登録日:2016/04/11 (月) 00:22:45
更新日:2025/05/29 Thu 15:18:13
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◆概要◆
ここでは、アメリカのプロレス団体
WWEにおけるグランドスラムについて触れる。
WWEグランドスラムとは、WWEの4つの主要王座全てを1度でも獲得すると得られる称号である。
4つの王座とは、WWE王座、インターコンチネンタル王座、WWE世界タッグ王座、そしてヨーロピアン王座である。
類似用語として、グランドスラムからヨーロピアン王座を抜いた3つの王座を獲得した選手に贈られる「
トリプルクラウン」がある。
◆各王座概略とグランドスラム形成の経緯◆
・WWE世界ヘビー級王座
WWEにおけるシングルの最高王座であり、この王座をめぐる抗争が番組のメインストーリーとなる。
王座創設はWWEの前身であるWWWF設立前の1963年1月25日とされており、初代王者は
バディ・ロジャースと認定されている。
その数か月後、ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンにてブルーノ・サンマルチノがロジャースを圧倒的な試合展開で下し、以後約8年間の長きに渡り王座を保持した。
1979年には日本で
アントニオ猪木が王座を獲得したが、猪木の戴冠についてはWWEが認めている時期と認めていない時期があり、現在の公式年表に猪木の名はない。
現WWE会長の
ビンス・マクマホンの新体制下でWWFの全米侵攻がスタートした1984年からは、
ハルク・ホーガンを主軸とした王座争いに移行。
WWFのファミリー・エンターテインメント路線を牽引した。
ホーガンが
WCWに移籍した1993年以降は、ニュー・ジェネレーション路線としてブレット・ハートや
ショーン・マイケルズが王座戦線の主役となった。
1997年、WWFは視聴率争いで一歩リードされていた
WCWに対抗する為に、これまでの
プロレスの常識を覆す昼ドラ調のストーリー、アティテュード路線に切り替える。
以降、
ストーン・コールド・スティーブ・オースチンらを中心とした王座争いがドラマ仕立てで展開され、会長のビンス自身が王者になるということもあった。
WCW買収後の2001年12月に開催されたPPVヴェンジェンスではWWF王座と
WCW王座を統一したWWF統一王座が新設され、
クリス・ジェリコが初代統一王座を戴冠した。
2002年8月に開催されたサマースラムで統一王座を奪取した
ブロック・レスナー以降、名称がWWE王座と改称される。
以降スマックダウンで王座を管轄し、RAWには世界ヘビー級王座が新設され、WWE王座と同等の扱いの王座となった。
その後、管轄が1度RAWに行ってまた戻ってきたりもしたが、2013年に世界ヘビー級王座を、2024年にユニバーサル王座を吸収し、現在に至る。
・インターコンチネンタル王座
略称、IC王座。王座創設は1979年9月。
同年6月にテッド・デビアスから「北米ヘビー級王座」を奪取したパット・パターソンが、その後リオデジャネイロで行われた架空のトーナメントに優勝したと称し、北米と南米の両王座を統合して「インターコンチネンタル(大陸間)王座」と改称したことが始まり。
ちなみに1992年まではインターコンチネンタル・ヘビー級王座という名前が正式だった。
もともと当時のWWFヘビー級王座に次ぐナンバー2タイトルとして位置付けられ、三役クラスの選手や次代を担う新鋭によって争われた。
現在でも、団体のエースを目指すプロレスラーの登竜門として、または最高位の王座争いストーリーに絡まないレスラーの為の王座となっている。
2001年11月に
WCW・US王座と統合、2002年7月にヨーロピアン王座、8月にはハードコア王座と統合し、10月には世界ヘビー級王座に統合され、消滅した。
・・・がしかし、ファンから大不評だった為、翌年5月に復活。以降、現在に至る。
・WWEタッグ王座
もともとは「世界タッグ王座」という名称で、創設は1971年6月。ニューオーリンズで行われたとされる架空のトーナメントにおいて、ターザン・タイラー&ルーク・グラハムが初代王者チームに認定される。
