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空想科学大戦!

登録日:2012/09/24 Mon 11:07:07
更新日:2026/05/04 Mon 17:05:19
所要時間:約 6 分で読めます




空想科学大戦!とは、『空想科学読本』の「非現実を科学的に検証したらどうなるか」という内容を基に漫画化した作品。
原作は勿論柳田理科雄、漫画は筆吉純一郎。
外伝に『Dr.猫柳田の科学的青春』がある。

全5巻で、巻ごとに扱うテーマが違う。
紆余曲折あって、様々な雑誌を転々とした末に最終巻は描き下ろしで発表された。

『読本』の作風の過渡期──「『できない』で立ち止まっていた時期*1」と「『じゃあどうすればできるのか。無理やりにでも実現させる方法はないのか』を模索する時期」との中間の時期に企画が始まったため、おおむねは強引に実現させる形で物語が進む。
というか「本来は体重○万トンの巨大怪獣なんて片っ端から潰れて死ぬに決まっているが、それじゃいつまで経っても話が前に進まないから、一度提示した問題は以降解決した扱いにして取り扱わない」という作劇ルールを示している。そりゃそうだ。
反面、一部の壁には「実現不能扱いでそのまま科学的に正しい代案が採用される」結論になっているものも散見される*2
「本来の姿のままでいれば科学の壁を踏み倒せる」と解決を放棄する方法がはっきり存在するのを明言するソフィー、なんてコマもある。結局踏み倒せなかったが。

物語進行の都合上、科学的に間違っている、あるいはあえて無視した部分もあり、その場合は欄外で注釈を入れるほか、2巻のB6判コミック巻末では読者から寄せられたそうした矛盾点へのツッコミに柳田が自ら答えるコーナーを設けていた。


◆1巻:科学的に正しい巨大ヒーロー

西暦200X年、ついに異星人地球に現れた。異星人は地球を侵略すると告げ、巨大怪獣を地球に送り込む。
それと同時に正義の巨大ヒーローが飛来。このまま戦いに移行するかと思われたその時、両者は「科学の壁」の前に自滅した。
そして、巨大ヒーローを先輩と呼んでを嘆く青年の姿が……。

ヒカガク・アソブ/ウーターマン

「ソフィー先輩、後はオレが頑張りますから。安心してジーサンのリューマチ治してやってください」
風来坊。カッコよさからSAMONにスカウトされた。

その正体は大宇宙警備隊の一員「ウーターマン」だが、地球でウーターマンの姿に戻るためには質量保存の法則に基づき大量の食料と9時間半の時間を要する*3
おまけに変身後3分経つと変身が解け、周囲が垢まみれになってしまう弱点を持つ。
最初の戦いで自滅したヒーロー「フィー」は先輩。跡地には温泉が湧いた。

4巻ではお騒がせな両親が登場。
地球から離れた5巻では3分間の活動制限が消え、さらに9時間半も待たずに食料を食べ終わった後一瞬で変身していた。

猫柳田愛吉

「科学の非情さは時に我々の行く手を阻む壁となるが、命がけでその本質を見極めれば逆に強力な味方となる」
悪人面をした老人だが博識で、毎回どこが非科学的だったかを解説する役割。
この作品の実質的な主人公であり、ストーリーごとに

SAMON科学班最高顧問

喫茶店「ブラボー」の店長

万能科学研究所客員研究員

無所属

SAMON科学班最高顧問兼ヒーロー課顧問

と立場が変わっている。
基本的に周囲の非科学的な言動に振り回されたりツッコミを入れたりする苦労人だが、1巻の時点では自ら巨人になる野望を抱いたり、己の命も顧みずウーターマンの決死の自爆攻撃に立ち会おうとしたりと、ややマッドサイエンティスト寄りの描写が目立った。

『Dr.猫柳田の科学的青春』などを見る限り、元々どちらかと言うとマッド寄りの人であり、アサハカやその他のアホ(ヒカガク、リフジン、モユル、シズカ)が彼以上の大暴走を繰り返すため抑え役に回らざるを得なくなっているのだろう。
ただし、科学の力で「人の」が叶うことやそのロマンを解するなど、若かりし頃よりも心情を察する成長が見られる。


