●目次
【◇登場人物】
●ルーク
演:ダニエル・ベッツ/声:岩崎ひろし
ルネサンス内部のラボにいたウェイランド社のアンドロイド。ゼノモーフの酸性血液の影響で下半身は無い。
その姿や顔は、初代エイリアンのアッシュ(演:イアン・ホルム)そのものであり、吹替も初代アッシュ役と同一である。
ウェイランド社が『1』の事件後に回収した同一個体の可能性が高いが、真偽は不明。まあアンドロイドなので見た目が同じ同型がいても違和感は無いが。
◎ビッグチャップ(XX121ゼノモーフ)
ルネッサンス宇宙ステーションを崩壊させた主犯。
なんと初代エイリアンでリプリーによって吹き飛ばされたゼノモーフと同一個体である。
ビッグチャップはリプリーに吹き飛ばされた後、繭のようなものに体を包んで一時的な休眠状態に入っていた。
本作は、この繭をウェイランド・ユタニ社が発見、回収する場面から始まる。
繭はルネッサンス宇宙ステーションへと運び込まれ、職員たちは解析したDNAからフェイスハガーを作っていた。
しかし170日前、死んだと思われていたビッグチャップが目覚め、職員たちを虐殺。作られたフェイスハガーを解き放ち、ゼノモーフを増殖させた。
最終的にビッグチャップは職員たちによって抹殺されるが、その際に出た酸性の血液がステーションを貫通。穴のあいたステーションは真空となり全員を道連れにした。
ルークがルネッサンス宇宙ステーションで何が起きたかを話すシーンで、コイツの亡骸が登場。
亡骸の下には酸の血液により巨大な穴が開いていた。その腹部に刺さっていたのは、エイリアン1作目でリプリーが放ったもりである。
【◇ストーリー】
アンディの手を借り、宇宙ステーションに入ったアンディ・ビヨン・タイラー。
無事休眠ポッドを見つけるがユヴァーガに着くまでポッドを運転させる燃料が足らず、追加の燃料を探しに行くことに。
その道中でアンディは、ビヨンからユヴァーガがアンドロイド禁制であること、もしユヴァーガに到着できても廃棄されてしまうことを伝えられる。
レインはこの事実を知っていたが、どうしても話せずにいたのだ。
アンディは少しの沈黙の後「レインのためならいいよ」とこれを受け入れ、会話を聞いていたレインは自分を責めた。
そして3人はとある部屋で燃料を発見する。だが燃料ボンベを抜いたとたんその部屋にロックがかけられてしまう。
どうやら重要な部屋だったのか「管理者権限がありません」とアンディでも開けられない。
閉じ込められた3人を助けるべく、レインとナヴァロもステーションへ侵入。
レインは道中に落ちていたアンドロイドの残骸からチップを抜き取り、アンディに挿すことで管理者権限を付与できないかと考える。
一方、3人には危機が迫っていた。実は彼らの入った部屋は約40匹のフェイスハガーが冷凍保存されている部屋で、燃料を抜いたことで解凍され目覚めつつあったのだ。
幸いにもレインらは3人にチップを渡し、アンディに管理者権限を付与することに成功。
迫るハガー達から逃げて何とか脱出に成功するが、逃げた先の扉の閉鎖が間に合わず、かいくぐったハガーの1匹がナヴァロに貼りついてしまう。
パニックになる一行だったが、突如アンディがフェイスハガーの特徴について人が変わったように語りだす。
口調も子供っぽさが残るものから、よりはきはきしたものに変わっていた。
レインは彼に挿したチップが原因だと気づいて抜こうとするが、アンディは拒否。知能だけでなく身体機能も向上したことを彼女に話す。
無理にフェイスハガーをはがそうとすれば尻尾で窒息、電撃を加えても尻尾で首が折れて死ぬと警告。
ビヨンはナヴァロを助ける方法をアンディに尋ね、チップの入手元だったアンドロイド・ルークを起こし、彼からステーション内でいったい何があったのかを聞くことになる。
その後、一行は冷却燃料を使いフェイスハガーの尻尾の根元を凍らせる作戦を決行。
ナヴァロからフェイスハガーを引きはがすことに成功するが、ルークは60%の確率で生物の"仕事"は終わったと分析していた。
ルークはアンディに「人間は感情に惑わされて合理的な判断ができない、君が力を貸すんだ」と指示。
アンディは寄生されているかもしれないナヴァロを置いていこうと提案する。
その提案に反発したビヨンはナヴァロと2人だけでコルベラン号に乗り込み、留守番していたケイもろとも発進してしまう。
そしてアンディから逃げようと船を操縦しようとしたその時、ナヴァロの胸を突き破ってチェストバスターが誕生。
また誤操作によってコルベラン号は暴走し、ルネッサンス宇宙ステーションの燃料タンクに傷をつけ爆発させてしまう。この影響で本来惑星への衝突まで36時間も余裕があった筈のルネッサンスは残り47分で衝突するコースに。
残された3人は一刻も早い脱出を余儀なくされ、ロムルス区画の格納庫に不時着したコルベラン号を目指すこととなった。