その後2001年11月に
WCW世界タッグ王座との統一を経て2002年のRAWとスマックダウンのブランド分割以降は「世界タッグ王座」としてRAWにて管理されていた。このときスマックダウンに「WWEタッグ王座」が新設され、どちらの王座を獲得しても要件を満たすとされていた。
2009年4月のレッスルマニアXXVにて、WWEタッグ王者だったカリート&プリモ・コロンが世界タッグ王者ジョン・モリソン&ザ・ミズを破り、RAWとスマックダウンの両タッグ王座を統一。
(因みにタイトル的にはWWEタッグ王者が存続し世界タッグ王座が消滅)
その後しばらく「WWE統一タッグ王座」という名称だったが、「WWEタッグ王座」と名前を戻したのち、2016年のブランド分割により「RAWタッグ王座」に名称変更、スマックダウンには「スマックダウンタッグ王座」が新設された。
更に2024年にRAWタッグ王座は「世界タッグ王座」、スマックダウンタッグ王座は「WWEタッグ王座」に名称変更、原点回帰することとなった。
もう何が何やら
なお、名称をかつてのそれに戻した理由については、ドラフトによるタッグ王者の所属番組移籍と
それに伴う王者同士の王座交換という
めんどくさいストーリー上何の起点にもならない場面が発生するのを防ぐためではないかと言われている。
なお、現在は世界タッグ王座orWWEタッグ王座のどちらか片方の獲得によって認定される。
・ヨーロピアン王座
通称、欧州王座。上記3つの王座に比べて歴史が浅く、創設は1997年。
ブリティッシュ・
ブルドッグがドイツで開催されたトーナメントに優勝して戴冠を受けたことが起源。
約半年後にショーン・マイケルズが王座を奪取したことにより、すでにトリプルクラウン状態だったマイケルズは、自分の偉業を強調するためにグランドスラム達成を自称するようになる。
これが全ての始まり。
以降、IC王座と同様に中堅や若手レスラーによって争われることになるが、IC王座ほどタイトル戦が組まれなかったりなにかと地味であった。
2002年7月にIC王座と統合されて以降、現在まで1度も復活していないため、
たった5年しか稼動していない王座だったりする。
したがって、新規にグランドスラムを達成するには欧州王座の獲得経験があるレスラーが他3つの王座を獲得しないと不可能である。
因みに2017年に似たような名称のWWE・ユナイテッドキングダム王座が設立されたが、
イギリス版NXTのNXT・UKの管轄の王座で関連性はなく、グランドスラム達成要件にも認定されていない。
・世界ヘビー級王座(旧:2002~2013年、新:2023年〜)
2002年8月からWWE王座がスマックダウン管轄となった為に、RAWにて新設。初代王者は
トリプルH。
事実上、
WCW世界ヘビー級王座をWWE内で復活させた形であり、ベルトもフレアーモデルと呼ばれる旧NWA世界ヘビー級王座を微妙にマイナーチェンジした物であった。
WWE王座と同格という扱いであり、この王座を獲得してもグランドスラムの条件を満たすとされていた。
また、2002年10月にIC王座を一度統合している。
2013年にWWE王座に再度統合されて消滅した後、2022年に下記のユニバーサル王座が
ローマン・レインズによりWWE王座と統一されたことを受け、2023年に新設された。
その為に代数などはリセットされており復活ではなく「同一名称の王座新設」となる。新設版の初代王者は
セス・ロリンズ。
因みにベルトは世界ヘビー級王座に縁深かったハンターさんの意向も汲んでかフレアーモデルを意識しつつもコンパクト化したデザインになっている。
なお、元ネタである
WCW世界ヘビー級王座や同じく同格扱いとされていたECW王座(いずれもWWE管轄時代)は獲得歴があってもグランドスラムの条件として認められてない。
・WWEユニバーサル王座
2016年のブランド再分割に伴い新設された王座。
こちらもWWE王座と同格という扱いであり、この王座の獲得によりグランドスラムの条件を満たすとされている。
2022年にローマン・レインズがWWE王座との二冠を達成し、「統一WWEユニバーサル王座」と表記されたことで、2024年5月現在はWWE王座と統合状態にあった。
