登録日:2023/11/21 Tue 19:16:00
更新日:2024/06/14 Fri 08:43:31
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『
坂道のアポロン』は、小玉ユキによる日本の
漫画作品。『月刊フラワーズ』(小学館)にて、2007年11月号から2012年3月号まで連載された。
また同年5月号から9月号までは番外編である「BONUS TRACK」も掲載された。
全9巻+番外編1巻。
【概要】
物語の舞台は、1960年代後半の
長崎県。
モダンジャズが流行していた中で高校生の
「友情」、
「恋愛」、
「音楽」からなる青春模様を瑞々しく描く。
少女漫画作品だが、丁寧な心情描写や男子同士の友情を描く場面などは男性読者からも好評で、幅広い読者層から支持を得ることとなった。
2009年には「このマンガがすごい!オンナ編」にてNo1に輝き、第57回
小学館漫画賞一般向け部門を受賞した。
2012年4月から6月までの期間で
フジテレビの「
ノイタミナ」枠にて放送がされた。全12話。
2018年3月10日には実写映画版も公開された。監督は三木孝浩。
【あらすじ】
1966年初夏。
高校一年生の西見薫は、父親の仕事の都合で、
横須賀市からひとり親戚のいる九州へ引っ越してきた。
それまで優等生で周囲に心を閉ざしがちな薫だったが、“札付きのワル”と恐れられる破天荒なクラスメイト・川渕千太郎との出会いが彼を変えていく。
千太郎を通じて知ったジャズの魅力、そして初めての「友達」と呼べる存在。
仲間と奏でる音楽がこんなにも楽しいなんて!
千太郎の
幼なじみで心優しいレコード屋の娘・律子、ミステリアスな上級生・百合香、憧れの兄貴分、淳兄……。
アメリカの文化漂う海辺の街を舞台に、友情・恋心・音楽がまぶしく交錯する青春群像劇!
【キャラクター】
アニメ版声優/実写映画版俳優の順で表記
(主要人物)
西見薫
木村良平/知念侑季
本作の主人公。高校1年生の夏に
神奈川県横須賀市から転入してきた。
幼い頃から父の仕事の都合で何度も転校を繰り返してきたため、人付き合いが希薄な状態で過ごしてきた。このせいで、心を閉ざしてしまっているところがあり、居候先の家族とも馬が合わない日々が続いている模様。
しかしそんな中で千太郎と出会い、セッションしていくうちに意気投合。ジャズの楽しさにのめり込んでいく。
セッションする際はピアノを担当。これは小さい頃からクラシックに親しんでいたためである。逆に言えばジャズは門外漢であったことから、彼にとっては様々衝撃だった模様。
千太郎からは「ボン」と呼ばれる。
川渕千太郎
細谷佳正/中川大志
薫が転校をきっかけに出会うこととなった東校の男子生徒。
大柄で周囲からは「
札付きのワル」と恐れられており、豪快な性格ではあるが面倒見は良い。事実、血の繋がらない妹と弟がおり、彼らの面倒を見ているが、2人からは慕われていることが見て取れる。
またクリスチャンで、首に母の形見であるロザリオを下げている。
薫とは性格も正反対だが、ジャズのセッションを通して気持ちが通じ合い、奇妙な交流が始まることになる……。
律子とは同い年の幼馴染。
ジャズでは
ドラムを担当している。
迎律子
南里侑香/小松菜奈
千太郎の
幼なじみで薫たちのクラスメイト。
髪型はおさげでそばかすがチャーミングな高校1年生。レコード店「ムカエレコード」の看板娘で、また千太郎と同様にクリスチャン。
心優しい性格。最初は幼馴染である千太郎と気が合う間柄だったが、だんだんと薫に惹かれていくようになる。
(高校生)
深堀百合香
遠藤綾/真野恵理菜
薫たちの先輩。偶然千太郎が不良たちから彼女を助けたことをきっかけに知り合うことになる。
大人びた雰囲気を持っているが実際はかなり積極的な性格。
千太郎は彼女に想いを寄せているが、自身は淳一を好きになる。
丸尾重虎
村瀬歩/(なし)
薫たちのクラスメイト
眼鏡でぽっちゃり体系の青年。薫を無線部に案内するが断られてしまう。
