登録日:2023/11/08 (水) 19:31:26
更新日:2024/10/17 Thu 22:07:18
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大ヒットシリーズ、いよいよ最終ミッション!
ゲームの世界に飛び込め!
概要
『スパイキッズ3-D:ゲームオーバー』(原題:Spy Kids 3-D: Game Over)は、2003年7月25日にアメリカで公開された『
スパイキッズ』シリーズ3作目。
日本では2003年10月11日に公開。
監督・脚本・製作・撮影・編集・音楽・プロダクションデザイナー・視覚効果スーパーバイザーは
ロバート・ロドリゲス。
どんどん仕事増えてるよこの人……
前作でスパイもの+冒険活劇に挑戦したロドリゲスであるが、今作のテーマはSF。
子供たち共々よくゲームをやっているということから、そこからVRゲーム世界を舞台にした3D作品というアイデアが生まれた。
この3D作品への意気込みを、ロドリゲスはこう語っている。
昔の3D映画を観ると、ストーリーは常に二の次で、3Dもそれほど良いものではなかった。
だから、僕は3Dを取り入れ、3Dというアイデアを受け入れ、ストーリーの一部にしたかった。
そして、ただ観客に物を投げつけるギミックとして使うのではなく、登場人物のように観客を映画に引き込むために使う。
つまり、登場人物がメガネをかけると観客もメガネをかけ、全員がこの世界に入り込み、普通の映画のようにスクリーンで見るだけでなく、映画の中に入り込むんだ。
観客をその世界に引き込んだら、いいストーリーを見せる絶好のチャンスだ。この世界を創造しなければならないのだから。
ゲームをしない人なら、何が起きてもおかしくない別世界という事実を理解できるはずだ。
本作のHD/3D化プロセスは、ジェームズ・キャメロン監督の協力により、IMAX3Dによるドキュメンタリー映画『タイタニックの秘密』と同じものを使っているが、投影方法は異なっている。
キャメロンが特別な会場でのみ観ることができる偏光式システムを使用したのに対し、ロドリゲスは伝統的なアナグリフ方式。
つまり、赤青のセロハンが張られたメガネで観る方式である。
本作のキャッチコピーや、映画の終盤において今まで登場したメインキャラが全員集合し共闘する展開など一見今までの集大成、及び最終作のような位置付けに見えるが、8年後に更なる続編及びリブート作が製作されている。
しかし、子役のアレクサ・ヴェガとダリル・サバラは後に成人したため、結果として現行キャストによるシリーズとしては最後の作品となった。
興行的には2億ドル近く稼いでおりシリーズ最大のヒットを達成した本作であるが、評論家からの評価は決して高いものとは言えなかった。
まず売りである3Dが、古典的な赤青セロハンのメガネ着用のため見づらいという意見。一応ここに関しては作中でも着脱を指示する場面があるのだが……
それ以上に「家族愛」がシリーズのテーマでありながら、本作ではコルテス家のほとんどが最終盤にしか登場しないという問題を抱えており、テーマ性が薄っぺらいという指摘をされている。
加えて、ゲーム世界が舞台という都合上もはやスパイものの意義すらも薄くなっており、実際にイタリアでは「Missione 3-D: Game Over」のタイトルで公開された。
これらに関しては、アトラクション性に特化した弊害と言えるのかもしれない。
あらすじ
かつてOSSのスパイだったジュニは、現在私立探偵として小遣い稼ぎをしていた。
お目当ては、今話題の新作ゲーム『ゲームオーバー』。
しかしOSSのトップ兼大統領のデヴリンから、姉のカルメンが消えたと告げられる。
ギグルス夫妻曰く、『ゲームオーバー』は悪人トイメイカーが開発した、世界中の子供たちの心を支配する危険なゲームだった。
カルメンはこのゲームを阻止する任務の最中に囚われてしまったのだという。
残された時間は12時間。ジュニは姉と世界を救えるのか?
