7月1日 ♂)?
◆概要
作中1回目のジャパンカップに出場した海外勢の一角で、アメリカ出身の
ウマ娘。
表紙詐欺ハジける笑顔で6巻表紙担当。Yeah!
見た目は典型的なアメリカンギャルといった感じで、星のような瞳の虹彩が特徴的。髪は癖っ毛のロングヘアで両サイドをハーフアップにしている。あとすごい巨乳
これまで特段目立った実績はなく、成田空港に到着した際もメディアの出迎えは皆無。「ロックじゃないねぇ」とぼやく姿も見られた。
しかしメディア好きかというとそうでもないようで、敏腕で鳴らす藤井記者も彼女の居場所だけは掴めず、取材を断念した。
◆作中の活躍
決戦前夜
マスコミ(というか藤井記者)が嫌いな六平トレーナーの依頼を受け、記者に扮装して海外勢の調査にあたっていたベルノライトと偶然邂逅。
その正体をあっさり看破し、カサマツ時代の
オグリキャップの走りにまで言及してみせたことで、ベルノライトを大いに恐怖させる。
そしてジャパンカップ前夜。
各ウマ娘がレースに備える中、オベイユアマスターの宿泊しているホテルの様子が描かれる。
1人踊る彼女の背後の壁には、ライバルたちの写真や新聞記事、レース場のデータが無数に貼り付けられていた───。
以下ネタバレ注意
Wild Joker
軽薄に見せて、実は研究熱心な曲者ウマ娘───
というのは完全なフェイク。
6巻のカバー裏に描かれているのが「本来の彼女」である。
オベイユアマスター本来の性格は寡黙かつ内気で、周囲の嘲笑に対しても反論せず黙って立ち去るという何とも冴えない娘であった。
アメリカ西海岸の高速バ場にはある程度フィットしたものの、大レースでの勝利を挙げることはできず、敗北の屈辱に歯噛みして耐える日々。
そんなうだつの上がらない彼女に、訛り言葉の担当トレーナーが福音をもたらす。
日本の国際招待G1、ジャパンカップ。
舞台となる府中レース場はアメリカ西海岸と似通った高速バ場であり、2400mと距離も合う。
アメリカで生まれたからといって、アメリカで走らなければいけないわけではない。栄光に続く道はひとつではない。
オベイユアマスターはジャパンカップへの参戦を決め、勝利を掴むべく行動を開始した。
相手となるウマ娘を徹底的にリサーチし、周到に対策を講じる。
高速バ場に対応するための訓練を秘密裏に行い、自らの情報は一切漏らさない。
自分を負かし煽ってきた大嫌いなライバルの立ち居振る舞いを模倣し、自らの人格そのものを隠し通す。
勝利への渇望を胸に、偽りの
道化師は単身日本へと飛んだ。
ジャパンカップ当日。
「領域」に入るべく直線大外に持ち出した
タマモクロスは、背後から異様な敵意を感じ総毛立つ。
勝負の時は来た。もう自らを偽る必要はない。
道化の仮面を脱ぎ捨てたオベイユアマスターは限界を超え───
その先の世界に足を踏み入れた。
欧州の王者、英国の貴婦人、そして日本のエース。
そのすべてを打ち破る
鬼札となった道化師が、咆哮とともにタマモクロスを猛追する。
しかし、日本のエースも譲らない。
「領域」入りから力づくの豪脚を繰り出し、オベイユアマスターを引き剝がしにかかる。
勝負は2人の叩き合いになるかと思われたが……オベイユアマスターがタマモクロスから逃げるように内側へと斜行。
タマモクロス最大の武器である「負けん気」を空回りさせ、ついに先頭の座を奪い取る。
「領域」に至った者どうしの決戦。
しかし、オベイユアマスターの「領域」はタマモクロスのそれとは違う。周到な対策によって導かれた、この場限りの不安定で不完全な代物。
自分は時代を創れる程のウマ娘ではない。そんなことはとっくにわかっている。
それでもなお、オベイユアマスターは走る。今この瞬間のために。自分を証明するために。