見かけによらずギターの腕はなかなかのものであるという。
松岡星児
岡本信彦/松村北斗
歌を歌うことが好きで、将来は上京して
スター歌手になることを夢見ている。
薫のことは当初全く興味がなかったが、千太郎とのセッションを見て考えを改め、
ライバル意識を持つようになった。
(大学生)
桂木淳一
諏訪部順一/ディーン・フジオカ
律子の隣人。千太郎からは「
淳兄」と呼び慕っている。
今は東京の大学に通っているが、帰省した際にはムカエレコードに顔を出して千太郎たちとセッションを楽しんでいる。担当楽器は
トランペット。
後に学生運動に手を出してしまい、大学を退学し親から勘当されてしまう。
室井
鈴村健一/(なし)
淳一のジャズ仲間。
サックスを担当している。
後に学生運動に参加して
機動隊との乱闘で負傷してしまう。
有田勲
櫻井孝宏/(なし)
学生運動の活動家。後に警察に逮捕され、淳一に託すことになる。
(その他の人物)
迎勉
北島善紀/中村梅雀
律子の父親でウッドベース奏者である。
ムカエレコードを経営している。ジャズが好きで店の地下には防音室があり、そこで千太郎や薫たちを迎えてセッションしている。
【テレビアニメ版】
2012年4月から6月までフジテレビ「
ノイタミナ」枠にて放送された。
監督は
渡辺信一郎、音楽に
菅野よう子と「
COWBOY BEBOP」の黄金タックが務めたことにより話題になった。
「Moanin’」「My favorite things」「SOMEDAY MY PRINCE WILL COME(いつか王子様が)」といったジャズの名曲をメリハリある作画で描いた演奏シーンが大変好評で、作品評価は非常に高い。
とりわけ、薫と千太郎が見せた文化祭の演奏シーンはその作画も相まって今の時代でも通用するレベルのクオリティの高い内容になっており、盛り上がりを見せた。
また、最終話である12話は原作者である小玉ユキも原画に参加した。
製作はMAPPA/手塚プロダクション
第16回文化庁メディア芸術祭 審査委員会推薦作品
主題歌
OP:「坂道のメロディ」
YUKIによる
オープニングテーマ。作曲・編曲は菅野よう子が担当している。
ジャズの演奏シーンを入れつつ様々な出来事が浮かびあがっては消えていく様を疾走感をもって演出している。こうした一連のOP演出は非常にクオリティが高い。
ED:「アルタイル」
「秦基博meets坂道のアポロン」による
エンディングテーマ。作曲・編曲は菅野よう子が担当。
繊細な歌詞はそのまま不安定な青春時代を過ごす薫の心境を表現している。ED映像も相まって聴きごたえのある名曲。そんな中で律子と千太郎の存在で希望が垣間見えるような流れにする演出も見事。
挿入歌:「バードランドの子守歌」
手嶌葵による第5話の挿入歌。
【実写映画版】
アニメが終了して6年後、実写映画が公開されることになった。
公開日は2018年3月10日。
舞台となる1960年代の長崎の情景も相まって、原作やアニメの雰囲気はこちらの実写版にも継承されているようだ。瑞々しい青春模様を描いている作品としてファンからの評価も上々の内容になっている。
監督は三木孝浩 脚本は髙橋泉 音楽は鈴木正人。
配給会社は東宝。
主題歌
「坂道を上って」
小田和正による映画版主題歌。
監督の三木は主題歌を決めるにあたり、自身も大ファンである小田にダメもとで依頼をした結果、見事に映画のための書き下ろし主題歌が提供される事になった。
特に歌い出しの部分を聞いて、監督の三木は千太郎や薫を重ねて感激してしまったとのこと。「若者たちの映画だから明るく終わりたい」という小田のコンセプトと青春模様の情景とがマッチした名曲と言える。
追記・修正は青春時代を過ごした友達とセッションを始めたときにお願いします。
- アニメ版の文化祭でのセッションシーンが格好良すぎる -- 名無しさん (2023-11-22 12:37:16)
- 細谷さんの名前と声、これで知ったわ。 -- 名無しさん (2023-11-23 07:42:20)
最終更新:2024年06月14日 08:43