一方コルベラン号に乗ったケイとビヨンは、壁に張り付く"繭"を発見。ビヨンは怪物を殺そうと電撃で攻撃するも失敗。
逆にこの攻撃でできた傷から垂れる酸性血液によって、命を落としてしまう。
そして電撃で刺激した影響か、繭を裂き、ついに成体となったゼノモーフが姿を現す。
そして格納庫にてケイと3人は合流。
アンディはロックされていた格納庫の扉を開こうとするが、背後にゼノモーフを確認したために開くのを中断。「開くと全員死ぬことになる」と言う。
レインはケイが妊娠していることを伝えるなど何とか説得しようとするが、そうこうしているうちにゼノモーフがケイの肩を貫きどこかに連れ去ってしまう。
ショックを受けたレインは、アンディに現在の目標を尋ねる。
ここで彼女は、ルークのチップを入れた段階でアンディの「レインのために行動する」目標が上書きされ、会社の利益になることを最優先するようになってしまったことを知るのだった。
一行はアンディに先導され、ある研究室にたどり着く。そしてアンディはルークに指示された通り「Z-01」と呼ばれる液体を入手。
ルークはこれを持っていない限り、一行がここから出られないようにしていた。
そして来た道を帰ろうとするも、ゼノモーフが後をつけてきていることを知り計画を変更。別の道から迂回することに。この時に近くの武器庫からパルスライフルを入手する。
電子パルスを発射する銃。相談数は450発で銃側面に残弾数がゲージ式に表示される。相変わらず使用者自身には見えない。AAはエイミングアシストの略。
銃のストックを伸ばして脇に挟むと肩に張り付き、さらに自動照準を作動させると本体とストックの中間にあるレール部分が可動、目標を正確に狙ってくれる。
ただしここはステーションの最下層であり、酸の血液で床が抜けるため発砲ができないことを、アンディから淡々と告げられる。
「Andy... Are you there?」
そして近くにあったコンベアを進むと、眼前に巨大なエイリアンの巣が現れる。
エイリアンとの遭遇を恐れた一行が別の道を探そうとしたとき、聞き覚えのある声を聞いて突如タイラーが巣へ向かって走り出した。
巣に捕らわれた職員の死体たち。その中に、まだ動く人影があった。ケイは生きていたのだ。
重症を負っていたケイを救うべく、エレベーターを起動し急いで格納庫へ戻る一行。しかしゼノモーフからの攻撃からレインを庇いタイラーが死亡、アンディもエラーを起こしてしまう。
残った2人は何とかエレベーターに乗ることに成功するが、アンディを見捨てられなかったレインは戻ることを決意。ケイにコルベラン号の準備と「Z-01」を託す。
巣に戻ったレインはアンディを説得し、チップを外すことに成功。元の目標を取り戻して正気に戻ったアンディと和解する。
そして2人はゼノモーフの群れを回避しようとコンベアを通って迂回しようとしたが、入口がふさがっていた。
ルークが「Z-01」を持っているケイさえ生きていればいいと判断し、2人を見捨てたのだ。
2人は絶望し、迫るゼノモーフの群れを見ながらダジャレを言い合っていたが、そのやり取りのなかでレインが「無重力下なら血液が浮かんで床が溶けない」と気づく。無重力装置を起動させたレインはパルスライフルでゼノモーフの群れへの攻撃を開始、撃退に成功する。2人は何とか酸の血液を避け、エレベーターシャフトを伝って格納庫へ戻ることにする。
道中ゼノモーフの群れが再び襲い来るも、エレベーターを落として撃退。この攻撃を免れたゼノモーフの1匹にレインが追いつめられるも、意を決して突撃したアンディによって倒された。
「Get Away From Her, You...B***h」
シャフトを何とか登り切った2人は、コルベラン号で待っていたケイと合流。
ルークは遠隔操縦を起動し、ステーションの崩壊寸前で脱出に成功。その後ルークがウェイランド社へ救助を要請するも、一行は彼の要求を拒否。
元の目標を取り戻しているアンディもルークの命令を無視。ルークはステーションもろとも破壊される。
戦いが終わり、休眠ポッドの準備を進めるレイン。彼女はアンディがオンライン操縦に集中する直前、彼の目標を「これからは私のためじゃなくて"私たち"のために行動して」と定め、アンディと共にユヴァーガへ向かうことを決意。姉弟の絆を再確認したのだった。
【◇用語】
●Z-01
黒い液体。ルークはレインたちを脱出させる条件に、研究のためにこの液体のサンプルを持ち帰ることをアンディに指示した。
研究室の水槽には複数のフェイスハガーがパイプに繋がれているので、フェイスハガーの血液から作られたものと思わる。フェイスハガーが大量に冷凍保存されていたのも多分そのため。
その正体は
「プロメテウス」に登場した黒い液体(ブラック・グー)そのもの。