登場人物
演:ダリル・サバラ
吹替:常盤祐貴
ご存じスパイ一家の長男。前二作と比べるとたくましい風貌になっている。
他の家族がスパイを続ける中、OSSを退職し私立探偵として『ゲームオーバー』を購入するための小遣い稼ぎをしていた。ちなみに報酬は4ドル99セント。
仕事内容は木から降りられなくなった猫の救助や、迷子のおもちゃの捜索などかなり小ぢんまりしたものになっているが、本人が選んだ道なので満足している。
実際、前作の事件でクビにされた直後に探偵になりたい旨の発言をしていたが、どうやら本心だった模様。
なお、OSSを退職してからツキに見放されているらしく、貯金した金を人助けに使おうか迷っている間に列からはみ出した挙句、転んで貯金箱を壊して中身を紛失。
ゲームを買いそびれる不運に見舞われた。もっとも、ゲームの性質を考えると結果的にはそれが幸運だったのだが……
一方で、OSSからは何度も復帰要請の連絡が来ているが、前作の件を相当根に持っており断り続けている。
が、結局カルメンがゲーム世界に囚われたとのことで復帰せざるを得なくなる。
演:アレクサ・ヴェガ
吹替:清水理沙
ご存じスパイ一家の長女。
弟が退職した後もスパイを続けており、去年のクリスマスから会っていない。
しかし『ゲームオーバー』をシャットダウンする任務の最中、意識がトイメイカーに囚われ昏睡状態になっている。
そのため、まともな出番は上映時間が半分以上過ぎてからなので、姉弟の活躍を期待していた人には寂しいものがあるかも。
また、ギグルス夫妻曰く、彼女はジュニにも来てほしかったのだが、OSSが何度復帰要請を出しても断り続けるので結局一人で任務に赴いたのだという。
だったら本人から直接伝えさせればよかったのでは?
演:リカルド・モンタルバン
吹替:中村正
コルテス姉弟の母方の祖父。
『ゲームオーバー』攻略の助っ人としてジュニに選ばれた。
なぜ選んだのかと言うと、「30年前から脚が悪いということは、その分のエネルギーが上半身に回って頭や腕や心臓のパワーが普通の人の二倍になってるかも」という理由から。
普段は車椅子だが、『ゲームオーバー』世界では強化アイテムによりヒロイックな姿となり、圧倒的な身体能力を手に入れた。
ただ、ゲーム内でおじいちゃんと呼んでいるのを他のプレイヤーに聞かれるのは恥ずかしいと思ったジュニにより、どんなゲームも知ってる「ウィザード」のあだ名で呼ばれることに。
トイメイカーとは因縁があるらしいが……?
演じたリカルド・モンタルバンは本作公開から6年後の2009年に死去したため実写映画では本作が遺作となった。
演:ジョージ・クルーニー
吹替:小山力也
初代以来の登場となったOSSの最高責任者。今作ではアメリカ大統領まで兼任している。
復帰要請に駄々をこね続けるジュニに対し、「現実にはOSSには引退などない。スパイは一生スパイだ」と通告。
それでも突っぱね続けるジュニだったが、姉が“消えた”ことを告げられ、OSSに復帰することに。
にしても、前作の腐敗っぷりに加えて姉の件抜きにしてもここまで粘着してくるって、OSSは相当なブラック組織なのではないだろうか
演:マイク・ジャッジ
吹替:金尾哲夫
ギグルス兄妹の父親にして前作の黒幕。
世界征服を企んでいたというとんでもない前科持ちなのだが、なぜかOSSに復帰している。やっぱりブラック組織じゃんOSS
その割にジュニは彼のことはあまり気にしていないようだ。自分がクビになる原因を作った人物なのに……
演:サルマ・ハエック
吹替:MEGUMI
ダナゴンの妻で、ギグルス兄妹の母。娘のガーティと同じくツインテール。
前作でガーティが言ってたように、ダナゴンは彼女からこってり油を搾られた模様。
12時間以内にカルメンを救出し、『ゲームオーバー』をシャットダウンするようジュニに伝える。
演:ライアン・ピンクストン
吹替:陶山章央
演:ボビー・エドナー
吹替:宮田幸季
演:ロバート・ヴィート
吹替:神奈延年
『ゲームオーバー』世界にいたベータ版テスターの少年たち。
アーノルドは強さ、フランシスは頭脳、そしてリーダー格のレッズは冷静さが売り。
最初はライバルを減らす事だけ考えてジュニを妨害し続けていたが、レベル1を攻略し装いを新たにしたジュニの姿を見て、レベル5攻略の鍵とされる「ガイ」と思い込むようになり、共に行動するように。
しかしレベル5を目前にして一転、ジュニのことを誰も生き残れない場所に誘導する「だましキャラ」だと疑いカルメン共々始末しようとする。
そんな矢先に本物のガイが出現。期待の目を輝かせるが、レベル5を目前に罠に掛かり消滅。
再びジュニをガイとして認め行動を共にする。つくづく手のひら返しの多いガキ共である。
実は3人ともアバターを作って姿を変えており、アーノルドはちょいワル風で、ボビーは小柄で気弱そうな眼鏡の少年、レッズはこれまでのクールさを感じさせない普通の少年だった。
にしても、一般人3人も本拠地に入れてしまって秘密守れるのかOSS……?