その為王座として実質的に稼働していたのは5年と実は欧州王座に並ぶ短さだったりする。
2025年4月、正式に廃止され、コーディ・ローデスの獲得歴が抹消されたことで、王座が実質的に稼働していた時期の王者であったレインズが最後の王者になった。
これを見ても分かる様に意外と欧州王座の獲得難易度が高く、中々グランドスラムを達成出来ない原因の一つとなっている。
また、その当時の団体の台所事情にも左右される為、実力や人気だけでは達成できない。
例えば近年までトップレスラーとして活躍していた
ブロック・レスナーは最高位王座であるWWE王座とユニバーサル王座の獲得歴しかなく、そのキャラクターから他の王座戦線に殴りこむ要素がない為、グランドスラムとは無縁だったりする。
◆歴代達成者◆
カッコ内にそれぞれの王座を最初に獲得した年月を記載。
◎
ショーン・マイケルズ(WWE:1996年3月、IC:1992年10月、タッグ:1994年8月、欧州:1997年9月)
第1号であり言いだしっぺ。詳細は割愛。
◎トリプルH(WWE:1999年8月、IC:1996年10月、タッグ:2001年4月、欧州:1997年12月)
第2号。HBKが達成してから実に3年半後の話であり、この当時グランドスラムという言葉はあまり使われなかった。
因みに欧州王座はHBKから後の
フィンガーポーク・オブ・ドゥームばりの超無気力試合
で獲得している。
◎
クリス・ジェリコ(WWE:2001年12月、IC:1999年12月、タッグ:2001年5月、欧州:2000年4月)
第4号。WWE入団からグランドスラム達成までの最速記録保持。またIC王座通算9回獲得も歴代最多である。
現在はAEWの看板レスラーであり、50手前ながらも同団体の最高王座であるAEW世界王座を獲得している。
◎
カート・アングル(WWE:2000年10月、IC:2000年2月、タッグ:2002年10月、欧州:2000年2月)
第5号。タッグ王座は歴史の深い「世界タッグ王座」ではなく、当時スマックダウンで新設された「WWEタッグ王座」であった。
◎
エディ・ゲレロ(WWE:2004年2月、IC:2000年9月、タッグ:2002年11月、欧州:2000年4月)
第6号。初の
メキシコ系達成者。なお、欧州王座はジェリコから奪っているが、このときジェリコは1日天下だった。
◎
ロブ・ヴァン・ダム(WWE:2006年6月、IC:2002年3月、タッグ:2003年3月、欧州:2002年7月)
第7号。欧州王座とハードコア王座がIC王座に統合されたときにIC王者だった。相手はそれぞれジェフ・ハーディとトミー・ドリーマー。
◎ジェフ・ハーディ(WWE:2008年12月、IC:2001年4月、タッグ:1999年6月、欧州:2002年7月)
IC王座と欧州王座の歴代最年少記録を保持。2003年から2006年まで団体を離脱していたこともあり、WWE世界ヘビー級王座の獲得が遅かった為グランドスラム達成最年少記録はジェリコに譲っている。
2021年にWWEを解雇されAEWに移籍するもまたもや飲酒運転で逮捕され干されてしまい、1つもタイトルを獲得出来ないまま退団した。
現在は兄マットと共にTNAに移籍、またWWEとTNAの業務提携の一環でTNAタッグ王者としてNXTに出場したことも。
◎
ジョン・ブラッドショー・レイフィールド(WWE:2004年6月、IC:2009年3月、タッグ:1999年5月、欧州:2001年10月)
レ神。欧州王座、タッグ王座はAPA時代の「ブラッドショー」で、WWE王座とIC王座は「JBL」として獲得。
初の異なるギミックを含めての達成者。
ジェフとは逆にIC王座の獲得が遅かった為、ジェフに先を譲る形となった。
◎
クリスチャン(ヘビー:2011年5月、IC:2001年9月、タッグ:2000年4月、欧州:2001年10月)
最後のグランドスラム獲得者。WWE王座の獲得歴はないが、同格の世界ヘビー級王座獲得で認定を受けている。
現在はAEWに移籍。
追記・修正は欧州王座を獲得してからお願いします。
・・・でも、すでに消滅した王座が必須条件じゃ今後達成者が登場しないですよね??
