ラムダ・ドライバ

登録日:2010/05/26(水) 21:04:24
更新日:2023/03/08 Wed 00:32:38
所要時間:約 5 分で読めます





『相手をやっつけてやる、って思うの! 気合いを入れて、一瞬に込めて! カメハメ波とか、そーいうのみたいに!』

「カメハ……なんだと?」


ラムダ・ドライバは『フルメタル・パニック!』に登場する架空の兵器。


【概要】

アーム・スレイブに搭載する機器。
非常に特殊な機材で、不可視の斥力場を発生させる事ができ『虚弦斥力場生成装置』と呼ばれる。
ラムダ・ドライバという名前は「斥力λ(ラムダ)を駆動する装置」という意味。
存在しえない未知の技術(ブラック・テクノロジー)の産物であり、開発にはその知識を持つ囁かれる者(ウィスパード)が必要である。



【機能】

オペレーターの意思に反応して斥力場を発生させる。
つまり“考えた事が形になる”兵器。

用途は幅広く、敵の砲弾を弾いたり、武器を使わず敵機を破壊したり出来る。
自重を軽減する事もでき、場合によっては約10tのアーム・スレイブが看板を踏み台にしてジャンプする事も出来る。

だが発動には強い集中力とイメージが必要で、その強さで発生する斥力場の力が決まる。
集中力が発動に満たない場合は不発に終わるため、兵器としての信頼性には難がある。

加えて、あくまでオペレーター本人の意思によって発生するため、
意識の向いていない方向からの不意打ちには弱く、場合によっては容易く撃破されてしまう。

また、ラムダ・ドライバを持続的に使用する事は、薬物を用いないと不可能である。


以上のことをざっくり一言でまとめてしまえば「イメージさえ出来れば、どんな攻撃や防御も可能とする力」である。
これは言い換えてしまうと、搭乗者のイメージが足りなければ何の力も発揮しないということでもあり
作中では不可視の矢を光の如く撃ち出す『アイザイアン・ボーン・ボウ』を防ぐイメージが構築出来ず、防御不可の状態に追い込まれている。

その力ゆえ、実用化されれば『核兵器さえ無意味になる』と目されている。
一方、非常に高品質な〈ウィスパード〉の*1かなめに言わせると「ラムダ・ドライバ搭載機と非搭載機の戦力比は16:1」。
大差ではあるものの、4人で囲めば拮抗できるレベル*2であり、戦略レベルで決定的な差ではない。

ちなみに原作では完全に不可視であり、視覚的に捉えるには〈妖精の目〉という装置が必要なのだが、アニメ版では発光現象が発生している。
これは単なる演出ではなく『発動時に光が伴う』と設定されており、劇中でカリーニンが「この発光現象と共に、何らかの力が働いて、あらゆる攻撃がほぼ無力化される」と説明している。


【関連装備】

妖精の目

ラムダ・ドライバの発生させる斥力場を、サーモグラフのように可視化する装置。
これにより、機体のどこに、どの程度の力場が発生しているか、どこに意識を向けているか、
どこに力場の(意識の)穴があるか、など様々な情報が得られるようになった。


妖精の羽

ARX-8 レーバテイン』の両肩部に追加された対ラムダ・ドライバ用装置。
一定範囲内のラムダ・ドライバが発生させる斥力場を無力化する。
ただし莫大な電力が必要であり、使用中は大容量のジェネレータとコンデンサを持つ〈レーバテイン〉でも運動に回すエネルギーが足りなくなる。

また、発動にはラムダ・ドライバと同じく強いイメージが必要であり、
ラムダ・ドライバがあり得ない超常現象をイメージしなければならないのに対し、
妖精の羽は逆に「そういった超常現象を否定するイメージ」をしなければならない。
欠点は敵味方の識別や効果範囲といった細かい調整が出来ない事で、使用時には自機のラムダ・ドライバさえもキャンセルしてしまう。


【ネタバレ】

本来の名前は『オムニ・スフィア高速連鎖反応炉(Transfer And Responce Omni-Sphere)』という。
〈オムニ・スフィア〉とは人間の精神が作り上げる領域であり、いわゆる“あの世”や“霊界”に近い概念である。

人間はみな微弱な超能力を持っており、その力は人間が無意識に行うオムニ・スフィアから現実世界への干渉とされる。
普通なら物理的に観測が不可能なほど微弱なその力を連鎖的に増幅させる事で、強い超常現象を引き起こすシステムがラムダ・ドライバなのである。