SAMON

「Science Attack Members Of Nipoon」の略。モブ隊員は全員『巨人の星』の左門豊作に似ている。
科学の粋を集めた特別国家防衛基地で、怪獣が出現する度にここの攻撃班が出動するが……。

アサハカ・ボケツ

「男がロマンを追いかけて何が悪い。ただの『お仕事』に命張れるかってんだ」
SAMON攻撃班隊長。
家庭を持つ中年の男だが、男のロマンを追求している。
とにかく見た目のカッコ良さだけを重視するせいで、非科学的な行動でいつも墓穴を掘る。
しかし『Dr.猫柳田の科学的青春』にて少年時代のアサハカが登場した際、猫柳田が制作に協力した紙芝居に感動してこのような性格になったことが示唆されているため、原因の一端は猫柳田にもあるかもしれない。

ウルワシ・キレイ

「その通り!私はSAMONの隊員だったのだ~!」
SAMON攻撃班の紅一点。
地球の科学を理解していないヒカガクに誤って攻撃されたり、知らずの内に盗聴されたりと苦労が絶えない。
猛烈な料理下手

ウワノ・ソラキチ

「ヒマっすねー」
SAMON攻撃班の一人。あまりキャラが立っていない。

ササヤキ・シンリ

「隊長ーっ、このササヤキが見えませんかーっ!?」
SAMON攻撃班の一人。眼鏡をかけた貧相な青年で、地味かつ不遇。

モドキング一味

宇宙帝王 モドキング

「支配…殺戮…うーん、おいちぃーっ❤」
地球を支配しようと企む異星人。
部下2名と共に様々な技術を用いて日本を恐怖に陥れようとするが、いつも科学の壁に阻まれ失敗する。
そして地球侵略ビザが切れる頃には毎回資金が底をつき、炭坑夫のバイトで資金稼ぎをするために地球から去るのがお決まり。
40年前は可愛いこいぬだった。

パッチー

「このままでは私のNo.2の立場が…」
モドキングの忠実な部下。ゴリラ
いつも一言多く、よくモドキングからお仕置きを食らっているが本人がドMなので効果があるかは疑問。
その忠誠心は本物で、4巻のラストではモドキングの計画を成功させるため、決死の覚悟でヒーロー軍団の足止めに向かう漢気を見せた。
40年前は可愛い子ゴリラだった。

ちなみにこのコンビの元ネタは『怪獣VOW』に連載されていた筆吉の漫画『タカラジマンシリーズ』に登場する「宇宙犬人コリーとパー」であり、さらにその元ネタはかの宇宙猿人ゴリなのだ

ズキン

「…タイプ❤」
モドキングの下で雑用をやっている人間型異星人の少女。可憐だがどこか芋っぽいタイプ。
モドキングとパッチーよりも科学に対する知識が深く、2人の非科学さにツッコミを入れる役。無知なモドキングらによく意見するため、散々な目にあっているが、逆に説明に乗じて彼らを散々な目にあわすこともある。
4巻では「円盤ごしに130万度の高熱を発する人工太陽に触れた熱」「直径20メートル以上のドライアイスに直で触れた冷気」「10メートル以下離れた身長40メートル・体重3万5千トンの巨人を倒せる雷」を喰らってダメージを受けるという悲惨な目にあった。

一方で惚れっぽく、毎回イケメンなヒーローに惚れてしまい、ヒーローを我が物にするため暗躍する事実上の第三勢力。
その名前やヒーローに惚れるという要素からアンパンマンドキンちゃんのパロディキャラだと思われる。


◆2巻:科学的に正しい改造人間ヒーロー

前回の戦いからしばらく経った頃、人々はすっかり平和を取り戻していた。
しかし、そんな平和な街を突如として怪人が襲う!再び地球にやってきたモドキング一味の仕業だ。
その怪人に立ち向かう青年がいたが「科学の壁」に敗北、瀕死の重傷を負ってしまう。
偶然その青年を保護したズキンは青年と一度面識があったことから、青年を生かすために手術を施す。
そして青年は改造人間となった。

