駅メモ!~みろくのマスターレポート~

登録日:2024/02/02 Fri 00:22:00
更新日:2024/11/29 Fri 17:51:10
所要時間:約 8 分で読めます





『駅メモ!~みろくのマスターレポート~』とは、アプリゲーム『駅メモ! -ステーションメモリーズ!-』を題材としたマンガである。
2017年から2018年にかけて小学館のウェブ漫画サイト・やわらかスピリッツで連載されていた。
原案・監修を駅メモプロジェクト、漫画をくみちょうが担当している。
単行本は全1巻。
そして、2024年現在ほぼ唯一と言っていい同ゲームのコミカライズ作品(詳しくは余談の項を参照)である。
またゲームのコミカライズではあるが、本作だけでも最低限世界観は理解可能なのでゲーム本編を知らずとも本作単体だけで旅や鉄道をテーマとした作品として楽しむことが出来る。

尚第3話まで公式サイトより無料で試し読み可能で、発刊以降何の進展も無かったが2024年7月28日より突如公式Xで配信が開始された。といっても試し読み可能な3話までを1日2ページずつ公開しているだけだが。しかし何の進展も無かった中10周年でもある2024年に突如動きがあったということは今後何か進展でもあるのだろうか?


■あらすじ

「休日は寝て過ごすのが幸せ」という出不精の会社員・津永は
鉄道が消滅する未来を変えるため、遠い未来からやってきた
「でんこ」のマスターになり、駅に集まる人々の思い出を集めることに。
最初は嫌々外出していた津永だが、旅を重ねるうち、
次第に「おでかけ」の魅力に気づきはじめて…
大人気スマホゲーム『駅メモ!』をコミック化。

ちょっと別の道を通るだけで、
いつもと違った景色に出会える!
読むと旅行したくなる、
カワイイ鉄道おでかけコミック!
(単行本カバー裏より引用)



■用語

登場人物紹介の前にいくつか用語を解説する。
こちらにも詳しい解説が載っているので参照のこと。

でんこ

鉄道を守るために未来の奪取er協会から現代に送り込まれてきた独立思考型駅情報収集ヒューマノイド。
後述のステーションマスターと共に各地におでかけし、駅にこもった「思い出」を取集し協会に送ることが仕事。
大きさはでんこにもよるが、劇中の描写から大体ラムネ瓶より少し高い程度だと思われる。
また、ステーションマスター以外の人間は彼女らを視認できない。
逆に言えばステーションマスターでさえあれば自身のマスター以外でも視認できる。

ステーションマスター

奪取er協会から選ばれ、でんこが送られてきた人々。選定方法はでんこでさえもマトモに把握していないらしくくじ、適性がある者、相性が良さそうな者が選ばれると様々な説がある。
でんこを連れておでかけすることが仕事と言える…が特に報酬が貰えるわけでもないので実質ボランティア活動である。
基本的にただの人間だが、でんこの項でも触れた通り一般人と異なりでんこの視認やでんことの会話ができるようになることが唯一特徴らしい特徴と言える。



■主な登場人物

津永(つなが)(しょう)

本作の主人公。東京都在住、33歳の社会人。
人前ではしっかりしている反面、家に帰ると何もしないタイプ。
休日も基本家でゴロゴロして過ごすというザ・出不精な生活を送っていたが、ある日未来の奪取er協会によってステーションマスターに選ばれ、でんこのみろくが送られてくる。
みろくにせっつかれて休日に都内に繰り出したり出張にみろくを同行させたりなど、なんやかんやでおでかけを繰り返す内に次第にその魅力に気付いていく。
最終的には自らおでかけを企画するまでに成長する。


恋浜(こいがはま)みろく

本作のもう1人の主人公。未来から鉄道を救うためにやって来たでんこの1人。
明るく前向きな性格。
加えてでんこの任務に忠実なこともあってかおでかけ好きで、第1話で津永からおでかけを拒絶された際にも徹夜でおでかけのプランを考えるほど。
やちよありすは彼女を見習うべきである*1
とはいえ、嫌がっているところを無理矢理連れ出すのは違う、とも考えており、おでかけを無理強いするようなことは決してない。
その他、多少天然気味なところがあり、東京スカイツリーに上った際には自信がヒューマノイドであることを棚に上げて日本の最先端技術のすごさに感激していた。そして津永に心の中でツッコまれた。
総じてでんことしてはそれなりに優秀な方であると思われ、その証拠に彼女の立てたおでかけプランについて特に問題が発生している様子はない。
但し、おでかけのレポートに関しては内容が感想ばかりとのことでリオナから説教を受けていた。
ちなみに、単行本のおまけページに劇中で登場した鉄道の解説が載っているのだが、文体からして彼女が書いた(という体で書かれた)ものと思われる。