というわけで、この達成要件は少々緩和され、2009年ごろに欧州王座と同格扱いだったハードコア王座の獲得歴が、2015年にはUS王座の獲得歴が欧州王座にとってかわっても大丈夫ということになった。
ということで、これからグランドスラムを達成するにはWWE世界ヘビー級、タッグ、IC、USの4王座を獲得すれば達成ということになる。
更に2016年にRAWとSmack Down!が再度分割された為、現在の要件ではもう一つの最高位王座であるWWEユニバーサル王座の獲得、タッグ王座についてもRAWタッグチーム王座(後に世界タッグ王座に改称)またはスマックダウンタッグチーム王座(後にWWEタッグ王座に改称)のいずれかの獲得によっても要件を満たす事となった。
・ハードコア王座
もともとはビンスが
ミック・フォーリーに自らが製作したハードコア王座のベルトを手渡したのが起源である(1998年)。
このベルトが賭けられた試合は基本的に、凶器攻撃などの反則裁定が一切無い。
更にリング上でなくても、会場外であろうが観客席であろうがどこでも決着を付けられるというルールだが、レフェリーがジャッジして3カウントしないとダメ。
創設当初は主として前座クラスのレスラーで争われていた。
風向きが変わったのは2000年、時の王者クラッシュ・ホーリーが「
24時間365日、いつでもどこでも誰でも相手になってやる」と発言した。
そのせいで「
いつでもどこでも誰でも挑戦可能な24時間ルール」がルールに加わり、一気にコミカル路線向けとなった…
歴代王者には女性のトリッシュ、
FUNAKIやゴッドファーザーの娼婦までもが王者になったりもしている。
この王座のコミカル路線のお陰でグランドスラムになれた人も数多くいる(ケイン、ビッグショー、ブッカーTとか)
2001年のECW崩壊後は元ECW選手御用達の王座となっていた。
一応、王座獲得最多記録はレイヴェンの27回。
しかし、2002年8月IC王座との統一が決まり、消滅した。4年間しか稼動しなかったが、後半はめまぐるしく王者が入れ替わった。
現在、ハードコア王座ベルトは
ミック・フォーリーに贈呈され彼が永久保持している。
因みに2019年に事実上の後継王座ともいえる「
WWE 24/7王座」が新設されたが、
ハードコア王座以上にギャグ路線が強すぎる事もあってかグランドスラムの要件にはされていない。
・US王座
正式名はWWEユナイテッドステイツ王座。NWAのタイトルとして1975年1月1日創設。初代王者は
ハーリー・レイス。
WCW設立後は
WCW・US王座として管理されていたが、2001年に団体が崩壊しWWE管轄の
WCW・US王座となる。
同年11月にIC王座と統一され消滅するが、2003年に復活。王座復活後の初代王者はトーナメントを勝ち抜いた
エディ・ゲレロである。
以降、2015年までグランドスラムとは無縁の王座だった。なお原則として
WCW管轄時代のUS王座獲得歴はグランドスラムの条件を満たさない。
ということで
◆追加条件でのグランドスラム達成者◆
◎ケイン(WWE:1998年6月、IC:2001年5月、タッグ:1998年7月、HC:2001年4月)
第3号。欧州王座は獲得しておらずハードコア王座獲得により達成している。
因みに現在はテネシー州ノックス郡郡長である。
◎ブッカーT(ヘビー:2006年7月、IC:2003年7月、タッグ:2001年10月、HC:2002年5月)
第8号。初の黒人系達成者。自身のギミック「5 Times Champion」のせいで中々WWE世界ヘビー級王座に縁がなかったが、世界ヘビー級王座獲得で認定を受けている。
◎ビッグショー(WWE:1999年11月、IC:2012年4月、タッグ:1999年8月、HC:2001年2月)
IC王座獲得が極端に遅いのは、
WCWから電撃移籍していきなりトップ戦線に登場した為に、単にIC王座戦線のストーリー上にいなかった為である。
その為、最初のタッグ王座からIC王座獲得するまでの13年8か月は2018年に
ランディ・オートンに抜かれるまでグランドスラム達成にかかった最長記録であった。
現在はAEWに所属。
◎
エッジ(WWE:2006年1月、IC:1999年7月、タッグ:2000年4月、US:2001年11月)
2015年条件緩和で要件を満たすことになった。US王座の条件追加はエッジをグランドスラム入りさせる為という揶揄もある。