リフジン・トオル/仮名ライダー

正義のためなら老衰なんざ怖かねェ!」
「ブラボー」の店員*4だったが、上記の流れで改造人間「仮名ライダー」となる。25→27歳。
人の身でありながら常人の10倍を超える筋力を操れるようになるが、代償として多大なカロリーを得る必要がある身体になってしまった。
その力でモドキングが送り込む改造人間と戦っていくのだが、新陳代謝も激しくなったため、急速に老化。
ズキンがテロメラーゼを投与して若返らせようとしたものの、間に合わず生死不明のまま空に消えた

この展開については「改造強化されたことをただ喜んでいるようでは元ネタのような悲哀がないので、何かデメリットは作れないものか」と考えた結果生まれたもので、思いついたら思いついたで「それはそれであまりにも壮絶すぎるから、なんとか救えないものか」と対策を練るというマッチポンプでストーリーを考えたとか。
2巻終盤の顛末についても「若返らせることは思いついたが、よく考えたら人間は誰しも年老いて死ぬのが常であり、単に若返る=ハッピーエンドとするのは違う気がする」と思い悩んだゆえであることが語られている。

4巻で生存が判明して以降は盆栽をはじめ「老人らしい趣味」をエンジョイしているフシも見受けられる他、常人の数倍の食事を摂っている場面はあるものの老化による代謝機能の低下のためか2巻の頃ほど猛烈な空腹に襲われる場面は殆どなくなり、それでいて老いてなお身体能力は常人の数倍と、うまい具合にいいとこ取りしたような感じになった。
結果的に「人外であるということはそもそもどう定義されるのか?」と悩み、自分なりに哲学的な結論を出した、(社会通念上の)悪にNoを突き付ける人物と着地したため、ある意味では一番元ネタの公認作品に近しいパーソナリティを持ったヒーローである。

サラワレ・ヒメイ

「辞めます!辞めさせてもらいます!!」
「ブラボー」の看板娘。常識人だが隠れスピード狂。
誤解からモドキングに魂を売ったかつての先輩との悲しい別れを経験した。
ある程度の科学的知識(≒常識)もあるため、4巻では猫柳田と連絡を取りながら3大ヒーローの司令塔として活躍する話もある。

ホリノ・タツロー/エリート脳味噌男

「組みませんか、僕と。2人が組めばあんな獣2匹どうとでもできる」
リフジンの友人でエリートだったが、モドキングによって改造人間に変貌してしまった。
モドキングの参謀として暗躍するが、その真意は……。


◆3巻:科学的に正しい巨大人型ロボット

仮名ライダーの活躍により、日本はウィルス感染の恐怖から救われた。
それから後、猫柳田はかつての友人であるネッケツ・サワグの下を訪ねたが、彼はすでに故人であった。
そしてサワグが残した巨大ロボット「カガクゴー」を息子のモユルが受け継ぎ、モドキングが送り込むロボット群と戦う、はずだったのだが……。

ネッケツ・モユル

「あんなんでも、オヤジの夢でしたからね」
万能科学研究所所長の一人娘・シズカのアッシー(死語)をやっている青年。
車と付くものならなんでも動かせると豪語しており、その手先の器用さでカガクゴーを操る。
ヒーローの中で唯一完全に生身の地球人だが、体当たりで壁をぶち抜くなど宇宙人や改造人間にも負けない高い身体能力を持っている。
おそらく父親の血だろう。ギャグ補正とも言う

熱血万能カガクゴー

猫柳田「中身はカラだ~っ!スッカラカン!!」
万能科学研究所にて制作されていた、超合金スーパー・チタン・モリブデン鋼製のスーパーロボット。
しかしその実態はただのガランドウ。
ネッケツ博士の後を引き継いだ猫柳田によって内部にメカをつめ込まれ、次々に立ちはだかる科学の壁を乗り越え、着実にスーパーロボットへの道を歩んでいく。
はたしてこんなものを遺したネッケツ博士の真意とは……。

ミヤビ・シズカ

「そのオモチャの技術ってのが安っぽくていやなのよ!!」
所長の一人娘。負けず嫌いで高飛車な性格。
しかし過去2巻のヒロインに比べると一途だし、ヒロインしている。
女子高生だが男のロマンたるロボットに強い拘りを見せる。

