魔導具師ダリヤはうつむかない

登録日:2024/07/29 Mon 23:20:00
更新日:2024/09/08 Sun 23:45:37
所要時間:約 8 分で読めます




出典:「魔導具師ダリヤはうつむかない」第3話「真実の愛」
2024年7月~9月颱風グラフィックス×イマジカインフォス
ⒸAmagishi Hisaya/MFブックス/製作委員会はうつむかない

二度目の人生、私らしく生きていく

魔導具師ダリヤはうつむかない』は、甘岸久弥によるライトノベル作品である。
小説家になろう」で2018年4月より連載され、MFブックス(KADOKAWA)より同年10月より刊行されている。既刊11巻。
デザインは景(1~8巻)、雨壱絵穹(9巻)、滈(10巻)、駒田ハチ(10巻)。


【概要】

婚約破棄された主人公がタイトルの通り、自分らしく「もううつむかない」と決意して人生を歩んでいく恋愛ファンタジー作品である。
主人公のダリヤは異世界転生しており、魔導具作りにおいて様々な才覚を発揮する。
特に本作でダリヤが作る魔導具は「現代(転生前の現代日本)の道具をベースにして作ったもの」であり、それらを「ファンタジー世界の素材と魔法で作る」というのが特徴である。
なお、こうした発想は原作者自身が見る夢を基にしているという。(物語に仕えそうな資料を読んで眠り、翌朝に目が覚めた際に夢の内容をメモしているとのこと)

どんなにつらい現実が待っていても、恋愛・物作りを通じてダリヤが「前向きに生きる」というテーマは多くの読者の反響を呼び、「次に来るライトノベル大賞2021」では新作部門で9位に入賞している。

(メディアミックス展開)

①コミカライズ版
(本作は多数のコミカライズ版が存在している)
魔導具師ダリヤはうつむかない~今から自由な職人ライフ~
作画担当:釜田 掲載誌:「月刊コンプエース
魔導具師ダリヤはうつむかない~Dahliya Wilts No More~
作画担当:住川惠 掲載誌:「月刊コミックガーデン」
魔導具師ダリヤはうつむかない~王立高等学院編~
作画担当:赤羽にな 掲載誌:「FMコミックスオルタ」

②テレビアニメ版
2024年7月~9月の間でテレビアニメ版が放映中。

③スピンオフ作品
服飾師ルチアはあきらめない~今日からはじまる幸福計画
本作の登場人物の1人でダリヤの友人であるルチア・ファーノを主人公にしたスピンオフ作品。原作者の甘岸が手掛けている。臼土きねによるコミカライズ版も刊行されている。

【あらすじ】

彼女が最後に見た光景は資料が雑然と散らかるデスクだった。
徹夜続きで働き、突然心臓が止まってしまったのだ。
やりたいことがたくさんあったはずなのに、机に突っ伏して最期を迎えるなんて…。
彼女は二度目の人生を魔法の存在する世界で送ることになった。
名前はダリヤ・ロセッティ。
彼女が暮らすこの世界には、人々の生活を便利にする「魔導具」がある。
普段の生活はだらしないが魔導具師としては尊敬できる父のカルロ。
ダリヤはカルロの作る魔導具に憧れ、自分も魔導具師になろうと決意する。

これは彼女が魔導具師として前をむき、
花開いていく物語
(アニメ公式HPより引用)

【キャラクター】

(主人公)

ダリヤ・ロセッティ
CV:大西沙織
やめよう、もううつむくのはやめよう
本作の主人公。
前世は日本の一般家庭に生まれ、家電電気メーカーに就職したものの、2年目で希望した製造部署への配属も叶わず、クレーム処理担当の部署に回され、クレーム対応やそれに関する上司のパワハラで神経をすり減らす激務の日々を過ごす。そうした激務の中で残業中に息を引き取ったという。ストレスなどに伴う心筋梗塞(過労死)によるとされる。

転生後は、物作りが好きだったという記憶もあってか魔導具師として、そして夫を立てる良き妻として志していた。
しかしその矢先、婚約者のトビアスから婚約破棄を言い渡されてしまう。
その前には父親を亡くしてしまったということもあり、辛い現実を突きつけられるが、前世のような後悔した日々を過ごしたくない、これからは前向きに生きるようということを決め、魔導具師として生計を立てながら生きることになる。

ストロベリーキャンドル色の髪色が特徴的だったが、元婚約者のトビアスから地味目な色にするよう言われた際は、やや色を落とした髪色に染めていた。眼鏡をしていたが商会の代表になる際にガブリエラから眼鏡が外した方が良いということで眼鏡をはずすことになる。