ちなみに
WCW・US王座統合前の最後の王者である。
2021年に電撃復帰した後、2023年にAEWに移籍。コープ名義で再び活躍している。
◎ザ・ミズ(WWE:2010年11月、IC:2012年7月、タッグ:2007年11月、US:2009年10月)
同じく、条件緩和により達成。新人発掘企画「タフイナフ」参加者で唯一の快挙。
因みに彼はこの後もう1度全ての王座を獲得(WWE:2021年2月、IC:2013年4月、タッグ:2014年11月、US:2010年6月)し「2度目のグランドスラム達成」という偉業を成し遂げ自身も初のダブル•グランドスラム達成者とネタにしている。
が、上述する通り実はミズより前にジェリコ(世界ヘビー:2010年2月、IC:2000年5月、タッグ:2009年5月、US:2017年1月)とジェフ・ハーディー(世界ヘビー:2009年6月、IC:2007年9月、タッグ:2000年9月、US:2018年4月)が秘かに2度目のグランドスラムを達成しており、この括りでは歴代3人目である。一応新条件のみでの達成では史上初であるのであながち間違いではない。
◎ダニエル・ブライアン(WWE:2013年8月、IC:2015年3月、タッグ:2012年9月、US:2010年9月)
NXT出身者として初の達成。IC王座獲得後、首の負傷によりドクターストップがかかり引退。
…が、2018年復帰。その後2021年にAEWに移籍し「ブライアン・ダニエルソン」名義で活動中。
◎ディーン・アンブローズ(WWE:2016年6月、IC:2015年12月、タッグ:2017年8月、US:2013年5月)
不義を正す、正義の盾「ザ・シールド」のメンバー。初めはナンバー3的なポジションにいたが、グランドスラム達成はメンバーの中で一番早かった。
2019年、WWEを退団し新団体であるAEWに電撃移籍して世界中を驚かせた。
また、2020年にはAEW世界王座を、2024年にはIWGP世界ヘビー級王座を獲得し、史上初のWWE・AEW・IWGPの最高王座を全て獲得したレスラーとなった。
◎ローマン・レインズ(WWE:2015年11月、IC:2017年12月、タッグ:2013年5月、US:2016年9月)
同じくシールドのメンバーにして、ブラッドラインのトライバルチーフ。サモア系、そして彼の出身でもあるアノアイファミリーの中で初のグランドスラム達成者となった。
ユニバーサル王座については、2020年のペイバックでの戴冠から2024年のレッスルマニア40でコーディ・ローデスに敗れるまで、1316日間の史上最長保持記録を保有している。
更に2022年のレッスルマニア38でWWE王者のブロック・レスナーとの王座統一戦に勝利し、ユニバーサル王座とWWE王座の二冠を手に入れ、統一王者として君臨していた。
◎
ランディ・オートン(ヘビー:2004年8月、IC:2003年12月、タッグ:2006年11月、US:2018年3月)
2003年にIC王座、翌2004年に最年少で世界ヘビー級を獲得したが、その後はほぼトップ戦線にいた為にUS王座獲得が大幅に遅れた。
その為IC王座獲得からUS王座獲得にまでの14年3か月は2019年にレイ・ミステリオに抜かれるまでグランドスラム達成にまでかかった最長記録でもあった。
◎セス・ロリンズ(WWE:2015年3月、IC:2018年4月、タッグ:2013年5月、US:2015年8月)
セスの達成によりシールドのメンバーが全員グランドスラムを達成する。
因みに2022年に再度US王座を獲得した事で歴代4人目、新条件のみではミズに次いで2人目のダブル・グランドスラム(WWE:2016年6月、IC:2018年6月、タッグ:2017年8月、US:2022年10月)達成となった。
加えて、2019年にユニバーサル王座、2023年に復活版の世界ヘビー級王座も獲得しており、2024年5月現在、これまでグランドスラム達成要件とされていた最高位王座全ての獲得経験がある唯一のレスラーとなっている。
◎ドルフ・ジグラー(ヘビー:2011年2月、IC:2010年7月、RAWタッグ:2018年9月、US:2011年6月)
ヘビー級王座は、当時抗争中のエッジがGMから強制はく奪されたものを贈呈される形で獲得したが、2013年4月にマネーインザバンク権行使で正式に獲得。
因みに長年認定がされなかったのは