レベル1の月ステージの「アンラッキー・アリーナ」で出会った少女で、直感が売り。
レベル2のレース攻略後はジュニたちと共に行動する。
本物のガイのことを知っていたり、ゲーム内で禁じられているはずの地図を持っていたりと謎が多い。
ジュニは彼女に一目惚れし、見つけたライフ回復アイテムをプレゼントしたりしていたが……
『ゲームオーバー』のキービジュアルに描かれたヒーロー。
クリア不可とされるレベル5を攻略するためのキーキャラクターと言われている。
レベル5の入り口でついに本物が出現し扉を開けてくれたのだが……
入り口に仕掛けられた罠にまんまとハマり敢えなく消滅した。
演:シルベスター・スタローン
吹替:角田信朗
史上最大のオンラインゲーム『ゲームオーバー』の開発者で、それ以外は謎に包まれている。
その正体は、子供たちをゲームで洗脳し奴隷にすることで未来を支配しようと目論む、本作の黒幕。
自身を仮想空間に閉じ込めたOSSに恨みがあるため、現実世界に出してはいけないとされている。
が、因縁のあるバレンティンがやって来たことで、自身の解放を狙うべくあえて相手に塩を送るような行動も取っている。
また、仮想空間内部ではヒッピー風、博士風、軍人風の三人の分身を作っており、アドバイザーを務めさせている。
演じたシルベスター・スタローンにとっては初の悪役。
また、分身三人とテレビのアナウンサー役も含めると一人五役である。
元はバレンティンのかつての相棒で、本名はセバスチャン。
バレンティンがあえてOSSの意向に反して仮想世界から解放したことにより、ゲームの力でもって現実世界を侵略し始める。
乱闘の中セバスチャンが搭乗する特大サイズのロボットが最後に残ったが、過去に決着をつけようとするバレンティンが乗り込む。
そこで、自らの過失からバレンティンの脚が不自由になる原因を作ってしまい、その罪悪感から悪の道に走っていたことが明かされた。
しかしバレンティンは脚が不自由になったことで失ったものも多いが、謙虚な気持ちや精神の豊かさ、思いやる心を身につけることができたと説いた。
つまりセバスチャンを現実世界に開放した理由は、周りからは復讐のためと思われていたが、実際は彼に許す気持ちを伝えたかったためであった。
この説得に応じ、ついにセバスチャンは自分を許しゲームを終わらせることを決意するのだった。
……もう完全におじいちゃんが主人公である。
トイメイカーとの最終決戦に呼ばれたメンバー
【コルテス家と初代組】
演:カーラ・グギノ
吹替:高乃麗
演:チーチ・マリン
吹替:楠見尚己
演:ダニー・トレホ
吹替:廣田行生
演:ホランド・テイラー
吹替:沢田敏子
ご存じ、コルテス一家の皆さん。
グレゴリオは第3の脳事件に懲りずに第5の脳を開発していたが、カルメンの出動要請を聞いてその研究を全力でほっぽり出した。
演:アラン・カミング
吹替:小堺一機
演:トニー・シャルーブ
吹替:岩崎ひろし
人気の狂育番組「フループのフーグリーズ」の司会者と異形化した部下。
ロボットキッズたちを呼び出し巨大ロボットと戦わせる。
またフループは、本作における3Dメガネの使い方の解説役でもある。
【前作組】
ダナゴンの子供たちで、前作のライバル枠。
ガーティはジュニが復帰する前に彼の元を訪ねており、「みんなあんたの家族よ」と告げていた。
このことが、最終決戦において家族以外のメンバーを呼ぶきっかけになった。
リキリキ島に一人で暮らすマッドサイエンティスト。
ジュニに新作のミニチュアのサメを贈っていた。
最終決戦ではブタドリに乗って参戦。時差とか距離とかどうなっているのだろうか
残っていた3Dメガネは壊れていたが、元々メガネが壊れているので気にしていなかった。
なお、カルメンがこれしか残ってないと言ってたけど、その後登場したゲイリーにも渡していた。ロメロェ……
遊園地「トラブルメーカー・テーマパーク」のオーナー。
呼ばれた中で唯一OSSと関係のない一般人のはずなのだが……
何と自身のテーマパークの売りにすべく投げ縄で巨大ロボットを捕らえ焼き印を押すという、作中最大のMVP級の大活躍を見せた。
他の面々がほぼ顔見せ程度だっただけに尚更である
まあ、前作のEDで、独力で絶海の孤島にたどり着いていた程のバイタリティを考えれば、ある意味納得かもしれない。
また、息子がいることも判明した。
『ゲームオーバー』の世界観
作中で話題になっているMMOゲーム。
意識がゲームの世界に入り込んでプレイするというフルダイブ型のシステムを取っている。
要するに『
シャングリラ・フロンティア』、『