───そして、彼女の執念は結実。
追いすがるタマモクロスに1/2バ身先んじ、オベイユアマスターは栄光のゴールへと飛び込んだ。
並み居る強豪を打ち破り、世界一の称号を勝ち取ったアメリカの伏兵。
その瞳には、星ではなく歓喜の涙が光っていた───。
レース後はタマモクロスと談笑し、念願のウイニングライブを世界のファンに向けて披露。
タマモクロスとの再戦が叶わないだろうことを内心察しつつ、次のジャパンカップへの参戦を誓って日本を後にした。
そして……
Do My Best
悲願の勝利から1年。
世界の舞台で大番狂わせを演じた道化師は、かつての誓い通りに二度目の来日を果たした。
戦前の記者会見。
同席したアメリカの強豪ウマ娘、シーフクローの挑発によって会場が騒然とする中、オベイユアマスターはにこやかに言葉を紡ぐ。
ニッポンのウマ娘ちゃん達は強いからね
まあ、ベストは尽くすよ
笑顔の仮面を被り、本心は決して表に出さない。
その裏ではライバルたちの情報を山と集め、周到な対策を講じる。
世界一のウマ娘を決めるレースは、再び道化師のための舞台へと作り変えられつつあった。
二度目の記者会見会場。
各国代表のウマ娘たちが交流を深める中、オベイユアマスターが日本のエース───オグリキャップに声をかける。
秋天は惜しかったね
もう少しリサーチを徹底していたら勝敗はわからなかったよ
直前の敗戦を引き合いに出し、オグリキャップのメンタルを揺らす。
かつて自分がされたのと同じやり方で、オベイユアマスターは
ライバルの心を削りにかかった。
だが……
返ってきたのは予想外の、そして正鵠を射た言葉だった。
オグリキャップに心理戦の意図はない。だからこそ、その指摘はオベイユアマスターの心を突き刺す。
非礼を詫びるオグリキャップに別れを告げると、オベイユアマスターは壇上の自席に足を向けた。
記者会見が始まり、各国代表のウマ娘たちがマイクを持つ。
ある者は勝利を宣言し、ある者は健闘を誓う。
会場内が活気に包まれる中で、前回王者は本心からの一言を発した。
Come try me, all you challengers.
そしてジャパンカップ当日。
オベイユアマスターは彼女本来の勝負服───漆黒の執事服を身に纏い、府中のターフへと降り立ったのである。
Showdown
挑むは欧州中距離チャンピオン、
凱旋門賞ウマ娘、そしてアメリカ芝の2400m世界レコードホルダー。
迎え撃つはトゥインクル・シリーズを牽引する「永世三強」。
世界の強豪が集っての力比べは、
「事件」とも称される異常な展開となった。
ゲートが開くと、アメリカ代表のシーフクローがまず前に出る。
しかし、内枠から英国代表のイブビンティが猛然と加速。シーフクローを制するようにして先頭に立つ。
先頭は自分の指定席。番手で妥協する選択肢はない。
欧米のスピードスター2人に引っ張られ、レースは史上空前のハイペースで進んだ。
1800mの通過は何と日本レコードタイム。体力の尽きたウマ娘たちが次々に失速し、遅れていく。
そして、
これこそがオベイユアマスターの望んだ展開だった。
戦前からシーフクローを煽っておき、ハイペースでレースを引っ張らせる。
自分は後方に待機し、体力を温存。バテて下がってきた先行勢を直線まとめて差し切る。
イブビンティが暴走してくれたのも好都合。シーフクロー共々粘りは見せているものの、2400m持ち堪えられる道理はさすがにない。
凱旋門賞ウマ娘のキャリーズルームはすでに脱落。他の有力どころももはや余力は尽きている。
一杯となった
スーパークリークをかわし、オベイユアマスターは最後の難敵───
オグリキャップに狙いを定めた。
200M… だろ?