ミヤビ所長

「だから~、ワシは所長なの!」
万能科学研究所の所長。成り行きから「万能科学国」の国王になってしまう。

アヤノコウジ・スミレ

「お父様ったらお疲れになられているのね」
トラディショナル・コンツェルン社長の一人娘
財力と技術にモノを言わせて幼い頃から幾度となくシズカをいじめてきた。

アヤノコウジ・ミツル、アヤノコウジ・スグル

「体制の変わり目こそビッグビジネスのチャ~~~~ンス!!」
スミレの父親と叔父で、それぞれトラディショナル・コンツェルンの社長/副社長。
モドキングに洗脳され、社員共々侵略用ロボットの製作に取りかかることになる。
ミツルは娘を溺愛しており、ロボットを含む自社製品のデザインは全て娘をモチーフにしている。正直気色悪い。


◆4巻:科学的に正しい自然の脅威との戦い

カガクゴーの活躍により、巨大ロボット侵略作戦も潰えた。
しかしモドキングはまだ諦めておらず、今度はヒーローですら太刀打ちが困難な自然現象を武器とした戦略を繰り広げてくる。
そしてそれに対抗するように、猫柳田の下に3人のヒーロー(バカ)が集結するのだが……。
この3人の組み合わせにコンパチヒーローを思い出した人も少なくないのでは?
ちなみに全9話だが、第3話「散歩する落雷」のみ文庫版未収録となっているため、読みたいならB6判コミックを入手すべし。


◆5巻:科学的に正しい宇宙決戦

前巻ラストでズキンが宇宙へさらわれてしまった。
ズキンは地球の3大ヒーローへSOSのメッセージを送る。
そのメッセージを受け取ったSAMON、そして3大ヒーローは宇宙へと旅立つ。

『Dr.猫柳田の科学的青春』完結後、さらに間を置いて刊行された。筆吉の絵柄の急激な変化に戸惑った人も多いだろう。

ワルサー総統

「あんなカスに何ができるというんだい」
ズキンを妻にするためにさらった張本人で、宇宙艦隊を率いるワルサー一族の当主。
エリートでプライドが高い。ズキン以前に930人の妻がいる一夫多妻な人。


ヒーロー名からも分かる通りパロディがふんだんに用いられており、モドキングやワルサーの配下もパロディが多い。
など。


なお現在では『空想科学読本』の版権を有するKADOKAWAから、本作と似たようなコンセプトのマンガ『空想科学学園』が発売中。
なんとメインキャラクターデザインは『ケロロ軍曹』の吉崎観音である!
露骨なパロディは無いが漫画などのあるあるネタを検証しつつ楽しく小中学校の理科が学べる。


追記・修正は科学的にお願いします。

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最終更新:2026年05月04日 17:05

*1 掲載誌『怪獣VOW』の作風の都合もあり、最初の頃は笑いものにするの前提の面が非常に強かった。

*2 滝を割って出撃する防衛チーム戦闘機、など

*3 ただしある回では、この「食い尽くし系男子であることを宿命づけられたヒーロー」であることがレギュラーキャラの心を救う結果につながって終わるなど、必ずしもネガティブに描写されているわけではない。

*4 実は劇中では職業が明言されておらず、ヒーロー活動以外は食事シーンばかりで働いている描写は皆無であり、各話間の考察パートでも思いっきり無職扱いされている。なお柳田はその点の注釈で「初期構想ではカメラマンに設定していた気がする。今頃思い出してどーすんだ!?」とセルフツッコミを入れていた。もっとも元ネタである『仮面ライダーシリーズ』でも『アギト』以降を中心に職業不詳であるかのように描写される主役ライダーは多く、『カブト』の天道のように公式で堂々と無職扱いされたことがある者もいる(ただし実際にはハイスペ完璧超人なのを活用して「数回分のエピソードが経過したら辞めるような感じのサイクルで働いている」回が散見されることに注意)ため、実は真面目な本歌取りとして考えてもけっこうちゃんとした描写だったりする。