スピリット・スクワッド時代にユニットで獲得した世界タッグ王座の認定がされなかった為であるが、2018年にドリュー・マッキンタイアとのタッグでRAWタッグ王座を獲得した為、正式に認定された。
2024年以降は本名のニック・ネメス名義で新日本プロレスやTNAに参戦。
◎コフィ・キングストン(WWE:2019年4月、IC:2008年6月、タッグ:2008年10月、US:2009年6月)
入団からIC、タッグ、USとあっという間に獲得していったが、その後最高王座には縁がなかった。
その後、11年かかってのレッスルマニア35にてダニエル・ブライアンを倒しWWE王座を獲得、グランドスラムを達成した。
◎レイ・ミステリオ(ヘビー:2006年4月、IC:2009年4月、タッグ:2002年11月、US:2019年5月)
入団直後にWWEタッグ王座、その後ヘビー級王座、IC王座獲得と順調に獲得していったものの、ブランド移籍によっていつもUS王座の無いブランドにいた事や、2015年から2018年まで団体を離脱していた事も影響して、US王座獲得が大幅に遅れた。
その為、WWEタッグ王座獲得からUS王座獲得にまでにかかった16年6か月は2019年現在でグランドスラム達成にかかった最長記録である。
◎
AJスタイルズ(WWE:2016年9月、IC:2020年6月、タッグ:2021年4月、US:2017年7月)
2016年1月入団と男女含めた達成者で最新の入団者である。
レッスルマニア37にてオモスとのタッグでRAWタッグ王座を獲得しグランドスラムを達成した。
また、WWE所属前にはNWA世界ヘビー級王座も獲得しており、同王座獲得経験のある初のグランドスラム達成者となった。
◎ケビン・オーエンズ(ユニバーサル:2016年8月、IC:2015年9月、タッグ:2023年4月、US:2017年4月)
初のWWEユニバーサル王座で要件を満たしてのグランドスラムを達成したスーパースターでもある。
シングル王座はデビュー当初からトントン拍子で獲得していき、タッグ王座へは何度か挑戦歴はあるものの単発的な挑戦が多かった為長い間獲得できずにいた。
しかし、2023年のレッスルマニア39にて親友サミ・ゼインとのタッグで(王座統一前のSMACKDOWNタッグ王者時代から数えて)1年9ヶ月間に渡り王座防衛し続けた強豪ウーソズからWWE統一タッグ王座を奪取し、遂にグランドスラムを達成した。
◎フィン・ベイラー(ユニバーサル:2016年8月、IC:2019年2月、タッグ:2023年9月、US:2022年2月)
現時点での最新の達成者。元新日本プロレスのプリンス・デヴィットにしてBULLET CLUB創始者、まさに悪魔ともいうべきな禍々しいフェイスペイントでお馴染みのデーモン・キング。現在はヒールユニット『ジャッジメント・デイ』のリーダー。
初代WWEユニバーサル王者という輝かしくもあり、その王座戦中に負った怪我で翌日王座返還という苦々しい経験から7年後、2023年のペイバックにてメンバーのダミアン・プリーストとともにWWE統一タッグ王座を獲得し先にグランドスラムを達成したリア・リプリーに続き「ジャッジメント・デイ」内で2人目のグランドスラム達成者となった。
◆女子部門◆
女子部門については長年グランドスラムの規定は無かったが、2019年には女子部門においてもグランドスラムの称号が使用されるようになった。達成要件はWWE女子王座、世界女子王座、NXT女子王座、女子タッグチーム王座の4つである。2024年に新設された女子IC王座と女子US王座については、上記の獲得条件に含まれているのかは2025年現在対象者がいない為不明。
◆各王座概略とグランドスラム形成の経緯◆
・WWE女子王座(RAW女子王座)
WWEの女子部門における最高位王座。
2016年に当時の女子最高位王座であるDIVAs王座に替わって「WWE女子王座」として新設された王座である。初代王者はシャーロット・フレアー。
同年7月に後述する「スマックダウン女子王座」が新設されると「RAW女子王座」に名称変更される。
2023年には王座管理番組と王座を保持しているレスラーの所属番組の捻れ解消の為、名称をWWE女子王座に戻し、ベルトデザインも一新された。
肝心のデザインは統一WWE王座ベルトのコンパチだったが
因みに2010年まで存在していた同名のWWE女子王座、及びDIVAs王座での王座獲得歴は原則的にグランドスラムの条件を満たさない…というか今の所対象者がいないので不明。