真っ向勝負とはいえ ちゃんとリサーチはしてきたさ
さぁ 踊ろうか
オグリキャップの「領域」突入に併せるようにして、オベイユアマスターも自らの「領域」───WILD JOKERへと突入。
限定された条件下とはいえ、彼女は自らの意志で「領域」へと入れるまでになっていたのである。
だが……
イブビンティとシーフクローの後ろを追走していたニュージーランド代表───
フォークインが、猛然と加速し先頭に躍り出る。
2200mのペースはまたも日本レコード。それを演出したイブビンティとシーフクローは、すでに体力の限界を迎え失速している。
なのに、何故先行したウマ娘が先頭にいる? 何故失速せず、あろうことか加速までしているのか?
大歓声の中、フォークインに引っ張られるようにしてオグリキャップが加速。動揺するオベイユアマスターを引き剥がし、前を征くフォークインに肉薄する。
万全の準備を整え、策も講じた。それでもなお届かない「領域」が、オベイユアマスターの目の前にあった。
本当の自分で このレースに勝つつもりだった
純粋な実力で 真っ向から闘って勝利する
そんな 「本物の主役」に
まさかこんな形で 思い知らされるなんてね…
『贋物』を倒すのはいつだって 『本物』だ
勝者は内のウマ娘───フォークイン。勝ちタイム、2分22秒2。
世界レコードで駆けた2人の怪物によって、道化師の夢は打ち砕かれることとなった。
レース後は道化を演じることもなく、独り帰国の途に就く。
必勝を期したレースは3着に負け、タマモクロスとの再会も果たせず、最悪としか言いようのない結果。
それでも、彼女の心には充実した気持ちがあった。
道化ってのはいつだって 笑ってるモンでしょ?
See You Japan
◆関連キャラクター
ジャパンカップで戦ったライバルにして盟友。
過去のレース映像の研究と挑発に対するリアクションから「タマモクロスは持ち前の負けん気故に競り合いでこそ真の強さを発揮する」と見抜き、
直線勝負どころで反則ギリギリの斜行に打って出る。
彼女と並んでの叩き合いを避け、気勢を削いで必殺の末脚を封殺する作戦は見事に当たり、勝利の栄光はオベイユアマスターの頭上に輝いた。
レース後は心からの敬意を表し、タマモクロスも(「自分を証明する」ためにできることを全てやり尽くしたという点において)「案外ウチらは似た者同士かもな」と彼女の勝利を讃えた。
外見のモデルはペイザバトラーの鞍上を務めたアメリカ競馬の名手、クリス・マッキャロン氏。
台詞が博多弁なのは西海岸訛りを表現したものだろうか。
シンボリルドルフとは旧知の間柄で、2回目のジャパンカップの前にはスタンドで談笑する光景も見られた。
モチーフは『サンシャインフォーエヴァー』と思われる。
1988年のエクリプス賞最優秀芝牡馬であり、同年のマンノウォーステークスではペイザバトラーを2着に下してGⅠ制覇の夢を阻んだ。
オベイユアマスターが彼女の立ち居振る舞いを模倣したのは「最も嫌いで、最も尊敬できる相手だったからではないか」と作者のTwitterで言及されている。重たい
実際オベイユアマスターが「本物の主役」として思い浮かべたイメージは彼女の姿であり、内心憧れを抱いていたことがうかがえる。
それでも最初はだいぶ恥ずかしいものがあったようで、おまけ絵では鏡の前で照れながらポーズの練習をする姿も描かれた。
実はサンシャインフォーエヴァー号自身も種牡馬として日本に輸入される計画があったのだが、所有者との価格交渉が折り合わず決裂。
「実績では見劣りするが、この馬とほぼ同じ血統の馬がいる」との提案がなされ、結局そちらが輸入されることとなった。
そうして日本にやってきたのがかの
ブライアンズタイム。
ブライアンズタイムは
三冠馬ナリタブライアンを筆頭に多数の名馬を輩出し、
「種牡馬御三家」の一角に数えられるほどの歴史的大成功を収めた。