前世の知識を踏まえ独特な魔導具を生み出し、ギルドの人々などから一目置かれる存在になる。
また、元婚約者との折り合いの悪さも相まって、彼の所属するオルランド商会とは縁を切り、新しくロセッティ商会を立ち上げることになる。彼女や父親の人柄も相まって、商会には強力な賛同者や支援者が参加することになった。

好きなことは魔導具作成。これが始まると話の話題は魔導具のこと一色になることもある。
また父親に似てお酒も好きでワインなどをよく嗜む。

(主要人物)

・カルロ・ロセッティ
CV:成田剣
ダリヤの父親。
有能な魔導具師で国から名誉男爵の地位を与えられたことがある。
仕事で関わった者達には将来、ダリヤがかかわった際には便宜を図るように伝えている。これに関してはダリヤの魔導具師としての才能を見抜いているからであり、彼女の才能は大いに役立つと確信していたという事情がある。
作中ではすでに故人。商業ギルドで仕事をしていた際に急に倒れ、帰らぬ人になってしまったという。
学院時代は暴風雨(ウラガーノ)の異名で呼ばれるほどの問題児だった。

なお、アニメ版は時系列的にダリヤの幼少期から描かれていることもあり、彼の内面などにも触れることになる。

・ヴォルフレード・スカルファロット
CV:田丸篤志
端正な顔立ちに黄金色の瞳を持つ美青年。
水の魔石の生産管理を担う伯爵家・スカルファロット家の四男。親しい友人からは「ヴォルフ」と呼ばれている。
魔物討伐部隊の騎士であり、魔物討伐の際には先陣に立つ役割を果たす赤い胸当てが特徴的な「赤鎧(スカーレットアーマー)」を務めている。

魔物討伐の際に負傷してしまったところをダリヤに助けられた。ちなみにこの際のダリヤは男装していたが、再会した際はすぐにダリヤの本当の姿に気づいた。
魔剣の話になると少年のような一面を見せる。ダリヤと話している際、魔剣の話になった際には興味深そうに話をしていた。
趣味等話がとても合い、自身の身分などについて気にしないダリヤに好感を抱いていくことになる。

イケメンが過ぎて徒党を組んだトラブルが押し寄せてくる苦労人。私的な外出時は認識阻害や隠蔽の魔導具が欠かせない。
幼少期は雌のユニコーンに浚われかけ、学生時代はモテが過ぎて友情が崩壊しまくったりお茶会で一服盛られたりしていた。現在も初対面で重々しすぎる恋文が送られてくるため同僚の友人たちも哀れむほど。

(ダリヤの友人)

・イルマ・ヌヴォラーリ
CV:飯田里穂
ダリヤの友人で幼馴染。美容師を営んでいる
ダリヤが住んでいる緑の塔を開けることが出来る数少ない人物。
自身のことより他者のことを優先する優しい性格
ダリヤが婚約破棄をしたことを聞きつけ、ダリヤ以上に怒りをあらわにした。

・マルチュラ・ヌヴォラーリ
CV:松田健一郎
ダリヤの友人で運送ギルドに所属している。イルマは妻である。
後にロセッティ商会の保証人の1人に名を連ねる。
イルマ共々、婚約破棄されたダリヤを気遣っている。また、婚約破棄し、あまりにも粗暴な振舞をしたトビアスに対しては怒りの感情を露わにした。

・ルチア・ファーノ
CV:和泉風花
ダリヤの友人で服飾師である。
ダリヤの魔導具の仕事において欠かせない職人の1人である。
明朗闊達な性格でいつか自分の工房を持つことが夢である。(今は家族経営のファーノ工房で働いている)
スピンオフ作品の主人公でもある。

(ロセッティ商会)

・イヴァ―ノ・バトエル
CV:高橋広樹
商業ギルドに所属する30代ほどの職人。
ダリヤが開発した魔導具の登録作業を行っており、ダリヤの仕事を支えている人の1人。魔導具師としてのダリヤの活躍を期待している。
後にロセッティ商会・副会長に。

・ガブリエラ・ジェッタ
CV:山口由里子
商業ギルドの副ギルド長を務める50代くらいの女性。
夫はギルド長のレオーネ・ジェッダ子爵
元々は庶民で商売や交渉事に強い。ダリヤの婚約破棄の手続きにおいても、彼女が不利な扱いを受けぬようにサポートに尽力した。後にロセッティ商会設立を後押しした保証人の1人になる。