・世界女子王座(スマックダウン女子王座)
WWEの女子部門におけるもう一つの最高位王座。
2016年のドラフト分割の際、WWE女子王座のシャーロットがRAWに指名された為、スマックダウン管轄の女子最高位王座として新設された。初代王者はベッキー・リンチ。
2023年、先述したRAW女子王座と同じ経緯で名称を世界女子王座に変更、ベルトデザインも一新された。
肝心のデザインは世界ヘビー級(ry
NXT女子王座
WWEの二軍、あるいは育成団体に当たるNXTにおける女子部門の最高位王座。
2013年に設立が発表された王座で、現在の女子グランドスラム認定要件の中では一番歴史が古い王座でもある。初代王者はペイジ。
・女子タッグチーム王座
WWEの女子部門におけるタッグ王座。
前身は1980年代に存在していたWWF世界女子タッグ王座で、2018年に現在の名称での復活が発表された。初代王者はベイリー&サーシャ・バンクス。
なお、他の王座と異なり管轄番組がなく、RAW・スマックダウン共用扱いとなっている唯一の王座でもある。
◆歴代達成者◆
カッコ内にそれぞれの王座を最初に獲得した年月を記載。
◎ベイリー(NXT:2015年8月、RAW:2017年2月、タッグ:2019年2月、SD:2019年5月)
女子初のグランドスラム達成者。2019年の女子タッグ創設初の王座獲得者であり、同年のマネーインザバンクでSD女子王座を獲得して四冠を達成。女子初のグランドスラムとして認められた。
◎ASUKA(NXT:2016年4月、SD:2018年12月、タッグ:2019年10月、RAW:2020年5月
史上2人目の女子グランドスラムを達成した日本人レスラー。2015年のNXT参戦から2018年のレッスルマニア34での敗北まで267連勝という圧倒的な記録を残し、2018年末のTLC2018においてSD女子王座を獲得した。2019年からはSDに昇格したカイリ・セインと「カブキ・ウォーリアーズ」を結成し、10月のヘルインアセルで女子タッグ王座を獲得。2020年5月、コロナ禍の真っ只中で行われたマネーインザバンク2020はWWE本社を使うという特殊ルールで行われ、ASUKAがマネーインザバンクを獲得した。その翌日のRAWでRAW女子王座のベッキー・リンチの懐妊及びベルトの返上が発表され、マネーインザバンクにはRAW女子王座ベルトが入っていたことが判明する。かくしてRAW女子王座を獲得し史上2人目となる女子グランドスラムの達成となった。
◎サーシャ・バンクス(NXT:2015年2月、RAW:2016年7月、タッグ:2019年2月、SD:2020年10月)
スヌープ・ドッグを従兄に持ち、レッスルマニア32で同伴入場したことがあるピンク髪or青髪姉ちゃん。タッグ王座はベイリーとともに初代王者。その後、休場離脱中に来日して仙女の道場で極秘特訓してからSD女子王座を獲得して3人目の達成者となった。
2021年に待遇への不満から所持していたタッグ王座を突き返して番組からフェードアウトし退団。新日本プロレスを経て現在はAEWに所属。
◎シャーロット・フレアー(NXT:2014年5月、RAW:2016年4月、タッグ:2020年12月、SD:2017年11月)
ご存じ、業界一卑劣な男の次女。RAW女子王座は初代王者。シングル戦が多い為、なかなかタッグ王座に縁がなかったが、2020年末にアスカと組んでついに王座奪取。父親が達成できなかったグランドスラムを達成した。
◎リア・リプリー(NXT:2019年12月、RAW:2021年4月、タッグ:2021年9月、SD:2023年4月)
ヒールユニット『ジャッジメント・デイ』の
イケメン姐さん。NXTからの昇格以降、次々と王座を獲得し、2023年のレッスルマニアではSD女子王座をシャーロットから奪取し、5人目のグランドスラムを達成。なお、リアは現在封印(NXT女子王座と統合)されたNXT・UK女子王座の初代王者にして数少ない獲得経験者であり、NXT・UK女子王座獲得経験者のグランドスラムはリアが初。
◎ベッキー・リンチ(NXT:2023年9月、RAW:2019年4月、タッグ:2023年2月、SD:2016年9月)