しかしこの力を実用レベルで強い力にする為には、人体ではとても耐えられないほどの莫大な電力を流す必要がある。
また、オムニ・スフィアから現実世界への干渉反応は人間が“極度の緊張状況でありながらなお理性的でいられる時”に顕著である。
要するに戦場にいる戦士の精神が必要なのである。

そのためラムダ・ドライバを搭載出来るのは

  • “戦場で戦い、生還でき”
  • “莫大な電力を生み出す動力源を持ち”
  • “その電力に耐えられる、人体を模した兵器”

すなわち、アーム・スレイブに限られる。

作中ではテッサが暗に『戦闘に不向きな人型でありながら、なぜアーム・スレイブは誕生し、今や陸戦の主役となりつつあるのか。
その謎の答えがラムダ・ドライバを積むためである』と示している。

また、ラムダ・ドライバの持続使用が不可能なのは、人間が瞬間的にしかオムニ・スフィアと繋がれないためである。

しかし、〈ウィスパード〉と呼ばれる人間はオムニ・スフィアと繋がる能力を持つため、
普通の人間の生み出すものより遥かに強い斥力場を持続的に発生させることができる。

フルメタルパニック・アナザーでは溝呂木克郎がアーバレストの残骸から『TAROS』を発見したが、
そのシステムの発展装備であるラムダ・ドライバの存在にまでは文章がかすれていたこともあって気付かなかった。



【ラムダ・ドライバ搭載機】

ARX-7 アーバレスト
〈ミスリル〉が保有する唯一のラムダ・ドライバ搭載機。
オペレーターの精神状況に左右されやすい不安定な機体だが、条件が揃えば圧倒的な性能を発揮する。


◆コダールタイプ
そこそこ安定してラムダ・ドライバを使え、限定的ながら量産も可能な機種。
当初はガウルン操る〈ヴェノム〉として登場し、ミスリルに立ちはだかる強敵として強い印象を遺した。


◆Plan-1501 ベヘモス
全長40mの超大型AS。
ラムダ・ドライバで自重を軽減しなければ物理的に立っていられない
その巨体とラムダ・ドライバで格下相手には圧倒的な駆逐力を誇るが、相手もラムダ・ドライバ搭載機だとデカイ的になりかねない。


◆エリゴール
コダールの改良型。後半の雑魚。


Plan-1055 ベリアル
レナード・テスタロッサ専用機。レナードがウィスパードであるためラムダ・ドライバの継続使用が可能であり、それを利用して飛行も出来る。
作中最強機。


ARX-8 レーバテイン
アーバレストの後継機。
攻撃力極振りのラムダ・ドライバ搭載機絶対殺すマン。かわりにそれ以外の部分は欠陥M9
最強機である〈ベリアル〉を除けば、ラムダ・ドライバ搭載機の中でもずば抜けた能力を持つ。


◆偽レーバテイン
〈アマルガム〉の目を欺くために本物と平行制作され、シャケまみれになりながら極秘に輸送された機体。
ARX-7の正当進化系といった感じで、レナード曰く「つまらない機体」。
実戦投入前に〈アマルガム〉に押収され破壊された。


◆トラック
大破した〈アル〉を詰め込んだトラック。
最終巻のモロモロから想像するに、たぶんきっと世界最強のトラック。


【メタ的には】

『フルメタル・パニック!』が連載されていた雑誌『ドラゴンマガジン』は、いわゆる「剣と魔法のファンタジー」が誌面の中心であり、
ミリタリーテイスト溢れる『フルメタ』は、雑誌中でも浮いた存在であった。
そのため、作者の賀東氏は「魔法っぽいものを出した方が受けるかもしれない」と考えてラムダ・ドライバを登場させたという。
細かい設定は後で考えればいいと思っていたのだが、ストーリーとの関わりや、それらしい理屈をこねるのに非常に苦労し、
安易な気持ちで超常ガジェットを出したことを後悔したらしい。


スーパーロボット大戦シリーズにおいて】

スパロボにおいても、原作同様に一部ASに搭載されており、気力の上昇に伴い攻撃力やバリアの防御力が上昇する。
特にガウルンが操るコダールは(作品により程度の大小はあれど)圧倒的な戦闘力を誇り、序盤の壁として立ち塞がる。
作者が「俺には接待してくれよ…」とボヤくくらいには強い。





『大丈夫。目を閉じなさい。
 それから、編集内容(イメージ)を頭に描いて。
 あなたはこれから、この項目を編集するの』

『そうしたら、目を開けて――』

項目『くたばっちまいなっ!!』

『吸って――』

『イメージを――』



『いまっ!!』

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最終更新:2023年03月08日 00:32

*1 というか〈ウィスパリング〉の

*2 ランチェスターの法則