一方でサンシャインフォーエヴァー号の種牡馬成績はパッとせず、現役時代とは立場が逆転することとなってしまった。
なお、ウマ娘化済のブライアンズタイム産駒としては他に
マヤノトップガン・
タニノギムレット・
フリオーソ・ダンツフレーム・ノーリーズンがおり、
ウマ娘・サンシャインフォーエヴァー(仮)の外見はどことなくマヤノを想起させるものとなっている。
◆余談
モチーフ馬
モチーフとなったのはおそらく1988年ジャパンカップ勝ち馬の『ペイザバトラー』。
名前の意味が逆転している。
1984年生まれの鹿毛の牡馬。父はヴァルドロルヌ、母父はグロースターク。
アメリカの生まれではあるが、血統が欧州色豊かだったため、当初はフランスの競馬場でデビュー。しかし競走馬としてはパッとせず、デビューからクラシックにかけての成績は14戦走って1勝だけ。
古馬になった88年に漸く2勝目を挙げるも、その後は再び勝ち星から遠ざかったため、
馬主がペイザバトラーの売却を決定。
アメリカ人のエドモンド・ガン氏に購入され、主戦場をアメリカに移すこととなった。
故郷に帰ってきて発奮したのか、ペイザバトラーはいきなり重賞(GⅡレッドスミスハンディキャップ)を制覇。
GⅠ戦線でも2着2回と好走したが、後一歩のところで勝利を掴めない。そうした中で陣営はアメリカの競馬の祭典「ブリーダーズカップ」ではなく、日本のGⅠ「ジャパンカップ」への出走を決断。
当日は9番人気とほとんど注目されていなかったが、このレースでペイザバトラーと初コンビを組むことになったクリス・マッキャロン騎手の作戦が見事に当たり、ペイザバトラーに悲願となるGⅠ制覇を齎した。
翌年も勝利こそ掴めなかったものの、二度目の参戦となった
ジャパンカップではホーリックスの3着と好走。日本の馬場に対する高い適性を示した。
そして二度に渡るジャパンカップでの活躍が評価され、引退後は日本での種牡馬入りが決定。日本への遠征が文字通り本馬の運命を変えたと言える。
……しかし初年度の種付け終了後に左後脚靱帯を切断する重傷を負い、1世代のみを残して
安楽死処分となってしまった。
その中から重賞牝馬パルブライトが出たため、生きていればそれなり以上に成功できたかもしれない。何とも残念である。
逆輸入?
2023年5月1日に同名の競走馬が中央競馬にてデビューした。
名前は「馬主の娘さんのリクエスト」とのことだが、果たして活躍のほどは……?
追記・修正お願いします。
- 勝負服引きちぎって今の勝負服にしてたの好き -- gsgs (2023-09-05 09:00:10)
- 名前の捻り方が凄く好き。 -- 名無しさん (2023-09-05 09:33:32)
- 鏡の前で恥ずかしそうにギャルの練習してるのめっちゃ好き -- 名無しさん (2023-09-05 10:17:17)
- 是非ともシングレコラボで出て欲しいウマ娘 -- 名無しさん (2023-09-05 13:32:17)
- 前髪を降ろした冴えない時代の方が見た目は好き -- 名無しさん (2023-09-05 13:39:53)
- 漫画を元にして、実名の馬が生まれたって言う逆転現象とは珍しい… -- 名無しさん (2023-09-05 17:39:18)
- 「執事に支払え」の逆が「主に従え」なのはちょっとだけ違和感…でもレシーブユアマスター(主が受け取れ)とかだと何となくアレだしなぁ -- 名無しさん (2023-09-05 17:59:21)
- ↑多分メタリカのマスターオブパペッツの一節にかけてる -- 名無しさん (2023-09-06 15:47:09)
- オベイさん勝っとるやん! -- 名無しさん (2023-12-10 19:55:53)
- 名前をObey your masterにした上での「master is me!!」が大好き -- 名無しさん (2024-05-16 19:39:13)
最終更新:2025年03月18日 15:49