超雄「ザ・マン」。SD女子王座の初代王者。長年メインロースターとしての活躍していた事や懐妊もあった事もありNXT女子王者とは全く無縁であったが、2023年9月にNXT女子王者のティファニー・ストラットンを破ってNXT女子王座を獲得。夫のセス・ロリンズと揃って夫婦でのグランドスラム達成となった。ちなみに、タッグ王座獲得時のパートナーはアティチュード時代のレジェンド選手
リタである。
◎イヨ・スカイ(NXT:2020年6月、WWE女子:2023年8月、タッグ:2022年9月、世界女子王座:2025年3月)
紫雷イオの名前で日本でも活躍した日本人女子レスラー。4年に渡りNXTに所属しながらも中々女子王座に手に届かなったが2020年に漸く獲得。WWEの体制変化により2022年に昇格した以降はタッグ王座、WWE女子王座を次々に獲得し、2025年3月にはかつてNXT女子王座を巡って死闘を繰り広げたリア・リプリーに勝利して世界女子王座を獲得、ASUKAに続く日本人2人目の達成者となった。
また、WWE以前に所属していたスターダムでもグランドスラムを達成しており、日米団体でグランドスラムを達成した初のレスラーとなった。
◆その他◆
◆グランドスラム要件は満たしているが、公式に達成者に認定されていないレスラー◆
◎
ブレット・ハート
モントリオール事件より前にWWF王座、IC王座、タッグ王座の獲得歴があり、2010年にUS王座を獲得しているが、US王座が引退後の獲得による為なのか認定されていない。
もともと
モントリオール事件の因縁の相手であるHBKが言い出したグランドスラムに、自分が名を連ねるのはどうかということで辞退してるのではないかと推察されている。
◎
クリス・ベノワ
諸般の事情により、現在は認定は受けていない。詳細はリンク先参照。
因みに達成順はエディに次いで7番目の達成者となる。
◆グランドスラム達成にリーチがかかっている主なレスラー◆
・男子
◎あとIC王座獲得で達成:
ジョン・シナ、
アンダーテイカー、
ミック・フォーリー、シェイマス、アルベルト・デル・リオ、ダミアン・プリースト
◎あとUS王座獲得で達成:
ザ・ロック、
リック・フレアー(WCW時代の獲得はカウントされていない)、
ストーン・コールド・スティーブ・オースチン、CMパンク、ドリュー・マッキンタイア、ビッグ・E、ブラウン・ストローマン、コーディ・ローデス、ジェイ・ウーソ
◎あとタッグ王座獲得で達成:ボビー・ラシュリー
◎あと最高位王座(WWE、世界ヘビー、ユニバーサル)獲得で達成:マット・ハーディー(因みに獲得すると後述するジェリコ、ジェフに続く3人目の全王座獲得者となる予定)、
中邑真輔、シェイン・マクマホン、ザック・ライダー、ウィリアム・リーガルなど大勢
・女子
◎あとNXT女子王座獲得で達成:アレクサ・ブリス、ロンダ・ラウジー、ビアンカ・ブレア
◆新旧両方の条件でグランドスラムを達成した主なレスラー
◎クリス・ジェリコ
◎ジェフ・ハーディー
この2人は新旧グランドスラム達成に必要な全ての王座(WWE、世界ヘビー、世界タッグ、WWEタッグ、IC、US、ハードコア、ヨーロピアン)を獲得している。
因みに両者とも最後に獲得したのがUS王座(ジェリコ:2017年、ジェフ:2018年)なのも共通している。
◎ビッグショー(WWE、世界ヘビー、世界タッグ、IC、US、HC)
◎カート・アングル(WWE、世界ヘビー、WWEタッグ、IC、US、ヨーロピアン、HC)
◎JBL(WWE、世界タッグ、IC、US、ヨーロピアン、HC)
◎エディ・ゲレロ(WWE、WWEタッグ、IC、US、ヨーロピアン)
◆新旧両方のグランドスラム達成にリーチがかかっていた主なレスラー
◎ビッグショー:あとユーロピアン王座獲得で達成
◎マット・ハーディー(世界タッグ、WWEタッグ、IC、US、ハードコア、ヨーロピアン):あと最高位王座獲得で達成
◆ダブル・グランドスラムを達成した主なレスラー
◎クリス・ジェリコ
◎ジェフ・ハーディー
◎ザ・ミズ
◎セス・ロリンズ
追記・修正はグランドスラムを達成してからお願いします。
- ロック様に関しては、戻ってきたところでUS王座戦線で対決できうる人材がいないのがネック。 -- 名無しさん (2018-04-09 13:49:13)
- ↑アライアスあたりに取らせておいてギター弾いてるところに乱入からロックボトム一発ピンでええやろ(適当 -- 名無しさん (2018-08-06 00:24:16)
最終更新:2025年05月29日 15:18