(その他)

・トビアス・オルランド
CV:大野智敬
ダリヤの魔道具師としての兄弟子。オルランド商会の次男。
商家に生まれながらも魔導具師になった努力家であるが、同時に多彩な才能を持っているダリヤにはコンプレックスを感じていた。ダリヤの髪色を変えるように言うなど、ややモラハラ気質。

ダリヤとロセッティの名前を守るため、ダリヤとの婚約の話を承諾するも、両家の父親が他界した後は「真実の愛」を見つけたと言い、新居への引っ越し当日、翌日には婚姻届を出して正式に結婚という凄まじいタイミング(マックガーデン版コミカライズではダリヤが婚姻届に署名しようとしている瞬間)でダリヤに婚約解消を言い出した。
その実態は子爵家の血縁を持つ令嬢に浮気して乗り換えたということから、ダリヤの友人たちからはいい感情を持たれていない。
あげく、婚約解消の話し合いの席でダリヤが建てた新居を浮気相手と住むため買い取る資金が足りずツケ払いにして名義変更を申し出る(当然拒否され、商業ギルドからの借入を立会人のガブリエラから提案され了承)。ダリヤが自費で購入したベッドを浮気相手の逢瀬に利用したり、婚約指輪にあたる高価な腕輪を浮気相手向けに買う腕輪の資金のために返還を要求したりするなど開いた口がふさがらぬ所業をしているため、その言動には批判されることが多い。

【用語】

〇魔導具
魔石を動力源として様々な効果を発揮する道具である。特定の魔物から得られる素材で作られることもある。画期的な魔導具を作った魔導具師には名誉貴族として一代限りの爵位が与えられる。作中の描写から、叙爵には相応の立場を持つ物からの推薦が必要な模様。魔導具の開発で叙爵した魔導具師にはその魔導具にちなんだ二つ名が付くことが多い(カルロの給湯器男爵など)。

〇オルティネ
本作の舞台となる王国。
200年以上の歴史がある安定した治世をもった王国である。治安も良く女性が一人街を歩けるほど安定している。

〇公証人
国が定めた各種の取り決め、商売関連の契約時や見届けや確認、証明を行うことが出来る人。(ダリヤの前世でいう弁護士や行政書士みたいな役割を司っている)

〇王国の通貨
半貨・銅貨・銀貨・大銀貨・金貨が存在する。
銅貨1つで主食のパンが1個買えるレベルとのことなので、半貨は50円、銅貨は100円くらいの感覚値である。
(銀貨は1000円、大銀貨は10000円、金貨は10万円前後という換算らしい)

〇緑の塔
ダリヤが父と昔から住んでいた塔。ダリヤの祖父が魔導ランタン開発を安全に行うために建てたもの。
住んでる本人すら微妙と言い切る程度には不便な物件。
ヴォルフレードは魔女の住処だと思っていたらしい。

〇ロセッティ商会
ダリヤが立ち上げた商会。トビアスとの婚約破棄やその余波で生じたいくつかのトラブルで、彼の所属するオルランド商会とは取引が厳しいことから、知人や商人ギルドたちの後押しもあり、設立されることになる。

〇スカーレットアーマー
魔物討伐舞台において最前線で切り込んでいく者たちを指す。
魔物の気を引きやすいように目立ちやすい赤の鎧を装備している。
囮に近い役割のため危険度が高く、長く勤めている者は部隊内での信頼も篤くなる。

【テレビアニメ版】

2024年7月~9月の期間でテレビアニメが放映中
制作は颱風グラフィックス×イマジカインフォス

原作のなろう小説版では、ダリヤが婚約破棄を言い渡された場面からのスタートであったが、テレビアニメ版では幼少期のダリヤの生活から描かれている。

制作にあたっては北朝鮮の制作会社が下請けとして関与していたと特定されたことから、該当シーンを全て日本国内の日本人スタッフによって差し替えを行った。
公式からの声明によれば、北朝鮮によるものとみられるクラウドストレージにおいて、日本アニメの中間製作物とされるファイルが存在し、そのファイルの中に本作の資料が含まれていたとされている。

(主題歌)

OP:「ちいさな蕾」
岬なこによるオープニングテーマ
ED:「Glitter」
堀内まり菜によるエンディングテーマ

追記・修正は婚約破棄を言い渡されてもうつむかず、前へ進めたときにお願いします。

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最終更新:2024年09月08日 23:45
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