以下、全てゲストキャラクター。

嵯峨野(さがの)もみじ

第4話・第5話に登場。
京都に詳しいでんこという事で、出張兼おでかけで津永と共に京都にやって来たみろくのおでかけプラン作りに協力。
その後は3人で嵯峨野観光鉄道のトロッコ列車や保津川下り、嵐山での紅葉狩りなどを楽しんだ。
また、第4話開始時点ではマスターが決まっておらず、津永・みろくと別れる際にはとても寂しがっていたが、第5話の最後でマスターが見つかった。よかったね。


田所(たどころ)ゆり/新阪(しんさか)ルナ

第6話に登場。
ゆりは津永の同僚でありルナのマスター。
津永がステーションマスターであることに気付き、マスターとでんこのオフ会に誘った。
元々は彼女も自宅と職場を往復するだけという津永と似たりよったりな生活を送っていたようだが、ルナと出会ったことで遠回りや寄り道の楽しさに気付いたという。
彼女もまたでんこのおかげでおでかけの魅力に気付いた1人と言えるだろう。
今ではオフ会で色んなでんこの写真を撮りまくったりルナの可愛い写真を撮ることを生きがいにしていたりするほどでんこに入れ込んでいる…あれ?
そのでんこへの偏愛ぶりはミユを彷彿とさせるほど、と言えば原作をプレイしている人にも伝わるだろうか。
ルナは原作と同じく夜行性で「~なんよ」も健在。
自分も含めでんこを前にするとhshsし始めるゆりには若干呆れ気味だが、彼女のカメラに改造を施したりしているので仲は良好な模様。

なお、井原鉄道とのコラボレーションも兼ねて2024年10月に公式Youtubeで公開されたショートアニメ「ルナのマスターレポート 岡山編」ではメインキャラクターとなっている(ゆりは「田所百合」名義で登場、CV:片浦寛子)。

天野(あまの)友太(ゆうた)/為栗(してぐり)メロ

第7話に登場。
おでかけでひたちなか海浜公園に向かっている途中の津永&みろくと出会い、目的地が一緒だったため行動を共にする。
友太はメロのマスター。年齢は不明だが津永よりは若いらしい。
おでかけの際はマイペース極まりないメロに振り回されているが、シャトルバスが出ていないことを知って目的地まで歩いて行こうと提案するメロに同意するなどなんやかんやで息は合っている。
また、メロのことはバカでぐだぐだという実に的を射た評価をしつつも、持ち前の強運もあり最後にはいい景色を見せてくれるとのことである程度は信頼している。
メロは秋にネモフィラ*2を見に行こうとする、阿字ヶ浦駅-ひたちなか海浜公園間のシャトルバスの運行期間外であることを把握していないなどのアホの子っぷりで大体原作通りである*3
なお、第7話の舞台はひたちなか海浜公園だが実装のはるか前なのでねもは出て来ない。


新百合(しんゆり)ほこね

第8話に登場。
いつも通り最愛の妹・うららへの過剰な愛にあふれた暴走気味のシスコンでんこ。
こんな調子なのでマスターが決まっておらず、普段はうららをストーキング見守っているらしい。
うららのおでかけデビューに際してふれあいノート*4に「助けて…!」と書き込みでんこたちの集合を促すなど本当にどうしようもない。結局みろく(とそのマスターである津永)以外にはスルーされたが。
ただその後は箱根登山鉄道について詳細な説明をしたり箱根の観光情報を的確に紹介したりなどしており、でんことしての能力は高い。


うららのマスター/新百合うらら

こちらも第8話に登場。
うららのマスターは名前不明、ショートカットでほわほわした雰囲気の女性。あと糸目。
ほこねの暴走に巻き込まれた津永・みろくと一緒に箱根を旅することに。
うららはおでかけデビューとして箱根を案内。
ほこねの邪魔サポートも受けつつ、最後まで大きなトラブルなしに完遂した。
なお、第8話の舞台は箱根登山鉄道だが実装のはるか前なのであすかは出て来ない。