ルークがZ-01の説明をする際には、あの円筒形のカプセルも登場する。
ルークが言うには、これを人間に投与することで過酷な環境でも活動できる力をもたらしてくれるのだという。
彼はこれを
「ウェイランド氏の念願を叶えるプロメテウスの火」「人類に必要な"アップグレード"だ」と語っている。
実際、プレス機で押しつぶしたラットにこれを注射すると、みるみるうちに傷や骨折が癒えて元の姿へ戻るという驚異的な治癒力を見せた。
巣を進む道中、アンディは重傷を負い弱っていたケイに対してZ-01を使用することを提案。タイラーが打とうとするも「信用できない」とレインが阻止する。
しかし、レインがコルベラン号の準備とZ-01をケイに託したとき、お腹の赤ちゃんのことを考えたのかケイは独断でZ-01を自身に注射して回復している。
この液体には彼女たちが気づけなかった「裏」があった。
実はZ-01を注射したラットは様子が急変しており、暴れだしたかと思えば体内で変異が起こり、原形も残らない化け物へと変わり果てていたのだ。
そして、ルネッサンス宇宙ステーションを脱出して惑星ユヴァーガへ向かう最中、ポッドに入っていたケイに異変が発生。
レインがポッドを開くと、そこには痙攣するケイの姿が。そのお腹は大きく膨らみ、彼女はその痛みに震えていたのだ。
そう、注射されたZ-01は彼女と、彼女の赤ちゃんと混ざり合い、
◎オフスプリング(The Offspring)
演:ロバート・ボブロツキー
Z-01を投与したことで変異した、ケイの赤ちゃん。卵の状態で産まれて孵化し、そこから成体となってアンディとケイの前に姿を現した。
なお、この成長は時間にしてたった3分で赤ちゃんから約2m30cmの成体まで成長するという、常軌を逸した成長速度である。
身体は細く、上半身は歪に右へ傾いている。青白い肌は「
エイリアン4」のニューボーンを彷彿とさせるが、オフスプリングはニューボーンよりも人間的な特徴を多く持っている。
そして、その顔は「プロメテウス」に登場した、
エンジニアそっくりである。なお「Offspring」は英語で
子孫という意味を持つ。
ちなみに、演じたロバートは実際に身長が2m31cmあるルーマニアのバスケットボール選手である。
成体になったオフスプリングは、出会ったアンディの首を掻いて破壊。母親のケイから乳を吸おうとして彼女も殺害した。
直接的な死の瞬間の描写は映されなかったが、泣きながら抵抗しようとするケイに覆いかぶさり、エイリアンの舌を突き刺して体液を吸い殺すという凄惨なものである。
そして残ったレインをも殺そうとその巨体を晒すが、彼女の機転によって貨物コンテナごと船外へ放出。LV-410に叩き落され宇宙の塵となった。
こうして今作の最後の敵とされているが、オフスプリング自身も正確にはまだ純粋な赤ちゃんであり、人間の浅はかな善意とエイリアンの未知の技術に生み落とされてしまった被害者とも呼べるだろう。
最後の生存者となったレインは、壊れてしまったアンディに「治してあげる」と声をかけ、彼とともに冷凍休眠ポッドへ。
惑星ユヴァーガへ向かうコルベラン号が宇宙の闇に溶けていく様子を最後に、物語は幕を閉じるのだった。
なおオフスプリングは初期デザインから大きく姿が変わっている。
初期デザインでは姿こそエイリアンによっているが、
リングの貞子のように黒い長髪を垂らした姿になっていた。
怖すぎ。
【◇トリビア】
- 作中では観客にもケイ自身にも分からなかったが、ケイが身ごもっていた赤ちゃんの父親はビヨンということが監督によって明かされている。
- ビッグチャップの登場するルークとの会話シーンでは、近くの端末にノストロモ号のクルーの写真が表示されている。ぼやけていて分かりづらいが、おそらくケインだと思われる。
- 終盤で出てくるセリフ「Get Away From Her, You...B***h」は、「エイリアン2」のリプリーVSクイーンの戦いの際に発せられたセリフである。
あまりにも有名なシーンであるため、エイリアン2を観たことがない人でも『このシーンは観たことある』という人がいるかもしれない。
- 本作でルーク役を演じたイアン・ホルムは2020年に亡くなっている。
制作の際はホルムの遺産管理者から承諾を得た上で、「エイリアン」でホルムの出ているシーンから目や口などの素材を作り、CGのパペットを作って撮影した。
なので、役というよりは"モデル"に近いかもしれない。
- タイトルやステーションの名前にもなっている「ロムルスとレムス」は、ローマの建国神話に登場する双子の兄弟である。
ロムルスが兄で、レムスが弟。ローマおよびローマ市は彼らによって作られたといわれている。
記録では都市の建設者を決める際のいざこざで弟は兄に殺されてしまう。これは作中で弟を見捨てなかったレインとアンディの関係とは対になっている。