オアシス』などの大先輩である。
最大ライフは10で、大きなダメージを受けるごとに減っていく。また、外部から一人助っ人を呼ぶことができる。
ステージは5まで存在し、すべてクリアできれば豪華な景品がもらえると宣伝していたが……
その正体は、
ゲームオーバーになると二度とゲームに復帰できなくなり、最後まで攻略するとトイメイカーに洗脳されてしまうという、恐るべきクソゲーである。
また、違反行為が見つかるとトイメイカーの部下のプログラマーズによってレベル1に逆戻りさせられる。
町を模したステージ。ここではホッピングに乗ったカエルの群れが襲ってくる。
動く的にぶつかると月まで飛ばされ大幅なタイムロスとなる。しかもそこに飛ばされただけでライフが減るクソ仕様
さらにここに飛ばされた場合、「アンラッキー・アリーナ」で勝利しないとレベル2に進めない模様。
「アンラッキー・アリーナ」ではパワードスーツを操作しての格闘戦が催される。
ちなみにコインは直接拾わないと取れない仕様。マリオシリーズ以下である。さらにコインを集めるメリットも不明のままである
都会を模したステージで、ルール無用の「メガ・レース」が開催されている。
また、工業地帯を思わせる世界観のマシン・シティがあり、ここで一行はプログラマーズに襲われた。
浮遊する床のエリア。その床は動くパネルで構成されている。
ここでジュニは、貧しさゆえにクリア景品を家計の足しにしようとしていたアーノルドと戦わされ苦悩することに。
結局ディミトラが代わりを申し出るが倒され、ゲームオーバーになってしまう。
カルメンが囚われているエリアで、その先には溶岩地帯がある。
トイメイカーの差し向けたトンガリ・トーイの群れから逃れるべく、一行は溶岩地帯をサーフィンすることに。
しかしトイメイカーの隠れ家に誘導されて本来の道を外れたため、OSSは一行を溶岩に沈めてゲームオーバー=元の世界に戻そうとする。
ガイがいないとクリア不可と言われている最深部。
ここで脱落したはずのディミトラと再会するが……
実はディミトラの正体は、このゲームの「だましキャラ」。
今まで『ゲームオーバー』を誰も攻略できなかったのはこのためであるが、ハッキングの天才であるカルメンには正体バレバレだった。
しかし冒険を通じて人の心が芽生えたのか、一行をトイメイカーの差し向けた巨大ロボットから守るため、一人残って出口のゲートを閉めた。
その後ディミトラがどうなったのかは、杳として知れない……
吹き替えの中の人の事も考えると......
余談
〇冒頭でジュニに、アクアパークがなぜ閉園したのか尋ねる少女役は子役時代のセレーナ・ゴメス。
これが彼女のとっての映画デビュー作である。
〇エンドロール終了後には、このシリーズを観てきた人にとっては感慨深くなる映像が流される。
きっとわが子の成長を見届けたような気分になれるはずである。
追記修正は、“家族”全員を呼び出してからお願いします。
- 現実世界のアーノルド達がジュニがスパイだと知って驚く中、「僕はただの、ジュニ・コルテスだ」と返すジュニがかっこよく見えたのは僕だけではないはず………と信じたい -- 名無しさん (2023-11-08 21:59:52)
- タイタニックは2012年に3D、2023年にIMAX3Dリマスターじゃなかったっけ? -- 名無しさん (2023-11-08 22:19:37)
- web版が2002年開始だからSAOの方が先だぞ -- 名無しさん (2023-11-09 07:08:26)
- .hackやベイカー街の亡霊もだけどこの時期はフルダイブ型VRゲームをテーマにした作品が流行ってたな -- 名無しさん (2023-11-11 18:04:02)
- 子供の頃、この映画でのカルメンがなんか怖くて苦手だったなぁ。 -- 名無しさん (2023-11-12 01:32:54)
- ↑確かにベータ版テスターの子たちやディミトラへ対してえらい冷淡で人間味が薄いんだよね本作のカルメン…他にもガーティの「みんなあんたの家族よ」発言も、今観るとあれだけ組織のブラックさを描いておきながらそこから絶対逃げられないみたいな怖さがある。近年ディズニー作品とかでラテン系の家族絶対主義的な価値観が知られてきたから尚更 -- 名無しさん (2023-11-12 08:34:15)
- リアルタイムで視聴したのはコレだけだな 小学生の頃だった ラストで悪役を許す展開がなんか新鮮だった -- 名無しさん (2023-11-24 22:28:58)
最終更新:2024年10月17日 22:07