旭川(あさひかわ)拓人(たくと)/神居(かむい)コタン

第9話に登場。
拓人はコタンのマスターでなんと小学5年生の男子。
休日にコタンと2人で鉄道博物館にやってくるほどの鉄道好きで特に好きなのは新幹線だそう。
知識もそれなりにあるようでコタン曰く「師匠は列車のことならなんでも知ってるんだ!」とのこと。
小学生という事で時間にも財力にも厳しいものがあるが、今度の冬休みには父親の力も借りて新幹線で高崎まで行き蒸気機関車に乗ることをコタンと約束している。
コタンは原作と変わらず熱血でんこ。特に好きなのは自身のモチーフでもある蒸気機関車らしい。
マスターへの「師匠」呼びも健在で、拓人のこともそう呼んでいる。
なお、第9話の舞台は鉄道博物館だが実装のちょっと前なのでミユは出て来ない。


本宿(もとじゅく)ひまり

第10話に登場。
いつも元気なお姉さんでんこ…のはずが現在は協会の雑務を手伝っているとのことで憔悴した姿で登場。
そのため、ゲームと比べて最もキャラが離れているでんこと言える。
そして丁度津永も急な出張で疲れ切っていたため意気投合。仕事の辛さを分かち合っていた。
そんな2人を癒すためにみろくが飯田線での天竜峡温泉へのおでかけを提案。
途中津永の気まぐれにより小和田駅(有名な秘境駅)で下車したりしつつも天竜峡温泉に到着。
2人ともみろくのおでかけプランとアルコールのお陰で完全復活を果たした。
なお、第9話の舞台は飯田線だが第7話に出て来たのでメロは…出て来る。1コマだけだけど。


小鳥谷(こずや)スピカ

第11話に登場。
自身のマスターは小説家であり、カンヅメで作業中だったため1人で岩手県の花巻を散歩していたところを津永&みろくと出会い行動を共にする。
些細なきっかけから星や宇宙の話を始め、止まらなくなるのは原作通り。
その他、津永&みろくにわんこそばや釜石線のメガネ橋のライトアップを紹介していた。


小野ミサ/太秦萌/松賀咲

『駅メモ!』ともコラボした京都市交通局のキャラクターである『地下鉄に乗るっ』の登場人物。
モブとしてゲスト出演している。



その他でんこもモブマスターの相方などとして何人か登場する。


■余談・『駅メモ!』のコミカライズ事情について

冒頭でも触れた通り、この作品は『駅メモ!』のほぼ唯一のコミカライズ作品である。
…そう、「ほぼ」なので一応他にもわずかながら『駅メモ!』のコミカライズ(?)は存在する。
以下はその一覧。なお、いずれも作者は不明である。

  • ヘルプから確認出来るストーリーあらすじ
ヘルプの一番上の「ストーリー」から確認可能。
内容自体は本作の導入部分だけと当たり障りの無い内容だが、何気に描かれること自体珍しいでんこの後ろ姿が確認出来る。

  • 「でんこゼミナール」の宣伝風マンガ
  • クッキング・ザ・ましろ一番!
どちらもエイプリルフールのネタ用に制作されたもので前者が2019年、後者が2021年のもの。
前者は進研ゼミの漫画のパロディとなっており、「でミ」こと「でんこゼミナール」に入会したでんこのなるが「イケテルでんこSTYLE」を手に入れる、というストーリーになっている。
後者は料理が得意なでんこのましろを主人公とした料理漫画のパロディ…なのだが会場が大爆発したりでんこが巨大化したりと色々カオスなことになっている。
ただ、どちらの作品も大ゴマなど一部を除いてゲーム中の立ち絵を流用して作られているためコミカライズと呼べるかは微妙。

  • 駅メモ!公式Twitter上で掲載された4コママンガ
2019年7月に追加されたラッピング「サマーリゾート2019」のPRのため?にTwitter上に掲載されたもの。
デフォルメされたでんこが登場する真っ当な4コママンガで、最初の回に「第1話」というナンバリングがされており、1週間後には第2話も公開された。
そしてそれっきりで音沙汰がなくなった。

…そして時は流れ2024年11月11日、久々に公式Twitterに4コママンガが掲載された。
これは同時期に追加されたラッピング「でんこのブライダルファッションショー」の販促で、その裏話が描かれていた。なお、こちらは最初から1話きりのつもりだったのか、話数のカウントはない。




追記・修正は奪取er協会からステーションマスターに選ばれてでんこが家に届いてからお願いします。

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最終更新:2024年11月29日 17:51

*1 ちなみに、この2人は本作には出て来ない。一応ありすはちょっとだけ出て来るが、本人ではなくあくまでみろくのイメージ内のみ。

*2 ひたちなか海浜公園でネモフィラが見られるのは春であり、秋はコキアが名物となっている。

*3 これに関しては下調べをロクにしていないと思われる友太側にも問題はあるが。

*4 実際の『駅メモ!』にも同名の機能はあるが、描写を見る限り本作においてはでんこ同士のSNSとして使われている模様。